JPH0224694B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、リヤシートクツシヨンの前方に、フ
ロントシートバツクを後倒した際、フロントシー
トクツシヨンからリヤシートクツシヨンまでの間
に、滑らかな連続面が形成されるようにされた車
両用座席に関するもので、シートクツシヨンの乗
心地や耐久性を損うことなく、乗員の休息や睡眠
等に有利な形態を与え得られる車両用座席の提供
を目的としている。

車両用、主に自動車用座席において、リヤシー
トクツシヨンの前方に、フロントシートバツクを
後倒して、フロントシートクツシヨンからリヤシ
ートクツシヨンまでの間を連続した面で構成す
る、３ボツクス系車両のフルフラツトシートや、
さらに後のリヤシートバツクを後倒してリヤシー
トバツクまでも連続面で構成する２ボツクス系車
両のフルフラツトシートは共に車両乗員の休息や
睡眠等に有利な形態を与えるものであるが、これ
らシートには次のような問題があつた。すなわ
ち、 (1) 小さな車両ではフロントシートとリヤシート
との間が狭く、フロントシートの最前方位置
で、フロントシートバツクを後倒しても、リヤ
シートクツシヨンと干渉してフルフラツトシー
トが構成できない。

(2) 通常リヤシートクツシヨンは乗心地との関係
で、前上りに傾斜しているためその前方にフロ
ントシートバツクを後倒しても両者間に滑らか
な連続面が構成できない。

(3) ２ボツクス系の車両では、通常リヤシートバ
ツクを後倒してもその下部がリヤシートクツシ
ヨン後部より高くなつているため両者間に上下
方向で、大きな段差を生じ、連続した面を構成
することができない。

このような問題の解決策として従来、問題(1)に
ついてはフロントシートバツクの高さを低くして
対処したり、あるいは第５図に示されるように、
リヤシートクツシヨン１を前後に２分割してその
前方部分１ａを前方へ回動可能に構成し、この前
方部分１ａが回動されたリヤシートクツシヨン１
の前方部分１ａが占めていた位置の空所に、フロ
ントシートバツク２を後倒することにより対処し
ていたが、前者は乗心地に悪影響を及ぼし、また
後者は乗降時や着座時に、大きな荷重の加わるリ
ヤシートクツシヨンを分割しているためリヤシー
トクツシヨンの乗り心地や耐久性等に問題を残し
ているばかりでなく、両者共に前記(2)，(3)の問題
については未解決のままとなつていた。

このため、実開昭56−118134号公報に示される
ごとく、湾曲したレールをフロントとリヤとの両
シートクツシヨンと車床との間に配設し、両シー
ト全体を該レールに沿つて、前後に移動させるこ
とによりフルフラツトシート化を図つたものも提
案されているが、フロントシートとリヤシートと
の両者を、少なくとも正規のシート位置と移動位
置との２位置で固定するロツク機構が、前記レー
ルの外に必要となり、構造の複雑化、部品数の増
加、重量増、組立工数の増加を招きコスト高とな
る点に問題を存している。

本発明は、上述の諸問題を解決するため、比較
的簡単な機構により、リヤシートクツシヨン下部
と車床との間に設けられたリンク機構によりリヤ
シートクツシヨン全体を後方に移動可能に構成
し、該機構によつて移動させたリヤシートクツシ
ヨン前方の空所に、フロントシートバツクを後倒
したとき、後倒されたフロントシートバツクの上
面とリヤシートクツシヨンの上面との接続部が滑
らかな連続面を形成する高さに、上記フロントシ
ートバツクの先端部が支持されるようにしたもの
である。

本発明の構成によれば、乗降時や着座時に大き
な荷重の加わるリヤシートクツシヨンを分割する
ことなく、フロントシートバツクを後倒でき、し
かも後倒されたフロントシートバツクとリヤシー
トクツシヨンとの間に滑かな連続面を得られ、さ
らにリアシートバツクの比較的荷重の加わらない
下方の一部を回動可能に分割し、リヤシートクツ
シヨン後端部を持上げられるようにすることによ
り、構造の複雑化、部品数の増加、重量増、組立
工数の増加、コスト高等を最小に留めつつ前記問
題の未解決部分も総て解決することができるので
ある。

次に本発明の構成を図面に示す実施例に基いて
説明する。

第１図は本発明の基本構成を示す側面図で、図
中１０は車床、１１は車床１０に固定されたロア
レール、１２は車両前後方に位置調整できるよう
にロアレール１１上に載架されたアツパレール
で、後倒可能なフロントシートバツク１３を有す
るフロントシートクツシヨン１４は、このアツパ
レール１２上に載置固定されている。

一方、リヤシートクツシヨン１５は、その底部
に設けられたリンク機構１６を介して車床１０に
固定されており、該リンク機構１６によつてリヤ
シートクツシヨン１５は後方に距離ｌ、すなわち
フロントシートバツク１３が後倒されたとき、リ
ヤシートクツシヨン１５と重なる部分だけ移動で
きるようにされていると共に、リヤシートバツク
１７の下部には上記移動に備えてリヤシートクツ
シヨン１５の後端部が潜入できる空間部１８が設
けられている。

このような構成であるからリヤシートクツシヨ
ン１５をリンク機構１６により第１図に点線で示
すように、後方へ距離ｌ移動させ、その前方の空
間部にフロントシートバツク１３を後倒させれば
フロントシートバツク１３とリヤシートクツシヨ
ン１５との上面のつながりを滑らかな連続面とす
ることができる。

すなわち、フロントシートバツク１３には通常
リクライニング装置１９が設けられているから、
後倒されたフロントシートバツク１３の先端部上
面の高さが移動されたリヤシートクツシヨン１５
の前端部上面の高さと一致するように、リクライ
ニング装置１９を角度設定すれば容易に両端部の
上面を同一高さとすることができ、上記したよう
に滑らかな連続面を得ることができるのである。

上記構成において、リンク機構１６の一部また
はリヤシートクツシヨン１５と車床１０との間に
適当なロツク装置を付加すれば、リヤシートクツ
シヨン１５の通常の使用状態を確実に保持するこ
とができる。

このように本発明によれば、従来難問とされて
いた小型車のフルフラツトシートを、フロントシ
ートの乗り心地やリヤシートの耐久性を損うこと
なく構成し得られるのである。

第２図に示す実施例は後倒されたフロントシー
トバツクの上面と後退移動させたリヤシートクツ
シヨンの上面とが、より優れた連続面を形成する
ように、大きな荷重が比較的加わることのないリ
ヤシートバツクの下方の一部を分割して、リヤシ
ートクツシヨンの後部を持上げられるようにした
ものであるが基本構成は第１図のものと同じであ
る。

すなわち、第２図に示されるように、リヤシー
トバツク２１の下部前面の一部２１ａを分割し、
かつ下方に回動可能に枢着したものである。この
一部２１ａの分割は、図に点線で示すようにリヤ
シートクツシヨン２２がリンク機構１６による後
退動作の途上で、後部が持上げられ、距離ｌ後退
させた終端で、後端の係止具２３が係止部２４に
係止固定されたとき、該リヤシートクツシヨン２
２の上面が前記後倒されたフロントシートバツク
１３の上面と一平面を形成する位置に、リヤシー
トクツシヨン２２の後部を持上げることのできる
切欠部２５を、リヤシートバツク２１の下部に得
るためである。従つてその大きさは、リヤシート
クツシヨン２２の後部が持上げられた状態で、リ
ヤシートバツク２１の下部に喰込むことのできる
切欠部２５が形成される体積分だけが分割され、
この分割された一部２１ａはその背部下端が蝶番
２６等により下方に回動可能に枢着されており、
通常時はリヤシートバツク２１の一部を構成し、
フロントシートバツク１３の後倒時は回動して下
部空所に格納される。

このように構成すると、図からも明かなよう
に、フロントシートバツク１３とリヤシートクツ
シヨン２２との間に完全な連続一平面を確保する
ことができ、乗員の休息に有利な形態を提供でき
るのである。

また第３図に示す実施例は、上記リヤシートバ
ツク２１の分割された一部２１ａをフロントシー
トバツク１３の後倒時、格納せずに、上方に回動
し、枕の機能を持たせたものである。

この場合は、リヤシートバツク２１の分割され
た一部２１a′の前面上端部を蝶番２７等によつて
枢着し、フロントシートバツク１３の後倒時は図
に点線で示すように、リヤシートバツク２１の前
面に回動してリヤシートクツシヨン２２上に載置
し、休息や睡眠する乗員に枕の提供もできるよう
にしたものである。

第４図はリヤシートバツクも後倒可能な２ボツ
クス系車両の場合の実施例である。

この場合は、リヤシートバツク３１の前面下部
に、該リヤシートバツク３１が後倒されたとき、
第４図に点線で示されるように、リンク機構１６
により後方に移動され、かつ持上げられたリヤシ
ートクツシヨン３２の後端部を、同一面に支持で
きる鉤形の切欠部３５が形成されるように、背部
を残して一部分割し、この分割された一部３１ａ
の背面下部を、リヤシートバツク３１の残存背部
３１ｂの下部に回動可能に枢着すると共に、該背
部３１ｂにリヤシートクツシヨン３２の固定用係
止具３３と係合する係止部３４を設けたものであ
る。

この場合、分割された一部３１ａは、リヤシー
トバツク３１の前面下部に鉤形の切欠部３５を形
成せしめることが主目的であり、分割された一部
３１ａ自体は必ずしも必要ではないからそのまま
取り除いた状態のままとしてもよく、またリヤシ
ートバツク３１が後倒されたとき、リヤシートバ
ツク３１の前面上部あるいは上端面に移設できる
ように、上記切欠部３５内に着脱可能に残存させ
てもよい。

本発明は、以上説明した構成、作用のものであ
つて、小型の車両においてもフルフラツト化を図
ることができ、後倒されたフロントシートバツク
とリヤシートクツシヨンとの接続部分の段差を無
くして滑らかな連続面に形成できるし、更には２
ボツクス系の車両に生じがちであつた後倒された
リヤシートバツクの下部とリヤシートクツシヨン
後部との段差も解消し、平滑な連続面たらしめう
る等の効果を有している。

しかも構造が比較的簡単であり、部品数の増
加、重量増、組立工数の増加、コスト高等を最小
に留めうる効果も有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明車両用座席の実施の基本構成を
示す側面図、第２図ないし第４図は従属実施例を
示す側面図、第５図は従来の車両用座席の側面図
である。 １０…車床、１３…フロントシートバツク、１
５，２２，３２…リヤシートクツシヨン、１６…
リンク機構、１７，２１，３１…リヤシートバツ
ク、２１ａ，２１a′，３１ａ…分割された一部、
３１ｂ…残存背部、３５…切欠部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リヤシートクツシヨンと車床との間に設けら
   れたリンク機構により、リヤシートクツシヨン全
   体が後方へ向い、リヤシートバツク下部へ移動で
   きるようにされており、該リヤシートクツシヨン
   の移動によつて生じたリヤシートクツシヨン前方
   の空所に、フロントシートバツクが後倒され収容
   されるように構成され、かつ後倒されたフロント
   シートバツクとリヤシートクツシヨンとの接続部
   が、滑らかな連続面となるようにされていること
   を特徴とする車両用座席。 ２ リヤシートバツクの下部が上下に分割され、
   かつ回動可能に枢着されており、分割された下部
   の回動によつて生じたリヤシートバツクの下部空
   所に、リヤシートクツシヨン後部を持上げて係止
   固定するようにされていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の車両用座席。 ３ 後倒可能なリヤシートバツクの下部が、背部
   を残して上下に分割され、かつ前方へ回動可能に
   枢着されており、該リヤシートバツクが後倒さ
   れ、分割された下部が回動された際の該リヤシー
   トバツクの残存背部に、リヤシートクツシヨン後
   部を持上げて載置固定するようにされていること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の車両用
   座席。 ４ 後倒可能なリヤシートバツクの下部が、背部
   を残して上下に分割され、かつ移動可能に設けら
   れており、該リヤシートバツクが後倒され、分割
   された下部が移動された際の該リヤシートバツク
   の残存背部に、リヤシートクツシヨン後部を持上
   げて載置固定するようにされていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の車両用座席。 ５ 後倒可能なリヤシートバツクの下部に、背部
   を残して切欠部が形成されており、該リヤシート
   バツクが後倒された際の該リヤシートバツクの残
   存背部に、リヤシートクツシヨン後部を持上げて
   載置固定するようにされていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の車両用座席。