JPH0220207B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、複数条分のマツト状苗を並列載置
する苗のせ台に、各条ごとのマツト状苗を搬送ベ
ルトで下方苗取出し部に供給する苗送り機構を装
備するとともに、各条のマツト状苗に対応して配
備した複数の植付爪のうちの一部を独立的に作動
停止させる少数条植え用クラツチを備えた田植機
に関する。

〔従来技術〕

従来、各条ごとの苗送り機構における搬送ベル
トは、共通駆動軸によつて同期的に駆動されるよ
うになつており、少数条植え用クラツチを操作し
て一部の植付爪を停止させた場合にも、全ての搬
送ベルトは依然として駆動されていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従つて、植付休止状態の条のマツト状苗は、苗
のせ台下端に沿つて配備されている摺動枠に下端
を受止められた状態で搬送ベルトの送り作用を受
けることとなり、この休止条のマツト状苗が損傷
するものであつた。そこで、少数条植えを行う場
合には、休止条のマツト状苗を搬送ベルトが作用
しない上方位置まで引上げ保持しておくか、マツ
ト状苗を苗のせ台から取外しておかねばならず、
又、全条植えに戻るときにマツト状苗の再セツト
が必要であり、少数条植えを行う前後の苗処理が
煩わしいものとなつていた。

又、このような不具合を解消する手段として、
各搬送ベルトの駆動側プーリーへの動力を断続す
るクラツチを設けて少数条植え用クラツチの植付
爪停止作動に連動して、これに対応する条のベル
ト停止用クラツチを切ることも考えられるが、苗
送り機構の伝動構造が複雑かつ高価につくもので
あり、実用上に難点があつた。

この発明は、各搬送ベルトごとに伝動クラツチ
を必要とすることのない簡単な構成で、植付爪が
停止された条に対応する搬送ベルトのみを停止で
きるようにすることを目的とする。

〔問題を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本発明の特徴構成
は、少数条植え用クラツチの植付爪停止作動に連
動して、停止植付爪に対応する条の苗送り機構に
おける搬送ベルトを巻回した従動側プーリーの回
転を停止させる制動機構を設け、この従動側プー
リーと搬送ベルトとの摩擦抵抗を搬送ベルトとこ
れを巻回した駆動側プーリーとの摩擦抵抗より大
に設定してある点にある。

〔作用〕

上記構成によれば、植付爪が停止された条に対
応する苗送り機構における従動側プーリーが停止
されることで、搬送ベルトに摩擦抵抗が働いて、
ベルトと駆動側プーリーとの間にスリツプが生
じ、駆動側プーリーが他の条の搬送ベルトの駆動
側プーリーと一体に駆動されながら、植付け休止
条の搬送ベルトのみが作動停止される。

〔発明の効果〕

従つて、各搬送ベルトの駆動側プーリーへの動
力断続を行うための複雑かつ高価なクラツチを用
いることなく、比較的簡単な制動機構を追加する
だけで、植付け休止条の搬送ベルト停止を行うこ
とが可能となつた。

〔実施例〕

第２図に乗用型田植機の全体側面が示される。

この田植機は、乗用走行車体１の後部に前傾斜
姿勢の苗のせ台２を備えた６条植え植付装置３が
昇降調節自在に連結され、前記苗のせ台２はその
下端苗取出し部４において上下循環作動する６組
の植付爪５に対して一定ストロークで往復横移動
され、６列に並列載置されたマツト状苗Ｗの下端
から一株づつ苗ブロツクを順次切出して植付ける
よう構成され、又、下端一列の切出しが終了した
ストロークエンドにおいてマツト状苗Ｗを下方に
送るよう構成されている。

前記苗のせ台２には、第３図に示すように、苗
送り機構Ａとして、上下に比較的長くかつ左右広
幅のゴム製搬送ベルト６が１条分ごとに左右一対
づつ設けられている。この搬送ベルト６は苗のせ
台ストロークエンドごとに一定角度づつ回転駆動
される下部駆動側プーリー７と、上方に張られた
遊転テンシヨン型従動側プーリー８に亘つて巻回
されたものであつて、その外周面には多数の先細
り状の係止突起９が千鳥状に一体突設されてい
る。そして、前記駆動側プーリー７……は全て一
体的に連動して駆動および停止されるが、前記従
動側プーリー８は隣接する２条分づつ独立に支承
されている。

又、左右縦搬送ベルト６，６の中間で、かつベ
ルト上下中間に相当して、苗残量検出用センサ１
０の感知片が苗載置面上に突出付勢して設けられ
ており、マツト状苗Ｗが前記センサ１０を通過す
ると、その感知片の突出作動によつてセンサ１０
が働き、図外の警報装置を作動させて苗補給の必
要が運転者に知らされるようになつている。

１２は、隣り合う２条分づつの植付爪５，５の
駆動および停止を司る少数条植え用クラツチであ
つて、計３個設けられている。また、１３は隣り
合う２条分の搬送ベルト６……の従動側プーリー
８……に対する制動機構であり、これも計３個設
けられている。この制動機構１３は、制動アーム
１３ａの遊端に揺動ブラケツト１３ｂを介して取
付けたゴム等の制動ブロツク１１，１１を従動側
プーリー８，８の外周面に押圧作用させるよう構
成されている。

そして、１４は前記少数条植え用クラツチ１２
に対して入り切り操作を行なうためのクラツチレ
バーであつて、このクラツチレバー１４の植付爪
５停止操作（クラツチ切り操作）に連動して、そ
の停止植付爪５に対応する苗送り機構Ａの搬送ベ
ルト６を停止させるべく、その従動側プーリー８
の外周面に前記制動片１１を押付けるように制動
機構１３を作動させ、その従動側プーリー８の回
転を停止させ、もつて、搬送ベルト６と駆動側プ
ーリー７との間でスリツプを生じさせるように構
成してある。

上記のように従動側プーリー８を制動停止した
ときに、駆動側プーリー７と搬送ベルト６との間
でスリツプを生じさせるためには、搬送ベルト６
と従動側プーリー８との摩擦抵抗が搬送ベルト６
と駆動側プーリー７との摩擦抵抗より大きいこと
が必要であり、このため、第１図に示すように従
動側プーリー８を駆動側プーリー７よりも大径に
設定してある。

尚、搬送ベルト６と両プーリー８，７の摩擦抵
抗に差異を与える手段としては上記以外に各種の
ものが考えられ、例えば、第４図に示すように従
動側プーリー８のベルト巻回面のみを粗雑面に
し、駆動側プーリー７のベルト巻回面を平滑面と
するもよく、又、第５図に示すように従動側プー
リー８のベルト巻回面にのみ突起８ａを横すじ状
もしくは点状に設けるもよい。

又、従動側プーリー８を停止させる制動機構１
３としては、上記のように摩擦制動する方式の他
に、プーリー外周面に周方向に沿う多数のノツチ
を形成し、このノツチにロツク爪を係合させる方
式のものも考えられる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る田植機の実施例を示し、第
１図は苗搬送部の側面図、第２図は田植機の全体
側面図、第３図は苗のせ台の背面図、第４図及び
第５図は夫々従動側プーリーの別実施例を示す斜
視図である。 ２……苗のせ台、５……植付爪、６……搬送ベ
ルト、７……駆動側プーリー、８……従動側プー
リー、１２……少数条植え用クラツチ、１３……
制動機構、Ａ……苗送り機構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数条分のマツト状苗Ｗを並列載置する苗の
   せ台２に、各条ごとのマツト状苗Ｗを搬送ベルト
   ６で下方苗取出し部に供給する苗送り機構Ａを装
   備するとともに、各条のマツト状苗Ｗに対応して
   配備した複数の植付爪５……のうちの一部を独立
   的に作動停止させる少数条植え用クラツチ１２を
   備えた田植機であつて、前記少数条植え用クラツ
   チ１２の植付爪停止作動に連動して、停止植付爪
   ５に対応する条の苗送り機構Ａにおける搬送ベル
   ト６を巻回した従動側プーリー８の回転を停止さ
   せる制動機構１３を設け、この従動側プーリー８
   と搬送ベルト６との摩擦抵抗を搬送ベルト６とこ
   れを巻回した駆動側プーリー７との摩擦抵抗より
   大に設定してある田植機。 ２ 搬送ベルト６と従動側プーリー８及び駆動側
   プーリー７との各摩擦抵抗に差異を与える手段と
   して、従動側プーリー８を駆動側プーリー７より
   大径にしてある特許請求の範囲第１項に記載の田
   植機。 ３ 搬送ベルト６と従動側プーリー８及び駆動側
   プーリー７との各摩擦抵抗に差異を与える手段と
   して、従動側プーリー８のベルト巻回面を粗面
   に、駆動側プーリー７のベルト巻回面を平滑面に
   してある特許請求の範囲第１項又は第２項に記載
   の田植機。 ４ 搬送ベルト６と従動側プーリー８及び駆動側
   プーリー７との各摩擦抵抗に差異を与える手段と
   して、従動側プーリー８のベルト巻回面にのみ突
   起８ａ群を設けてある特許請求の範囲第１項又は
   第２項に記載の田植機。