JPH0227712Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は変速機のリバース装置に関する。

「従来の技術」 周知のように、自動車あるいは自動二輪車の変
速機に組み込まれるリバース装置は、通常、入力
軸と出力軸との間に中間軸を設け、入力軸の回転
をギヤを介して一旦中間軸に伝達し、そこからさ
らにギヤを介して出力軸に伝達し、これにより出
力軸を前進する場合とは逆方向に回転させる構造
となつている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、上記構成のリバース装置にあつて
は、入力軸と出力軸との間に中間軸を配するとと
もにこの中間軸にアイドルギヤを配しているた
め、全体が大型化し、かつ重量が嵩むという欠点
があつた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、コ
ンパクト化並びに軽量化が図れ、しかも衝撃を吸
収し得て駆動系に必要以上の負荷がかかるのを防
ぐことができる変速機のリバース装置を提供する
ことを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 本考案では係る目的を達成するために、入力軸
と出力軸とをチエーンによつて連結し、該チエー
ンに係合するスプロケツトとそれを支持する軸と
を、係合状態あるいは非係合状態のいずれかに切
り換える構成とした。

「実施例」 以下、実施例を図面を参照して説明する。図面
は自動二輪車用エンジンの一部の横断面図を示
し、符号１はクラツチを介してクランク軸（共に
図示せず）に接続される入力軸、２は駆動輪側に
接続される出力軸である。これら両軸１，２は互
いに平行となるよう配置されており、かつベアリ
ングによつて回転自在に支持されている。

入力軸１には図中右から順にローギヤ３、サー
ドギヤ４、セカンドギヤ５並びにトツプギヤ６
が、配設される一方、出力軸２にはそれら各ギヤ
に対応するよう、ローギヤ７、サードギヤ８、セ
カンドギヤ９、トツプギヤ１０が図中右から順に
配設されている。これら互いに対応するギヤ同士
は、図に示す状態において互いに噛み合つている
ものの、いずれか一方のギヤが軸に対して回転自
在となつており、軸１，２間の回転力の授受には
寄与しない。しかしながら、入力軸側のセカンド
ギヤ５、出力軸側のトツプギヤ１０および出力軸
側のサードギヤ８のいずれかが、シフトフオーク
１１によつて図中Ａ，Ｂ方向に移動調整される際
には、隣接するギヤ同士の一が係合状態となり、
それに連結された組み合わせギヤのみが軸１，２
の回転力の授受に寄与する。

入力軸１の前記各変速用ギヤの図中左側に位置
する箇所にはスプロケツト１２がスプライン嵌合
されている。また、出力軸２のスプロケツト１２
に対応する位置にはスプロケツト１３がブツシユ
１４を介して回転自在に配設されている。そし
て、両スプロケツト１２，１３には常時チエーン
１５が巻き掛けられている。スプロケツト１３に
は、ボス部と歯部とをつなぐ連結部１６に、孔１
７が周方向に沿つて複数設けられている。この孔
１７は、前記出力軸２にスプライン嵌合されたト
ツプギヤ１０がＢ方向に移動される際、同トツプ
ギヤ１０の図中左側端部に設けられた爪１８が挿
入し、この状態においてスプロケツト１３とトツ
プギヤ１０とは一体的に回転する。ここで、スプ
ロケツト１３の連結部１６に設けられた孔１７、
出力軸側のトツプギヤ１０の爪１８、およびトツ
プギヤ１０をＡ，Ｂ方向に移動させるシフトフオ
ーク１１は、スプロケツト１３を出力軸２に対し
て係脱自在に切り換える、係脱切り換え機構を構
成している。また、前記出力軸側のトツプギヤ１
０の爪１８がスプロケツト１２の孔１７に挿入し
て係合状態となるとき、入力軸１の回転力は、ス
プロケツト１２、チエーン１５、スプロケツト１
３および出力軸側のトツプギヤ１０を介して出力
軸２に伝達され、これにより出力軸２は前進する
方向とは逆方向に回転させられる。

しかして、上記構成のリバース装置によれば、
入力軸１と出力軸２とをチエーン１５によつて連
結されているから、従来例で示したものに比べ、
中間軸が同中間軸に取り付けるアイドルギヤを設
ける必要がなく、その分コンパクト化が図れかつ
軽量化が図れる。

また、チエーンにはそれ自体に緩衝作用があ
り、したがつて駆動系に作用する衝撃を緩和吸収
することができる。この結果、駆動系の耐久性の
向上並びに乗り心地の向上が図れる。ちなみに、
通常、リバースギヤ（この実施例ではスプロケツ
トに相当する）は減速比を大きく採つており、従
来のギヤ同士の組み合わせによるリバース装置の
場合、ギヤ同士の組み合わせに緩衝作用が殆どな
いこととあいまつて、駆動系には過大な衝撃が加
わりがちであつた。

なお、上記実施例では入力軸側をスプライン嵌
合させ、出力軸側をスプロケツトと係脱自在な構
成としているが、逆に出力軸側をスプライン嵌合
させ、入力軸側をスプロケツトと係脱自在な構成
としてもよい。

「考案の効果」 以上説明したように本考案によれば、チエーン
によつて入・出力軸を連結する構成であるから、
従来のもののような中間軸やそれに取り付けるア
イドルギヤを配する必要がなく、全体としてコン
パクト化並びに軽量化が図れる。また、チエーン
によつて衝撃を吸収し得、もつて駆動系に必要以
上の負荷がかかるのを防ぐことができるという効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す横断面図である。 １……入力軸、２……出力軸、１１……シフト
フオーク、１２，１３……スプロケツト、１５…
…チエーン、１７……孔、１８……爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入力軸と、該入力軸に平行に配置されかつ同入
   力軸に対して複数ある組み合わせギヤのうち任意
   の一の組み合わせギヤによつて連結される出力軸
   とを備える変速機において、前記入力軸および出
   力軸にはそれぞれスプロケツトが取り付けられ、
   該スプロケツトはチエーンによつて常時連結さ
   れ、かつ該両スプロケツトのうち一方は、係脱切
   り換え機構によつて同スプロケツトが取り付けら
   れている軸に対して係合状態あるいは非係合状態
   のいずれかに任意に切り換えられる構成であるこ
   とを特徴とする変速機のリバース装置。