JPH0221489Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、溶接用ワイヤの収納パツクに関し、
詳細には搬送時の振動等によつて収納ワイヤの積
層状態が乱れ、ワイヤ引き出し使用時にワイヤの
もつれや絡み合いが生じるのを防止する為に、パ
ツク内に収納ワイヤの移動を防止する機構を設け
た溶接用ワイヤ収納パツクに関するものである。

溶接用ワイヤ収納パツクは大量の溶接用ワイヤ
を収納し、これを連続的に引き出して使用する目
的で利用されている。この様なワイヤ収納パツク
にとつて溶接用ワイヤを大量収納できることや取
扱いが容易であること等の他に、溶接用ワイヤを
もつれのない状態で引き出し得る様に収納できる
ことが重要であり、具体的には第１図（一部破断
側面図）の様な円筒状パツクが利用されている。

即ち円筒状パツク１は、外筒２の一方端に一体
若しくは別体の底板３を設けた有底筒状パツクで
構成し、更に該底板３のほぼ中央部には内筒４が
一体に配置されている。そして溶接用ワイヤ５の
収納に際しては、前記筒状パツクをワイヤ落し込
み装置の排出側所定部に配置すると共に、ワイヤ
は、該パツクの内筒４を取り囲み外筒２に内接す
る様なループ状に湾曲させ、その中心を該パツク
の中心より偏心させた位置において円軌跡を描く
様に順次移動させながら積層して収納する。この
様にして収納したワイヤは、ループが花模様を形
成しながら一部ずつ重なるように積層されている
のでワイヤ間に十分な空間が形成され、圧密状態
を形成しておらず、ワイヤの引き出しが円滑に行
なわれる。

ところでこの様な溶接用ワイヤ収納パツクにお
いては、鉄道やトラツク等で搬送する時の振動に
よつてワイヤ収納状態が乱れることがあり、これ
を防止するために例えば第１図に示す様に、ワイ
ヤ積層面上にスポンジ製押え部材６を載置してい
る。即ち該押え部材６は、スポンジの弾発力によ
つて外筒２と内筒４とに押圧固定され、はね上ろ
うとするワイヤの動きを抑止する様に作用するも
のであり、現状においては所期の目的は十分に果
たされていると見てよい。しかるに大きな振動や
長時間の振動が繰り返されているうちに、ワイヤ
間の上記空間が徐々に圧密化され粉粒体の振動充
填でみられる様な見掛上の嵩減りが生じ積層面が
徐々に低下してくる。この様な状態になると押え
部材６とワイヤ５積層上面の間に隙間が形成され
はじめ、振動に対してワイヤは一層動き易くなつ
てワイヤが押え部材６を押し上げ上記隙間がさら
に拡大すると共に、ワイヤのはね上りが起こり、
ワイヤ層の逆転や乱れが発生する。その結果ワイ
ヤ引き出し時にもつれ等が起こり溶接作業そのも
のに支障をきたすことがあつた。

この様な振動による積層ワイヤの乱れに対して
は、上記以外にも種々の対策が試みられており、
例えばワイヤが収納されたパツクを予め振動させ
て、ワイヤの積層密度を大きくしたり、或いはワ
イヤへの押圧力を増す為に上記スポンジ製押え部
材の代りに、周縁部のみをスポンジで形成して外
筒２内壁との固定力をある程度保持しながら、中
央部を鋼材で形成して自動降下を容易ならしめ、
収納ワイヤの重りを兼ねる様な構成の押え部材も
使用されている。更にワイヤを密に積層する方法
も研究されているが、今のところ上記問題を完全
に解決するまでには至つていない。

本考案は、こうした事情に着目してなされたも
のであつて、搬送中の振動等を受けてもワイヤの
積層形態が崩れることの無い様な溶接用ワイヤ収
納パツクを提供することを目的とするものであ
る。

しかして本考案の溶接用ワイヤ収納パツクと
は、底板、外筒、内筒及び蓋板から構成される容
器の外筒と内筒との間に形成される横断面環状空
間へ溶接用ワイヤをループ状に湾曲させながら積
層収納した溶接用ワイヤ収納パツクであつて、内
筒に軸方向に沿つて長穴を複数本形成すると共
に、内筒の内部から該長穴を貫通して内筒の外面
に及ぶ押え部材を積層ワイヤ上に載置し、内筒の
内部側における該押え部材の略中心位置と底板の
略中央点を引張勝手の弾性部材で連結してなる点
に要旨がある。

以下本考案を実施例図面に沿つて説明するが、
該説明は本考案を限定する趣旨のものではなく、
前・後記の趣旨に徴して適宜設計変更を加えるこ
と等は全て本考案の技術的範囲に含まれる。

第２図は本考案実施例の溶接用ワイヤ収納パツ
クの一部破断斜視図である。パツク１自体の主た
る構成は第１図と略同等であり、外筒２、底板
３、内筒４及び蓋板８から構成され、ループ状に
湾曲されたワイヤ５は内筒４の周囲に、該ループ
の中心が略円形を描きつつ外筒２内壁に内接する
様に積層収納されている。そして内筒４の軸対称
位置（図では互いに180度離れた位置の２点）に、
パツク軸方向に沿つた長穴９，９を形成してい
る。

長穴９は最大量の溶接用ワイヤを収納したとき
に達する積層高さ位置よりやや上側から、パツク
軸方向に向けて若干長さ（嵩べりによるワイヤ収
納高さの低下分）に亘つて形成しておけば十分で
あるが、実際には剛体状の押え部材（後述）を該
長穴に斜め方向から挿入する為に必要な余裕を確
保した長さに亘つてやや長めに形成することが望
まれる。尚伸縮自在の組み合わせ棒を用いるとき
は、例えば第５図に基づいて後述する如く、この
様な配慮は不必要である。

実施例に示した押え部材１０は剛性棒状部材で
あり、前記長穴９，９を貫通してその両端が内筒
４と外筒２との間に至り、積層ワイヤ５上面に載
置される。一方底板３の略中央部にはフツク１１
が固設され、前記押え部材１０の略中心下面側に
固定されたゴムやばね等の弾性部材１２の下端が
連結され、押え部材１０が下方に強く引かれる。

尚弾性部材１２は下側端部にリング或いはフツ
クを形成し、該リング又はフツクをフツク１１に
引つかけて連結する様にしておけば作業性がよ
く、又振動等によつて簡単にはずれることはな
い。これにより押え部材１０は所定の力でワイヤ
積層面上に押圧され、パツクが振動をうけても収
納ワイヤ５がパツク内ではね上ることはないばか
りか、振動充填の効果によつて嵩べりが起こつて
も押え部材１０がそれに追従して降下するので、
積層ワイヤの上面は常に押し付けられ、且つ押え
部材１０とワイヤ上面の間に隙間は生じないので
従来技術の項において述べたような欠点、即ち隙
間の形成によるワイヤのはね上りやワイヤ輪の逆
転、更にはワイヤのもつれ等は発生せず、ワイヤ
引き出し時に支障の生ずることもない。

尚押え部材は、木、厚紙、合成樹脂、金属等剛
性を有する材料であればいずれを使用してもよ
い。又その形状も上記実施例の棒状に限定される
訳ではなく、例えば第３，４図に示す棒に３方向
或いは４方向に突出子１０ａを有するもの等も利
用できる。この場合は、内筒に形成する長穴もそ
れらの突出子に対応して３方向或いは４方向、換
言すれば内筒外周縁に120度毎或いは90度毎に穿
設すればよい。尚突出子は夫々軸心から等角度の
放射状方向に形成したが、非等角度であれば弾性
部材１２による下方向への引張り力の周方向への
分散がアンバランスになるので推奨できない。

上述の押え部材はいずれも全体として棒状のも
のを示したが、積層ワイヤ上に載置するに際し、
押え部材の突出部を第５図に示す様に伸縮自在型
とすること、即ち内筒内周円より短尺の板１２上
に設ける突出部１０ｂを、蟻溝１３に沿つて摺動
自在に形成し、ロツク用ばね１４で係止した押え
部材を使用することも本考案の実施態様に含まれ
る。又折り畳み方式も同様に採用できる。

本考案は概略以上の様に構成されているので、
搬送時による振動等をうけても、収納ワイヤの積
層状態が崩れず、又ワイヤ輪の逆転や落ち込みも
発生せず、ワイヤ引き出し性の良好な溶接用ワイ
ヤ収納パツクを提供することができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の溶接用ワイヤ収納パツクを示す
一部破断側面図、第２図は本考案の実施例パツク
を示す一部破断斜視図、第３，４図は本考案に係
る押え部材の説明平面図、第５図は本考案に係る
突出子が進出自在である押え部材の説明斜視図で
ある。 １……パツク、２……外筒、３……底板、４…
…内筒、５……積層ワイヤ、６……スポンジ製押
え部材、８……蓋板、９……長穴、１０……剛性
体製押え部材、１１……フツク、１２……弾性部
材、１３……蟻溝、１４……ロツクばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底板、外筒、内筒及び蓋板から構成される容器
   の外筒と内筒との間に形成される横断面環状空間
   へ溶接用ワイヤをループ状に湾曲させながら積層
   収納した溶接用ワイヤ収納パツクにおいて、内筒
   に軸方向に沿つて長穴を複数本形成すると共に、
   内筒の内部から該長穴を貫通して内筒の外面に及
   ぶ押え部材を積層ワイヤ上に載置し、内筒の内部
   側における該押え部材の略中心位置と底板の略中
   央点を引張勝手の弾性部材で連結してなることを
   特徴とする溶接用ワイヤ収納パツク。