JPH0231809B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は冷凍食品等の保存の際に用いられる温
度記録用組成物に関する。即ち本発明は冷凍食品
等の保存温度が設定値よりも高くなつた場合に非
可逆的な状態変化をおこし、設定温度よりも高温
となつたことを記録する組成物に関するものであ
り、更に詳しくは、温度記録器が破損した場合に
も食品を汚染する危険が極めて少なく、誤まつて
体内に摂取されても人体に悪影響を及ぼすことの
ない温度記録用組成物に関する。

一般に液体の凝固点または融点を利用して温度
を知ることができることはよく知られているが、
温度を測定または記録する目的が非常に多様であ
るため、温度測定と記録に使用する薬剤とその使
用の形態も目的に応じて最適な結果を得るように
配慮されなければならない。冷凍食品の輸送時或
は保管時に食品の品質維持に必要な限界温度が守
られていることを確認する温度管理のために、冷
凍食品等の保存温度が設定値よりも高くなつた場
合に非可逆的変化を生じてこれを表示する手段の
開発が望まれている。

この目的の為に提案されている技術として、例
えば特開昭48−61186号、特開昭48−81149号、特
開昭48−81150号等の公報に記載された発明があ
る。

これらの発明は、凍結したブラインとマイクロ
カプセル化された色素を透明容器中に封入する方
式（特開昭48−61186号及び特開昭48−81150号）、
或は色素は使用せずに凍結したブラインを特定の
形状に加工したものを透明容器中に封入する方式
によるもので、何れも温度が上昇した時に不可逆
変化を起し、これを後で判別できる様にした温度
管理用表示具であるが、これらの表示具では色素
のマイクロカプセル化或は凍結ブラインの加工な
どを必要とし、透明容器に封入するまでに多大の
コストを必要とするため、必ずしも満足できるも
のとは言えない。

本発明はこれらの技術を更に改良したものであ
り、製造が簡単で透明容器への封入も極めて容易
となる温度記録用組成物を提供するものである。

即ち本発明は、水(A)と水に可溶な物質(B)と水に
不溶な油脂類(C)とを含有する混合物から成ること
を特徴とする冷凍食品用の温度記録用組成物に係
るものである。

本発明の上記(A)、(B)、(C)の各成分を含有する混
合物からなる温度記録用組成物は、これを撹拌し
ながら冷却してクリーム状となし、それを透明容
器又は透明袋に封入したものが冷凍食品等の温度
記録用表示具として使用されるのである。即ち、
(A)、(B)、(C)の各成分を含有する混合物は常温では
水層と油層に分層しており、これを撹拌しながら
冷却すると凍結してクリーム状となる。このクリ
ーム状となつたものを透明容器に封入すれば、温
度が更に低下しても形状には変化はなく、温度が
上昇してある温度以上になると融解して水層と油
層に容易に分層し、一度分層すると更に温度が低
下して凍結してもクリーム状となることはない。
従つて上記(A)、(B)及び(C)三成分の混合比、特に(A)
と(B)の混合比を、混合物が所望の凝固点をもつ様
に設定すれば、クリーム状物が保存中この凝固点
（設定温度）をこえると不可逆変化として上記の
如き分層を生ずるので、これにより温度管理の適
否を確認し得る。本発明の組成物は、この様にク
リーム状にしたものを透明容器に封入して使用す
るものであるから、製造並びに透明容器への封入
は極めて簡単で大量生産に適するものである。

本発明に使用する水に可溶な物質(B)としてはエ
チルアルコール、グリセリン、プロピレングリコ
ール、蔗糖、グルコース、澱粉、異性化糖、ソル
ビトール、マンニトール、食塩、みりん及び食酢
から成る群から選ばれた１種又は２種以上であ
り、水に不溶な油脂類(C)としてはサフラワー油、
乳脂、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸のモノ、ジ又
はトリグリセライド、及び炭素数４〜12の脂肪酸
のモノ、ジ又はトリグリセライドから成る群から
選ばれた１種又は２種以上である。これらの(B)又
(C)の各成分として例示したものは全て食品又は食
品添加物として認められているものであるから、
貯蔵食品の温度監視としての目的に利用された後
の組成物があやまつて貯蔵食品と混じて体内に摂
取されても危険な障害をひきおこす恐れがない。

更に本発明の特徴は、単純な組成物でありなが
ら、広い温度範囲をカバーできる点にある。例え
ば(B)成分であるグリセリンは単独では17.6℃の凝
固点を有するが、グリセリン２部、水１部及び油
脂類を含有する混合物は−46.5℃の凝固点を有
し、配合比を変えることにより17.6℃より−46.5
℃までの任意の凝固点を有し、しかもクリーム状
物として取扱いの容易な組成物を得ることができ
る。

更に本発明においては(A)、(B)、(C)の何れかの成
分に着色剤を含有させておくことにより視覚を通
じて判別し易くすることができる。使用する着色
剤としてはインスタントコーヒー、コーヒー浸出
液、抹茶、茶の浸出液、インスタントテイー、柴
蘇葉塩蔵品浸出液、β−カロチン、醤油、ソー
ス、葉緑素、甘橘類の果汁またはその乾燥微粉化
物、粉末ジユース及び黒砂糖から成る群から選ば
れた１種又は２種以上が好ましい。

以下、実施例により本発明を更に説明する。

実施例 水35部、グリセリン15部、サフラワー油50部か
ら成る混合物を撹拌しながら−12℃に冷却すると
クリーム状の組成物が得られた。この組成物は−
10〜−15℃付近では流動性を有するため、既存の
充填機によりプラスチツク袋等に充填することが
できる。この組成物約２ｇをプラスチツク袋に入
れたもの３個について、(1)−10℃に保持した場
合、(2)−20℃に保持した場合、(3)−２℃に温度を
上げた後−10℃に保持した場合について比較し
た。(1)の場合と(2)の場合は全く変化がなかつた
が、(3)の場合はクリーム状ではなくなり、水層の
固体と油層の固体が観察された。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 水(A)とエチルアルコール、グリセリン、プロ
   ピレングリコール、蔗糖、グルコース、澱粉、異
   性化糖、ソルビトール、マンニトール、食塩、み
   りん及び食酢から成る群から選ばれた１種又は２
   種以上の水に可溶な物質(B)とサフラワー油、乳
   脂、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸のグリセライド
   及び炭素数４〜12の脂肪酸のグリセライドから成
   る群から選ばれた１種又は２種以上の水に不溶な
   油脂類(C)とを含有する混合物から成る冷凍食品用
   の温度記録用組成物。 ２ (A)、(B)、(C)の各成分を含有する混合物を撹拌
   しながら冷却してクリーム状としたものである特
   許請求の範囲第１項記載の組成物。 ３ (A)、(B)、(C)の何れかの成分に着色剤を含有さ
   せたものである特許請求の範囲第１〜２項の何れ
   か一項に記載の組成物。 ４ 着色剤がインスタントコーヒー、コーヒー浸
   出液、抹茶、茶の浸出液、インスタントテイー、
   紫蘇葉塩蔵品浸出液、β−カロチン、醤油、ソー
   ス、葉緑素、柑橘類の果汁またはその乾燥微粉化
   物、粉末ジユース及び黒砂糖から成る群から選ば
   れた１種又は２種以上である特許請求の範囲第３
   項記載の組成物。