JPH0445458Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、苗のせ台の下部に形成した広幅開口
に苗送り用ベルトを挿入して巻回張設した田植機
の苗送り装置に関するものである。

〔従来の技術〕 従来、上記のようにベルトを備えた苗送り装置
では苗のせ台に載置した苗を、ベルトの駆動力に
よつて下方に送るよう構成され、又、この種の装
置では苗送り時に苗の浮上がりを防止する目的で
苗の上面に接する位置に苗浮き上がり防止ガイド
杆を備えている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記構成の苗送り装置はマツト状苗の底面に広
い面積で接当することで確実に苗を送る機能を有
するものであるが、一般にベルトで構成された苗
送り装置は上下のプーリに亘つてベルトを巻回す
る構造であるため、上下のプーリ間でベルトが自
重で垂れ下り易く、又、苗が載置された場合には
苗の重量でベルトが一層垂れ下り易い不都合があ
つた。そして、この不都合はベルトと苗底面との
間に隙間を生じ、苗送りを不確実にするものとな
り、又、苗載置状態でのベルトの垂れ下りを放置
するとベルトが弛む現象に起因してベルトを駆動
するプーリとベルトとの間でスリツプを生じ苗送
りを不確実にするものとなつていた。

又、このようにベルトを用いて苗を送る構造の
ものではベルトの上面と苗とが広い面で接するた
め、マツト状苗を苗のせ台に補給する場合にベル
トの上面との接触によつてマツト状苗の滑動が妨
げられることから、苗の送り込みに手間が掛かり
やすく改善の余地がある。

本考案は、上記実情に鑑みて為されたものであ
つて、苗送りが確実で、しかも、苗の補給も楽に
行える苗送り装置を合理的に構成する点に目的を
有する。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は冒頭に記したように、苗のせ台
の広幅開口内に苗送り用のベルトを配置した苗送
り装置において、前記ベルトの搬送作用部を内面
側から受止めるベルト受け部材を、前記ベルトの
搬送作用方向での搬送作用域のうちの一部の域に
おいて、苗のせ台の苗のせ面よりも載置される苗
側にそのベルトの苗送り作用面が、押出されるよ
うに、苗のせ台との相対位置を設定して、前記開
口の左右側縁に架橋連結するとともに、前記ベル
トの上方において苗送り方向に沿つて配備した苗
浮上り阻止用のガイド杆を前記ベルト受け部材に
対向する部位において苗通過間隔を最少にし、そ
れより苗のせ台上端側ほど苗通過間隔を漸次増大
させてある点にあり、その作用、及び、効果は次
の通りである。

〔作用〕

上記特徴を例えば第１図に示すように構成する
と、ベルト受け部材１６は、その上端部を上下位
置のプーリ１２，１３に巻回されるベルト１４の
巻回面より苗側に突出する位置に設定しているの
で、ベルト１４の垂れ下りをベルト受け部材１６
によつて阻止すると共に、このベルト受け部材１
６の受圧面に位置するベルト１４がベルト受け部
材１６の上端部の接触で苗側に押出されマツト状
苗Ｗに対して、深く食い込み、この部位から苗搬
送方向の前後に離れるほどベルト１４の食い込み
が浅くなることから、苗送り時には、この深い食
い込み部でマツト状苗Ｗを良好に送るものであり
乍ら、浅い食い込み部が連なる状態で存在するの
で局部的に強い力を作用させることが無い。

又、第３図の如くベルト受け部材１６を従来か
ら形成されている開口１５の左右側縁に連結する
構造のため従来構成を略そのまま利用でき改造に
手間がかからない。

又、ガイド杆１７の苗通過間隔を上記の如く設
定し、ベルト受け部材１６の部分的な押出しによ
つて、この押出し箇所よりも苗送り方向での上手
側のベルト１４が、苗のせ台８の苗のせ面に近接
する傾斜姿勢になるので、苗のせ台８にマツト状
苗Ｗを送り込む場合には、ガイド杆１７、ベルト
１４夫々からの抵抗が低減されるものとなる。

〔考案の効果〕

従つて、苗を傷めるという不都合を生ずること
無く、確実に苗を送り、又、苗の補給も楽に行え
る苗送り装置が比較的簡単な改造で済む構造に形
成されたのである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図乃至第４図に示すように、座席１が配設
された走行機体２の後端に苗植付部Ａがリンク３
を介して駆動昇降自在に連結されて田植機が構成
されている。

苗植付部Ａは機体２から伝動軸４を介して駆動
入力されるフイードケース５、これに連設される
３つの植付ケース６……、植付ケース６……の上
部に取付けた摺動レール７、摺動レール７に左右
摺動自在に乗せつけた前傾姿勢の苗のせ台８、植
付ケース６……の後端に取付けた６つの植付アー
ム９……によつて構成されると共に、苗のせ台８
には、これに載置されるマツト状苗Ｗを下方に送
る苗送り装置Ｂが各条につき２つ左右に並設され
ている。

苗送り装置Ｂは、上下に間隔を隔てて配設した
支軸１０と駆動軸１１、及び、上方の支軸１０に
遊転支承されるプーリ１２と下方の駆動軸１１に
取付けられたプーリ１３、ならびに、上下の各プ
ーリ１２，１３に巻回されるゴム製ベルト１４等
で構成され、かつ、このゴム製ベルト１４の苗送
り作用面に複数の突条１４ａを形成してあると共
に、前記ゴム製ベルト１４の苗送り作用面を苗の
せ台８に形成された広幅の開口１５に入り込ませ
た状態に配設されている。

又、開口１５の左右側縁には別体のベルト受け
部材１６が、その両端に形成した係合部１６ａを
開口１５の左右側縁の延設部１５ａ，１５ａに係
合させることで架橋連結され、ベルト１４の裏面
を受け止めベルト１４の垂れ下りを防止している
とともに、ベルト１４の苗送り作用が苗のせ台８
の苗のせ面よりも載置苗存在側に押出されるよう
に、苗のせ台８との相対位置を設定して設けられ
ている。

苗のせ台８には苗の浮き上がりを阻止する略直
線上のガイド杆１７が各条に２本づつ下方から片
持ち状に、かつ、前記ベルト受け部材１６の上方
で苗通過間隔C₂が最少になるよう設定されて取
付けられている。

つまり、苗のせ台８の湾曲を利用することで前
記間隔C₂が苗送り方向上手端部の苗通過間隔C₁
及び苗送り方向下手端部の苗通過間隔C₃より小
になるようガイド杆１７の下方の苗通過間隔を順
次変化させて設けてある。

又、前述のように前記間隔C₁が前記間隔C₂よ
り大きく設定されているためマツト状苗Ｗの補給
がガイド杆１７に妨げられることなく運転席１か
ら楽におこなえるよになつている。

苗のせ台８には苗の残量が一定以下になつたこ
とを電気的に検出する接触式の苗残量センサ１８
が左右苗送り装置Ｂ，Ｂの中間位置で前記ベルト
受け部材１６に対し苗送り方向の少し上手に位置
するよう取付けられ、残り苗の上端が前記最少の
苗間隔C₂の位置より苗送り方向上手に位置させ
た状態で苗補給が行えるようになつている。

又、ガイド杆１７は軸芯Ｐ周りに上方に揺動さ
せることで端数条植を行う場合等の苗の移動が行
い易くなつている。

〔別実施例〕

本実施例は苗送り装置を各条に２つづつ配設し
てあつたが本考案は各条に１つ、あるいは２以上
のものに適用して良く、又、本実施例がガイド杆
を略直線状のものを用いていたが、これに代えて
ベルト受け部材上方で苗通過間隔が前述の如く最
少になるよう滑らかに屈曲させたガイド杆を用い
て実施しても良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係わる田植機の苗送り装置の実
施例を示し、第１図は苗送り装置を示す縦断側
面、第２図は苗植付部及び機体後部の側面図、第
３図は苗送り装置の背面図、第４図は第３図の
−線断面図である。 ８……苗のせ台、１４……苗送りベルト、１５
……開口、１６……ベルト受け部材、１７……ガ
イド杆。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 苗のせ台８の下部に形成した広幅開口１５に苗
   送り用ベルト１４を挿入して巻回張設した田植機
   の苗送り装置であつて、前記ベルト１４の搬送作
   用部を内面側から受止めるベルト受け部材１６
   を、前記ベルト１４の搬送作用方向での搬送作用
   域のうちの一部の域において、苗のせ台８の苗の
   せ面よりも載置される苗側にそのベルト１４の苗
   送り作用面が、押出されるように、苗のせ台８と
   の相対位置を設定して、前記開口１５の左右側縁
   に架橋連結するとともに、前記ベルト１４の上方
   において苗送り方向に沿つて配備した苗浮上り阻
   止用のガイド杆１７を、前記ベルト受け部材１６
   に対向する部位において苗通過間隔を最少にし、
   それより苗のせ台上端側ほど苗通過間隔を漸次増
   大させてある田植機の苗送り装置。