JP4770235B2 - 延性と疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法 - Google Patents
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いため、これらの方法は工業的規模での実施には不適当で、溶接構造物の耐疲労特性は使
用される鋼材自体の疲労亀裂伝播特性の向上により図られることが多い。
1 Ar3点以上からAr3−30℃〜Ar3−100℃を10℃/s以上の冷却速度で加速冷却することでフェライトの再結晶粗大化を抑制し微細フェライトを生成させる。
2 Ar3−30℃〜Ar3−100℃において一旦冷却を停止して(0.2×t/Pcm)秒から(0.5×t/Pcm)秒保持することで鋼板表面と鋼板内部の温度を均一化し、板厚方向に均質なミクロ組織、機械的性質を得る。また、圧延方向断面(L面)や幅方向断面(C面)で見られるバンド状の粗大パーライトの生成を抑制する。
3 再び500℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却することにより、微細な構造を有するパーライト組織を分散生成させる。
4 以上の方法により、最終的に板厚内で均質な,微細なフェライトとミクロ組織中に分散して存在する微細構造パーライトを主体とするミクロ組織を特徴とする延性および疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材が得られことを見出した。
1.質量%で、C:0.04〜0.16%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなり、Ceq≦0.40の鋼を、950℃以上、1200℃以下に加熱後、Ar3点以上で累積圧下率50%以上の圧延を行い、その後直ちにAr3点以上から10℃/s以上の冷却速度で加速冷却を開始後、Ar3−30℃〜Ar3−100℃において一旦冷却を停止して(0.2×板厚(t)/Pcm)秒から(0.5×板厚(t)/Pcm)秒保持した後、再び500℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却することを特徴とする延性および疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法。
但し、上記Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14(%)で各合金元素は含有量(質量%)、
上記Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(%)で各合金元素は含有量(質量%)とする。
C
Cは強度を確保するため0.04%以上添加する。0.16%を超えて添加すると溶接性が阻害されるため、0.04〜0.16%、好ましくは0.06〜0.16%を添加する。
Siは脱酸と強度を確保するため0.05%以上添加する。0.50%を超えて添加すると溶接性、靭性が劣化するため、0.05〜0.50%、好ましくは0.10〜0.40%とする。
Mnは焼入れ性の増加により、強度、靭性を確保させるため、0.5%以上添加する。2.0%を超えると溶接性を劣化させるため、0.5〜2.0%、好ましくは0.7〜1.6%を添加する。
Pは不純物で、靭性を劣化させるため、その含有量は少ないほど良く、製造コスト上、0.05%以下、好ましくは0.03%以下とする。
Sは不純物で、靭性を劣化させるため、その含有量は少ないほど良く、製造コスト上、0.02%以下、好ましくは0.01%以下とする。
Ceq(=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14(%))は低温割れ防止のため、0.40%以下、好ましくは強度を確保するため0.30〜0.36%以下とする。
Cuは固溶により強度を上昇させ、また耐候性を向上させるので、必要に応じて添加する。添加する場合、1.0%を超えると溶接性が損なわれ、鋼材製造時に疵が生じやすくなるので1.0%以下とし、好ましくは、0.5%以下とする。
Niは低温靭性や耐候性を向上させ、またCuを添加した場合の熱間脆性を改善するので、必要に応じて添加する。添加する場合、2.0%を超えると溶接性が損なわれ、鋼材コストが上昇するので2.0%以下とし、好ましくは、1.0%以下とする。
Crは強度を上昇させ、また耐候性を向上させるので、必要に応じて添加する。添加する場合、1.0%を超えると溶接性と靭性が損なわれるので1.0%以下とし、好ましくは、0.5%以下とする。
Moは強度を上昇させるので、必要に応じて添加する。添加する場合、0.5%を超えると溶接性と靭性が損なわれるので0.5%以下とし、好ましくは、0.3%以下とする。
Nbは圧延時のオーステナイト再結晶を抑制し細粒化を図ると同時に、加速冷却後の空冷時に析出し強度を上昇させるので、必要に応じて添加する。添加する場合、0.05%を超えると靭性が損なわれるので0.05%以下とし、好ましくは0.05%以下とする。
Vは、加速冷却後の空冷時に析出し強度を上昇させるので、必要に応じて添加する。添加する場合、0.1%を超えると溶接性と靭性が損なわれるので0.1%以下、好ましくは0.07%以下とする。
Tiは、強度を上昇させ、溶接部靭性を向上させるので、必要に応じて添加する。添加する場合、0.1%を超えると鋼材コストが上昇するので0.1%以下、好ましくは0.05%以下とする。
Bは焼入れ性を高め、強度を上昇させるので、必要に応じて添加する。添加する場合、0.005%を超えると溶接性が低下するので、0.005%以下、好ましくは0.003%以下とする。
本発明では、スラブ加熱温度、圧延条件、加速冷却条件を規定する。
スラブ加熱温度
スラブ加熱温度は、圧延温度を確保するため、950℃以上とする。1200℃を超えると鋼の結晶粒が粗大化し、靭性が低下するので950〜1200℃とする。
圧延で、オーステナイト粒を微細化させ、加速冷却におけるフェライト変態を促進し、フェライト粒を微細化させるため、Ar3点以上の累積圧下率を50%以上とする。累積圧下率50%以上とする圧延は、オーステナイト未再結晶域、オーステナイト再結晶域を問わずAr3点以上であればよい。但し、異方性が問題となる場合は、オーステナイト未再結晶域での累積圧下率を50%以下とする。
本発明では、ミクロ組織を、微細なフェライトとミクロ組織中に分散して存在する微細構造パーライトを主体とするミクロ組織とするため、圧延後、加速冷却を10℃/秒以上の冷却速度でAr3点以上から開始し、一旦冷却を停止してAr3−30℃〜Ar3−100℃において(0.2×t/Pcm)秒から(0.5×t/Pcm)秒保持した後、再び500℃以上まで、10℃/秒以上で加速冷却する。
びAr3−30℃〜Ar3−100℃の温度範囲であっても、(0.2×板厚(t) /Pcm)秒未満の保持時間の場合は板厚全域にわたって均一な、微細なフェライトとミクロ組織中に分散して存在する微細構造パーライトを主体とするミクロ組織が得られない。
で一定でも、変化しても良く、特に規定しない。保持時間はフェライトの過度の導入や、
パーライト化による強度低下や疲労亀裂伝播特性の劣化を防止するため、(0.5×板厚(t)/Pcm)秒以下とすることが好ましい。
加速冷却停止温度は、未変態オーステナイトからのベイナイト組織変態を防止するため5
00℃以上とする。500℃未満とした場合、ベイナイト変態が生じ、鋼板の延性が劣化
する。冷却停止後、鋼材の形状改善や、強度、靭性の調整を目的として、必要に応じて5
00℃以上で焼戻しを行う。
。実施例において応力拡大係数範囲ΔK=20MPa√mでの疲労亀裂伝播速度が2×
10−8m/cycle以下を本発明例とした。
板番No.16は加速冷却途中の保持温度が本発明範囲外で低いため延性に劣る。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.04〜0.16%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.5〜
2.0%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなり、Ceq≦0.40の鋼を、950℃以上、1200℃以下に加熱後、Ar3点以上で累積圧下率50%以上の圧延を行い、その後直ちにAr3点以上から10℃/s以上の冷却速度で加速冷却を開始後、Ar3−30℃〜Ar3−100℃において一旦冷却を停止して(0.2×板厚(t)/Pcm)秒から(0.5×板厚(t)/Pcm)秒保持した後、再び500℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却することを特徴とする延性および疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法。
但し、上記Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14(%)で各合金元素は含有量(質量%)、
上記Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(%)で各合金元素は含有量(質量%)とする。 - 更に、鋼成分として、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:0
.5%以下、Mo:0.5%以下、Nb:0.05%以下、V:0.1%以下、Ti:0
.1%以下、B:0.005%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする請
求項1記載の延性および疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法。
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