JPH0234158Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は特に小型軽量の自動二輪車、自動三輪車
或いは４輪自動車などに実施するボトムリンク式
車体懸架装置に関する。

ボトムリンク式車体懸架装置は、ストロークは
短くてもばね下重量が軽いので、比較的乗り心地
はよい。そこで実用型の自動二輪車やスクータに
実施されている。

ところが従来のボトムリンク式車体懸架装置は
懸架用ばねとしてコイルばねやオイルダンパをフ
オークパイプの中に組み込んだリーデイングリン
ク型式のものや、テレスコピツク型フロントフオ
ークと組み合わせたトレーリングリンク型式のも
の（例えば特開昭53−4941号公報）があるけれど
も、重い、組み付け手段が掛かる、懸架装置が占
めるスペースが大きい、コストが高い等の問題が
ある。

本案は上記従来のものとは懸架ばねの形式を異
にし、懸架ばねを組み付けるフオークパイプは単
なる管材で足りる車体懸架装置であり、懸架用ば
ねとしてねじりコイルばねとバンプ時並びにリバ
ウンド時に働くゴムばねを組み合わせることによ
り、構造および組み付けが簡単で、軽量且つコン
パクトにまとまり、しかも満足できる緩衝性を持
つたボトムリンク式車体懸架装置を提供すること
を目的とする。

本案は上記の目的を達成するために、車体から
下方に延びている管材の下端部に、揺動リンクの
一端を横軸で上下揺動自在に取付けて、揺動リン
クの自由端を車体の進行方向へ延出させ、その揺
動リンクの自由端に車輪を軸で支持し、上記管材
の揺動リンクを軸支している横軸の周りに懸架用
ねじりコイルばねを配置して、そのねじりコイル
ばねの一端を管材に、他端を揺動リンクに係止
し、バンプ時には管材に当たり、リバウンド時に
は管材に設けた受部に当たる、又はバンプ時には
管材に設けた受部の一方の面に当たり、リバウン
ド時には受部の他方の面に当たるゴムばねを、揺
動リンクの車軸と横軸の間の部分に固着したもの
である。

図面は、本案懸架装置を自動二輪車又は自動三
輪車の操向用前輪５に、片持ちのリーデイングリ
ンク形式として実施した例を示すもので、車体３
の一部を成すフオークパイプ３１（管材）の下端
部にリンク２一端を横軸４で上下揺動自在に取付
けている。

揺動リンク２は、その前半部の一側面にブレー
キパネル１を、又後半部に、後から上方にかけて
開口した軸受凹部９を有し、その凹部９の両側壁
間に、フオークパイプ３１の下端にＴ字形に固着
された軸管３２をはめて横軸４を通している。

１０は車輪５のハブ５１に一体に設けたブレー
キドラムで、前記ブレーキパネル１に対向させ、
その内部に内拡式ドラムブレーキ（図に省略）が
組み込まれる。

ねじりコイルばね７は、フオークパイプ下端の
Ｔ字形軸管３２の外側にはめて支持し、ばね７の
一端７１はフオークパイプ３１に、他端７２は凹
部９の内壁にそれぞれ係止している。

第４図の実施例は、１個のゴムばね８がバンプ
ストツプとリバウンドストツプの両方の作用をす
るように構成したもので、ゴムばね８は、フオー
クパイプ３１の前面に対向するように、凹部９の
内壁に焼付或いは接着手段によつて固着されてい
る。そしてフオークパイプ３１の下端に上記ゴム
ばね８の下方に向けて受部３３を突設している。

従つてリンク２のバウンド量が小さいときはね
じりコイルばね７のみがたわみ、大きくバウンド
すると、ねじりコイルばね７がたわむと共に、ゴ
ムばね８がフオークパイプ３１の前面に当たつて
圧縮変形し、はね返るときはそのゴムばね８の下
面が受部３３に接して緩衝する。

又第５図の実施例のゴムばね８は、フオークパ
イプ３１に当たつて幾分圧縮変形させられた後、
凹部９内に充満してばね定数が大きくなるよう
に、ゴムばね８の形状を設定したものである。

第２図，第３図の実施例は、ゴムばねをバンプ
ストツプ部分とリバウンドストツプ部分とに分け
て設けたもので、そのバンプストツプとして働く
方のゴムばね８を凹部９の底面側に固着し、フオ
ークパイプ３１の下端に、そのバンプストツプ用
ゴムばね８の上面に対向するように受部３３を突
設している。そしてリバウンドストツプとして働
く方のゴムばね１１を受部３３の上方において凹
部９の上部内壁に固着している。

この第２図，第３図例の場合、バウンド量が小
さいときはねじりコイルばね７のみがたわみ、大
きくバウンドするときは、ゴムばね８が受部３３
に当接してゴムばね８を圧縮変形させ、コイルば
ね７とゴムばね８が協同して作用する。

そしてはね返りの衝撃は、リバウンドストツプ
用ゴムばね１１が受部３３に当たることによつて
吸収緩和される。

本案懸架装置は上記のように、車体から下方に
延びている管材の下端部に、揺動リンクの一端を
横軸で上下揺動自在に取付けて、揺動リンクの自
由端を車体の進行方向へ延出させ、その揺動リン
クの自由端に車輪を軸で支持し、上記管材の揺動
リンクを軸支している横軸の周りに懸架用ねじり
コイルばねを配置した構成であるから、これを例
えば図示例の操向前輪の懸架装置に実施した場
合、フロントフオークは単なる構造材となるた
め、普通の管材で足りる。

上下揺動リンクの軸支部の横軸の周りに配置し
た懸架用ねじりコイルばねは、そのばねの一端を
車体下部のフロントフオーク即ち管材に、又他端
を揺動リンクに係止することによつて組み付け、
バンプ時並びにリバウンド時に作用するゴムばね
は、揺動リンクの車軸と横軸即ち上下揺動支点軸
の間の部分に固着したので、従来のリーデイング
リンク型のボトムリンク式車体懸架装置が、フオ
ークパイプの中に懸架用のコイルばねやオイルダ
ンパを組み込んでいるのに比べてフオークパイプ
は細いもので足り、軽量で組立て容易なボトムリ
ンク式車体懸架装置が得られる。また外観体裁も
よいものである。

そして上記のゴムばねは、バンプ時には管材に
当たり、リバウンド時には管材に設けた受部に当
たる、又はバンプ時には管材に設けた受部の一方
の面に当たり、リバウンド時には受部の他方の面
に当たる構成であるから、懸架用ねじりコイルば
ねに対して補助ばねの作用をし、バンプストロー
クの途中でばね定数が変化し、即ち２段ばねの作
用をして乗り心地をよくする。

又、懸架用ねじりコイルばねにゴムばねが併設
されたことにより、ねじりコイルばねの外径を小
さくすることができるので、前記フオークパイプ
を細くすることができる点と相まつて車体懸架装
置がコンパクトにまとまる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案懸架装置を備えた車両の前面の側
面図、第２図は本案懸架装置の縦断側面図、第３
図はその拡大横断平面図、第４図，第５図は他の
実施例の縦断側面図。 １はブレーキパネル、２はリンク、３は車体、
３１はフオークパイプ、４はリンク取付軸、５は
車輪、６は車軸、７は懸架用ねじりコイルばね、
８はバンプストツプ用ゴムばね、１１はリバウン
ドストツプ用ゴムばね、３３は受部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体から下方に延びている管材の下端部に、揺
   動リンクの一端を横軸で上下揺動自在に取付け
   て、揺動リンクの自由端を車体の進行方向へ延出
   させ、その揺動リンクの自由端に車輪を軸で支持
   し、上記管材の揺動リンクを軸支している横軸の
   周りに懸架用ねじりコイルばねを配置して、その
   ねじりコイルばねの一端を管材に、他端を揺動リ
   ンクに係止し、バンプ時には管材に当たり、リバ
   ウンド時には管材に設けた受部に当たる、又はバ
   ンプ時には管材に設けた受部の一方の面に当た
   り、リバウンド時には受部の他方の面に当たるゴ
   ムばねを、揺動リンクの車軸と横軸の間の部分に
   固着したことを特徴とするボトムリンク式車体懸
   架装置。