JPH0239914Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ボデイカバーで被覆された強制空
冷エンジンを塔載した自動二輪車のエンジン冷却
空気排出装置に関する。

スクータなどシート下をボデイカバーで覆い、
その中にエンジンを塔載した自動二輪車では、エ
ンジンの冷却性能を確保するため強制空冷にする
ことが多い。

この強制空冷エンジンを塔載したスクータを自
動二輪車の一例として第１図に示す。スクータの
車体１は、シート２の前方が低く湾曲される一
方、このシート下をボデイカバー３で覆つてい
る。ボデイカバー３内にはエンジン４が塔載され
る他、マフラー５、サスペンシヨン６、後輪７の
一部、さらには図示しないキヤブレタ、燃料タン
クなどが密度高く収容される。

エンジン４は、第２図に略示するように、エン
ジンシリンダ８を風胴９で覆い、エンジン４に連
動する冷却フアンで圧送された冷却空気がエンジ
ンシリンダ８を冷却し、排風筒１０から下方へ放
出される。放出された熱気は、高速走行時などで
は大気中に拡散されるが、渋滞走行時などでは上
昇してボデイカバー３内に入ることがある。特
に、このタイプのスクータは、熱風が上方に流れ
ようとするのに逆らつて下方に排風するものであ
るため、放出された熱気がボデイカバー３内にこ
もり易い。このため、渋滞あるいは低速走行時に
は排風筒１０から放出された熱風が上昇してボデ
イカバー３内に入り、やがてカバー内の雰囲気温
度が上昇し、燃料温度の上昇による不具合や、熱
による弊害が多く発生する恐れがある。

エンジン４を冷却した熱風を車体外に放出する
ためには、第３図に示すように、排風筒１０に接
続される排風ダクト１１を車体１の後部まで斜上
方に導き、車体後部から排風させるとよい。

この場合、エンジン４は支点Ａ回りにスイング
するため、車体１とエンジン４との間に相対変位
が生ずる。この変化量を吸収するために、排風ダ
クト１１の一部に蛇腹１２を設けてフレキシブル
にしたり、場合によては一体成形でなく、ジヨイ
ント部を設ける必要がある。

しかし、ボデイカバー３内には燃料タンクやク
リーナ等の各種部品が多く収納されているため、
ボデイカバー３内の制約されたスペースに、蛇腹
やジヨイント部を設けることはレイアウト上困難
性が伴う。

この考案は上述した点を考虜し、エンジンを冷
却した排風熱がボデイカバー内にこもりにくい構
造としてエンジンを有効的に冷却するとともに、
排風ダクトの方付けを簡素化した自動二輪車のエ
ンジン冷却空気排出装置を提供することを目的と
する。

以下、この考案の好ましい実施例について添付
図面を参照して説明する。

第４図はこの考案の自動二輪車のエンジン冷却
空気排出装置をスクータに適用した例を示す。こ
のエンジン冷却空気排出装置を説明するに当り、
第１図に示すものと同じ部材には同一符号を付
し、説明を省略する。

エンジン冷却空気排出装置は円筒あるいは楕円
筒等の筒状なす排風ダクト１５を有し、この排風
ダクト１５の基部はエンジン４のシリンダを覆う
風胴９に設けられた排風筒１０に一体あるいは着
脱可能に一体的に設けられる。排風ダクト１５は
車体１の後方に上向きに延び、その先端はボデイ
カバー３の後部側面に形成された排風口１６に臨
んでいる。その際、排風ダクト１５を車体１の尾
部まで延設する必要がないので、ダクト長を短く
することができる。

ボデイカバー３の排風口部はなめらかな排風ガ
イド面１６ａを形成するように凹設され、この凹
部に筒状ガイド１７が第５図および第６図に示す
ように一体あるいは一体的に接続される。こゐ筒
状ガイド１７はボデイカバー３の内側に一体ある
いは一体的に固定され、筒状ガイド路１８が構成
される。筒状ガイド路１８の左右幅ｗは排風ダク
ト１５のダクト径より少し大き目に形成され、高
さｈは排風ダクト１５の最大スイング量を考虜し
て決定される。

しかして、排風ダクト１５の先端は、軸方向長
さだけ筒状ガイド路１８内にラツプするように
遊嵌される。排風ダクト１５の先端をオーバラツ
プさせることにより、排風された熱風がボデイカ
バー３内に逆流し、車体１内にこもるのを有効的
に防止できる。

次に、この考案の作用について説明する。

図示しない冷却フアンで圧送され、エンジン４
を冷却した冷却風は温められて温風（あるいは熱
風）となり、排風筒１０から排風ダクト１５に案
内され、この排風ダクト１５を通りボデイカバー
３の後部側面に形成された排風口１６から大気中
に放出される。

その際、排風ダクト１５の先端は排風口１６に
通じる筒状ガイド路１８に遊嵌されているので、
排風ダクト１５から排気される排風により、ボデ
イカバー３内の周辺空気が巻き込まれ、この周辺
空気も大気中に放出するので、渋滞時や低速走行
時に、ボデイカバー３内の雰囲気温度が異常に上
昇するのを有効的に防ぐことができる。

また、高速走行時には、走行に伴う負圧によ
り、排風ダクト１５内の排風がスムーズに行なわ
れるとともに、ボデイカバー３内の空気も吸い出
され、エンジン４を有効的かつ積極的に冷却する
ことができる。

第７図乃至第９図はこの考案の変形例を示すも
のである。

この変形例に示されたエンジン冷却空気排出装
置は、ボデイカバー３の後部側面を車体１の前後
方向に凹設し、この凹部２０内になめらかなガイ
ド面を有する排風ガイド路２１を構成するととも
に、開口面積の大きな排風口２２を形成してい
る。この場合排風ダクト１５の先端は外部から隠
れるように、第８図に実線で示すように排風口２
２に臨ませても、あるいは一点鎖線で示すように
凹部２０の排風ガイド路２１とオーバラツプさせ
てもよい。

この場合には、独立した筒状ガイドをボデイカ
バーの内側面に一体あるいは一体的に設けること
が不要のため、その分だけ作業工数が減少し、製
造コストを低減させることができる。

以上述べたようにこの考案に係る自動二輪車の
エンジン冷却空気排出装置は、ボデイカバーの側
面を凹設して排風口を形成し、この排風口に通ず
る筒状ガイド路をボデイカバーの内側に形成し、
このガイド路にエンジンからの排風筒に接続され
た排風ダクトの先端を遊嵌させたから、排風ダク
トを排風筒に接続するだけで取付けることがで
き、ダクトの取付構造が簡素化される。また、排
気ダクトの先端を排風口に通じる筒状ガイド路に
遊嵌させることにより、渋滞時や走行時にもエン
ジンを冷却した排風熱がこもりにくい構造とな
り、エンジンを有効的に冷却することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は強制空冷エンジンの１例を示すスクー
タの側面図、第２図は第１図の−線に沿う拡
大断面図、第３図は別タイプの従来のスクータを
示す図、第４図はこの考案に係る自動二輪車のエ
ンジン冷却空気排出装置を示す側面図、第５図は
第４図の−線に沿う平断面図、第６図は第５
図の−線に沿う断面図、第７図はこの考案の
変形例を示す側面図、第８図は第７図の−線
に沿う平断面図、第９図は第７図の−線に沿
う断面図である。 １……車体、２……シート、３……ボデイカバ
ー、４……エンジン、７……後輪、９……風胴、
１０……排風筒、１５……排風ダクト、１６，２
２……排風口、１７……筒状ガイド、１８，２１
……排風ガイド路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボデイカバーで被覆された強制空冷エンジンに
   おいて、上記ボデイカバーの側面を凹設して排風
   口を形成するとともに、この排風口に通ずる筒状
   ガイド路をボデイカバーの内側に形成し、このガ
   イド路に前記エンジンからの排風筒に接続された
   排風ダクトの先端を遊嵌させたことを特徴とする
   自動二輪車のエンジン冷却空気排出装置。