JPH0229205Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は内燃機関の動弁装置において、弁間隙
を油圧および弾性部材の弾発力により自動的に補
正する油圧式ラツシユアジヤスタ、特にエンドピ
ボツト式動弁機構に使用される油圧式ラツシユア
ジヤスタが水平あるいは傾斜して取付けられる場
合の配置構造の改良に関するものである。

周知のように油圧式ラツシユアジヤスタが正常
動作をするためには高圧室の圧油が常に剛性を保
つていることが必要であり、そのために高圧室内
に導かれる油は空気が混入しないよう細心の注意
が肝要である。そのためには油溜室の容積を大き
くすると共に、高圧室に対して油溜室油面をでき
るだけ高くする等の対策が必要である。

本考案はこの点を考慮して油溜室の配置構造に
改良を加えたものである。

従来の技術 第３図は油圧式ラツシユアジヤスタ１の１例を
示すもので、ボデイ１１は上部に開口端１１ａ
を、下部に閉塞端１１ｂを有する有底中空円筒体
で、その中空内に中空プランジヤ１２が嵌装さ
れ、それから外方へ伸びる部分１２ａを有してい
る。高圧室１３はボデイ１１の閉塞端１１ｂとプ
ランジヤ１２の間に形成され、弾性体１４が高圧
室１３内に位置しており、プランジヤ１２がボデ
イ１１から外方に付勢するようになつている。ま
た第４図に示す油路６からはボデイ１１の外周に
設けた環状油溝１１ｃおよび油孔１１ｄと、プラ
ンジヤ１２に設けた該孔に連通する油孔１２ｂを
通じて油溜室１５内に導くようになつている。ま
た油溜室１５と高圧室１３との間の油孔１６の開
閉を司るチエツクバルブ１７と該チエツクバルブ
を保持するチエツクバルブケージ１８とが高圧室
１３内に設けられている。

第４図はこの油圧式ラツシユアジヤスタ１を動
弁機構に組み込んだ場合で、２はロツカアーム、
３は弁、４は弁ばね、５はカム、６は油路、７は
シリンダヘツドである。

考案が解決しようとする問題点 油圧式ラツシユアジヤスタ１が傾斜もしくは水
平状態で機関に取付けられる場合、前記油溜室１
５内の油はラツシユアジヤスタ自身の傾斜、ある
いは機関の傾斜に基づく傾斜の度合に応じて油面
８から外部に流出してしまい、その結果、油溜室
内に所要の油量を確保できないという問題が生ず
る。このような構成において機関が運転されると
油圧式ラツシユアジヤスタに所要の油量が不足の
状態にあることから高圧室内に空気を吸込む機会
が増大する。特に機関の停止後、再始動する際に
この傾向が顕著である。

一般に多気筒機関の停止時に弁は開いた状態と
なる場合があり、この時該弁の弁ばねはラツシユ
アジヤスタのプランジヤに負荷し続けている。そ
れ故に該プランジヤは機関が停止してカムの回転
が止まつた時点からボデイ内に収縮し続け、高圧
室１３内の圧油はボデイの内周とプランジヤの外
周との隙間から漏出する。第３図においてプラン
ジヤ１２の実線はカムの回転が止まつた時点の位
置を示し、仮想線はそれ以降移動して最下端に至
る位置を示している。これはカム基礎円がロツカ
アームと当接している時のラツシユアジヤスタ位
置から最大の隙間、すなわちドライラツシユを生
じているもので、このような状態から機関が再始
動して最初のカムサイクルにおいてロツカアーム
と当接するカム位置が基礎円上に達した時、前記
プランジヤはこれに応じて伸長し、一気に前記ド
ライラツシユを取り去ろうとする。この時高圧室
１３の容積が増大して該室の圧力が低下し、チエ
ツクバルブ１７が油孔を開いて油溜室１５内の油
を高圧室１３内に導こうとする。しかし、このよ
うな急激な油吸入過程にあつて油溜室内の油面が
低く油量が不足している場合、多量の空気を混入
した油を高圧室に導くこととなり、高圧室内の油
は極端な剛性低下を招き、弁を正常作動させる機
能を果し得なくなるおそれがある。

問題点を解決するための手段 本考案はこのような問題点を解消するためにな
されたもので、ロツカアームと当接するプランジ
ヤを内蔵する油圧式ラツシユアジヤスタを取付け
るシリンダヘツドに前記ロツカアームとの当接部
を囲繞するように壁体を設けてオイルポケツトを
形成したものである。

作 用 前記オイルポケツトに油を充満させるようにす
ればラツシユアジヤスタとロツカアームとの当接
部分は前記オイルポケツト内に油浴の状態とな
り、油溜室内の油は該オイルポケツト内の油と連
通するので常に油は必要十分の状態になり、空気
を吸込む機会がない。

実施例 第１図は本考案実施第１例を示すもので、１は
油圧式ラツシユアジヤスタ、１２はプランジヤ、
２はロツカアーム、３は弁、４は弁ばね、５はカ
ム、６は油路、７はシリンダヘツド、８は油面で
ある。シリンダヘツド７においてプランジヤ１２
とロツカアーム２との当接部を囲繞するように壁
体９をシール材を介して取付けてオイルポケツト
９ａを作り、油を該オイルポケツト９ａ内に充満
させる。該当接部分はオイルポケツト９ａ内に油
浴の状態となり、油溜室１５内に空気を吸込むこ
とがない。

第２図は実施第１例を示すもので、壁体９の形
状が異なるのみで作用は同じである。

考案の効果 本考案によれば空気吸入の機会を与えないから
高圧室は常に剛性を保つことができ、油圧式ラツ
シユアジヤスタの正常な作動を保証することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は本考案実施の２例を示す要部断面
図、第３図は油圧式ラツシユアジヤスタの断面
図、第４図は従来例を示す要部断面図である。図
中の符号はそれぞれ下部部材を示す。 １：油圧式ラツシユアジヤスタ、２：ロツカア
ーム、３：弁、４：弁ばね、５：カム、６：油
路、７：シリンダヘツド、８：油面、９：壁体、
９ａ：オイルポケツト、１２：プランジヤ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 内燃機関の吸排気弁をカムの回転によりロツ
   カアームを介して開閉を行うエンドピボツト式
   動弁機構において、該ロツカアームと当接する
   プランジヤを内蔵する油圧式ラツシユアジヤス
   タを取付けるシリンダヘツドに前記ロツカアー
   ムとの当接部を囲繞するように壁体を設けてオ
   イルポケツトを形成してなる油圧式弁間隙自動
   補正装置の配置構造。 ２ 前記油圧式ラツシユアジヤスタが側壁に油孔
   を有する有底中空円筒形状のボデイと、該ボデ
   イ内に摺動自在に嵌装されて前記ボデイ底部内
   面との間に高圧室を形成し油溜室となる開口中
   空部と油孔付きの底部を有するプランジヤと、
   該高圧室内に設けられて前記プランジヤをボデ
   イの開口端側に離間するように付勢する弾性体
   と、同じく前記高圧室内に設けられ前記プラン
   ジヤの油孔の開閉を司るチエツクバルブおよび
   該チエツクバルブを保持するチエツクバルブケ
   ージからなる実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載の油圧式弁間隙自動補正装置の配置構造。