JPH0224900B2

JPH0224900B2 -

Info

Publication number: JPH0224900B2
Application number: JP26605685A
Authority: JP
Inventors: Riki Hagiwara; Zenichi Tanabe; Hideo Ito; Yoshifusa Shoji
Original assignee: Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority date: 1985-11-28
Filing date: 1985-11-28
Publication date: 1990-05-31
Also published as: JPS62127446A

Description

【発明の詳細な説明】

〈産業上の利用分野〉本発明は、熱交換器において通路材を防食する
ために、通路に接合する犠牲陽極フインの材料に
関する。〈従来の技術〉従来、熱交換器の通路材を防食するための犠牲
陽極フインを真空ろう付けによつて、通路に接合
する場合の真空ろう付け用犠牲陽極フインの材料
には、Al−Zn系、Al−Sn系、Al−In系、Al−
Zn−Li系、Al−Zn−Ca系などの各種アルミニウ
ム合金がある。〈発明が解決しようとする問題点〉前記の、真空ろう付け用犠牲陽極フイン材の各
種アルミニウム合金には、以下の点に問題があ
る。 (1) Al−Zn系合金 Al−Zn系合金は、真空加熱時に蒸気圧の低
いZnが蒸発飛散し、このためフインの犠牲陽
極効果を低下させるとともに、蒸発したZnが
炉内に付着し、このZnによつて炉の補修頻度
が増加する。 (2) Al−Sn系合金 Al−Sn系合金は、Snが低融点元素であつて、
Alにほとんど固溶しないために、鋳造、熱間
加工時に割れが発生して、フイン材の製造が極
めて困難である。 (3) Al−Zn−Li系、Al−Zn−Ca系合金 Al−Zn−Li系合金又はAl−Zn−Ca系合金
は、Li又はCaの添加によつて、Znの蒸発を防
止するものであるが、Li、Caは添加時の酸化
消耗が顕著で、その添加歩留が極めて悪く、こ
のため合金価格が高価になる。 (4) Al−In系合金 Inの犠牲陽極効果は古くから知られている
が、Inが低融点元素であつて、アルミニウムに
添加しても、この合金は鋳物用としては使用で
きるが、展伸材しとては造塊又は圧延時に割れ
が発生し、フイン材としての利用は不可能であ
つた。しかしながら、このような欠点が解消できれ
ば、この系のアルミニウム合金には、上記の他
種合金における問題点が無いので、犠牲陽極フ
イン材に好適なものとなり得る。そこで、本発明の目的とするところは、従来の
Al−In系合金における上記の欠点を、新たな成
分の添加によつて解消し、この新規組成のAl−
In系合金を用いた熱交換器用犠牲陽極フイン材を
提供することにある。〈問題点を解決するための手段〉本発明による熱交換器用犠牲陽極フイン材は、
前記問題点を解決するため、以下のとおりの組成
のアルミニウム合金を使用したものである。 In：0.005〜１％、Li：0.0005〜0.1％、Mn：
0.5〜1.5％、Fe：0.1〜0.7％、を含み、かつZn：
0.1〜0.4％、Sn：0.01〜0.9％、Mg：0.1〜２％の
いずれか１種以上か、又はCr：0.05〜0.5％、
Zr：0.05〜0.5％、Ti：0.01〜0.5％、Ｖ：0.01〜
0.5％のいずれか１種以上か、あるいはZn：0.1〜
0.4％、Sn：0.01〜0.9％、Mg：0.1〜２％のいず
れか１種以上及びCr：0.05〜0.5％、Zr：0.05〜
0.5％、Ti：0.01〜0.5％、Ｖ：0.01〜0.5％のいず
れか１種以上を含み、残部がAlおよび不可避的
不純物であるアルミニウム合金。本発明は、Al−In系合金にLiを添加すること
によつて、In−Liの金属間化合物を形成せしめ、
これによつて、この合金において、従来のAl−
In系合金に起こる鋳造又は圧延時の割れを防止す
るとともに、この合金によるフインの真空加熱時
に、蒸気圧の低いLiを蒸発・飛散せしめることに
よつて、Inを遊離させて、Al−In合金としての
犠牲陽極効果を発揮せしめるよう意図したもので
ある。 In−Li金属間化合物の溶融点は、In−Li二元系
状態図から明らかなように、約625℃であるため、
通常のAl合金中に析出しても、通常の鋳造又は
熱間加工時に、In単独の添加の場合のような低融
点に起因する割れを発生させることがない。次に、本発明合金におけるその添加元素の意義
を説明する。 In：フインの電位を卑にして、犠牲陽極効果を高
める。この向上効果は0.005％より低い添加量
では小さく、１％を超えるとフインの自己耐食
性が低下する。 Li：Inと金属間化合物を作り、鋳造、圧延時に割
れを防止する。添加量がInとの比において
0.0005％より少ないと上記効果は得られず、
0.1％より多くても効果のより増大は無く、無
意味な量の添加となる。 Mn、Fe：いずれもフインの強度向上に有効であり、ま
たフインの耐高温座屈性を改良する。添加量が
Mnで0.5％、Feで0.1％の量よりそれぞれ少な
いと上記効果は小さく、Mnで1.5％、Feで0.7
％の量より多いと、フイン材の成形加工性と自
己耐食性を劣化させる。 Zn、Sn、Mg：いずれもフインの電位を卑にして犠牲陽極効
果を高める。Mgは更に強度向上にも有効であ
る。添加量がZnで0.1％、Snで0.01％、Mgで
0.1％のそれぞれの量よりより少ないと上記の
効果は小さく、Znで0.4％、Snで0.9％Mgで２
％それぞれの量より多いと、いずれも自己耐食
性を劣化させ、Sn及びMgの場合には、鋳塊又
はスラブにおいて割れが発生し、Znでは耐座
屈性を劣化させる。 Cr、Zr、Ti、Ｖ：いずれもフインの耐高温座屈性を改善する。
添加量がCr、Zrでそれぞれ0.05％より少なく、
Ti、Ｖでそれぞれ0.01％より少ないと上記の効
果は小さく、Cr、Zr、Ti、Ｖがいずれも0.5％
より多いとフイン材の加工性、耐食性を劣化さ
せる。不純物としてのSiおよびCuはそれぞれ0.4％お
よび0.5％まで許容され、フインの強度を向上さ
せる。Siが0.4％より多いとフイン材の成形加工
性と自己耐食性を劣化させ、Cuが0.5％より多い
とフインの電位が貴となり、フインの犠牲陽極効
果を損う。なお、本発明のフイン材はこれを心材にして、
真空ろう付け用のAl−Si−Mg合金ろうを心材の
両面又は片面にグラツドすることによつてブレー
ジングフイン材に製作することができる。以下、本発明の実施例を挙げる。〈実施例〉実施例１表１に示す組成のアルミニウム合金鋳塊を540
℃×８時間均質化処理した後、480℃で３mm厚ま
で熱間圧延した。ついで冷間圧延を行つて0.2mm
厚とした後、平均昇温速度30℃／時間で400℃に
加熱して１時間軟化処理し、20％の最終冷間圧延
を行つて0.16mm厚のフイン材とした。これらのフ
イン材の諸性能を表２に示す。フイン材に圧延できないもの（No.19、23）を除
いた25種類の他に、3003合金および7072合金フイ
ン材も比較材料として加え、これらのフインをコ
ルゲート加工し、ブレージングシート（心材：
3003合金、皮材：4004合金、板厚0.5mm）の溶接
管からなる作動流体通路材と組合せて、真空ろう
付（条件：２×10^-5Torr、600℃）し、真空ろう
付（条件：２×10^-5Torr、600℃）し、熱交換器
コアを作製した。この熱交換器コアについて腐食試験を行つた結
果を表３に示す。腐食試験の条件は次のとおりであり、試験期間
は１カ月である。塩水噴霧試験：JIS Ｚ 2371による。乾湿交互浸漬試験：３％NaCl溶液を酢酸で調
整してPH３とし、この溶液を用い
て、40℃×30分浸漬50℃×30分
乾燥を繰返した。 CASS試験：JIS Ｈ 8681による。

【表】

【表】実施例２表１に示す組成のアルミニウム合金鋳塊を540
℃×８時間均質化処理した後、これを心材とし、
4004合金鋳塊を皮材として、クラツド率両面10％
になるように組合せ、実施例１と同条件で圧延加
工し、板厚0.16mm厚のブレージングシートフイン
材を作製した。これらのフイン材の諸性能を表４
に示す。フイン材に圧延できないもの（No.19、21、23）
を除いた24種類の他に、3003合金および7072合金
を心材として同様に作製されたブレージングシー
トフインも比較材料として加え、これらのフイン
材をコルゲート加工し、Al1.2％Mn−0.2％Cu合
金の押出多穴偏平管（肉厚0.7mm）からなる作動
流体通路と組合せて、真空ろう付（条件：２×
10^-5Torr、600℃）し、熱交換器コアを作製し
た。この熱交換器コアについて腐食試験を行つた
結果を表５に示す。試験条件および試験期間は実
施例１と同様である。

【表】

【表】以上の表に示されているように、本発明による
フイン材は、その製造において何らの問題点は無
く、またその諸性能が良好であるのに対して、比
較例のフイン材No.17はInが多すぎるため、No.18は
Mnが多すぎるため、いずれも製造時に一部に割
れが発生しており、更にNo.18はコルゲーシヨン加
工時にも割れが発生している。No.19はLi無添加に
より鋳塊に割れが発生して圧延が不可能となり、
No.20はCuが多いことに起因して電極電位が貴側
である。 No.21はMgが多いことにより鋳塊に割れが発生
して、圧延が困難であつた。No.22はZnが多いた
め耐ザク値が悪く、No.23はSnが多いため、鋳塊
に割れが発生して、圧延不可能となつた。No.24〜
No.27は、Cr、Ti、Zr、Ｖのいずれかが多すぎる
ため、各例いずれも鋳塊に割れが発生して圧延困
難となり、しかもコルゲーシヨン加工で割れが発
生した。一方、組合せコアーの腐蝕試験では、本発明に
よるフインはいずれも優れた犠牲陽極効果を示し
ているのに対し、比較例のフインはいずれも犠牲
陽極効果が劣化している。特に、No.17のフインで
はInが、No.18ではMnが、No.22ではZnがそれぞれ
多すぎるため、いずれのフインも自己腐蝕が著し
い。従来のAl合金材からなるNo.28、No.29のフイ
ンとの組合せでは、通路の腐蝕が顕著である。表１に示した各例のフイン材を心材としたブレ
ージングフイン材については、本発明フイン材に
よるものは、表４に示したように、フイン材（表
２）の場合と同じく、その製造に何らの問題は無
く、またその諸性能を良好であるが、比較例では
フイン材の場合と同じく、製造上にまた諸性能に
問題がある。特に、No.21ではクラツド不良であつ
た。更に組合せコアーの腐蝕試験では、本発明フ
イン材によるものは、表３の場合と同じように犠
牲陽極効果が優れているが、比較例では劣化して
いる。〈発明の効果〉本発明のフイン材は、その合金中にLi−In金属
間化合物が形成されることによつて、これが析出
しても、その通常の鋳造、圧延の際に、従来のフ
イン材のAl−In系合金のような低融点に起因し
て起こる割れが防止される。更に、本発明フイン材には、真空加熱時におい
て、前記化合物からLiが蒸発して、Inが遊離する
ので、これにより優れた犠牲陽極効果を発揮す
る。以上により、本発明フイン材は製造容易であつ
て、真空ろう付け用犠牲陽極フインに好適なもの
である。

Claims

【特許請求の範囲】１ In：0.005〜１％、Li：0.0005〜0.1％、Mn：
0.5〜1.5％、Fe：0.1〜0.7％を含み、残部がAlお
よび不可避的不純物であるアルミニウム合金から
成る熱交換器用犠牲陽極フイン材。２ In：0.005〜１％、Li：0.0005〜0.1％、Mn：
0.5〜1.5％、Fe：0.1〜0.7％を含み、さらにZn：
0.1〜0.4％、Sn：0.01〜0.9％、Mg：0.1〜２％の
いずれか１種以上を含み、残部がAlおよび不可
避的不純物であるアルミニウム合金から成る熱交
換器用犠牲陽極フイン材。３ In：0.005〜１％、Li：0.0005〜0.1、Mn：
0.5〜1.5％、Fe：0.1〜0.7％を含み、さらにCr：
0.05〜0.5％、Zr：0.05〜0.5％、Ti：0.01〜0.5％、
Ｖ：0.01〜0.5％のいずれか１種以上を含み、残
部がAlおよび不可避的不純物であるアルミニウ
ム合金から成る熱交換器用犠牲陽極フイン材。４ In：0.005〜１％、Li：0.0005〜0.1％、Mn：
0.5〜1.5％、Fe：0.1〜0.7％を含み、さらにZn：
0.1〜0.4％、Sn：0.01〜0.9％、Mg：0.1〜２％の
いずれか１種以上及びCr：0.05〜0.5％、Zr：0.05
〜0.5％、Ti：0.01〜0.5％、Ｖ：0.01〜0.5％のい
ずれか１種以上を含み、残部がAlおよび不可避
的不純物であるアルミニウム合金から成る熱交換
器用犠牲陽極フイン材。