JPH0223881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、液封型防振ゴム装置に係り、特に自
動車等の車輌に於けるエンジンマウンテイングに
用いられる液封型防振ゴム装置に係る。

従来の技術 自動車等の車輌のエンジンマウンテイングに用
いられる液封型防振ゴム装置の一つとして、二つ
の枠体と、前記二つの枠体間に設けられ該両者を
互いに連結するゴム状弾性部材と、前記二つの枠
体のいずれか一方に固定され前記ゴム状弾性部材
と共働して第一の液体室を郭定する仕切板と、前
記一方の枠体に取付けられて前記仕切板と共働し
て第二の液体室を郭定する可撓性薄膜とを有し、
前記仕切板に前記第一の液体室と前記第二の液体
室とを互いに連通著接続する絞り通路が設けら
れ、前記仕切板の一部がゴム状弾性部材により前
記一方の枠体より支持された質量部材により構成
された液封型防振ゴム装置が既に提案されてお
り、この種の液封型防振ゴム装置は特開昭57−
138423号公報に示されている。

上述の如き液封型防振ゴム装置は、仕切板にゴ
ム状弾性部材と質量部材とによる共振系が設けら
れてこれがマスダンパ或いはダイナミツクダンパ
として作用することにより、低周波数の微小振幅
の振動に対しては小さいばね定数と減衰係数を示
し、大振幅の振動に対しては大きいばね定数と粘
性減衰を示し、しかも高周波振動に対しては小さ
いばね定数を示し、各種振動に対し優れた吸振或
いは減衰効果を生じ、エンジンマウンテイング用
防振ゴム装置として好適なものである。

考案が解決しようとする問題点 上述の如き液封型防振ゴム装置は、前記液体室
に高粘性の液体が封入されているほど優れた粘性
減衰効果を生じるが、その反面高周波振動に対す
るばね定数を増大し、高周波振動の吸振効果を減
少する。また、上述の如き液封型防振ゴム装置に
於ては、前記質量部材が低抵抗にて移動し得るよ
うになつているほど同質量にてその共振点が高周
波数になり、これに応じて液封型防振ゴム装置が
低ばね定数を示す周波数域が高周波領域へ拡大さ
れるが、前記液体室内に封入された液体の粘度が
高いほどその液中に於ける前記質量部材の動きに
対する抵抗が大きくなり、前記共振点が高くなら
ない。

この点に関し、上記公報に開示されている質量
部材の如く、その主振動方向の一方に対しては凸
状の流線形をなしているが他方に対しては凹面を
呈し、主振動の一方及び他方への移動に対し互い
に大きく異なる抵抗を呈する質量部材によつて
は、その固有振動数は高くならないばかりか、そ
の振動特性は標準の正弦波形から大きく外れ、ダ
イナミツクダンパとしての性能は著しく低下する
恐れがある。

本考案は、上記の如き基本構成を有する液封型
防振ゴム装置に組込まれたダイナミツクダンパの
有効性に関する上記の問題に鑑み、この点に於て
その性能を改良された液封型防振ゴム装置を提供
することを目的としている。

問題点を解決するための手段 上記の目的は、本考案によれば、二つの枠体
と、前記二つの枠体間に設けられ該二つの枠体を
互いに連結するゴム状弾性部材と、前記二つの枠
体の何れか一方に固定され前記ゴム状弾性部材と
共働して第一の液体室を郭定する仕切板と、前記
一方の枠体に取付けられ前記仕切板と共働して第
二の液体室を郭定する可撓性薄膜とを有し、前記
仕切板に前記第一の液体室と前記第二の液体室と
を互いに連通接続する絞り通路が設けられ、前記
仕切板の一部がゴム状弾性部材により前記一方の
枠体より支持された質量部材により構成され、前
記絞り通路にて互いに連通された前記第１及び第
二の液体室内に粘性液体が封入されるようになつ
ており、前記質量部材はその主振動方向に対し両
面とも流線形をなしていることを特徴とする液封
型防振ゴム装置によつて達成される。

考案の作用及び効果 上述の如き構成によれば、質量部材の移動に対
し液体室内に封入された液体より前記質量部材に
与えられる流体抵抗が小さくなり、即ち質量部材
が低抵抗にて移動し得るようになり、同質量にて
その共振点が高周波数になり、これに応じて液封
型防振ゴム装置が低ばね定数を示す周波数域が高
周波数側へ拡大され、しかも質量部材の主振動方
向に於ける両方向への変位に対して質量部材に作
用する流体からの抵抗は同一となり、その振動特
性が向上することから尚一層従来のものに比して
高周波振動の吸収がより効果的に行われるように
なる。

実施例 以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本考案による液封型防振ゴム装置の一
つの実施例を示している。図に於て、１及び２は
各々枠体を示しており、枠体１と枠体２とは該両
者間に設けられたゴム状弾性部材３によつて互い
に連結されている。

枠体１には仕切板４が固定されており、該仕切
板はその一方の側にゴム状弾性部材３と共働して
第一の液体室５を郭定している。また仕切板４の
他方の側には枠体１に固定されたカバー部材６と
共にゴム或いはゴム類似品よりなる可撓性薄膜７
が取付けられている。可撓性薄膜７は仕切板４と
の間に第二の液体室８を郭定している。

仕切板４には連通孔９及び１０と環状溝１１と
からなる絞り通路が設けられており、該絞り通路
は第一の液体室５と第二の液体室８とを互いに連
通接続している。

第一及び第二の液体室５及び８と前記絞り通路
にはシリコンオイル、ロングライフクーラントの
如く適度の粘性を有する液体が封入されている。

仕切板４の中央部分は取付リング１２によつて
仕切板本体１３に固定された環状のゴム状弾性部
材１４と該環状のゴム状弾性部材により仕切板本
体１３より弾性的に支持された質量部材１５とに
より構成されている。即ち、仕切板４にゴム状弾
性部材１４と質量部材１５とからなる共振系が組
込まれている。

質量部材１５は第一の液体室５及第二の液体室
８に面した部分が各々コーン形状になつている。
即ち、質量部材１５はそろばん殊形をしており、
図にて上下方向の主振動方向に対し流線形をなし
ている。

上述の如く、質量部材１５が主振動方向に対し
流線形になつていることにより、質量部材１５は
液中を低抵抗にて図にて上下方向の主振動方向に
移動し得るようになり、これによりその共振点が
同質量にて高周波数になる。

質量部材１５は主振動方向に対し流線形に形成
されていればよく、質量部材１５は、第２図に示
されている如き変形そろばん殊形、或いは第３図
に示されている如く、第一の液体室５と第二の液
体室８に面する部分が球面状になつていてもよ
い。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について
詳細に説明したが、本考案は、これに限定される
ものではなく、本考案の範囲内にて種々の実施例
が可能であることは当業者にとつて明らかであろ
う。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による液封型防振ゴム装置の一
つの実施例を示す縦断面図、第２図及び第３図は
各々本考案による液封型防振ゴム装置の他の実施
例を示す縦断面図である。 １，２……枠体、３……ゴム状弾性部材、４…
…仕切板、５……第一の液体室、６……カバー部
材、７……可撓性薄膜、８……第二の液体室、
９，１０……連通孔、１１……環状溝、１２……
取付リング、１３……仕切板本体、１４……環状
のゴム状弾性部材、１５……質量部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 二つの枠体と、前記二つの枠体間に設けられ該
   二つの枠体を互いに連結するゴム状弾性部材と、
   前記二つの枠体の何れか一方に固定され前記ゴム
   状弾性部材と共働して第一の液体室を郭定する仕
   切板と、前記一方の枠体に取付けられ前記仕切板
   と共働して第二の液体室を郭定する可撓性薄膜と
   を有し、前記仕切板に前記第一の液体室と前記第
   二の液体室とを互いに連通接続する絞り通路が設
   けられ、前記仕切板の一部がゴム状弾性部材によ
   り前記一方の枠体より支持された質量部材により
   構成され、前記絞り通路にて互いに連通された前
   記第一及び第二の液体室内に粘性液体が封入され
   るようなつており、前記質量部材はその主振動方
   向に対し両面とも流線形をなしていることを特徴
   とする液封型防振ゴム装置。