JPH023449Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンベアに使用されるモータローラ
に関するもので、固定軸と、固定軸を中心に回転
する中空状ローラ本体と、ローラ本体の両端部に
固着されていて軸受を介し固定軸に回転可能に支
持された一対のローラ支持端板と、ローラ本体内
部に設けられたモータと、ローラ本体内部におい
てモータの回転をローラ本体に伝える回転伝達機
構とを具備してなるモータローラに関する。

この種のモータローラでは、ローラ本体に過大
な外力が作用してローラ本体が無理に減速させら
れたり停止させられた場合に、回転伝達機構の歯
車が破損したりモータが焼付いて損傷するといつ
た不都合な事態が生ずるため、このような事態を
未然に防止する所謂過負荷防止手段を設ける必要
がある。例えば実開昭56−158412号公報に開示さ
れたモータローラによれば、回転伝達機構を減速
機構と過負荷防止手段とに分離して別個に構成す
ると共にこれらを軸方向に連設し、ローラ本体の
中心軸線上にある減速機構の出力軸を延長してそ
の延長軸部に円板状の接触板を固定し、この接触
板に磁力で吸着される吸着板をローラ本体に固定
し、これら接触板と吸着板とにより過負荷防止手
段を構成し、しかしてローラ本体に過大な外力が
加わつた場合には接触板と吸着板との磁力による
吸着力がその外力に負けて接触板が吸着板に対し
摺動するようになつている。

ところが、このような従来のモータローラで
は、減速機構と過負荷防止手段とを別個に設けて
これらを軸方向に連設しているために、部品点数
が多くなり、構造も複雑化して製造コストが高く
つくと共に、ローラの軸方向長さを余計に長くす
る必要がある等の問題点があつた。

本考案は上記の問題点に鑑み、回転伝達機構そ
れ自体に減速機能と過負荷防止機能とを併有させ
ることによつて、部品点数をより少なくして構造
の簡素化、コンパクト化を図り、ローラの軸方向
長さも不必要に長くすることのないようにしたも
のである。しかして本考案の要旨は、回転伝達機
構が、固定軸に遊嵌されている中空状のモータ出
力軸に一体に設けられた中心側歯車と、この中心
側歯車の周囲に周方向適当間隔で定位置に配設さ
れて中心側歯車と噛合している複数個の周辺側歯
車と、各周辺側歯車の軸方向一端部に隣接してそ
れと同軸に且つ一体回転可能に設けられた小径内
側回転子と、これらの小径内側回転子列の外周側
に上記固定軸と同心的に設けられていて、各小径
内側回転子と磁気的に継がれ、各小径内側回転子
の自転により公転する大径外側回転子と、からな
り、更に、この大径外側回転子の外径をローラ本
体の内径より適当に小さくして大径外側回転子の
外周面とローラ本体内周面との間に環状空間部を
設けると共に、大径外側回転子の一端部側を上記
一方のローラ支持端板に一体的に結合したことに
ある。

以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図はモータローラを縦断面で示したもの
で、この図において１は固定軸、２は円筒状ロー
ラ本体で、このローラ本体２は固定軸１の周囲で
回転できるように、軸受３，４を有する環状のロ
ーラ支持端板５，６によつて固定軸１に支持され
ている。この円筒状ローラ本体２内には一方のロ
ーラ支持端板６側に片寄つた位置にモータ７が設
けられ、そしてこのモータ７と該ローラ支持端板
６との間に、回転伝達機構８が設けられている。

モータ７はステータ９とロータ１０とからな
り、ステータ９は巻線（図示省略）を有するもの
で、固定軸１上に固定されており、ロータ１０
は、固定軸１に軸受１１，１２を介して回転可能
に支持された円筒状ホルダー１３の内周面に、永
久磁石からなロータ部材１４を装着してなり、ス
テータ９への給電は固定軸１に軸方向に形成され
た軸孔１５を通つて外部に導出した電線１６によ
つて行われる。

上記回転伝達機構８は、固定軸１に遊嵌されて
いる中空状モータ出力軸９に一体に設けられた中
心側歯車２０と、この中心側歯車２０の周囲に周
方向適当間隔で定位置に配列されて中心側歯車２
０と噛合している複数個の周辺側歯車２１…と、
各周辺側歯車２１の軸方向一端部に隣接してそれ
と同軸に且つ一体回転可能に設けられた永久磁石
からなる複数の小円筒状内側回転子１７…（小径
内側回転子）と、ローラ本体２側に設けられてい
いて、これら内側回転子１７…を囲繞するように
固定軸１と同心的に設けられた永久磁石からなる
大円筒状外側回転子１８（大径外側回転子）と、
からなるもので、モータ７とローラ本体２とを磁
気的に連結する磁気継手本来の機能と共に、モー
タ７の回転を減速してローラ本体２へ伝達する機
能を併有している。この回転伝達機構８につき詳
述すれば、第１図及び第２図に示すように、モー
タ７のロータ１０を構成しているホルダー１３の
一端部から中空状のモータ出力軸１９が固定軸１
と同軸上に且つこれに対し回転可能に遊嵌され、
このモータ出力軸１９の外周面に中心側歯車２０
が固装され、この中心歯車２０の周囲にこれと噛
合する４個の周辺側歯車２１…が互いに90゜の間
隔で配置されている。周辺側歯車２１…は支軸２
２…のそれぞれ一端部側に固装され、これらの支
軸２２のそれぞれ一端は固定軸１に固定された円
盤状の軸承部材２３に、他端はモータ出力軸１９
を囲繞するように配置されたリング状の軸承部材
２４にそれぞれオイルレスベアリング２３ａ，２
４ａを介して回転自在に支持されており、そして
これらの各支軸２２の他端部側に内側回転子１７
が固装されている。一方、外側回転子１８はロー
ラ本体２の内径よりも十分小さい外径を有しそし
て該回転子１８と同厚及び同径を有し且つ一端開
口状を呈する最終回転子としての円筒形連結部材
２５の開口端面に同心的に固着されているる。こ
れら外側回転子１８及び円筒形連結部材２５の外
周面と円筒状ローラ本体２の内周面との間に適当
な厚みの環状空間部２６が形成されている。また
この円筒形連結部材２５は、その端壁部２５ａの
中央に形成された軸挿通穴２７を介して固定軸１
に遊嵌状態で挿通されていると共に、ローラ支持
端板６に対し同心的に一体結合されている。ま
た、第２図を参照して明らかなように、各内側回
転子１７はその外周面の周方向に90゜の間隔でＮ
極とＳ極とが交互に現れるように着磁されてお
り、そして外側回転子１８は、各内側回転子１７
の外周面に接触しない程度にエアーギヤツプを有
していて、該外側回転子１８内周面の周方向に沿
つてＮ極、Ｓ極、Ｎ極…というように〓８個の磁
極が等間隔で現れるように着磁されている。尚、
内側回転子１７の磁極の周方向ピツチと外側回転
子１８の磁極の周方向ピツチとが同じになるよう
に設定されている。

ローラ本体２の両端部を支持している環状のロ
ーラ支持端板５，６は半径方向に沿つた断面形状
がそれぞれ外向きコ字状を成していて内側フラン
ジ部５ａ，６ａ及び外側フランジ部５ｂ，６ｂを
それぞれ有している。しかして、これらのローラ
支持端板５，６の内側フランジ部５ａ，６ａと固
定軸１との間に軸受３，４がそれぞれ適宜介装さ
れ、また外側フランジ部５ｂ，６ｂはその外径を
円筒状ローラ本体２の内径よりわずかに小さくし
てその微小間隙に例えば接着剤を介在させること
によつてローラ本体２に固着されており、そして
磁気継手８側のローラ支持端板６の内側面（裏
面）が前記円筒形連結部材２５の端壁部２５ａ外
面に接着剤を介して固着されている。また、これ
らのローラ支持端板５，６のそれぞれの外面側に
はローラ本体２の両端面を覆う円板状のカバー２
８，２９が装着されている。これらのカバー２
８，２９は、その内面に内外二重の環状突条部２
８ａ，２９ａ，２８ｂ，２９ｂを有し、これら
を、ローラ支持端板５，６の内外両側フランジ部
５ａ，６ａ，５ｂ，６ｂにより形成される環状溝
に係嵌されることによつて該ローラ支持端板５，
６に固定されるようになつている。

上述のように構成されたモータプーリにおい
て、電線１６を通じてモータ７のステータ９に通
電すると、ロータ１０は固定軸１を中心に回転
し、このロータ１０の回転力はモータ出力軸１９
上の中心側歯車２０から周辺側歯車２１…に伝達
されて支軸２２…を回転させる。これら支軸２２
…の回転により内側回転子１７…が回転し、これ
ら内側回転四１７…の回転力は外側回転子１８に
磁気的に伝達されてこの外側回転子１８を減速回
転させ、この側側回転子１８の回転により連結部
材２５及びローラ支持端板６を介してローラ本体
２が回転する。この場合、内側回転子１７…の回
転が外側回転子１８に伝達されるのは、各内側回
転子１７の磁極と外側回転子１８の磁極とが吸引
または反撥することによつて外側回転子１８を回
転させるからである。

そしてここで、回転中のローラ本体２に過大な
外力がかかつた場合、その外力は、回転伝達機構
８においては直接的に外側回転子８にかかつて、
これと結合している各内側回転子１７に対しその
回転を阻止しようとする急激な制動力として作用
することになるが、外側回転子１８と各内側回転
子１７とは磁気結合であるため、斯る場合には外
側回転子１８が各内側回転子に対し滑りを生じ、
よつて各内側回転子１７が上記のような外力の影
響を受けることがない。したがつて、歯車２０，
２１が破損したり、モータ７に過負荷がかかつて
焼付等の損傷を生ずることはない。しかもローラ
本体２から上記の外力を取り除いた場合、内側回
転子１７の径がロータ本体側の外側回転子１８の
径よりも相当小さくしたがつて内側回転子１７の
周速が相当遅くなつていることから、減速又は停
止状態にある外側回転子１８は内側回転子１７に
対しきわめて容易に追従することができ、よつて
ローラ本体２は即時に回転を開始する。また、ロ
ーラ本体２の回転中又は停止中にこのローラ本体
２が例えば衝撃荷重を受けたとしてもローラ本体
２と外側回転子１８及び連結部材２５との間、ま
たローラ本体２とロータ１０との間にそれぞれ空
間部２６があるため、その荷重による影響が外側
回転子１８等及びロータ１０に直接及ぶことがな
い。

以上説明したように本考案のモータローラは、
回転伝達機構を、固定軸に遊嵌されている中空状
のモータ出力軸に一体に設けられた中心側歯車
と、この中心側歯車の周囲に周方向適当間隔で定
位置に配設されて中心側歯車と噛合している複数
個の周辺側歯車と、各周辺側歯車の軸方向一端部
に隣接してそれと同軸に且つ一体回転可能に設け
られた小径内側回転子と、これらの小径内側回転
子列の外周側に上記固定軸と同心的に設けられて
いて、各小径内側回転子と磁気的に継がれ、各小
径内側回転子の自転により公転する大径外側回転
子と、から構成したことによつて、この回転伝達
機構自体を減速機構兼過負荷防止手段としたもの
であるから、回転伝達機構を減速機構と過負荷防
止手段とに分離して別個の構成した従来のモータ
ローラに比べると、部品点数がはるかに少なくて
済むと共に、ローラの径を最小限に小さくするこ
とが可能でありながらローラの長さを不要に長く
することがなくなつて、構造の簡素化、コンパク
ト化を図ることができる。

特に本考案によれば、モータローラの使用の際
に回転中のローラ本体に過大な外力がかかつた場
合、その外力は、回転伝達機構においては直接的
に外側回転子にかかつて、これと結合している各
内側回転子に対しその回転を阻止しようとする制
動力として作用することになるが、外側回転子と
各内側回転子とは磁気結合であるため、斯る場合
には外側回転子が各内側回転子に対し滑りを生
じ、よつて各内側回転子が上記のような外力の影
響を受けることがなく、従つて歯車が破損するこ
とはなく、またモータに過負荷がかかつて焼付等
の損傷を生ずることがない。

また、内側回転子の径が外側回転子の径よりも
相当小さくしたがつて内側回転子の周速が相当遅
くなることから、ローラ本体から上記の外力を除
去した場合、減速又は停止状態にある外側回転子
は内側回転子に対して容易に追従することがで
き、よつてローラ本体は外力の除去後速やかに回
転を開始することができる。

更に、大径外側回転子の外径をローラ本体の肉
径より適当に小さくして大径外側回転子の外周面
とローラ本体内周面との間に環状空間部を設けて
いるので、ローラ本体に外部から横荷重がかかつ
てローラ本体が凹んでも大径外側回転子に影響を
与えることがなく、また特にローラ本体が衝撃荷
重を受けた場合でもその荷重が大径外側回転子に
直接作用することがなくしたがつて該回転子を破
損させるといつた不都合がない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
はモータローラの縦断面図、第２図は第１図の
−線拡大断面図である。 １……固定軸、２……ローラ本体、３，４……
軸受、５，６……ローラ支持端板、７……モー
タ、８……回転伝達機構、１７……小径内側回転
子、１８……大径外側回転子、１９……モータ出
力軸、２０……中心側歯車、２１……周辺側歯
車、２２……支軸、２５……円筒形連結部材、２
６……環状空間部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 固定軸と、固定軸を中心に回転する中空状ロ
   ーラ本体と、ローラ本体の両端部に固着されて
   いて軸受を介し固定軸に回転可能に支持された
   一対のローラ支持端板と、ローラ本体内部に設
   けられたモータと、ローラ本体内部においてモ
   ータの回転をローラ本体に伝える回転伝達機構
   とを具備してなるモータローラにおいて、上記
   回転伝達機構は、固定軸に遊嵌されている中空
   状のモータ出力軸に一体に設けられた中心側歯
   車と、この中心側歯車の周囲に周方向適当間隔
   で定位置に配設されて中心側歯車と噛合してい
   る複数個の周辺側歯車と、各周辺側歯車の軸方
   向一端部に隣接してそれと同軸に且つ一体回転
   可能に設けられた小径内側回転子と、この小径
   内側回転子列の外周側に上記固定軸と同心的に
   設けられていて、各小径内側回転子と磁気的に
   継がれ、各小径内側回転子の自転により公転す
   る大径外側回転子と、からなり、この大径外側
   回転子の外径をローラ本体の内径より適当に小
   さくして大径外側回転子の外周面とローラ本体
   内周面との間に環状空間部を設けると共に、大
   径外側回転子の一端部側を上記一方のローラ支
   持端板に一体的に結合したことを特徴とするモ
   ータローラ。 ２ 上記ローラ支持端板は、環状を成しており、
   且つ半径方向に沿つた断面形状が外向きコ字状
   に形成されている実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のモータローラ。