JPH023116Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は熱可塑性の板状物を加熱軟化させるた
めに用いられる板状物の加熱搬送装置に関するも
のである。

（従来の技術） 近年自動車部品等の軽量化を目的として鋼板に
代えてプレス成形可能なプラスチツクス製の板状
物が普及し始めており、これらの板状物をプレス
前に予熱する目的で加熱炉の内部にコンベアを張
設した板状物の加熱搬送装置が使用されている。
ところがこの種の板状物は加熱状態において軟弱
で粘着性を有しコンベアに付着するため、板状物
表面の損傷及びコンベアの汚れを防止する目的で
通常のコンベアの代りに多数のワイヤにより板状
物を支持するようにしたワイヤコンベアを用いた
ものが一部で実用化されている。しかし加熱炉の
炉長が大である場合には加熱炉の中央部分でワイ
ヤが弛緩してワークが落下したり搬送精度が出
ず、また隣接するワイヤと接触する等のトラブル
を生じ、板状物の円滑な搬送が妨げられる等の問
題を生じていた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこのような従来の問題点を解決し、加
熱状態において粘着性を有する熱可塑性の板状物
をワイヤの弛緩によるトラブルを生ずることなく
加熱炉の内部を搬送しつつ加熱軟化させることが
できる板状物の加熱搬送装置を目的として完成さ
れたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は間歇的に進退動する多数の第１ワイヤ
とその間隙を通じて昇降動する多数の第２ワイヤ
とを加熱炉の内部を貫通させて張設するととも
に、炉内所要部の第１ワイヤの下面にはワイヤサ
ポートを介して各第１ワイヤと接続された往復フ
レームを第１ワイヤと一体に進退動自在に設け、
また炉内所要部には炉座を貫通させて第２ワイヤ
とともに昇降動する炉内フレームを設けてその上
面のワイヤサポートにより各第２ワイヤを個別に
支持させたことを特徴とするものである。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すれば、１は内部に赤外線ヒータ２を備えた加熱
炉、３は加熱炉１の下方のレール４上に設けられ
図示を略した駆動機構により進退動を繰り返す台
車、５は加熱炉１の下方のレール４よりも更に下
方に複数のシリンダ６によつて台車３と同期的に
昇降動できるように設けられた昇降フレームであ
る。加熱炉１の内部には両端が台車３に取付けら
れ台車３とともに間歇的に進退動する多数の第１
ワイヤ７と、両端が昇降フレーム５に取付けられ
第１ワイヤ７の間隙を通じて昇降動する多数の第
２ワイヤ８とが加熱炉１を貫通させて張設されて
いる。昇降フレーム５は台車３が加熱炉１の出口
９の方向に前進した後に上昇し、台車３が加熱炉
１の入口１０の方向に後退した後に下降する運動
を繰り返すものであるので、第２ワイヤ８はこれ
と同様に昇降を繰り返すこととなる。第３図及び
第４図に明示されるように、炉内所要部の第１ワ
イヤ７の下面には炉の横幅方向に延びる適当数の
往復フレーム１１が設けられている。往復フレー
ム１１は針金状のワイヤサポート１２を介して各
第１ワイヤ７と接続されている。ワイヤサポート
１２のうち、その両端部のものは第１ワイヤ７に
かしめられており、また往復フレーム１１の両端
にはローラ１３が設けられて炉側壁のレール１４
上を第１ワイヤ７に引かれて転動できるように支
持されているので、各第１ワイヤ７はワイヤサポ
ート１２によつて支持されて弛緩を防止されつつ
進退動することとなり、これと同時に往復フレー
ム１１は第１ワイヤ７と一体に進退動することと
なる。このほか、炉内所要部には炉底１５を貫通
させて第２ワイヤ８とともに昇降動する適当数の
炉内フレーム１６が設けられている。炉内フレー
ム１６は第１図に示されるように昇降フレーム５
の両側部間に架設された支持ビーム１７に取付け
られたものであり、その上面のワイヤサポート１
８により各第２ワイヤを支持している。この結
果、昇降フレーム５の昇降動につれて第２ワイヤ
８と、第２ワイヤ８を炉内所要部において支持し
てその弛緩を防止している炉内フレーム１６とは
一体的に昇降動することとなる。なお、ワイヤサ
ポート１２，１８は耐熱性と耐食性に優れたステ
ンレス鋼製のものとすることが好ましく、またそ
の上端は小さくループ状に丸めてそ上面を板状物
３０が搬送される際に障害とならないようになつ
ている。

（作用） このように構成されたものは、加熱炉１の内部
を貫通させて張設された間歇的に進退動する第１
ワイヤ７上に板状物３０を載せたうえ第２ワイヤ
８を下げた状態で台車３を前進させれば、板状物
３０は第１ワイヤ７とともに１ピツチ前進するこ
ととなる。次に昇降フレーム５を上昇させ第２ワ
イヤ８を第１ワイヤ７の間隙から上昇させて板状
物３０を第２ワイヤ８に支持させた状態で第１ワ
イヤ７を後退させ、再度第２ワイヤ８を下降させ
れば板状物３０のみが１ピツチ前進したまま最初
の状態に復帰することとなり、以下同様のサイク
ルを繰り返すことにより板状物３０は第１ワイヤ
７と第２ワイヤ８とに交互に支持されながら加熱
炉１の入口１０から出口９まで１ピツチずつ搬送
されることとなる。この間に板状物３０は十分に
加熱軟化されるが、多数のワイヤと接するのみで
あるからその表面はほとんど損傷せず、また第１
ワイヤ７及び第２ワイヤ８も板状物３０と線接触
するのみであるからその汚れは最少限に抑えられ
る。しかも、第１ワイヤ７は炉内所要部に進退動
自在に設けられた往復フレーム１１によつてワイ
ヤサポート１２を介して下面から支持されて炉内
における弛緩を防止されており、また第２ワイヤ
８も炉内所要部に炉底１５を貫通させて昇降動自
在に設けられた炉内フレーム１６によつてワイヤ
サポート１８を介して支持されているので、第１
ワイヤ７との間に干渉を生ずることなく炉内にお
ける弛緩が防止され、従来のようなワイヤの弛緩
によるトラブルが完全に防止されることとなる。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、プ
レス成形用の板状物をその表面の損傷及びコンベ
アの汚れを最少限にとどめながら加熱炉の内部を
移動させることができるものであり、また板状物
を支持しつつ搬送する第１ワイヤ及び第２ワイヤ
は往復フレーム及び炉内フレームによつて炉内所
要部において至近距離から支持されているから、
ワイヤの弛緩によるトラブルを完全に防止して板
状物の円滑な搬送が確保されるものである。この
ように本考案は従来のこの種の装置の問題点を解
消したものであるからその実用的価値は極めて大
なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図はその一部切欠平面図、第３図は要部
の一部切欠側面図、第４図は要部の一部切欠正面
図である。 １：加熱炉、７：第１ワイヤ、８：第２ワイ
ヤ、１１：往復フレーム、１２：ワイヤサポー
ト、１５：炉底、１６：炉内フレーム、１８：ワ
イヤサポート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 間歇的に進退動する多数の第１ワイヤ７とその
   間隙を通じて昇降動する多数の第２ワイヤ８とを
   加熱炉１の内部を貫通させて張設するとともに、
   炉内所要部の第１ワイヤ７の下面にはワイヤサポ
   ート１２を介して各第１ワイヤ７と接続された往
   復フレーム１１を第１ワイヤ７と一体に進退動自
   在に設け、また炉内所要部には炉底１５を貫通さ
   せて第２ワイヤ８とともに昇降動する炉内フレー
   ム１６を設けてその上面のワイヤサポート１８に
   より各第２ワイヤ８を個別に支持させたことを特
   徴とする板状物の加熱搬送装置。