JPH02254133A - 高温での弾性率低下の少ない鉄骨建築用鋼材の製造方法 - Google Patents

高温での弾性率低下の少ない鉄骨建築用鋼材の製造方法

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JPH02254133A
JPH02254133A JP7761489A JP7761489A JPH02254133A JP H02254133 A JPH02254133 A JP H02254133A JP 7761489 A JP7761489 A JP 7761489A JP 7761489 A JP7761489 A JP 7761489A JP H02254133 A JPH02254133 A JP H02254133A
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temperature
less
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Yoshihiko Kamata
芳彦 鎌田
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は鉄骨建築物に用いられる鋼材に係わり、特に火
災等の罹災時において鋼材の温度が一ト昇しても弾性率
の低下が少ない鉄骨建築用鋼材とその製造方法に関する
(従来の技術) 例えば、超高層ビルをはじめとする鉄骨建築物が近年型
々増加する傾向にあるが、これは鉄骨が大型の構造物を
造るのに適していること、および柱や梁を小さくするこ
とができるので、居住面積を大きくとることができるこ
となどの利点を有するからである。
従来、鉄骨建築物用の鋼材には、JIS G31015
S41、同G31065M50で規定されている鋼材が
使用されており、このような鋼材は、圧延まま或いは圧
延後に焼串処理を施して製造されている。また、近年で
は、圧延後に加速冷却を施して製造される場合もあり、
従来のもの(5M501?、 5P15ON)に対して
5M50T門Cと称されている。
ところで、このような鉄骨建築物用の鋼材については、
これまで建築基準法により耐火工法が一律に厳しく定め
られていたが、昭和57〜61年の建設省総合技術開発
プロジェクト[建築物の防火設計法の開発」の成果によ
り、火災時の構造安定性が数値シミュレーション及び実
験で確認できれば耐火物の被覆厚さを薄くすること、も
しくは耐火物を被覆することなく使用することが可能と
なり、耐火工法の自由度が大幅に拡大された。
しかし、鉄骨建築物用として現在用いられている前記の
鋼材では、火災時に高温にさらされて、例えば鋼材温度
が600℃を超える高温になると強度が著しく低下し、
火災時の構造安定性を保証することができないため、実
際には耐火物を被覆する、例えばロックウールを吹き付
けることで火災時における鋼材の温度上昇を防いでいる
このロックウールを吹き付ける耐火工法は、安価にでき
る利点があるものの、建築現場では吹き付は時の飛散を
防止するための養生シートをめぐらして被覆作業を施す
必要があり、工期の延長につながるばかりでなく、周囲
の環境を損ねるといった施工上の問題を有していた。
他方、ロックウールに代えて耐火ボードを用いて鋼材表
面を被覆する方法もあるが、耐火ボードでは鋼材の端面
が露出するので、端面を何らかの方法で被覆してやる必
要がある。また、耐火ボードは高価である。
このようなことから火災時に高温にさらされても強度の
低下しない鋼材、即ち、耐火物の被覆を軽減或いは省略
することができる高温強度に優れた鋼材の開発が望まれ
ている。しかし、単に高温強度に優れたものであっても
鉄骨用建築物の構造用部材として使用するには問題があ
る。鉄骨建築用鋼材は柱や梁にも使用されるので、高温
において柱や梁が座屈しない性能が必要であり、また優
れた溶接性も必須である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の課題は、耐火物の被覆を軽減或いは省略するこ
とができる高温での強度に優れ、且つ座屈の発生を抑え
るのに有効な高温における弾性率の低下の少なく、さら
に溶接性にも優れた鉄骨建築用鋼材を得ることにある。
具体的には、本発明の目的は室温での機械的性質が従来
使用されている鋼材(例えばJIS G3101SS4
1、同c31065h50で規定する鋼材)と同等の性
能を有し、しかも600℃における機械的性質が室温に
おける目標値の7割以上であり、弾性率が15000k
gf/mm”以上の性能を有する鉄骨建築用I材とその
製造方法を提供することにある。
(課題を解決するだめの手段) 本発明者は、上記目的を達成するために鋼材の組成およ
び製造プロセスを含む全般について、詳細に検討を行っ
た結果、下記の知見を得た。即ち、(a)高温における
強度および弾性率を上昇させるには、CrおよびMoを
添加するのが有効である。また、1ぜb、V、Cu、 
Ni、、Ti、Bも強度および弾性率の一方又は両方を
上昇させる効果がある。
(b)シかし、これらの元素の多量添加は高温における
強度および弾性率を上昇させても、室温の強度を著しく
上昇さゼるため、現行の5S41あるいは5M50で規
定する強度範囲の上限を超えてしまう。また、これら元
素の多量添加は、炭素当量を著しく高めて溶接割れ感受
性を高める。従って、これらの元素は適正な範囲内で添
加する必要がある。
(C)室温における機械的性質を満たし、かつ高温にお
ける所望の特性を得るには、合金添加元素の調整だりで
は不足で、熱間圧延条件をも含めた熱処理条件の最適化
が必要である。
本発明は、上記の知見により完成したものであって、そ
の要旨は下記の(i)〜(1v)にある。
(1)重量%で、 C・0.03〜0.15%、Si : 0.05〜0.
90%、Mn : 0.30−2.00%、P : 0
.005〜0.050%、Cr : 0.10−2.0
0%、Mo : 0.05−0.70%、So Q 、
A l : 0.005−0.10%、を含有し、又は
、上記組成に加えて更に、0.005〜0.080%の
Nb、 0.005〜0.15%のV、0.10〜0.
50%のCu、 O,lO〜0.50%のNi、0.0
05〜0.06%のTi、0.00015〜0.003
0%のBの中から選ばれた1種以上を含有し、残部はF
e及び不可避不純物からなり、かつ下記■弐で示すPC
Mが0.30%以下であり、600℃における弾性率が
15000Kgf/mm”以上であることを特徴とする
高温での弾性率低下の少ない鉄骨建築用鋼材。
PcM(%)−C+ (1/30)Si + (1/2
0))In + (1/20)Cu+ (1/60)旧
+(1/20)Cr+ (1/15)Mo+(1/1.
0) V +5 B  ・・・・・0式中の元素はその
含有量(重量%)を表ここで、 す。
(11)重量%で、 C: 0.03〜0.15%、Si : 0.05〜0
.90%、Mn : 0.3(]−22,00%P :
 0.005〜0.050%、Cr : 0.10〜2
.00%、Mo : 0.05〜0.70%、So /
 、A I2  : 0.005−0.10%、を含有
し、残部はFe及び不可避不純物からなり、かつ前記0
式で示すP CMが0.30%以下である鋼、または、
上記組成に加えてさらに0.005〜0.080%のN
b、0.005〜0.15%のV、0.10〜0.50
%のCu、0.10〜0.50%のNi、 0.005
〜0.06%のTi、 0.00015〜0.0030
%のBの中から選ばれた1種以上を含有し、残部はPe
及び不可避不純物からなり、かつ前記0式で示すPl、
4が0.30%以下である綱を、1000゛C以上12
50℃以下の温度域で加熱後熱間加工し、次いで、Ac
3変態点以上1000℃以下の温度域に加熱後空冷して
焼準し、600℃以上Ac+変態点以下の温度域で焼き
戻すことを特徴とする高温での弾性率低下の少ない鉄骨
建築用鋼材の製造方法。
(iii)前記(ii)項の鋼を、1000℃以上12
50℃以下の温度域で加熱後、下記0式で示ずAr3変
態点以上の温度域で熱間加工を終了し、熱間加工後直ち
に600℃以下の温度まで空冷以上の冷却速度で冷却し
、600℃以上Ac、変態点以下の温度域で焼き戻すこ
とを特徴とする高温での弾性率低下の少ない鉄骨建築用
鋼材の製造方法。
Ar5(℃)−910−310C−80Mn−20Cu
−55Ni(−0,35(t −8)     ・・・
・[2]ここで、式中の元素はその含有量(重量%)を
表し、tは板厚(mnl)である。
(1v)前記(II)項の鋼を、1000℃以上125
0℃以下の温度域で加熱後、前記■式で示ずAr3変態
点以上の温度域で熱間加工を終了し、熱間加工後直ちに
600℃以上の温度からコイルに巻取ることを特徴とす
る高温での弾性率低下の少ない鉄骨建築用鋼材の製造方
法。
(作用) 以下、本発明の鉄骨建築用鋼材およびその製造方法を詳
細に説明する。
まず、本発明の鋼材の組成、P CMおよび弾性率を上
記のように限定する理由を作用効果とともに説明する。
なお、成分含有量の[%Jは全て「重量%」である。
C:0.03〜0,15% Cは強度を得るために必要な元素であり、そのためには
0.03%以上含有させる必要がある。しかし、必要以
上の含有は溶接硬化性、溶接割れ感受性を高めるので0
.15%以下に抑えるべきである。
Si : 0.05〜0.90% Siは製鋼時の脱酸剤として使用されるだけでなく、常
温および高温における強度を確保するのに有効な元素で
ある。このような効果を得るには0゜05%以上含有さ
せる必要があるが、0.90%を超えて含有されると靭
性が大幅に低下するので、0.05〜0.90%の含有
量とした。
Mn : 0.3(1−2,00% Mnは強度および靭性を高めるために有効な元素であり
、そのためには0.30%以上含有させる必要がある。
しかし、2.00%を超えて含有されると強度および靭
性の向上効果が飽和するほか、溶接割れ感受性が著しく
高くなるので、0.30〜2,00%の含有量とした。
P+0.005 〜0.050% Pは不可避的不純物として鋼中に含まれる元素であるが
、歪時効硬化特性を有するため高温域での強度を上昇さ
せる効果がある。この効果を得るには0.005%以上
含有させる必要があるが、0.050%を超えて含有さ
れると溶接割れ感受性が高(なるので、0.005〜0
.050%の含有量とした。
Cr : 0.10〜2.00% Crは高温における強度および弾性率を高めるのに有効
な元素である。そのためには、0.10%以上含有させ
る必要があるが、2.00%を超えて含有さセても効果
が飽和するとともに製造コストも上昇するので、その含
有量を0.10〜2.00%とした。
Mo : 0.05〜0.70% MoはCrと同じく高温における強度および弾性率を高
める効果がある。しかし、0.05%未満では前記効果
が小さく、0.70%を超えて含有されると室温におけ
る強度が必要以上のレヘルとなり、高温での焼き戻し処
理を施す必要が生じ、製造コストが上昇するので、0.
05〜0.70%の含有量とした。
Sol、A/2 :  0.005〜0.10%A!は
製鋼時に脱酸剤として使用されるとともに組織の細粒化
を通じて靭性を改善する効果がある。しかし、0.00
5%未満の含有量では前記効果が得られず、0,10%
を超えて含有されてもその効果は飽和し、且つ経済的に
不利を招くことになるので、Sol、Af含有量で0.
005%〜0.10%とした。
なお、残部はFeおよび不可避不純物、例えば、S、 
5nXSb等である。これら不純物はできるだけ低いこ
とが望ましい。
P C,: 0.30%以下 PCMは溶接割れ感受性を示す指数であり、この値が低
いほど溶接予熱温度を低くして割れを生しることなく溶
接を行うことができる。このPc++は次式で表される
P、、(%) −C+ (1/30)Si + (1/
20)Mn+(1/20)Cu十(1/60)旧+(1
,/20)Cr+(1/15)Mo+(1/10) V
 +5 B  ・・・・・■一般に、鉄骨建築構造物の
現場での溶接による組立には、溶接時に予熱処理を行う
ことは実際上不可能である。前記P CMを0.30%
以下に抑えておけば予熱なしでも溶接割れを生じさせる
ことなく溶接することができる。
〔600℃における弾性率: 15000Kgf/mm
”以上〕600℃における弾性率を15000Kgf/
mm”以上とするのは、火災等の罹災時において綱材の
温度が上昇しても、600℃における弾性率が1500
0Kgf/mm2以上であれば、鉄骨建築物の柱や梁と
しての使用条件において座屈することがないからである
本発明の鋼材の一つは上記する組成からなるP、イが0
.30%以下で、600℃における弾性率が15000
Kgf/mm”以上であるものであり、もう一つは上記
組成に更にV、CuえNi、 Ti、、Bの中から選ば
れた1種以上の元素を含むPcイがO,aO%以下で、
600℃における弾性率が15000Kgf/mm”以
上であるものである。これらの元素を含む鋼材は、さら
に高靭性或いは高強度を要求される場合に有利である。
これら元素の具体的な作用効果は下記の通りである。
Nb : 0.005〜0.080% Nbは鋼中で400℃を超える温度域にさらされる】 
5 とNbの炭窒化物として析出し、高温における強度と弾
性率を上昇させる作用がある。このような効果は0.0
05%以上の含有量から得ることができるが、o、os
o%を超えて含有させると溶接性が損なわれるので、N
bを含有させる場合は0.005〜0.080%の範囲
にするのがよい。
V :  0.005〜0.15% ■もNbと同様、鋼中で400″Cを超える温度域にさ
らされると炭窒化物を形成し、高温における強度と弾性
率を上昇させる作用がある。そのためには(1,005
%以上含有させるのがよいが、0.15%を超えて含有
させてもその効果は飽和し、製造コストの上昇を招くだ
けであるから、■を含有させる場合は、その範囲は0.
005〜0.15%とするのがよい。
Cu : 0.10〜0.50% Cuは高温強度を向上させるのに有効な元素であり、0
.10%以上含有させるのがよい。しかし、過度に添加
すると表面割れを生じて溶接割れを助長する傾向を招く
ので、上限は0.50%にとどめるのがよい。従って、
Cuを添加して高温強度向上を図る場合には、0.10
〜0.50%の範囲で含有させるのがよい。
Ni : 0.10〜0.50% NiもCuと同様に高温強度を向上させるのに有効な元
素である。このような効果を発揮させるには0.10%
以上含ませるのがよいが、0.50%を超えて含有させ
てもその効果が飽和し、製造コストの上昇を招くだけで
あるので、Niを添加する場合は0.10〜0,50%
の範囲で含ませるのがよい。
Ti :  0.005〜0.06% TiはフリーNをTiNとして捕らえることにより次に
述べる固fftBのBNとしての損失を防ぎ、B添加鋼
の焼入性を向上させる効果があるので、適用板厚が厚く
なった時の強度補償に有効な元素である。そのためには
0.005%以上含ませるのがよいが、0.06%を超
えて含有させると母材の靭性が著しく損なわれるので、
添加する場合は0.005〜0.06%の範囲で含ませ
るのがよい。
B : 0.(10015〜0.0030%Bは溶接性
を大きく劣化させることなく強度を上昇させる効果があ
る。
適用板厚が厚い場合に必要強度を満足させようとすれば
、前記のCuやMo等の合金元素を多量に添加すればよ
いが、CuやMo等の多量添加は溶接性を阻害する。B
はこのような不利を招くことなく強度を高める効果があ
るので、添加する場合は0.00015%以」二含有さ
せるのがよい。しかし、0.0030%を超えて含有さ
せると炭硼化物が形成されて靭性が低下する。特に熱影
響部の靭性の低下が著しくなるので、上限は0.003
0%とするのがよい。
上記の高温での強度に優れ、且つ高温での高い弾性率を
有する鋼材は、下記に述べる方法で製造することができ
る。
即ち、その一つは、C,:0.03〜0415%、Si
:0.05〜0.90%、Mn : 0.30〜2.0
0%、P:0.005〜0.050%、Cr : 0.
10〜2.00%、Mo : 0.05〜0.10%、
Sof、^j2:o、005〜0.10%、を含有し、
又は、上記組成に加えてさらに、0.005〜o、os
o%のNb。
0.0005〜0.15%のV、0.10−0.50%
のCu、0.10〜0.50%のN1.0.005〜0
.06%のTi、 0.00015〜0.0030%の
Bの中から選ばれた1種以上を含有し、残部はFe及び
不可避不純物からなり、かつ前記0式で示すPCMが0
.30%以下である鋼を、1000℃以上1250℃以
下の温度域で加熱後熱間加工し、次いで、Acz変態点
以上1000℃以下の温度域に加熱後空冷して焼串し、
600℃以上Ac、変態点以下の温度域で焼き戻す方法
である。
熱間加工および熱処理条件を上記のように限定する理由
は下記の通りである。
〔加熱温度: 1ooo℃以上1250℃以下〕前記組
成の鋼索材(例えばスラブ)を1000℃以上1250
以下の温度域で加熱する。加熱温度が1000℃未満で
はNb、■を含む成分系の鋼の場合には、11b、■な
どの炭窒化物の固溶が図れないため、これらの析出強化
を利用することができなくなる。また、Nb、■などの
合金成分を含まない成分系の綱でも1000℃以上の温
度域に加熱しておかないとCr、 M。
等の合金成分の均一固溶がはかれない。一方、1250
℃を超える温度で加熱すると圧延初期1粒の粗大化につ
ながり圧延材の靭性を損なうことになる。
〔熱間加工〕
熱間加工は、加熱後の鋼を所定の板厚まで加工して厚鋼
板、ホットコイル、ロールH型鋼等にするものである。
この製造方法のように熱間加工後、焼串および焼き戻し
の両工程をとる場合は、熱間加工は通常の条件でよいが
、後述する方法で厚鋼板、ロールH型鋼もしくはホット
コイル等を製造する場合は、熱間圧延をAC3変態点以
上で終了する必要がある。
〔焼土温度: AC3変態点以J二1000℃以下〕高
温における強度あるいは弾性率を向上させるためには、
焼土処理を施して鋼中のCr、 Mo、Nb、■等の元
素を一旦固溶させ、次の焼き戻し処理において微細な析
出物として析出させることが重要である。これら微細な
析出物は、高温での変形時に転位の移動を止めることを
通して、強度あるいは弾性率を上昇させる。
そのためには、焼串はAc3変態点以上1000℃以下
の温度域にて加熱後空冷する条件で行う必要がある。焼
土温度がAC3変態点未満では、Cr、 Mo、Nb、
■等が充分に固溶しないので、強度あるいは弾性率を高
めることができない。一方、1000℃を超える温度で
加熱すればオーステナイト粒が粗大化して靭性が低下す
る。
〔焼き戻し温度:600”C以上Ac+変態点以下〕6
00℃の温度における強度および弾性率を保証するため
には、600℃にさらされても上述した微細な析出物は
安定して微細なままの状態で存在していなければならな
い。そのためには、あらかじめ600℃以上の温度で焼
き戻し処理を行い、焼串で固溶させたCr、 Mo、 
Nb、■等を微細な析出物として析出させておく必要が
ある。しかし、Ac+変態点を超える温度で焼き戻し処
理するとα−T変態を生じ、新しく形成されたγ相中に
前記の微細な析出物が再固溶し、高温域での強度あるい
は弾性率を上昇させる効果が消失する。従って、焼き戻
しは、600℃以上^c、変態点以下の温度域で行う必
要がある。
以上の製造方法は、熱間加工後に焼串および焼戻しの両
工程を採用したものである。この方法による場合は、熱
間加工後の冷却条件や巻取り温度などには特に制約はな
い。
焼串および焼戻しの両工程を採用する上記の方法に代え
て、下記に述べる方法でも同様の鋼材を製造することが
できる。
即ち、素材鋼を前記と同じ温度域で加熱後、下記0式で
示すAr3変態点以上の温度域で熱間加工を終了し、熱
間加工後直ちに600℃以下の温度まで空冷以上の冷却
速度で冷却し、前記と同じ条件で焼き戻しする方法、も
しくは、同じく■式で示すAr3変態点以上の温度域で
熱間加工を終了し、熱間加工後直ちに600℃以上の温
度からコイルに巻取る方法である。
Ar1(℃)−910310C80Mn−20Cu  
55Ni→−0,35(t−8)    ・・・・・■
この製造方法において、熱間加工、冷却、巻取りの各条
件を上記のように限定する理由は、次の通りである。
〔熱間仕上温度: Ac3変態点以上〕熱間圧延をAc
3変態点未満の温度域で行うということば、フェライト
が生成した温度域でも圧延することを意味している。こ
のような場合は、圧延集合組織が形成され圧延異方性が
著しくなり、圧延方向と圧延方向に直角な方向の機械的
性質に差を生じる。さらに、圧延材の板面に平行にフェ
ライトの脆化面である(100)面が形成されることに
なり、板面に垂直方向の機械的性質も劣化することにな
る。建築用の構造部材として使用される場合、単に圧延
方向のみが機械的性質に優れていれば良いのではなく、
機械的性質に異方性のないものが好ましい。
熱間圧延を前記0式で示ずAc+変態点以上の温度域で
終えれば、上記のような問題が生しないので、仕上温度
をAc3変態点以上とした。
〔圧延後の冷却条件:空冷以上の冷却速度で600℃以
下まで冷却〕 これは、コイルに巻取らない鋼材(厚鋼板、ロールH型
#@)を製造する場合の条件である。
圧延後の冷却速度及び冷却停止温度の制御は、得られる
組織の細粒化や高温における強度、弾性率の向上に寄与
する元素の固溶量の確保に重要な影響を及ぼすので、冷
却速度及び冷却停止温度は重要な意味をもつ。
即ち、空冷以上の冷却速度でかつ600”C以下まで強
制的に冷却しなければ、得られる組織の細粒化は達成で
きず靭性の低下は避けられない。また、高温における強
度および弾性率を向上させるCr、Mo、 Nb、■の
固溶量を確保することができず、弓き続いて行う600
℃以上Ac+変態点以下の温度での焼き戻し処理時に微
細な析出物を形成することができないため、高温域の強
度および弾性率を向上させることができない。
なお、この冷却は圧延ラインでの水冷で行うのがよい。
この処理の後は、先に述べた600℃以上Ac+変態点
以下の温度域で焼き戻しを行う。
〔巻取り温度:  600℃以上〕 Ac、変態点以上の温度域で熱間加工を終えた後、ホッ
トコイルに巻取る場合には600℃以上の温度で巻取っ
て徐冷することか重要である。
600℃以上の温度で巻取り徐冷すれば、高温域におけ
る強度、弾性率向上に効果をもつCr、 Mo、Nb、
■の微細な析出物を形成することができる。
600℃未満の温度で巻取って徐冷しても微細な析出物
は形成するが、600℃未満の温度で形成された析出物
は600℃以上の温度域にさらされると粗大化する傾向
が強く、この温度域での転位の移動を止めることができ
ないので、強度上昇あるいは弾性率の向上効果が得られ
ない。そのために巻取り温度は600℃以上とした。
巻取りの後は、特に焼き戻しを行う必要はない。
以下、実施例により本発明を更に説明する。
(実施例) 第1表に示す化学組成の鋼を溶製し、300 mm厚の
鋳片とした後、第2表に示す条件で熱間加工および熱処
理を行い、厚鋼板もしくはホントコイルを製造した。
このようにして製造した厚鋼板およびホットコイルから
試験片を採取し、室温および600℃での強度(YS 
、 TS)、靭性(vEo)、弾性率(E)を調査した
。さらに、溶接性を調べるためY開先拘束割れ試験を実
施した。これらの結果を同じく第2表に示す。
弾性率は熱間共振型弾性率測定装置を用いて測定した。
これは試験片を振動させ、固有振動数を求めて次式から
弾性率を測定するものである。
f = (1/2) Xl、/ a −E/ pここで
、a−試験片長さ(C冑〕、ρ−試験片見かけ密度、f
−固有振動数(S−’)、E−弾性率(Kgf/mm2
)、を意味する。
Y開先拘束割れ試験は、各鋼板より斜めY開先拘束割れ
試験片(板厚25mm )を採取し、入熱量:17KJ
/cmで手溶接(電流170A、電圧25V、速度15
cm/+mtn、 ) L、「表面割れ」および「ルー
ト割れ」の有無を調べた。このときの判定基準は、予熱
無しでもこのような割れが発生しなかったものを○、予
熱温度を100℃以上としなければ割れ発生を抑えるこ
とができなかったものを×とした。
なお、試験片の板厚については実施例の値と異なるが溶
接時の割れ性を評価する場合、鋼の成分で概ね評価する
ことができるため、本検討では板厚を25mmに揃えて
実施した。
第1表中に「本発明鋼」と記したのは、組成が本発明で
定める範囲内であって、適切な製造条件により600℃
での弾性率が15000hf/mm”以上となり得るも
のである。
(以下、余白) 第2表において、試験番号1〜4および試験番号14〜
20は本発明例である。本発明例のものは室温および6
00 ℃での機械的性質はともに本発明が目標とする性
能を満たし、且つ溶接割れも発生していない。
これに対して、比較例の試験番月5〜8および試験番号
25〜28は、製造条件が本発明で規定する範囲外のも
のであり、試験番号9〜12および試験番号21〜24
は、素材の網が本発明で規定する範囲外のものである。
この場合、室温における機械的性質、600℃における
機械的性質および弾性率の少なくとも一つが、本発明で
目標とする性能を満たしていない。さらには、試験番号
9および試験番号11のものは、溶接時に】00℃以上
の温度に予熱しないと割れを防止することができない。
試験番号13および試験番号29は、従来鋼(5541
,5M50)を用いて従来の方法で製造したものである
常温における特性には問題がないが、600℃における
機械的性質および弾性率のいずれもが、本発明で目標と
する性能を満たしていない。
I (発明の効果) 以上詳述したように、本発明の鉄骨建築用鋼材は、火災
時において鋼材の温度が」二昇しても、強度および弾性
率の低下が少ない。従って、耐火物の被覆を軽減もしく
は省略して使用することができる。また、本発明の製造
方法に従えば、このような鋼材を安定して製造すること
ができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)重量%で、 C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.90
    %、Mn:0.30〜2.00%、P:0.005〜0
    .050%、Cr:0.10〜2.00%、Mo:0.
    05〜0.70%、Sol.Al:0.005〜0.1
    0%、 を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、かつ
    下記[1]式で示すP_C_Mが0.30%以下であり
    、600℃における弾性率が15000Kgf/mm^
    2以上であることを特徴とする高温での弾性率低下の少
    ない鉄骨建築用鋼材。 P_C_M(%)=C+(1/30)Si+(1/20
    )Mn+(1/20)Cu+(1/60)Ni+(1/
    20)Cr+(1/15)Mo+(1/10)V+5B
    ・・・・・[1] ここで、式中の元素はその含有量(重量%)を表す。
  2. (2)重量%で、 C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.90
    %、Mn:0.30〜2.00%、P:0.005〜0
    .050%、Cr:0.10〜2.00%、Mo:0.
    05〜0.70%、Sol.Al:0.005〜0.1
    0%、 を含有し、更に、0.005〜0.080%のNb、0
    .005〜0.15%のV、0.10〜0.50%のC
    u、0.10〜0.50%のNi、0.005〜0.0
    6%のTi、0.00015〜0.0030%のBの中
    から選ばれた1種以上を含有し、残部はFe及び不可避
    不純物からなり、かつ前記[1]式で示すP_C_Mが
    0.30%以下であり、600℃における弾性率が15
    000Kgf/mm^2以上であることを特徴とする高
    温での弾性率低下の少ない鉄骨建築用鋼材。
  3. (3)重量%で、 C:0.03〜0.15%、Si:0.05〜0.90
    %、Mn:0.30〜2.00%、P:0.005〜0
    .050%、Cr:0.10〜2.00%、Mo:0.
    05〜0.70%、Sol.Al:0.005〜0.1
    0%、 を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、かつ
    前記[1]式で示すP_C_Mが0.30%以下である
    鋼、または、上記組成に加えてさらに0.005〜0.
    080%のNb、0.005〜0.15%のV、0.1
    0〜0.50%のCu、0.10〜0.50%のNi、
    0.005〜0.06%のTi、0.00015〜0.
    0030%のBの中から選ばれた1種以上を含有し、残
    部はFe及び不可避不純物からなり、かつ前記[1]式
    で示すP_C_Mが0.30%以下である鋼を、100
    0℃以上1250℃以下の温度域で加熱後熱間加工し、
    次いで、Ac_3変態点以上1000℃以下の温度域に
    加熱後空冷して焼準し、600℃以上Ac_1変態点以
    下の温度域で焼き戻すことを特徴とする高温での弾性率
    低下の少ない鉄骨建築用鋼材の製造方法。
  4. (4)特許請求の範囲第3項記載の鋼を、1000℃以
    上1250℃以下の温度域で加熱後、下記[2]式で示
    すAr_3変態点以上の温度域で熱間加工を終了し、熱
    間加工後直ちに600℃以下の温度まで空冷以上の冷却
    速度で冷却し、600℃以上Ac_1変態点以下の温度
    域で焼き戻すことを特徴とする高温での弾性率低下の少
    ない鉄骨建築用鋼材の製造方法。 Ar_3(℃)=910−310C−80Mn−20C
    u−55Ni+0.35(t−8)・・・・[2] ここで、式中の元素はその含有量(重量%)を表し、t
    は板厚(mm)である。
  5. (5)特許請求の範囲第3項記載の鋼を、1000℃以
    上1250℃以下の温度域で加熱後、前記[2]式で示
    すAr_3変態点以上の温度域で熱間加工を終了し、熱
    間加工後直ちに600℃以上の温度からコイルに巻取る
    ことを特徴とする高温での弾性率低下の少ない鉄骨建築
    用鋼材の製造方法。
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