JPH0223305B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、円筒形または円柱形の被加工物の外
径寸法を精密仕上げするのに適したラツピング装
置に関するものである。

従来の技術 円筒形又は円柱形の被加工物を精密仕上げ加工
し、その外径寸法精度を高めて円筒度や真円度を
持たせるようにするために、該被加工物を定盤の
半径方向に向けて該定盤上に圧接状態で配設し、
この定盤を回転駆動することにより被加工物を回
転させながらその外周面にラツプ処理を施すよう
に構成したラツピング装置は従来から使用されて
いる。

しかしながら、かかるラツピング装置において
は、定盤の内周側と外周側とで周速が異なるた
め、被加工物を全長にわたつて均一な条件で仕上
げ加工するのが困難であり、できるだけ加工条件
の均一化を図るためには、被加工物を前後反転さ
せて加工するなどの手数が必要であつた。

発明が解決しようとする問題点 本発明は前述した従来技術の欠点に鑑みてなさ
れたもので、周速に違いのある定盤上で円筒形ま
たは円柱形からなる被加工物の外周面全体に均一
な仕上げ加工を施すことができるようにすること
をその技術的課題とするものである。

問題点を解決するための手段 前述の課題を解決するために、本発明のラツピ
ング装置は、円筒形または円柱形の被加工物をラ
ツプ加工する回転自在の定盤と、該定盤に対向し
て配設された被加工物用支持体とを有し、該支持
体は、被加工物に同時に当接して該被加工物を定
盤に圧接する回転自在の一対の保持ローラを有す
ると共に、これらの保持ローラに当接して各保持
ローラを背後から支持する回転自在の主ローラを
有し、これらの保持ローラと主ローラとを、定盤
の半径方向の直線に対して軸線を傾斜させて配設
したことを特徴とするものである。

作 用 回転する定盤と保持ローラとの間に被加工物の
先端を挿入すると、該被加工物は、保持ローラに
より定盤に圧接された状態で該定盤の回転により
回転せしめられ、同時に、軸線方向へ自動的に送
られて定盤を横断し、その表面の仕上げ加工が行
われる。

即ち、被加工物が定盤の半径方向の直線に対し
て傾斜した状態に供給されると、該被加工物は、
定盤の回転によりその接線方向の作用力を受ける
が、この作用力は、被加工物の軸線方向の分力及
び軸線と直交する方向の分力を生じ、該被加工物
は、軸線と直交する方向の分力によつて回転せし
められると同時に、軸線方向の分力によつて定盤
の内側へと送られる。従つて、該被加工物は、周
速の大きい外周側から周速の小さい内周側に向け
て定盤を横断する間に、その全長にわたつて均一
に仕上げ加工されることになる。

効 果 被加工物を定盤に圧接する保持ローラを該定盤
の半径方向の直線に対して軸線が傾斜するように
配設したので、被加工物を定盤と該保持ローラと
の間に挿入することにより、該被加工物を定盤を
横断する方向に自動的に送りながら加工すること
ができ、これによつて、被加工物の全長にわたつ
て均一な加工を行うことができる。

実施例 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明するに、第１図において、１は円環状に形成
した定盤を示し、該定盤１は、中空回転軸４と一
体の定盤受５に連結ピン６が固定的に取付けら
れ、上記中空回転軸４は、内部に駆動装置等を収
納した本体ケーシング２に軸受３により回転自在
に支持されている。

また、上記本体ケーシング２には、定盤１の回
りに等間隔で複数の支柱７，７，……が立設さ
れ、該支柱７にばね板８を介して円環状の取付板
９がボルト８ａにより取付けられており、該取付
板９は、定盤１上に対面した状態に配置され、ば
ね板８の作用で該定盤１に対して近接・離間する
方向に弾力的に変位し得るようになつている。そ
して、該取付板９の下面には、被加工物の支持体
１０が一定間隔で複数組取付けられている。

上記支持体１０は、第２図〜第４図からも明ら
かなように、天板部１１ａの両端にローラ取付部
１１ｂ，１１ｂを垂直に備えたコ字状の枠１１
に、円筒形または円柱形の被加工物Ｗに同時に当
接して該被加工物Ｗを定盤１に圧接する二つの保
持ローラ１２，１２と、これらの保持ローラ１
２，１２に同時に当接して各保持ローラ１２，１
２を背後から支持する主ローラ１３とを、軸受１
４，１５を介してそれぞれ回転自在に支承させた
もので、各支持体１０は、天板部１１ａ上に植設
したピン１６によつて取付板９に回転自在に枢支
し、ピン１６の両側に位置するボルト１７によ
り、定盤１の半径方向の直線Ａに対してθ゜だけ傾
斜するように固定している。従つて、各ローラ１
２，１３も軸線が上記直線Ａに対してθ゜だけ傾斜
することになる。この支持体１０の傾斜方向は、
その内側の端部が定盤１の回転方向前方を向くよ
うに設定されている。そして、上記支持体１０の
傾斜角度θを変化させることができるようにする
ために、取付板９におけるボルト挿通孔１８，１
８は、ピン１６を中心とする円弧状の長孔となつ
ている。さらに、上記中空回転軸４の内部には、
本体ケーシング２内に設けたエアシリング等によ
り昇降可能な軸杆１９が挿通され、該軸杆１９の
上端部に受台２０が設けられ、この受台２０に製
品の受皿２１が載置されている。そして、該受皿
２１は、軸杆１９を昇降させることによつて第１
図に実線で示した如く定盤１と略同一高さにある
製品受取位置と、同図に二点鎖線で示した如く取
付板９の上方にまで上昇した製品取出し位置との
間に変位せしめられるようになつている。

なお、図中２２はラツプ剤の受け部、２３は本
体ケーシング２と中空回転軸４との間に設けたシ
ール部材である。

本実施例は前述のように構成されるが、次にそ
の作用について説明する。

まず、定盤１の表面に砥粒を含むラツプ剤を供
給しつつ、本体ケーシング２内に設けた減速モー
タ等の駆動手段により中空回転軸４を駆動し、定
盤１を回転させる。この状態で、図中矢印Ｘで示
した方向即ち定盤の外側から円筒形または円柱形
の被加工物Ｗを保持ローラ１２，１２と定盤１と
の間に挿入すると、該被加工物Ｗは、第５図に示
したように、保持ローラ１２，１２によつて定盤
１上に圧接され、定盤１の回転により保持ローラ
１２，１２間の位置での回転と軸線方向への送り
とが与えられ、その表面の仕上げ加工が行われ
る。このとき、保持ローラ１２及び主ローラ１３
も追随して回転する。

即ち、第４図に示すように、被加工物Ｗが定盤
１の半径方向の直線Ａに対してθ゜傾斜した状態で
供給されると、該被加工物Ｗは、定盤１の回転に
よりその接線方向の作用力Ｖを受けるが、この作
用力Ｖは、被加工物の軸線方向の分力Vsと軸線
に直交する方向の分力V₀とを生じ、この分力V₀
によつて該被加工物Ｗが回転せしめられると同時
に、軸線方向の分力Vsによつてその軸線方向へ
と送られる。そして、その回転に伴い、保持ロー
ラ１２の軸受１４における回転摩擦抵抗及び主ロ
ーラ１３の軸受１５における回転摩擦抵抗、並び
に各ローラ間の接触抵抗からなる抵抗が被加工物
Ｗと定盤１との間の接点Ｓに作用し、その間に介
在するラツプ剤によつてラツピング仕上げが行わ
れる。

かくして、被加工物Ｗは、回転しながら定盤１
の周速の大きい外周側から周速の小さい内周面側
に向けて引き込まれ、定盤１を横断する間にその
全長にわたり均一で高精度のラツピング仕上げが
行われる。そして、加工の完了した被加工物Ｗ
は、定盤１の内周面から受皿２１に送り込まれ
る。

このようにして被加工物Ｗを順次定盤に供給す
ることによつて連続的に加工を行うことができ、
受皿２１に所定の製品がたまると、軸杆１９を上
昇させて受皿２１から製品を取出したり、受皿２
１自体を取替える等により製品が搬出される。

上記被加工物Ｗの送り速度は、直線Ａと被加工
物Ｗとの間の角度θ及び定盤１の周速によつて決
まるから、被加工物の材質や所望の仕上げ精度に
応じて支持体１０の向きを変化させたり、定盤１
の周速を変えることにより、送り速度即ち加工時
間を調整して被加工物に適合した加工精度を得る
ことができる。

なお、前述とは直径の異なる被加工物Ｗを加工
する場合には、第６図に示したように、この被加
工物Ｗの直径に応じた径の保持ローラ２５，２５
を使用すればよい。そして、この場合には、保持
ローラとその軸受とを一体化したものを枠１１に
取付け、これを適宜交換するようにするとか、ま
たは支持体１０を交換したり、取付板９全体を取
替えるようにすることもできる。また、主ローラ
１３にモータ等を付設してこれを回転駆動するよ
うに構成してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２
図はその要部拡大図、第３図は第２図の右側面
図、第４図は第１図の部分平面図、第５図は作動
説明図、第６図は異径の被加工物を加工する際に
おける装置の説明図である。 １……定盤、１０……支持体、１２……保持ロ
ーラ、１３……主ローラ、Ｗ……被加工物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円筒形または円柱形の被加工物をラツプ加工
   する回転自在の定盤と、該定盤に対向して配設さ
   れた被加工物用支持体とを有し、該支持体は、被
   加工物に同時に当接して該被加工物を定盤に圧接
   する回転自在の一対の保持ローラを有すると共
   に、これらの保持ローラに当接して各保持ローラ
   を背後から支持する回転自在の主ローラを有し、
   これらの保持ローラと主ローラとを、定盤の半径
   方向の直線に対して軸線を傾斜させて配設したこ
   とを特徴とするラツピング装置。