JP2589435Y2 - 造作材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、幅木、廻り縁、枠材等
の少なくとも表面に化粧シート状物が貼着されてなる造
作材に関する。

【０００２】

【従来の技術】造作材として、合板、木質繊維板、パー
ティクルボード等を基材とし、その少なくとも表面に化
粧シート状物を貼着したものが、従来より広く用いられ
ている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の造作材において
は、化粧シート状物が、基材の表面から木口部を包みこ
んで裏面の一部にまで達するようにして貼着されてい
る。

【０００４】すなわち、裏面部分の大半は基材の木地が
露出しており、化粧シート状物に完全に被覆された表面
からの吸湿と裏面からの吸湿とが著しく異なるため、膨
張収縮差によって造作材に反り、捩れ等の狂いが発生し
やすいものであった。

【０００５】また、化粧性の向上を目的とし、或いは釘
打ち部とすることを兼ねて、基材表面に凹溝を設けるこ
とも行われているが、この場合には、基材自体の表裏の
膨張収縮のバランスが崩れ、反りや捩れ等の狂いが顕著
に発生してしまうという問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は上記従来技術の
問題点を解消することを目的として創案されたものであ
り、基材の少なくとも表面に化粧樹脂含浸紙、化粧合成
樹脂シートまたは予め表面塗装の施された裏打ち紙貼り
された突板シートのいずれかよりなる化粧シート状物が
貼着され、化粧シート状物が貼着されず基材面が露出さ
れている部分に防水被膜層が形成されてなることを特徴
とする造作材である。

【０００７】基材としては、合板、木質繊維板、パーテ
ィクルボード、単板積層材、木材、これらを任意積層し
た複合積層材等が用いられる。

【０００８】中でも、木質繊維板、特に中比重繊維板
は、比較的軽量でありながら強度特性に優れているの
で、基材として用いるに適している。

【０００９】また、中比重繊維板において、その表裏に
硬質層が露出されたものを用いることが特に好ましい。
中比重繊維板は０．４〜０．８の全体比重を有するが、
表裏に他部よりも高比重、例えば０．８〜１．４の硬質
層が形成されるので、引張り強度や圧縮強度が更に向上
されると共に、非透水性の該硬質層が化粧シート状物の
貼着に用いられる接着剤の吸い込みを防止する働きをな
すため化粧シート状物の接着強度が向上され、また含水
率変化に伴う膨張収縮の発生が抑制されるため寸法安定
性が向上される。

【００１０】表裏に硬質層を有する中比重繊維板は次の
ようにして製造することができる。すなわち、一般に中
比重繊維板は、例えば乾式法による木質繊維板の製造工
程において、解繊され接着剤等を添加、乾燥された木質
繊維を、フォーミング装置によりスクリーンコンベア上
に堆積し、仮圧締して木質繊維マットを得、次いで、一
定寸法に裁断して定尺木質繊維マットとした後、これを
加熱圧締することによって得られるものであるが、上記
製造工程において、木質繊維に対する接着剤の添加量を
多くし、或いは木質繊維の含水率を高くすれば、表裏の
硬質層の層厚がより大きく形成される。また、定尺木質
繊維マットの上面又は下面に水を塗布し、或いは不織
布、紙、布等の保水性のあるシート状物に含水させたも
のを該木質繊維マットの上面又は下面に載置し、この状
態で加熱すると、表裏部の含水率が高められた状態で加
熱圧締されることとなるため、硬質層の層厚が増大す
る。このようにして、表裏に所定層厚の硬質層を有する
中比重繊維板が得られる。

【００１１】得られた中比重繊維板は、加熱圧締時の接
着剤のプレキュアによる低比重薄表層が形成されるた
め、必要に応じてサンディングを施して該低比重薄表層
を除去し、硬質層を表裏面に露出させる。

【００１２】表裏だけでなく内部にも少なくとも一層の
硬質層を有する中比重繊維板を基材として用いると、更
に強度物性が向上された基材とされる。上記のようにし
て得られた中比重繊維板を接着剤を介して複数枚重ね、
圧締接着することにより、表裏部及び内部に各々硬質層
を有する中比重繊維板が得られる。このようにして得ら
れる中比重繊維板において、内部硬質層は、積層した上
方の中比重繊維板の裏部硬質層と下方の中比重繊維板の
表部硬質層とが複合されたものとして形成されるので、
板材の表裏部硬質層よりも必然的に層厚が大きくなり、
強度的に好ましいものが得られる。

【００１３】基材の少なくとも表面に接着剤を塗布し、
プレス装置、ラミネーター、ラッピング装置等を用いて
常法により化粧シート状物を貼着する。化粧シート状物
は、基材の表面のみならず、基材の表面から片側又は両
側木口部に至るまで、若しくは基材の表面から片側又は
両側木口部を包みこんで裏面の一部にまで達するように
貼着することができる。或いは、基材の全面を被覆する
ように化粧シート状物を貼着することができる。

【００１４】本考案では化粧シート状物として化粧樹脂
含浸紙、化粧合成樹脂シートまたは予め表面塗装の施さ
れた裏打ち紙貼りされた突板シートのいずれかよりなる
ものが用いられる。このような化粧シート状物はそれ自
体が防湿性を有しているため、化粧シート状物が貼着さ
れた基材面に対する吸湿を抑制することができる。

【００１５】化粧シート状物の貼着面には凹溝を刻設す
ることができる。

【００１６】防水被膜層は、合成樹脂塗料や撥水剤を基
材面に塗着後乾燥することによって形成される。防水被
膜層は、化粧シート状物の貼着面を含む基材全面に形成
しても良いが、少なくとも化粧シート状物が貼着されず
基材面が露出されている部分に形成される。

【００１７】例えば、基材の表面から両側木口部を包み
こんで裏面の一部にまで達するように化粧シート状物が
貼着され、後に基材表面に木口と平行方向に凹溝が刻設
された造作材において、凹溝内及び基材裏面における露
出部に、合成樹脂塗料を塗布乾燥してなる防水被膜層が
形成される。

【００１８】

【作用】造作材における化粧シート状物が貼着されない
基材の露出面に防水被膜層が形成されるため、基材への
吸湿が抑制され、基材全般において膨張収縮が均等化さ
れる。したがって、造作材に反りや捩れ等の狂いが生ず
ることがない。

【００１９】

【実施例】図１は本考案の一実施例を示す幅木であっ
て、基材１の表面から片側木口部を包みこんで裏面の一
部に達するように、また基材１の表面から他方木口部の
一部にまで達するように、それぞれ化粧シート状物、例
えば予め表面塗装の施された裏打ち紙貼りされた突板シ
ート２、２が貼着された後、表面及び他方木口部におい
て基材長手方向に溝３、３が刻設されてなるものにおい
て、基材木地が露出している面部分、すなわち該溝４、
４部分及び突板シートが貼着されない裏面部分及び他方
木口部の下方部分に、突板シートと同色に着色された合
成樹脂塗料を塗布乾燥することによって防水被膜層４、
４が形成されたものである。

【００２０】図２は別の実施例を示し、表裏面に硬質層
５、５の露出された比重０．６５の中比重繊維板よりな
る棒状の基材１が用いられ、基材の表面から木口部を包
みこんで裏面の一部に達するように突板シート２、２が
貼着された後、表面に基材長手方向に溝３が刻設されて
なるものにおいて、基材木地が露出している溝３部分及
び裏面部分に防水被膜層４、４が形成されたものであ
る。

【００２１】

【考案の効果】本考案によれば、基材全般において膨張
収縮が均等化され、反りや捩れ等の狂いを生じない造作
材を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による造作材の一実施例を示す断面図で
ある。

【図２】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 基材 ２ 化粧シート状物 ３ 溝 ４ 防水被膜層 ５ 硬質層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E04F 19/00 E04F 19/02 E04F 19/04 E04F 19/08 E04F 13/08 E04F 13/16 E04F 15/00 E04C 3/12

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基材の少なくとも表面に化粧樹脂含浸紙、
   化粧合成樹脂シートまたは予め表面塗装の施された裏打
   ち紙貼りされた突板シートのいずれかよりなる化粧シー
   ト状物が貼着され、化粧シート状物が貼着されず基材面
   が露出されている部分に防水被膜層が形成されてなるこ
   とを特徴とする造作材。
2. 【請求項２】 基材面に溝が刻設されたものにおい
   て、該溝内にも防水被膜層が形成されてなることを特徴
   とする請求項１の造作材。
3. 【請求項３】 基材が、表裏に硬質層を有する中比重
   繊維板であることを特徴とする請求項１又は２の造作
   材。