JPH0244100Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内部を密閉した車両用ドラムブレー
キであつて、特にブレーキ室内と大気とを連通す
るブリーザパイプの取付け構造に関する。

〔従来の技術〕

未舗装路や不整地等を走行するオフロード用の
自動二輪車にあつては、塵埃や泥水がドラムブレ
ーキの内部に侵入しないように、内部を密閉した
ドラムブレーキが用いられており、更に密閉であ
るがゆえ、内部に制動熱が滞留して内圧が上昇す
ることがないように、ドラムブレーキにブリーザ
パイプを連結して制動熱を大気へ放出するものが
あり、この種技術としては、例えば特開昭61−
116129号公報に密閉型ブレーキ装置のブリーザ構
造が示されている。

この技術は、ブレーキドラムを被包するブレー
キカバーに、吸気孔と排気孔とを形成し、該吸気
孔から排気孔にブレーキカバーを介して強制的に
空気を流す手段を設けたことを要旨とし、実施例
には、ブリーザパイプを接続するための吸気孔と
排気孔となる２つのブリーザパイプ接続管を、カ
バープレートに固着したものが示されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述の従来例を始めとするこの
種ブレーキでは、一般にブレーキカバーが薄板を
プレス成形して形成され、またブリーザパイプ連
結管は、このブレーキカバーへ溶接等で固着され
るため、取付け強度が劣るという難点があつた。

本考案は、かかる実情を背景にしてなされたも
ので、ブレーキ室内に配設されるアンカーを利用
して、ブリーザパイプを連結するようになしたも
ので、ブリーザパイプ接続管を強固で確実に固着
すると共に、ブレーキ室内部の汚損を防止した密
閉型車両用ドラムブレーキを提供することを目的
としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上述の目的を達成するため、密閉し
たブレーキ室内に、ブレーキ機構を構成する各種
ブレーキ構成部材を配置した密閉型車両用ドラム
ブレーキにおいて、前記ブレーキ室内でブレーキ
シユーの拡開支点となるアンカーに、ブリーザパ
イプ接続管をバツクプレートを貫通して連結し、
バツクプレート外部に突出するブリーザパイプ接
続管の接続口部に、車体上部に開口するブリーザ
パイプを接続したことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案をオフロード用の自動二輪車のフ
ロントドラムブレーキに適用した一実施例を第１
図乃至第５図に基づいて説明する。

自動二輪車１は、エンジン２を搭載した車体フ
レーム３の前部に、バーハンドル４にて操舵され
るフロントフオーク５の下端に前輪６が懸架さ
れ、車体フレーム３の後部には、上記エンジン２
にてチエン駆動される後輪７が、リアフオーク８
及びリアサスペンシヨン９にて懸架されており、
前輪６には、リーデイング・トレーリングタイプ
の密閉型のドラムブレーキ１０が配設されてい
る。

第１図乃至第４図は、上記ドラムブレーキ１０
の詳細を示し、第１図は第３図の−断面図、
第２図は正面図、第３図は背面図、第４図は第２
図の−断面図を表わす。

ドラムブレーキ１０は、バツクプレート１１
を、フロントアクスル１２と一体に回転するブレ
ーキドラム１３と同軸上に固設し、該ドラム１３
と対向するバツクプレート１１の口部外周に、リ
ング状のダストシール１４を金属製の固定リング
１５にて嵌着し、ダストシール１４の複数のフイ
ン１４ａをバツクプレート１１の口部内周に接触
させて、バツクプレート１１とブレーキドラム１
３間に密閉したブレーキ室１６を画成し、該ブレ
ーキ室１６内に各種ブレーキ構成部材を配置して
構成される。

ブレーキ室１６内には、バツクプレート１１
に、一対のブレーキシユー１７，１７が対向配置
され、各ブレーキシユー１７は、ウエブ１７ａの
一端１７ｂを、カム軸１８のカムブロツク１８ａ
に、他端１７ｃをアンカー１９に当接支持されて
いる。

両ウエブ１７ａ，１７ａ間には、上記カムブロ
ツク１８ａとアンカー１９の近傍に、ブレーキシ
ユー１７，１７を常時縮径方向に付勢する一対の
リターンスプリング２０，２０が張設され、また
バツクプレート１１の外部に突出するカム軸１８
の端部には、操作レバー２１が固着されており、
該操作レバー２１には、ブレーキレバー２２に操
作されるブレーキケーブル２３が連結されてい
る。

かかる構成により、ブレーキレバー２２を握り
操作すると、ブレーキケーブル２３の牽引によ
り、カム軸１８が操作レバー２１と一体に回動さ
れ、カムブロツク１８ａにてアンカー１９を支点
に拡開するブレーキシユー１７，１７のライニン
グ２４，２４が、前輪６と共に矢印Ａ方向に回転
するブレーキドラム１３の内周面に摺接して、制
動作用が行なわれる。

バツクプレート１１には、中央の軸孔１１ａに
挿通されるフロントアクスル１２よりも車体前部
側で、且つ該アクスル１２よりも高位置にガイド
孔１１ｂが形成されており、前記アンカー１９
は、このガイド孔１１ｂに位置合わせ用の係合突
部１９ａを嵌合させ、外部から螺着されるボルト
２５にてバツクプレート１１に固設されている。

アンカー１９には、上記係合突部１９ａと対向
するブレーキ室１６側の中央部にボス部１９ｂが
突設され、該ボス部１９ｂの外周には、前記ブレ
ーキシユー１７，１７の他端１７ｃ，１７ｃを支
承する環状溝１９ｃが形成されると共に、ボス部
１９ｂと係合突部１９ａの内部には、ブレーキ室
１６とバツクプレート１１の背面とを連通するブ
リーザ孔２６が設けられている。

係合突部１９ａに開口するブリーザ孔２６に
は、バツクプレート１１の外部からブリーザパイ
プ接続管２７の一端部２７ａが圧入固定され、更
にバツクプレート１１の外部に突出する接続管２
７の接続口部２７ｂには、ブリーザパイプ２８の
接続側の端部２８ａがクランプ２９にて接続され
ている。

上記ブリーザ孔２６及びブリーザパイプ２８
は、制動の繰返しによつてブレーキ室１６に生じ
る制動熱と、室外の大気とを吸・排して交換し、
ブレーキ室１６内の高温化と圧力上昇を防止し
て、制動作用の円滑化を図るもので、ブリーザパ
イプ２８の解放側の端部２８ｂは、走行中の塵埃
や泥水等が侵入することがないよう、第５図に示
す如く、車体上部のフユーエルタンク３０の下部
に、車体後部側に向けて配設されている。

本実施例は、以上のように構成されており、ブ
リーザパイプ２８を接続するブリーザパイプ接続
管２７の取付けに、ブレーキシユー１７の制動ト
ルクを受ける厚肉のアンカー１９が利用され、し
かも、この制動トルクによる車輪回転方向の推力
受けと位置決めとなる係合突部１９ａに取付けら
れるので、専用の孔加工が不要となると共に、バ
ツクプレート１１が薄板であつても、変形を生じ
ることなく、確実で充分な取付け強度を持たせる
ことができる。

更にブリーザパイプ接続管２７は、圧入によつ
て固着されるので、シール性のよい取付けが簡単
に行なえ、溶接工程を廃止して低コスト化が図れ
る。

またブリーザパイプ接続管２７を、バツクプレ
ート１１の車体前部側で、且つフロントアクスル
１２の下縁よりも上部側に突出させて、ブリーザ
パイプ２８を接続するようにしたから、縁石との
接触や走行中の飛石等による損傷を防止できると
共に、ブリーザパイプ２８の解放側の端部２８ｂ
を、塵埃や泥水の侵入し難いフユーエルタンク３
０の下部に配置したので、ブレーキ室１６内の汚
損を防止して、確実な作動を発揮できる。

第６図は本考案の他の実施例を示し、本実施例
のアンカー３１には、上記実施例のような位置合
わせ用の係合突部がなく、該アンカー３１は、ブ
リーザ孔２６に連通する大径の取付け孔３２を、
バツクプレート１１に形成した同径のガイド孔１
１ｃと位置合わせして、バツクプレート１１の車
体前部側で且つフロントアクスル１２と平行か若
しくはそれより高位置に、ボルト２５にて固設さ
れ、ガイド孔１１ｃと取付け孔３２とに、ブリー
ザパイプ接続管３３の大径の一端部３３ａが圧入
固定され、バツクプレート１１の外部に突出する
小径の接続口部３３ｂにブリーザパイプ２８が接
続されるもので、ブリーザ孔２６のブレーキ室１
６側に形成される口部３４には、樹脂プレート３
５にて防塵用のフイルタ３６が装着されている。

本実施例のブリーザパイプ接続管３３は、バツ
クプレート１１とアンカー３１との双方に圧入さ
れ、しかも圧入される一端部３３ａを大径に形成
したから、上記実施例に比しても遜色のない取付
け強度が得られる。

尚、本考案のブリーザパイプ接続管は、圧入以
外に、螺入或いはカシメによつてアンカーに連結
してもよく、いずれにしても、アンカーが厚肉で
取付けに充分な強度で耐えることから、バツクプ
レートの厚さに拘らず簡便な連結が行なえ、コス
ト高な溶接工程を廃止してコストダウンを図るこ
とができる。

また、ブリーザパイプの解放側の端部は、フユ
ーエルタンクの下部以外に、埃や泥水等が侵入し
難い箇所であれば、車体上部のいずれに配置して
も差支えない。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、密閉したドラムブレー
キのブレーキ室内で、ブレーキシユーの拡開支点
となるアンカーに、ブリーザパイプ接続管をバツ
クプレートを貫通して連結し、バツクプレート外
部に突出するブリーザパイプ接続管の接続口部
に、車体上部に開口するブリーザパイプを接続し
たから、ブリーザパイプ接続管は、バツクプレー
トの厚さ如何に拘らず、またバツクプレートに変
形を生じさせることなく、確実で充分な取付け強
度を以て固着できる。

更に、車体上部に開口するブリーザパイプの端
部に塵埃や泥水等が侵入し難いので、ブレーキ室
の汚損を防止して、確実な作動を発揮できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案の一実施例を示し、
第１図は第３図の−断面図、第２図はドラム
ブレーキの正面図、第３図は同じく背面図、第４
図は第２図の−断面図、第５図はオフロード
用自動二輪車の正面図、第６図は他の実施例を示
す要部断面図である。 １……自動二輪車、１０……ドラムブレーキ、
１１……バツクプレート、１１ａ……軸孔、１１
ｂ，１１ｃ……ガイド孔、１２……フロントアク
スル、１３……ブレーキドラム、１６……ブレー
キ室、１７……ブレーキシユー、１８……カム
軸、１９……アンカー、１９ａ……係合突部、１
９ｂ……ボス部、２３……ブレーキケーブル、２
６……ブリーザ孔、２７……ブリーザパイプ接続
管、２７ａ……一端部、２７ｂ……接続口部、２
８……ブリーザパイプ、２８ａ……接続側の端
部、２８ｂ……解放側の端部、２９……クラン
プ、３０……フユーエルタンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉したブレーキ室内に、ブレーキ機構を構成
   する各種ブレーキ構成部材を配置した密閉型車両
   用ドラムブレーキにおいて、前記ブレーキ室内で
   ブレーキシユーの拡開支点となるアンカーに、ブ
   リーザパイプ接続管をバツクプレートを貫通して
   連結し、バツクプレート外部に突出するブリーザ
   パイプ接続管の接続口部に、車体上部に開口する
   ブリーザパイプを接続したことを特徴とする密閉
   型車両用ドラムブレーキのブリーザパイプ取付け
   構造。