JPH0226842Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は容器のキヤツプに関し、特に、容器
の開口筒部に対して弾性嵌合により上下方向に着
脱自在に装着されるキヤツプに関する。

《考案の背景》 この種の構造のキヤツプ付き容器としては、キ
ヤツプが容器の開口筒部にネジ式に装着されるも
のと、キヤツプの係止突起と容器の係止突起との
弾性的かつ可逆的な係合で、キヤツプが容器に嵌
合されるものとが一般的である。このうち後者の
嵌合構造のものは、キヤツプの取り付け取り外し
操作がワンタツチで行えるので、前者のネジ式構
造のものより取扱いが簡単である。そしてこのワ
ンタツチ操作でキヤツプを着脱することができる
ものとして、例えば実公昭58−20537号に係るも
のが公知となつていた。

すなわちこのキヤツプ構造では、蓋体の外周部
に切欠き凹部を形成し、この凹部に断面略逆Ｖ字
状の押片を収納し、この押片の上端を半径方向内
側に押圧すると、この上端を力点とし、押片の内
壁下端を支点とし、押片の外壁下端を作用点とし
た梃子作用によりキヤツプが容器から離脱するよ
うに構成されている。

しかしこのキヤツプ構造では梃子作用を利用し
てキヤツプを離脱するようにしており力点に加え
る方向が前者は半径方向内側であり、後者は上方
であつて、容器を転倒させる方向になつているた
め、容器を強く把持しなければならず、やはり、
キヤツプの取り外し操作性が悪いものとなつてい
た。

この考案は前述した従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、キヤツプと容器の嵌
合強度を充分に大きくしても、キヤツプの取外し
が簡単に行なえるようにした使い勝手の良い容器
のキヤツプを提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記の目的を達成するために、この考案では、
キヤツプの外郭を形成するキヤツプ本体の上面中
央に上下方向に摺動自在な押釦を装着する。容器
の開口筒部に弾性嵌合する嵌合筒部はキヤツプ本
体の内部中心部にこれと一体に設ける。上記押釦
の下面側周辺に複数の脚片を均等に分割配置して
一体に設け、この各脚片に対応してそれぞれテコ
片を設ける。テコ片の一端は脚片の下端部にヒン
ジ結合し、テコ片の他端はキヤツプ本体の上記嵌
合筒部の周辺部分にヒンジ結合し、かつテコ片の
中間部下面は容器の支点部に当接する。そして上
記押釦を下方に押圧したときに、上記テコ片が上
記脚片に押圧されて上記支点部を支点として回動
して上記キヤツプ本体を押し上るように構成し、
この押し上げ力でキヤツプが容器から外れるよう
にした。

《作用》 キヤツプが容器に装着されている状態からキヤ
ツプ本体を取り外すには、まず、押釦を上方から
強く押し込む。この押圧力は脚片を介してテコ片
の一端部に伝わり、これを下方に押し下げる。す
ると、テコ片の中間部下面に接している容器の支
点部を中心にテコ片が回動する。この回動により
テコ片の内側の端部は上方へ変位する。つまりテ
コ片と一体となつているキヤツプ本体が上方へ押
し上げられ、これによりキヤツプ本体が容器から
外れる。

一方、このキヤツプを容器に装着するには、押
釦を抑えることなく、キヤツプ本体の側部を持つ
てその中央部を開口筒部の位置に合わせて押し込
んでやれば良い。

《実施例》 以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第１図〜第４図はこの考案の一実施例を示して
いる。第１図はキヤツプを容器１０に完全に嵌合
した状態を示し、第２図は容器１０からキヤツプ
を取外す動作状態を示している。また第３図と第
４図はキヤツプを構成する主な部品であるキヤツ
プ本体２０と押釦４０をそれぞれ示している。

この実施例では、容器１０の本体部分は直方体
をなし、その上面部分の中央には周辺より一段高
くなつた台座部１１が形成され、さらに台座部１
１の中心部分に開口筒部１２が突出形成されてい
る。開口筒部１２の先端外周には環状の係止突起
１３が形成され、さらにその中間部分の外周には
大径の環状係止突起１４が形成されている。先端
の係止突起１３には細孔中栓１５が堅く嵌合装着
されている。細孔中栓１５には開口筒部１２の筒
孔と連通する細孔が形成されている。また開口筒
部１２の先端面と細孔中栓１２の間にはＯリング
１６が装着されている。もう一方の大径の係止突
起１４はキヤツプを着脱自在に嵌合するためのも
ので、その上面側はテーパー面になつている。以
上が容器１０側の構成である。

キヤツプ本体２０はプラスチツクの成形品で、
容器１０の輪郭とほぼ同じ大きさの四角筒状の外
郭部２１，２２を有する。外郭部２１は相対向す
る長辺側の壁をさし、外郭部２２は同じく短辺側
の壁をさす。第３図に詳細を示すように、キヤツ
プ本体２０の天井面２３は、外郭部２１，２２の
上端より一段下方に下げられており、長辺外郭部
２１，２１の間に掛渡されて一体に形成されてい
る。天井面２３は短辺外郭部２２と接合しておら
ず、この間に大きな隙間が開いている。

上記天井面２３の下面側の中心には細い円柱状
の栓２６が突出形成されており、これは上記細孔
中栓１５の孔に嵌合してこれを塞ぐ。また栓２６
の周囲には上記開口筒部１２の外径より一回り大
きな嵌合筒部２４が形成されており、これが容器
１０とキヤツプとの嵌合構造の主要部となる。つ
まり、嵌合筒部２４の内周面には環状の係止突起
２５が一体に形成されており、この係止突起２５
と容器１０側の係止突起１４との弾性的かつ可逆
的な係合で、キヤツプが容器１０に上下方向に着
脱自在に嵌合される。

またキヤツプ本体２０には、短辺外郭部２２，
２２の内側にこれと一定間隔をおいて平行に配置
された内壁２７，２７が一体に設けられている。
更にこの内壁２７の下端には、薄肉ヒンジ部２８
を介して板状のテコ片３０が一体に設けられてい
る。内壁２７は長辺外郭部２１と一体化されてい
るが、テコ片３０の両側は長辺外郭部２１と接合
されてはおらず、薄肉ヒンジ部２８を中心に回動
自在となつている。このテコ片３０の薄肉ヒンジ
部２８と反対側の端部は円弧状のＲ面３１となつ
ている。

押釦４０もプラスチツクの成形品で、第４図に
詳細を示すように、キヤツプ本体２０の外郭部２
１，２２の内側に収まる長方形状の天井面４１
と、天井面４１の短辺側から下方に垂下して一体
形成された二つの脚片４２，４２を備え、ほぼ逆
Ｕ字型をなしている。第１図および第２図に示す
ように、押釦４０の脚片４２，４２はキヤツプ本
体２０の短辺外郭部２２，２２の内側にこれに摺
接するように装着され、キヤツプ本体２０に対し
て上下方向に摺動自在になつている。本キヤツプ
の天井部分は押釦４０の天井面４１によつてほぼ
占められている。

また、キヤツプ本体２０の天井面２３と押釦４
０の天井面４１との間にプラスチツク製の板バネ
５０が挟み込まれており、これにより押釦４０が
常時上方に付勢されている。押釦４０の短辺側角
部には段部４４が形成され、これに対応してキヤ
ツプ本体２０の短辺外郭部２２の上縁には内側に
突出した係止部２９が形成されている。段部４４
が係止部２９に当接し、押釦４０の上限位置が規
制されている。

また、押釦４０の脚片４２，４２の下端内面側
には、上記テコ片３０の端部Ｒ面３１に対応する
円弧状のヒンジ溝４３が形成されていて、この溝
４３内にテコ片３０の端部が挿入されている。こ
の構成により、テコ片３０はその一端が脚片４２
のヒンジ溝４３にヒンジ結合され、他端が薄肉ヒ
ンジ部２８により内壁２７にヒンジ結合してい
る。

第１図の状態では、本キヤツプは容器１０に完
全に嵌合されている。この時テコ片３０はほぼ水
平に保たれ、容器１０の台座部１１の上面にほぼ
接している。

上記の状態から本キヤツプを取外すには、第２
図に示すように、押釦４０を上方から強く押込
む。この押圧力は脚片４２，４２を介してテコ片
３０の一端部に伝わり、これを下方に押し下げ
る。すると、テコ片３０の中間部下面に接してい
る台座部１１の角部が支点部１７となり、これを
支点にしてテコ片３０が回動する。この回動によ
りテコ片３０の内側の端部は上方へ変位する。つ
まりテコ片３０と薄肉ヒンジ部２８を介して一体
となつているキヤツプ本体２０の内壁２７を上方
へ押し上げる。二つのテコ片３０，３０による押
し上げ力はキヤツプ本体２０に均等に伝わる。こ
の力でキヤツプ本体２０が上方へ押し上げられ、
係止突起２５が容器１０の係止突起１４を弾性的
に乗越え、本キヤツプが容器１０から外れる。

このように、本キヤツプが装着された容器１０
を例えば机の上などに置き、キヤツプの上面中央
に位置する押釦４０を押圧することで、容器１０
から容易にキヤツプを取外すことができる。従つ
てキヤツプと容器の嵌合強度を充分に大きくして
も、非常に簡単な操作で失敗なくキヤツプを取外
すことができる。

一方、このキヤツプを容器の開口筒部１２に装
着するには、押釦４０を押さえることなく、キヤ
ツプ本体２０の周壁部を持つてその中央部を開口
筒部１２の位置に合せて押し込んでやればよい。
これにより、キヤツプ本体２０と一体的に形成さ
れた天井面２３の中央から突出している栓２６が
開口筒部１２に嵌合された細孔中栓１５の孔を塞
ぐとともに嵌合筒部２４が開口筒部１２の係止突
起１４に係合するのである。

なお、押釦４０の脚片４２とテコ片３０のヒン
ンジ構造，キヤツプ本体２０の内壁２７とテコ片
３０のヒンジ構造はそれぞれ上記実施例に限定さ
れず、様々なヒンジ構造を採用することができ
る。すなわち、第５図にはその幾つかの例を示し
ており、同図Ａでは、脚片４２の下端に鉤状突起
４５を形成し、テコ片３０の上面側にこれに対応
するヒンジ溝３２を設けて両者を係合させてい
る。また同図Ｂでは、脚片４２の下端に薄肉ヒン
ジ部４６を介してテコ片３０を一体に設け、この
テコ片３０と内壁２７はヒンジ溝３３と鉤状突起
２７ａでヒンジ結合している。また同図Ｃでは、
同図Ｂにおける薄肉ヒンジ部４６をヒンジ溝４３
とＲ面３１の係合に置換え、テコ片３０を別体に
している。また同図Ｄでは、テコ片３０を薄肉ヒ
ンジ部２８を介して内壁２７と一体に設け、かつ
テコ片３０の反対側の端部に薄肉ヒンジ部４６を
介して固定部４８を一体に設け、この固定部４８
を脚片４２に固着している。

また、上記押釦４０を上方へ付勢するための板
バネ５０は設けなくても良い。本キヤツプを容器
１０に装着すると、テコ片３０が台座部１１に接
し、押釦４０が上方へ押し上げられる。従つて、
板バネ５０は必ずしも必要ではない。板バネ５０
を設けないと、むしろ押釦４０の押し込み力が軽
くなる。

また上記の説明で明らかなように、本キヤツプ
ではテコ片３０によるテコの作用で取り外し力が
働く。そこで、テコ片３０の支点／力点間距離と
支点／作用点間距離を適宜に設定すれば、力の増
幅作用によつて、キヤツプの取り外しに必要とな
る押釦４０の押圧力を非常に小さくすることがで
きる。

また上記実施例では、容器１０および本キヤツ
プともに角形であつたが、本考案は円筒形の容
器，キヤツプにも適用できるのは勿論である。そ
の場合、押釦の脚片は120度間隔で３片に分割し
て設けるのが望ましい。そうすることにより、キ
ヤツプの押し上げ力が全体に均等に働く。

《考案の効果》 以上詳細に説明したように、この考案に係る容
器のキヤツプによれば、キヤツプと容器の嵌合強
度を充分に大きくしても、キヤツプの取り外しは
容易に行え、極めて使い勝手の良いものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例によるキヤツプと容
器の嵌合状態の断面斜視図、第２図は同上キヤツ
プの取り外し動作状態の断面斜視図、第３図は同
上キヤツプにおけるキヤツプ本体の一部破断斜視
図、第４図は同上キヤツプにおける押釦の一部破
断斜視図、第５図Ａ〜Ｄは同上キヤツプにおける
テコ片のヒンジ構造の他の例を示す部分断面図で
ある。 １０……容器、１１……台座部、１２……開口
筒部、１４……係止突起、１７……支点部、２０
……キヤツプ本体、２１，２２……外郭部、２３
……天井面、２４……嵌合筒部、２５……係止突
起、２７……内壁、２８……薄肉ヒンジ部、３０
……テコ片、３１……Ｒ面、４０……押釦、４１
……天井面、４２……脚片、４３……ヒンジ溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器の上面に突出した開口筒部に対して弾性嵌
   合により上下方向に着脱自在に装着されるキヤツ
   プであつて、キヤツプの外郭を形成するキヤツプ
   本体と、このキヤツプ本体の内部中心部にこれと
   一体に設けられ、上記容器の開口筒部に弾性嵌合
   する嵌合筒部と、上記キヤツプ本体の上面中央に
   上下方向に摺動自在に装着された押釦と、この押
   釦の下面側周辺に均等に分割配置されてこれと一
   体に設けられた複数の脚片と、この各脚片の下端
   部に一端がヒンジ結合し、他端が上記キヤツプ本
   体の嵌合筒部の周辺部分にヒンジ結合し、かつ中
   間部下面が上記容器の支点部に当接する複数のテ
   コ片とを備え、上記押釦を下方に押圧したとき
   に、上記テコ片が上記脚片に押圧されて上記支点
   部を支点として回動して上記キヤツプ本体を押し
   上げるように構成したことを特徴とする容器のキ
   ヤツプ。