JPH0245000Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として練製品や準液状物の包装に
用いられるチユーブ状押出し容器、特に合成樹脂
製の複合シートを用いたチユーブ状押出し容器に
関する。

従来より、練歯みがき、化粧品、練状食品その
他の練製品および準液状物等の包装用としてのチ
ユーブ状押出し容器としては、内容物の保香性、
溶出防止、通気による酸化防止の点からガスバリ
ヤー性のよいアルミニウム等の金属製チユーブあ
るいは合成樹脂フイルムにアルミ箔をラミネート
した素材よりなるチユーブが一般に使用されてい
る。

しかし、前記金属製チユーブは復元性を有さな
いために、内容物を最後まで絞り出すのが困難で
あるとともに輸送途上に凹みが生じ易く、内容物
の種類によつては耐薬品性の問題が生じることが
ある。また前記ラミネート素材のチユーブは、ア
ルミ箔を含んでいるために復元性が少なく透明性
もない上、合成樹脂のみの積層シートよりもコス
ト高となり、しかも内容物によつてはアルミ箔に
直接触れないほうが好ましいものもあり、この種
押出し容器の構成材料としては決して好ましいも
のではない。

本考案は、上記に鑑みて種々研究を重ねた結果
なしたもので、アクリロニトリル系樹脂フイルム
が酸素遮断性や保香性、つまりガスバリヤー性に
非常に優れるとともに耐薬品性や透明性が良く、
しかも適度に腰の強さを持ち、またエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体フイルムもガスバリヤー
性、防湿性および耐薬品性に優れ、さらにポリオ
レフイン系樹脂フイルムあるいはポリエステルフ
イルムが何れも無毒性で耐薬品性に優れている点
に着目してなしたもものである。

すなわち、本考案は、前記アクリロニトリル系
樹脂フイルムとエチレン−ビニルアルコール共重
合体フイルムとを併有せる積層フイルムの両面に
ポリオレフイン系樹脂フイルムまたはポリエステ
ルフイルムの何れかを積層した合成樹脂の複合シ
ートを、チユーブ状胴部に使用して合成樹脂製の
口部と連設した構成とすることにより、胴部が合
成樹脂フイルムによる複合シートでありながら、
上記チユーブ状押出し容器としての使用におい
て、内容物の品質保護、変質防止上特に重要なガ
スバリヤー性、防湿性および保香性に優れ、しか
もこの種容器として復元性、透明性といつた他の
諸性質も著しく改善向上せしめ得たものである。

次に本考案の実施例を図面に基いて説明する。
第１図および第２図は、本考案に係るチユーブ状
押出し容器のチユーブ状胴部１０に使用する複合
シートＡを拡大して示している。この図面の実施
例において、１はアクリロニトリル系熱可塑性樹
脂フイルム２とエチレン−ビニルアルコール共重
合体フイルム３とを併有した積層フイルムを示
し、前記アクリロニトリル系樹脂フイルム２とエ
チレン−ビニルアルコール共重合体フイルム３と
の中間に接着層４としてドライラミネート法によ
る接着剤または押出しラミネート法によるポリエ
チレンやポリプロピレン等のポリオレフイン系樹
脂が介在した三層構造をなしており、この積層フ
イルム１の両面にさらにポリオレフイン系樹脂フ
イルム５，５を積層して、複合シートＡを構成し
ている。前記ポリオレフイン系樹脂フイルム５，
５としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン
が好適に用いられる。また前記積層フイルム１に
対するポリオレフイン系樹脂フイルム５，５の積
層は、熱融着手段によるサーマルラミネート法あ
るいは接着剤を用いるドライラミネート法によつ
て積層することも、また両者間にポリエチレン等
のポリオレフイン系樹脂を接着剤として介在させ
て積層する押出しラミネート法を利用することも
でき、図の６，６はその積着層を示す。

なお、本考案は、上記実施例におけるポリオレ
フイン系樹脂フイルム５，５に代えて、これより
もガスバリヤー性、防湿性に優れかつ無毒性で耐
薬品性のよいポリエステルフイルム７，７を用
い、第３図のように積層フイルム１の両面に前記
ポリエステルフイルム７，７を上記ポリオレフイ
ン系樹脂フイルムの場合と同様に積層して実施す
ることもでき、同図６，６はその接着層を示す。
また図示していないが、積層フイルム１の片面に
ポリオレフイン系樹脂フイルム５を、もう一方の
片面にポリエステルフイルム７を積層して実施す
ることもできる。前記ポリエステルフイルム７と
しては無延伸のものが特に好適に用いられる。

上記実施例において複合シートＡを構成する各
フイルム、各層の厚みは、例えばアクリロニトリ
ル系樹脂フイルム２を５〜90ミクロン、エチレン
−ビニルアルコール共重合体フイルム３を５〜90
ミクロン、接着層４を３〜60ミクロン、両面のポ
リオレフイン系樹脂フイルム５，５またはポリエ
ステルフイルム７，７を10〜500ミクロン、接着
層６，６を３〜60ミクロン程度とする。もちろん
前記各厚みはこれに限られるものではなく、複合
シートＡの用途および全厚に応じて適宜厚みを変
更設定して実施できる。

そして本考案は、上記構成の複合シートＡを、
チユーブ状胴部１０に使用して第４図に示す押出
し容器を構成するものであり、このチユーブ状胴
部１０の１端部に、肩部１１および外周にネジ部
を有する口部１２をシール手段等により連設一体
化して押出し容器を構成する。この口部１２はポ
リプロピレンもしくはポリエチレン等のポリオレ
フイン系樹脂またはポリエステル樹脂で射出成形
によつて形成されている。胴部１０のシールはヒ
ートシール、高周波シール、超音波シール等で行
なう。

上記のように構成される本考案のチユーブ状押
出し容器は、各種の練状食品その他の練製品およ
び準液状物等の包装に使用するもので、チユーブ
状胴部１０を絞るようにして内容物を押出して使
用する。

しかしてチユーブ状胴部１０は、上記したよう
な複合シートＡからなるもので、これに包含する
アクリロニトリル系樹脂フイルム２およびエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体フイルム３が共に
酸素および香臭の透過率が小さく、ガスバリヤー
性、防湿性および保香性に非常に優れるとともに
耐薬品性にも優れている。従つて合成樹脂フイル
ムのみの多層構造でありながら、金属並のガスバ
リヤー性を保有し、酸素、湿気および香料等の透
過を防ぎ、内容物の変質を防止できその保護を好
適になすものである。

しかも複合シートＡの外表面に積層されている
ポリオレフイン系樹脂フイルム５，５またはポリ
エステルフイルム７，７は何れもシール加工性に
優れているため、押出しチユーブとしての加工が
容易でかつシール部の密封性もよく、口部をこれ
らと同系の樹脂で成形しておけば、ヒートシール
等の手段により容易に接合でき、この種の押出し
容器を製造し易い。

さらに前記両フイルム、特にポリエステルフイ
ルム７は無毒性で耐薬品性に優れており、それゆ
えこれに食品等の内容物を直接接触させても差し
支えなく衛生的であり、またポリオレフイン系樹
脂フイルム５は防湿性に優れており、従つてこれ
ら両フイルムの何れかを積層した本考案の複合シ
ートＡは、上記ガスバリヤー性等の良さと相まつ
て内容物の保護を一層好適になし、また印刷適性
も良好で商品化し易い。

殊に本考案の押出し容器は、チユーブ状胴部１
０を構成する複合シートＡが、合成樹脂フイルム
のみの積層体であるゆえ復元性に優れており、皺
や折目が生じ難く、内容物を最後まで容易に絞り
出すことができ、輸送中に凹みが生じる虞れもな
く、また従来の金属製チユーブやアルミ箔のラミ
ネートチユーブと異なり透明性および耐衝撃性に
優れる上、合成樹脂のみよりなるがために、従来
品に比しコスト安価に容易に製造提供できる。

したがつて、本考案のチユーブ状押出し容器
は、練歯みがき、化粧品、各種の練状食品その他
の練製品および準液状物等の包装用として、内容
物の保護および長期保存に要求される諸性質中で
もガスバリヤー性、防湿性、保香性さらには耐薬
品性に優れ、しかも復元性がよくて表面に皺や折
目が生じ難くて、体裁よく最後まで使用できる
等、実用的効果が大きく、好適に使用できる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すものであり、第１図
は複合シートの一部を拡大断面図、第２図は複合
シートを構成する各層、各フイルムごとに分離し
て示す一部の拡大断面図、第３図は他の複合シー
トの実施例を示す一部の拡大断面図、第４図は複
合シートを用いた本考案のチユーブ状押出し容器
を例示する斜視図である。 １……積層フイルム、２……アクリロニトリル
系樹脂フイルム、３……エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体フイルム、４……接着層、５，５…
…ポリオレフイン系樹脂フイルム、６，６……接
着層、７，７……ポリエステルフイルム、１０…
…チユーブ状胴部、１２……口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チユーブ状胴部の１端部に合成樹脂製の口部を
   連設してなる押出し容器であつて、胴部は、アク
   リロニトリル系樹脂フイルムとエチレン−ビニル
   アルコール共重合体フイルムとを併用せる積層フ
   イルムの両面にポリオレフイン系樹脂フイルムま
   たはポリエステルフイルムの何れかを積層した複
   合シートからなることを特徴とするチユーブ状押
   出し容器。