JPH0226596B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はマイクロカプセルを基材表面に固着す
る方法に関するものである。

従来、固体若しくは液体を内包するマイクロカ
プセルは固体粉末の表面処理や、液体を実質上固
形化する手段として有用であるため、感圧複写
紙、液晶印刷物、香料印刷物、示温材料等に使用
されている。

従来のカプセルのカプセル壁は油性であり、水
溶液中で製造され、水系の組成物として塗布、若
しくは印刷されていることが多いが乾燥に時間が
かかる欠点を有する。又、一部にはカプセル及び
内包物質を浸さない有機溶媒を用いたインキ組成
物として印刷、若しくは塗布されることもある。
しかし有機溶媒の選択範囲は限られており、印刷
適性向上とマイクロカプセルの保護は相反する。

本発明者は以上の欠点に鑑み研究の結果、マイ
クロカプセルを粉体のまゝ用いた新規な印刷・塗
布法を見出したものであつて、基材表面に粘着性
層を設け、次いで、該粘着性層にマイクロカプセ
ルを散布することにより、マイクロカプセル取扱
い上の上記従来の欠点を解消しうることを見出し
たものである。

以下、本発明の構成について詳細に説明する
と、まず、本発明では基材表面に粘着性層を設け
る。基材としては、塗布、印刷を行なうものであ
れば材質を問わないが、通常、紙やプラスチツク
フイルムを用いる。粘着性層としては、前記基材
及びマイクロカプセルと接着性を有するものであ
ればいずれも使用しうるが、後述するマイクロカ
プセル散布後は何らかの処理を行なうか、或いは
そのまゝで接着性を保持しつつ粘着性を失なうも
のが好ましく、一例として酸化重合型のオフセツ
ト印刷インキを挙げることが出来る。かかるオフ
セツト印刷インキは酸化重合前は適度な粘着性を
有し、酸化重合後はカプセルの保持ができ、か
つ、粘着性を失なうものである。

オフセツト印刷インキの組成は上記の条件に合
えばいずれでもよく、一般的にはバインダー、顔
料、植物性、石油系溶剤及びドライヤー等から成
つている。以上のような粘着性層の塗布量は特に
限定されないが、0.5〜５ｇ／m²である。

次に以上のようにして形成された粘着性層にマ
イクロカプセルを散布する。マイクロカプセル自
体は物体若しくは粒状物であつて、散布の方式と
しては(イ)直接ふりかける、(ロ)流動床でカプセルを
浮遊させて接触させる、(ハ)前記(ロ)の方法を更に静
電的に加速する等が使用できる。マイクロカプセ
ルは多くの場合、過剰に、又、基材の不要部分に
も付着するので、必要により、ブラツシング、真
空吸引、圧縮空気の吹き付け等を行なうとよい。

以上のように粘着性層にマイクロカプセルを散
布して付着せしめ、その後、粘着性層の材質に応
じた手段により粘着性層を固化させて固着させる
とよい。

以上、本発明について、その基本的な方法説明
したが、更に以上の記載以外に次のような変更を
行なつてもよい。

まず、粘着性層は基材表面の一面に設けても、
或いは模様化して設けてもよい。又、基材表面に
はマイクロカプセルを設ける部分若しくはその他
の部分に他の通常の印刷模様を設けてもよい。マ
イクロカプセルは１種又は２種以上、更に他の粉
末と併用してもよく、又、植毛用のフロツクとマ
イクロカプセルとを混合して用いてもよい。更に
マイクロカプセルを散布し固着させた後に保護樹
脂層を設けてもよい。

以上の説明において用いるマイクロカプセルと
しては感圧複写紙用の、電子供与性呈色性色素を
溶解したアルキルナフタレン溶液を内包するも
の、安息香酸コレステロール、ノナン酸コレステ
ロール、炭酸オレイルコレステロール、パルミチ
ン酸コレステロール、臭化コレステロール等のコ
レステリツク液晶を内包するもの、香料として各
エステル、天然及び人工香料を内包するもの、示
温材料として、電子受容性呈色性色素、有機塩基
及びエステル類を内包する等を挙げることがで
き、常法により製作することができる。

以上の本発明によればマイクロカプセルをその
まゝ散布するので、水や有機溶媒を用いてインキ
化し印刷する際に生じる従来の方法の欠点を除去
でき、しかも個々の工程自体は既存の設備を利用
して行なえ、又、酸化重合型オフセツト印刷イン
キという通常使用されるインキを用いて印刷する
ときは、他の模様の印刷も同時に容易に形成でき
る利点があり、しかも大量生産されているインキ
を用いることができるので塗布、印刷上の問題が
なく、格別の粘着剤を要しない利点がある。

以下に本発明をより具体的に示す実施例を掲げ
る。

実施例 １ （示温材料のマイクロカプセル化） 下記三成分を加熱溶解し、可逆示温性組成物を
得た。

テトラクロルテトラブロムフルオレセイン
１重量部 ２−アミノベンゾチアゾール １ 〃 ミリスチン酸エチル 50 〃 得られた可逆示温性組成物50重量部に対し、不
飽和ポリエステル樹脂（日本ライヒホールド製、
HA−100）10重量部と、ビス（ｐ−ｔ−ブチル）
シクロヘキシルパーオキシジカーボネイト0.1重
量部を混合し溶解した。得られた溶解物を20℃で
アラビアガムの５％水溶液250重量部に分散し、
Ｏ／Ｗエマルジヨンとし、粒径が約5μｍになつ
たところで撹拌しながら約85℃まで加熱し、この
温度を約１時間保つことにより可逆示温組成物を
内包した粒径約5μｍ、膜厚0.25μｍのマイクロカ
プセルが分散した分散液を得、更にスプレードラ
イ法にて、マイクロカプセルのパウダーとして取
り出した。

（塗布） 下記組成のオフセツトクリヤーインキにて第１
図に示すポリエステルフイルム１（厚さ80μｍ）
上にパターン状にオフセツト印刷層２を施した。

インキ組成 ロジン変性フエノール樹脂（荒川化学製、タマ
ノール340） 33重量部 アマニ油 33 〃 石油系溶剤（日本石油化学製、５号ソルベン
ト） 33 〃 オクチル酸コバルト １ 〃 印刷終了後直ちに、上記で得られたマイクロカ
プセルのパウダーを第２図示のような流動床３を
用いてオフセツト印刷層２にマイクロカプセルパ
ウダー４を付着させた。このときマイクロカプセ
ルパウダーは不要部分にも付着するが、エアーガ
ンを用いることによりオフセツト印刷層２以外の
部分に付着したマイクロカプセルは容易に除くこ
とができ、更に３時間放置することによりオフセ
ツト印刷層２は酸化重合によりセツトし、第３図
示のごとき塗布体５を得た。

以上のようにして得た塗布体は０℃では赤色の
パターンを有しているが、20℃では白色のパター
ンとなり、繰り返し可逆的な変色が行なえた。

実施例 ２ （示温材料のマイクロカプセル化） ジイソプロピルナフタリン95重量部、クリスタ
ルバイオレツトラクトン3.5重量部及びベンゾイ
ルロイコメチレンブル−1.5重量部を溶解し、更
に得られた組成物50重量部に対し、不飽和ポリエ
ステル樹脂（日本ライヒホールド製、HA−100）
10重量部とアゾジイソブチロニトリル0.1重量部
を混合し溶解した。さらに溶解部を20℃のアラビ
アゴム５％水溶液に分散し、Ｏ／Ｗエマルジヨン
とした。油滴の粒径が5μｍになつたところで撹
拌しながら約90℃まで加熱し、３時間この温度を
保つことにより粒径約5μｍの、有機色素及び溶
剤を内包したマイクロカプセル分散液を得、スプ
レードライ法にてマイクロカプセルパウダーとし
て取り出した。

（塗布） 第４図に示すごときに酸性白土層６を表面にコ
ーテイングした複写用下用紙７に実施例１と同様
にして裏面にオフセツト印刷層２を形成し、第６
図示のごとき静電加速装置８を用いて電極９，
９′間に電圧を加圧し、マイクロカプセルパウダ
ー４′と接触させた。

その後、エアーガンで不要部に付着したマイク
ロカプセルパウダーを除去することによつて表面
に酸性白土、裏面にマイクロカプセルのパターン
を有する第６図示のごとき中用紙を作成した。更
に酸性白土層をコーテイングしていない紙を以上
と同様の処理を行なつて上用紙とした。以上の各
用紙を下用紙１枚、中用紙５枚、上用紙１の順
に、各用紙間では酸性白土層にマイクロカプセル
のパターンが接するようにして重ね、上用紙の上
から筆記すると６枚の鮮明な複写が得られた。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図は本発明の方法の各工程を示す
断面図である。 １……ポリエステルフイルム、２……オフセツ
ト印刷層、３……流動床、４……マイクロカプセ
ルパウダー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基材表面に粘着性層を設け、次いで該粘着性
   層にマイクロカプセルを散布することを特徴とす
   る、マイクロカプセルの固着方法。 ２ 粘着性層は酸化重合型オフセツト印刷インキ
   を用いて設けることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項のマイクロカプセルの固着方法。