JPH0220807Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は環状巻鉄心を用いた変圧器の如き静止
誘導電気機器に関するものである。

［従来の技術及び解決すべき問題点］ 最近アモルフアス合金板を用いて変圧器の鉄心
を構成することが研究されているが、アモルフア
ス合金板は非常に薄いため、これを用いて変圧器
鉄心を構成する場合には、巻鉄心の構造にするの
が有利である。従来、環状巻鉄心の外面を囲繞す
るように該鉄心の周方向に沿つていわゆるトロイ
ダル状に巻線を巻回する環状鉄心変圧器が種々提
案されているが、この種の変圧器においては、鉄
心部分が露出していないため、該変圧器をケース
内に収納する場合に、変圧器本体を吊上げること
が困難であり、また鉄心に固定具を取付けること
ができないため、該変圧器本体をケース内に位置
決め固定することが困難であつた。

［考案の目的］ 本考案の目的は、環状鉄心を用いた電気機器本
体の吊上げを容易に行なうことができる上に該本
体のケース内での位置決め及び固定を簡単且つ確
実に行なうことができるようにした静止誘導電気
機器を提供することにある。

［考案の構成］ 本考案は、環状巻鉄心の外面を囲繞して該鉄心
の周方向に沿つて巻線を巻回してなる電気機器本
体を前記鉄心の軸線を上下方向に向けてケース内
に収納してなる静止誘導電気機器であつて、本考
案においては、前記電気機器本体の下端と前記ケ
ースの底部との間に配設されて該ケースの底部に
設けられた位置決め部に係合して該ケース内で位
置決めされた支持板と、前記電気機器本体の中心
部を貫通させて設けられた絶縁筒体と、前記電気
機器本体の上端に配設された固定用取付板と、前
記絶縁筒体を貫通させて設けられて下端が前記支
持板に連結され上端が前記固定用取付板に設けら
れた軸貫通孔に絶縁ブツシユを介して嵌合されて
該取付板より上方に突出した締付軸体と、前記締
付軸体の上端に設けられたネジ部に螺合されて前
記取付板と支持板とを前記電気機器本体を間にし
て相互に接近する方向に締付ける締付けナツトと
が設けられ、前記取付け板の両端には前記ケース
の内面に当接するケース固定部が設けられ、該ケ
ース固定部が前記ケースに固定されている。

［考案の作用］ 上記のように構成すると、電気機器本体は、支
持板と固定用取付板との間に挟持された状態で両
板により締付けられ、且つ該本体の中心部を貫通
させて絶縁筒体が配設されているので、電気機器
本体の鉄心及び巻線は所定の位置関係に確実に位
置決めされた状態に保持される。従つて、取付板
を手で持つか、または該取付け板若しくは締付軸
体に吊り金具を取付けることにより、鉄心及び巻
線相互間の位置関係を乱すことなく電気機器本体
を吊上げることができる。従つて電気機器本体を
ケース内に収納する作業を容易に行なうことがで
きる。電気機器本体をケース内に収納した状態で
は、支持板がケース底部の位置決め部に係合して
位置決めされ、且つ取付板のケース固定部がケー
スの内面に当接するので、電気機器本体のケース
内に於ける位置決めが容易且つ確実に行なわれ
る。また取付板のケース固定部がケースに固定さ
れるので、電気機器本体がケース内に強固に固定
される。また締付軸体は絶縁筒体の内部を貫通さ
せて設けられているので、該締付軸体を設けたこ
とにより巻線の対地絶縁強度が低下することはな
い。

［実施例］ 以下本考案の実施例を添附図面を参照して説明
する。

第１図は本考案の実施例の電気機器の縦断面
図、第２図は第１図の−線断面図である。第
１図及び第２図において、１は有底円筒状に形成
されたケース、２はケース１内に収納された電気
機器本体であり、ケース１及び電気機器本体によ
り静止誘導電気機器３が構成されている。電気機
器本体２は、環状巻鉄心４と、該鉄心４の外面を
囲繞するように巻回導体を巻回して構成した高圧
巻線５及び低圧巻線６とからなつている。

鉄心４は例えば、帯状のアモルフアス合金板を
所定ターン数巻回することにより形成した同寸同
形状の４個の（この数は任意）環状分割鉄心４０
１乃至４０４を軸方向に積重ねており、該分割鉄
心４０１〜４０４の積層体の外面が絶縁被覆（例
えば接着テープ）４１０により一括して包覆され
て、環状鉄心４が構成されている。

鉄心４の内周側には円筒状の巻枠７が嵌入さ
れ、この巻枠７には周方向に適宜間隔をあけて、
径方向の内側に突出する多数の隔壁７０１，７０
１．…（第２図参照。）が一体に形成されている。
巻枠７の各隔壁間に幅狭条導体を位置させて鉄心
４を囲繞するように該条導体を巻回することによ
り適当ターン数の高圧分割巻線５０１が巻回さ
れ、鉄心４の周方向に並設された高圧分割巻線５
０１，５１０，…が直列接続されて高圧巻線５が
形成されている。高圧巻線５の内周側には巻線間
絶縁筒８が配設され、この巻線間絶縁筒８の内側
に低圧側部導体６０１，６０１，…が鉄心４の周
方向に沿つて俵積み状態で配置されており、鉄心
４の外周側では、高圧分割巻線５０１，５０１，
…の間に低圧側部導体６０２，６０２…が配置さ
れている。高圧巻線の上下端面全体を覆うように
円環状絶縁板９，１０が配設され、絶縁板９の上
に配置された上部渡り導体６０３，６０３，…及
び絶縁板１０の下側に配置された下部渡り導体６
０４，６０４…により、それぞれ低圧側部導体６
０１，６０１，…と６０２，６０２，…の上端側
同志及び下端側同志が、連続した巻線を形成する
ように順次接続されて低圧巻線６が構成されてい
る。高圧巻線５及び低圧巻線６の外周を覆うよう
に筒状の外側絶縁材１１が配設されている。以上
の各部により電気機器本体２が構成されている。

上記電気機器本体２の下端を覆うように環状の
下部絶縁板１２が配設され、該絶縁板１２とケー
ス１の底部との間には金属円板からなる支持板１
３が配設されている。支持板１３の中央部に設け
られた孔１３ａにケース１の底部に突設された位
置決め部１４が嵌合され、これにより該支持板１
３がケース１内に位置決めされている。位置決め
部１４は円柱体の上端にテーパを付けたものから
なり、溶接によりケース１の底部に固定されてい
る。このように位置決め部１４にテーパを設けて
おくと、電気機器本体をケース内に収納する際に
支持板１３の中央の孔１３ａを該位置決め部１４
に容易に嵌合させることができる。支持板１３の
上面中央部には、孔１３ａに整合させてボス１５
が溶接され、支持板１３の中央の孔１３ａを貫通
した位置決め部１４が該ボス１５の内側に嵌合さ
れている。

電気機器本体の低圧巻線６の内側（電気機器本
体２の中心部）には例えば樹脂注型された絶縁筒
体１６が嵌入されている。この絶縁筒体１６を低
圧巻線の内側に挿入し易くするため、該絶縁筒体
１６の上下両端にはテーパが付けられている。絶
縁筒体１６の軸芯部の孔には両端にネジ溝を形成
した締付用軸体１７が挿通され、この締付用軸体
１７の下端は前記ボス１５に設けられた雌ネジ１
５ａに螺入されている。

上記電気機器本体２の上端には上部環状絶縁板
２０が配設され、該絶縁板２０の上には固定用取
付板２１が配設されている。固定用取付板２１は
所定幅寸法の帯金でできており、その両端には上
方に直角に折れ曲がつてケース１の側壁の内面に
当接するケース固定部２１ａ，２１ａが設けられ
ている。また絶縁板２０の中央部及び固定用取付
板２１の長手方向の中央部には、互いに整合する
孔２０ａ及び２１ａがそれぞれ設けられ、これら
の孔に絶縁ブツシユ２２が嵌合されている。前記
締付軸体１７はこの絶縁ブツシユ２２を貫通して
取付板２１の上方に突出し、該取付け板２１の上
方に突出した軸体１７の上端のネジ部に締付ナツ
ト２３が螺合されている。このナツト２３の締付
により固定用取付板２１と支持板１３とが電気機
器本体を間にして互いに近付く方向に締付けら
れ、取付板２１と支持板１３との間に電気機器本
体２が挟持されている。固定用取付板２１の両端
のケース固定部２１ａ，２１ａには取付孔２１
ｂ，２１ｂが設けられ、ケース１の側壁には該取
付け孔２１ｂ，２１ｂに整合する孔（図示せず）
が設けられている。ケース１の側壁に設けられた
図示しない孔をケースの外側から液密に閉じるよ
うにケース１内に開口する袋ナツト２５，２５が
溶接により取付けられ、取付板２１のケース固定
部２１ａ，２１ａに設けられた孔２１ｂ，２１ｂ
を貫通させた取付けボルト２６，２６を袋ナツト
２５，２５に螺入することにより取付板２１がケ
ース１に対して固定されている。ケース１内には
絶縁油が充填され、該ケースの上端開口部が図示
しない蓋板により閉じられて静止誘導電気機器が
完成される。

上記のように構成された電気機器は、鉄心及び
高、低圧巻線からなる電気機器本体２が支持板１
３と固定用取付板２１とで挟持されているので、
固定用取付板２１を把持するか又は締付軸体１７
の上端部（ナツト２３より上方に突出している端
部）に図示しない吊金具を螺合させて取付けるこ
とにより、電気機器本体の吊上げが可能である。
そして電気機器本体をケース内に吊り降ろした場
合には、ケースの底部の位置決め部１４が支持板
１３の孔１３ａとボス１５とに嵌合するので、電
気機器本体の位置決めを容易に図ることができ
る。また取付けボルト２６で固定用取付板２１を
ケース１に固定することにより、電気機器本体２
の上側を強固に支持することができる。なお、低
圧巻線６の内側（中心側）には絶縁筒体１６を嵌
入してあるため巻線及び鉄心の位置決めが確実で
あり、電気機器本体の各部を一体化された状態に
保持することができる。

上記実施例のように、固定用取付板と締付軸体
との間に絶縁ブツシユを介在させると、これらと
ケース及び下側の支持板とで電気的閉回路が生じ
るのを防ぐことができるので、電気的閉回路に短
絡電流が流れて損失及び発熱が多くなるのを防止
することができる。

上記実施例のように、電気機器本体２の全体的
な形状を円筒状乃至は円柱状とし、ケースを円筒
状とすると、油量の節減を図ることができるの
で、電気機器の小型、軽量化を図ることができ
る。

上記の実施例では、変圧器に本考案を適用した
が、リアクトル等の他の静止誘導電気機器に本考
案を適用することがでるのは勿論である。

［考案の効果］ 以上のように本考案によれば、環状鉄心とこの
鉄心に巻回した巻線とからなる電気機器本体を、
ケースに簡単に収納でき安定した固定状態を得る
ことができる。また固定用取付板と締付軸体との
間に絶縁ブツシユを介在させたので、これらとケ
ース及び下側の支持板とで電気的閉回路が生じる
のを防ぐことができ、電気的及び機械的に優れた
静止誘導電気機器を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示した縦断面図、
第２図は第１図の−線断面図である。 １……ケース、２……電気機器本体、３……静
止誘導電気機器、４……環状鉄心、５……高圧巻
線、６……低圧巻線、１３……支持板、１６……
絶縁筒体、１７……締付軸体、２１……固定用取
付板、２３……締付ナツト、２６……締付ボル
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環状巻鉄心の外面を囲繞して該鉄心の周方向に
   沿つて巻線を巻回してなる電気機器本体を前記鉄
   心の軸線を上下方向に向けてケース内に収納して
   なる静止誘導電気機器において、前記電気機器本
   体の下端と前記ケースの底部との間に配設されて
   該ケースの底部に設けられた位置決め部に係合し
   て該ケース内で位置決めされた支持板と、前記電
   気機器本体の中心部を貫通させて設けられた絶縁
   筒体と、前記電気機器本体の上端に配設された固
   定用取付板と、前記絶縁筒体を貫通させて設けら
   れて下端が前記支持板に連結され上端が前記固定
   用取付板に設けられた軸貫通孔に絶縁ブツシユを
   介して嵌合されて該取付板より上方に突出した締
   付軸体と、前記締付軸体の上端に設けられたネジ
   部に螺合されて前記取付板と支持板とを前記電気
   機器本体を間にして相互に接近する方向に締付け
   る締付けナツトとを具備し、前記取付け板の両端
   が前記ケースに接続されていることを特徴とする
   静止誘導電気機器。