JPH024435B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明の多色発色性感熱記録紙に関するもの
で、詳細には、支持体上に常温で固体の有機塩
基、該有機塩基により熱時反応しうる酸安定化ジ
アゾニウム塩及びカブラー化合物を含有する感光
感熱層が、更に該感光感熱層上に該有機塩基によ
り熱時発色しうるアシル化したラクトン又はサル
トン型酸性ロイコ色素を含有する層が設けられて
いる多色発色性感熱記録紙に関する。 近年、多量の情報をできる限り高速でハードコ
ピーとしてアウトプツトするという社会の要請に
応じて高速プリンター、フアクシミリ等の発達は
著しいものがある。高速プリンター、フアクシミ
リの如く電気的情報に従つて記録媒体に画像を形
成する方法として、電子写真、静電記録、放電記
録、インクジエツトおよび感熱記録等が知られて
いる。これらのなかで感熱記録法は装置が比較的
簡単であり、また記録紙も比較的安価であること
から特に近年急速に普及している。 該感熱記録法の一つ方法として、クリスタルバ
イオレツトトラクトンのような発色性物質とビス
フエノールＡのようなフエノール性化合物を組み
合せてなる感熱記録紙については、例えば特公昭
45−14039号に記載されておりすでに公知である。
これらの感熱記録紙は現在事務用複写紙、各種レ
コーダー、心電計、電卓、コンピユーターの端末
機、フアクシミリ等の記録紙として広く使用され
ているが１色だけ発色させるものがほとんどであ
る。社会の進展とともに高密度の情報が要求され
てきつつあり、１色から２色へさらに多色記録可
能な感熱記録紙の開発が強く望まれ種々の方法が
考案されてきている。 これまでに考案された多色発色性感熱記録紙の
例として、例えば特公昭51−5792号に記載されて
いるような発色温度と発色の色を共に異にする感
熱層を２層又は３層重ねて塗布した記録紙上に感
熱ヘツド又は熱ペンの温度を変えることによつて
２色あるいは３色の発色を得る方法、また特開昭
50−147736号に記載されているようなフエノール
性物質と該フエノール物質より熱時発色しうる発
色性物質を含む層中、又はその隣接層中に該フエ
ノール物質より高温で融解する有機塩基の分散体
を加え、かつ該有機塩基により別の色に発色しう
る発色性物質を共存させることにより、低温では
フエノール性物質と発色性物質の発色による色を
得、高温では一旦発色したものを消色し同時に異
なる色相の単色の発色を生じて２色発色を得る方
法、また特公昭50−17868号に記載されているよ
うなフエノール性物質と該フエノール性物質によ
り発色しうる発色性物質を含む層中、又はその隣
接中に該フエノール物質により高温で融解しフエ
ノール性物質の発色を脱色する脱色剤を加えかつ
かかる系に脱色剤により脱色されない熱記録材料
を共存させることにより、低温では該フエノール
物質と発色性物質の発色にによる色を得、高温で
は一旦発色したものを脱色し同時に異なる熱記録
材料の単色の発色を生じて２色を得る方法等が挙
げられる。 しかしこれらの多色発色性感熱記録方法は感熱
ヘツド又は熱ペンの温度差により異なる色相の発
色を得る方法を利用しているため高温発色部が必
ず低温発色の色に縁取られた形となり、実用化の
進展に大きな障害となつているのが現状である。 本発明は同一温度の感熱ヘツド又は熱ペンで異
なる発色を得る感熱記録紙を提供することを目的
としており、本発明の感熱記録紙は常温で固定の
有機塩基、酸安定化ジアゾニウム塩、カブラー化
合物とアシル化したラクトン又はサルトン型酸性
ロイコ色素の４つの成分を本質的に含んでいるわ
けであるが、この４成分を同一塗布層中に含有さ
せる場合、鮮明な２色を得るためには有機塩基は
疎水性であることが必要である。 常温で固体の有機塩基、該有機塩基により熱時
反応しうる酸安定化ジアゾニウム塩とカプラー化
合物から成る感光感熱成分と該有機塩基により熱
時発色しうるアシル化したラクトン又はサルトン
型酸性ロイコ色素を含有する感熱記録の感熱層の
(1)光露光ない部分に熱を加えると有機塩基が溶融
してアルカリ性雰囲気をつくり、酸安定化ジアゾ
ニウム塩とカプラー化合物の反応を生じてアゾ染
料を形成すると同時にアシル化したラクトン又は
サルトン型酸性ロイコ色素の発色を生じて２成分
の発色による混色を得、(2)一方、光露光した部分
に熱を加えるとすでにジアゾニウム塩が光分解て
カプラー化合物とのアゾ染料形成反応は起らず、
アシル化したラクトン型又はサルトン型酸性ロイ
コ色素のみが溶融した有機塩基により発色する。
すなわち、本発明は光路光の有無で鮮明な２色発
色を得る方法を提供するものである。 上記の場合において酸安定化ジアゾニウム塩が
カプー化合物と十分に反応しうるに必要な量の塩
基を供給しうる有機塩基を感熱塗布層中に含んで
いることが大切であり、それより少ない場合でも
２色を得ることは一応可能であるが、その鮮明度
が劣るので、実用上優れたものを得ることは困難
である。 感熱層の光露量についてはジアゾニウム塩の光
分解が完全な程鮮明度の優れた２色発色が得られ
るが、ジアゾニウム塩の光分解を調節することに
より２色間の階調も得ることも可能である。この
場合でも一方の発色が他方の発色の周りを縁取る
という現象は全く見られない。 本発明の多色発色性感熱記録紙はフアクシミ
リ、各種レコーダー等種々の用途が考えられる
が、記録装置については現在使用されている感熱
記録装置に光露光装置を加えればよい。例えば感
熱ヘツド１つの場合、感熱記録紙がヘツドに接触
する前に２色の必要な部分のみにスポツト的に露
光できるようにすればよく、感熱ヘツドを２つも
つ装置の場合は２つのヘツドの間に感熱記録紙全
面に露光できるように光露光装置が設置されれば
よい。 本発明に使用される有機塩基としては常温で固
体、好ましくは60℃以上の融点を持つグアニジン
誘導体で特に次の一般式で示されている疎水性グ
アニジン誘導体が好ましい。 一般式 〔式中R₁，R₂，R₃，R₄は水素、アルキル、環状
アルキル、アリール、アラルキル基を表わしR₅
はアルキル、環状アルキル、アリール、アラルキ
ル基を表わし、式中のアリール基はアルキル、ア
ルコキシ、ニトロ、ハロゲンより選ばれる置換基
を有するものも含まれる。〕 さらにその代表的な具体例を表−１に示すが、こ
れは本発明を限定するものではない。表中

【式】はシクロヘキシル基を表わす。 表−１に示したらこれらグアニジンの誘導体は公
知の方法ないしは、それに類似の方法で容易に合
成することができる。 本発明に使用するジアゾニウム塩、カプラー化
合物及び安定剤類等は一般のジアゾタイプ複写紙
に使用される物質を用いることができる。 例えば、ジアゾニウム塩としては、従来公知の
ジアゾ型複写材料に用いられる１−ジアゾ−４−
Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノベンゼン・ホウフツ化
塩、１−ジアゾ−４−モルフオリノベンゼンジア
ゾニウム・ホウフツ化塩、４−ジアゾ−ジフエニ
ルアミノ・ホウフツ化塩、１−ジアゾ−2.5−ジ
メトキシ−４−モルフオリノベンゼンジアゾニウ
ム・ホウフツ化塩、１−ジアゾ−2.5−ジエトキ
シ−４−モルフオリノベンゼン・ホウフツ化塩等
を任意に選択使用することができる。カブラー化
合物としては芳香族ヒドロキシ化合物及び活性水
素をもつ次のような化合物が例として褐げられ
る。４−メトキシ−１−ナフトール、４−アミノ
−１−ナフトール、1.4−ヒドロキシナフタレン、
４−エトキシ−１−ナフトール、レゾシノール、
フロログルシン、2.3−ジヒドロキシナフタリン
−６−スルホン酸ナトリウム塩、４−プロポキシ
フエノール、アセチルアセトアミド、２−ヒドロ
キシナフタレン−３−カルボン酸エタノ−ルアマ
イド等、又、安定剤類としてはジアゾニウム塩の
安定化用酸類、抗酸化剤、染料堅牢剤等が適宜用
いられる。 次に本発明に使用される有機塩基により熱時発
色するアシル化したラクトン又はサルトン型酸性
ロイコ色素としては酸性又は中性で無色又は淡色
を示したアルカリ性で濃色を示すもので、水に難
溶性のものが好ましい。又実用上は感熱塗布液及
び感熱紙の安定性などの点でキサンテン系ラクト
ン型酸性ロイコ色素が特に好まれる。 本発明のアシル化したラクトン又はサルトン型
酸性ロイコ色素は次の一般式にて表わせるが本発
明を限定するものではない。 〔式中Ｒはフエニル基、置換フエニル基、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロゲン化ア
ルキル基より選ばれる基を表し、Ｘ，Ｙは水素、
ハロゲン、低級アルキル基、ニトロ基より選ばれ
る基を表し、Ｘ，Ｙは同一であつても異つてもよ
い。又、Ｚは

【式】又は−SO₂−より選ばれる 基を表し、ＡはＺ，Ｏ及びＯと結合しているキサ
ンテン環の炭素原子と共に５員環又は６員環を形
成するのに必要な飽和又は不飽和炭素原子団を表
し、該原子団にベンゼン環、ハロゲン置換ベンゼ
ン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環などの縮
合したものも含まれる〕 さらに、その具体的代表例を示すと表−２のよ
うになる。 なお、本発明は当然これら具体例に限定されな
い。又、好みの色調を得るため二種類以上を併用
することも当然可能であり、又フルオレツセイン
誘導体、あるいはフエノールフタレイン誘導体の
ようなアシル化していないラクトン、サルトン型
酸性ロイコ色素との併用も可能である。 又、これらの化合物は公知の方法ないしは、そ
れに類似の方法で容易に合成することができる。 本発明の感熱記録紙は概略、次のような方法に
よつて得ることができるが本発明を限定するもの
ではない。 すなわち、グアニジン誘導体、アシル化したラ
クトン又はサルトン型酸性ロイコ色素や必要に応
じてカプラー化合物を各々別々に又は同時に適当
な濃度のバインダー材中でボールミル等の粉砕機
を使用して数μ以下に粉砕分散する。一方、支持
体上にジアゾニウム塩、熱軟化性バインダー剤を
主成分とし、必要に応じてアシル化したラクトン
又はサルトン型酸性ロイコ色素やカプラー化合物
又は該化合物の粒子状分散液、ジアゾニウム塩の
安定化用酸類、酸化防止剤、画像補力剤等を適宜
加えて感光感熱層を設ける。該感光感熱層上にグ
アニジン誘導体の粒子状分散液とアシル化したラ
クトン又はサルトン型酸性ロイコ色素、必要によ
りカプラー化合物又は該化合物の粒子状分散液と
熱軟化性バインダー剤を主成分とし、その他適宜
融点降下剤として、動物性ワツクス類、植物性ワ
ツクス類、石油ワツクス類、高級脂肪酸の多価ア
ルコールエステルや高級ケトンや高級アミンや、
高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸とアミンの縮合物
や、合成パラフインや塩素化パラフインなどが挙
げられ、これらを単独又は２種以上併用してこれ
らの微粉末あるいはエマルジヨンとして使用して
もよい。熱軟化性バインダー材としては一般に知
られているポリビニルアルコール、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロール、ヒドロキシ
メチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、カ
ゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合物、ポ
リアクリル酸アマイド等の水溶性バインダー剤及
びテルペン樹脂、環化ゴムなどの石油系樹脂を用
いることが出来る。 本発明の多色発色性感熱記録紙の支持体として
は紙が一般的であるが、合成樹脂フイルム、ラミ
ネート紙、織布シート等も使用することが出来
る。 次に実施例と比較例により本発明を更に詳細に
説明する。 実施例 １ 感光感熱成分を含む層の塗液を次の配合で調製
し、上質紙上に乾燥後の塗布量が4.0ｇ／m²にな
るように塗布した。 シユウ酸 ２ｇ チオ尿素 ２ｇ スルホサリチル酸 ３ｇ カオリン ５ｇ ２，３−ジヒドロキシナフタレン−６−スルホン
酸ナトリウム塩 ２ｇ １−ジアゾ−2.5−ジエトキシ−４−モルフオリ
ノベンゼン−ホウフツ化塩 2.5ｇ 10％ポリビニルアルコール 30ｇ 水 100ｇ 次に該感熱感光材料を含む層上に次の配合で調
製した塗液を乾燥後の塗布量が８ｇ／m²になるよ
うに塗布して感熱記録紙を作成した。 Ａ 液 50ｇ Ｂ 液 10ｇ カオリン 10ｇ 10％ポリビニルアルコール 70ｇ なおＡ液は次のように調製した。 Ａ 液 表−１の化合物(3) ５ｇ ステアリン酸アマイド ５ｇ 10％ポリビニルアルコール 10ｇ 水 15ｇ の配合の組成物をポールミルにて24時間粉砕分散
した。 またＢ液は次のように調製した。 Ｂ液 表−２の化合物(3) 10ｇ 10％ポリビニルアルコール 10ｇ 水 20ｇ の配合の組成物をボールミルにて24時間粉砕分散
した。 この感熱記録紙の一部を黒色紙で覆つた後紫外
光で感熱層を露光した。黒色紙を除いて東芝(株)製
フアクシミリKB−4800で印字したところ露光部
は赤色に、末露光部は濃青色に発色した。 実施例 ２ 実施例１で得た感熱記録紙を未録光のまま東芝
(株)製フアクシミリKB−4800で印字したところ鮮
明な濃青色の発色を得た。紫外光で露光後再びフ
アクシミリで印字したところ濃青色に加えて鮮明
な赤色の発色を得た。 実施例 ３ 実施例１におけるＡ液、Ｂ液の代りにＣ液、Ｄ
液に置き換える以外は同様の操作で感熱記録紙を
作成した。 Ｃ液 表−１の化合物(7) ５ｇ ステアリン酸アマイド ５ｇ 10％ヒドロキシエチルセルロース 10ｇ 水 15ｇ Ｄ液 表−２の化合物（18） 10ｇ 10％ヒドロキシエチルセルース 10ｇ 水 20ｇ Ｃ液、Ｄ液を各々、別々にボールミルにて24時間
粉砕分散した。 この感熱記録紙の一部を黒色紙で覆つた後紫外
光で感熱層を露光した。黒色紙を除いて前記フア
クシミリで印字したところ露光部は緑色に、未露
光部は濃青色に発色した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支持体上に常温で固体の有機塩基、該有機塩
   基により熱時反応しうる酸安定化ジアゾニウム塩
   及びカプラー化合物を含有する感光感熱層が、更
   に該感光感熱層上に該有機塩基により熱時発色し
   うるアシル化したラクトン又はサルトン型酸性ロ
   イコ色素を含有する層が設けられていることを特
   徴とする多色発色性感熱記録紙。 ２ 上記有機塩基が下記一般式で示される疎水性
   グアニジン誘導体である特許請求の範囲第１項記
   載の多色発色性感熱記録紙。 一般式 〔式中R₁・R₂・R₃・R₄・は水素、アルキル、環
   状アルキル、アリール、アラルキル基を表わし、
   R₅はアルキル、環状アルキル、アリール、アラ
   ルキル基を表わし、式中のアリール基はアルキ
   ル、アルコキシ、ニトロ、ハロゲンより選ばれる
   置換基を有するものも含まれる。〕