JP3769838B2 - 苗移植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、10条植え等の多条植え苗移植機の機体幅を縮小させるための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
田植機において左右に最も張り出しているのは苗植付部の苗載台部分であるから、苗載台の最外端条部分を折りたたみ可能に構成することにより、運搬時や格納時に苗植付部の左右幅を縮小できるようにした8条植え田植機が開発されている。例えば、苗載台の最外端条部分を折りたたむことにより、平均的な荷台広さの2トン積みトラック(荷台幅約2m)に積載することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、一般に実用化されている田植機の多くは8条植えまでであったが、農業経営の大規模化に伴い10条植えを超える多条植え田植機の開発が不可欠となっている。このような多条植え田植機となると、更に苗植付部の左右幅が大きくなるが、やはり2トン積み程度のトラックに積載可能であって欲しいという農業現場からの要望が大きい。苗植付部の幅を小さくすることができれば格納等に便利である。
【0004】
10条植え田植機の場合、苗載台については、外側から左右2条分づつの苗載せ部分を折りたたむことにより2トン積みトラックに積載可能な左右幅となる。しかしながら、最外側の苗植付装置や最外側の整地フロートは、折りたたんだ苗載台よりも左右に張り出しているため、2トン積みトラックの荷台からはみ出してしまう。そこで、これら苗植付装置や整地フロートが設けられている部分の左右幅も縮小できるようにする必要が生じてきた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明にかかる苗移植機は、左右並列に配した複数の植付伝動ケースに各条の苗植付装置がそれぞれ支持され、該苗植付装置は、前記植付伝動ケースに設けた左右方向の回転軸回りに回転する回転体と、該回転体の前記回転軸を中心とする対称位置に設けられた一対の苗植付具とを備えてなる苗移植機において、少なくとも最外側条の苗植付装置を駆動停止時に一対の苗植付具がほぼ同一高さで停止するように構成すると共に、最外側条の苗植付装置を支持する植付伝動ケースを前記最外側条の苗植付装置の一対の苗植付具の上端を結ぶ直線と略平行な回動支点軸を中心として上側に回動可能に構成したことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について説明する。
図示の苗移植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して10条植えの苗植付部4を昇降可能に装着すると共に、乗用走行車体2と苗植付部4にまたがって施肥装置5を装着してなり、全体で10条植え乗用施肥田植機として構成されている。
【0007】
走行車体2は、駆動輪である左右各一対の前輪10,10及び後輪11,11を備えた四輪駆動車両である。機体の前部に配したミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース14,14が設けられ、その前輪ファイナルケースから外向きに突出する前輪車軸に前輪10,10が取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム17の前端部が固着されていて、そのメインフレームの後端部に左右の後輪ギヤケース21,21がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケースから外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0008】
メインフレーム17の上にエンジン30が搭載され、該エンジンの上側、前側及び左右両側を覆うエンジンカバー41の上に座席42が設置されている。また、機体前部の中央上側はフロントカバー44で覆われていて、その上方に前輪10,10を操向するハンドル40が設けられている。
【0009】
エンジンカバー41及びフロントカバー44の周囲は、操縦者が自由に歩行できる水平状のメインステップ45になっている。メインステップ45の後部45aは、後輪11,11と干渉しないように高くなっている。また、メインステップ45の後部左右両側には、ステップ面がメインステップ45とほぼ同レベルの拡張ステップ46,46が設けられている。この拡張ステップ46,46もメインステップ45と同様に後部46a,46aが高くなっている。左右の拡張ステップ46,46は、平面視で後輪11,11よりも外方に位置し、かつ後記苗載台80の左右折りたたみ部分80−1・2,80−9・10よりも内側に位置するように設けられている。拡張ステップ46,46の下側には、機体左右側部からステップ上に乗り降りするときに使用する昇降ステップ47,47が設けられている。なお、機体前側からメインステップ45に乗り降りすることもできる。
【0010】
機体前部の左右両側部には、補給用の苗を載せておく予備苗載台48,48が設けられている。予備苗載台48は、拡張ステップ46の前側に設けた予備苗載せ台フレーム48aに支持ポスト48bを垂直に立設し、該支持ポストに苗枠フレーム48cを垂直軸回りに回動自在に装着して設け、該苗枠フレームに複数段の苗枠48d,…を所定間隔で取り付けている。
【0011】
昇降リンク装置3は、メインフレーム17の後端部に固定して設けたリンクベース50に回動自在に取り付けられている上リンク51及び下リンク52,52を備え、これら上下リンクの後端部に縦リンク53が連結されている。そして、縦リンク53の下端部から後方に突出する軸受部に苗植付部側に固着した連結軸54が回転自在に挿入連結され、苗植付部4が進行方向に対して左右に回動自在に装着される。基部側がメインフレーム17に枢支されピストンロッド側が上リンク51に一体のスイングアーム57に連結されている油圧シリンダ56を伸縮させると、昇降リンク装置3が昇降作動し、苗植付部4が一定姿勢のまま昇降するようになっている。この油圧シリンダ56は苗植付部4に設けた油圧バルブ58によって切替制御される。また、ローリングモータ59を正逆回転させることにより、連結軸54を支点にして苗植付部4がローリングするようになっている。
【0012】
苗植付部4は10条植えの構成で、フレームを兼ねる伝動ケース60、苗を載せておく苗載台80、該苗載台上の苗を圃場面に植え付ける植付条数分の苗植付装置160,…、整地用フロート170,…等を備えている。
【0013】
伝動ケース60は、左右中央部に位置する苗載台駆動ケース61の背面に植付伝動ケース62−3の前端部を固着し、また苗載台駆動ケース61の左右側面に第一連結パイプ63,63の内端部を固着し、その第一連結パイプ63,63の外端部に植付伝動ケース62−2,62−4の前部内面を固着し、その植付伝動ケース62−2,62−4の前部外面に第二連結パイプ64,64の内端部を固着し、その第二連結パイプ64,64の外端部に植付伝動ケース62−1,62−5の前部内面を固着している。伝動ケース60の上側に苗載台80が支持され、また各植付伝動ケース62−1〜62−5の後部から左右両側に突出する回転軸である植付駆動軸65,…の各突出部に苗植付装置160,…が取り付けられている。
【0014】
走行車体2のミッションケース12より、苗植付部駆動用動力が第一植付伝動軸66、植付クラッチ67、第二植付伝動軸68等を介して伝動ケース60の入力部に伝動される。その動力が、苗載台駆動ケース61の下部を貫通して各植付伝動ケース62−1〜62−5の前部と第一及び第二連結パイプ63,63,64,64の内部に支承されている植付主軸70に伝えられ、更に、条別植付クラッチ71,…によって植付主軸70と伝動入・切可能なチエン72,…を介して植付駆動軸65,…へ伝動される。条別植付クラッチ71,…は個別に入・切操作するようになっているので、植付条PL1〜PL10を2条づつの単位で作動と停止を切り替えられる。また、植付主軸70の回転は苗載台駆動ケース61内の苗載台駆動機構に伝動される。苗載台駆動ケース61の左右両側面部からは、一定方向に回転する苗縦送り駆動軸73と、左右往復動する苗載台左右移動用の横移動棒74とが突出している。
【0015】
苗載台80は、前側が上位となるよう傾斜して設けられており、その上面が仕切壁81,…によって植付条数分に分割された苗載面80a,…となっている。苗載台80は苗載面80a,…の裏側で左右動自在に支持されている。その支持構造は、苗載面80a,…の裏面側下部に左右方向に設けた横枠82に係合摺接部材84,…を固着し、該係合摺接部材を植付伝動ケース62,…の上に設けた左右に長い支持レール83に左右に摺動自在に係合させていると共に、植付伝動ケース62−1,62−2,62−4,62−5にそれぞれ基部が支持された苗載台支持フレーム85B,85A,85A,85Bを設け、これら該苗載台支持フレームの上端部に取り付けたローラ86,…を苗載面80a,…の裏面上部に固着した支持枠87のコ字状凹部に係合させている。そして、前記横移動棒74の両端部を連結部材87,87を介して横枠82に固着した取付部材88,88に取り付け、横移動棒74が左右往復動することにより苗載台80も支持レール83に沿って左右往復動するようにしている。なお、各苗載面80a,…の上端部には、延長苗載せ部89,…が苗載面側へ回動可能に取り付けられている。
【0016】
前記支持レール83は、係合摺接部材84,…が係合する断面長方形の部位83aと、苗載面80a,…上にある苗の下端面を受け止める断面L字状の部位83bとを一体成形したものであり、各苗載面80a,…に対応させて10箇所にコ字状に切り欠かれた苗分割口90,…が形成されている。苗載台80が左右往復動することにより、苗載面80a,…の下端部に位置する苗が1株分づつこの苗分割口90,…に順次供給される。苗載台80の苗を分離する際に、苗植付装置の後記植付具162がこの苗分割口90を通過する。なお、苗分割口90の縁部左右側にゴム製の苗分割案内具91,91が取り付けられていると共に、苗分割口90の縁部前側に植付具162の先端軌跡に沿う形状に形成された金属線材製のガイド部材92が取り付けられている。
【0017】
苗載台80の下部にはベルト式の苗縦送り装置94,…が各条ごとに設けられており、苗載面80a,…の下端部に位置する横1列分の苗が全て移植されると、苗載面80a,…上の苗を下方に移送するようになっている。この苗縦送り装置94は、外周部に小突起が形成された無端の苗送りベルト95を駆動ローラ96と従動ローラ97に張架させている。駆動ローラ96が取り付けられているローラ駆動軸96aには駆動アーム98がラチェット機構99を介して取り付けられている。また、前記苗縦送り駆動軸71には苗縦送り駆動アーム100,…が一体に取り付けられており、該苗縦送り駆動アームの先端部にローラ101,…が支持されている。苗載台80が左右行程の端部に到達すると、駆動アーム98がローラ101に接当し、ローラ駆動軸96aが所定角度回転させられ、これによって苗送りベルト95が所定量だけ作動するようになっている。ローラ101が駆動アーム98から離れると、スプリング103の張力によって駆動アーム98が駆動前の姿勢に戻る。従動ローラ97の回転軸97aは、スプリング104によって苗送りベルト95を張る方向に引っ張られている。
【0018】
また、各苗載面80aの下部には、苗が浮き上がるのを防止するための苗押え具110が設けられている。この苗押え具110は、両側の仕切壁81,81に突設した支柱111,111に取り付けた支持部材111a,111aに支持されており、図11において実線で示す苗押え作用状態と同図において鎖線で示す苗押え非作用状態を選択できるようになっている。その構造は、支持部材111a,111aに横棒112が回動自在に支持され、該横棒112に主苗押え棒113,113が苗縦送り方向に軸心が向くよう固着され、更に該主苗押え棒の下端部が横棒115で連結されている。また、主苗押え棒113,…の間に短い補助苗押え棒116が並行して設けられ、その下端部が下側の横棒115に固着されている。下側の横棒115の左右両端部115a,115aは、苗載面80aの下端方向に屈曲しており、仕切壁81,81の下端側上面に固着された係止部材118,118に設けた係合孔118a,118aに係合させられるようになっている。横棒115の左右両端部115a,115aを係合孔118a,118aに係合させれば、苗押え具110が苗押え作用状態に固定され、上記係合を外して苗押え具110を上側の横棒112回りに上方へ回動させれば、苗押え具110が苗押え非作用状態になる。
【0019】
更に、各苗載面80a,…の下端部には、最下段に位置する苗の葉を受けて葉が下方に垂れ下がらないように持ち上げておく抵抗棒119,…も水平に設けられている。
【0020】
苗植付装置160は、前記植付駆動軸66に連結された回転ケース161と、該回転ケースの両端側部に取り付けられた一対の植付具162,162とからなる。回転ケース161内の伝動機構により植付具162,162が回転ケース161の回転方向と逆方向に回転し、植付具に固定したフォーク状の苗分離具の先端が上下に変形楕円状の閉軌跡を描くよう作動する。これにより、植付具162,…の苗分離具が、苗載台80の苗分割口90,…に供給された苗を分離して保持し、それを圃場面に植え付ける。苗植付部4の駆動を停止すると、図10に示すように、各苗植付装置160は一対の植付具162,162がほぼ水平となる位置で停止するようになっている。
【0021】
整地用フロート170−1〜170−6は、フロート支持アーム171,…の後端部に枢支軸172,…によって上下に揺動自在に取り付けられ、圃場の泥面に接地した状態では機体重量の一部がこの接地部で受けられる。各フロートを接地させた状態で機体を進行させると、それぞれのフロートが各植付条PL1〜PL10を整地しつつ滑走する。フロート支持アーム171,…の前端部は伝動ケース60の下側に左右方向に設けた植付深さ調節軸173に固着されており、この植付深さ調節軸173を植付深さ調節レバー(図示せず)を用いて回動させることにより、各フロート170,…の上下位置が変わり、苗の植付深さが調節される。
【0022】
中央2体のフロート170−3,170−4は圃場面の凹凸を検出するためのフロートでもあり、両フロートは前部が一体に上下動するように設けられ、その上下動に応じて油圧バルブ58が作動するようになっている。すなわち、フロートの前部が上動すると油圧シリンダ56を伸ばす方向に油圧バルブ58が作動され、逆にフロートの前部が下動すると油圧シリンダ56を縮める方向に油圧バルブ58が作動されるのである。
【0023】
また、左右両端のフロート170−1,170−6は圃場面の左右傾斜を検出するためのフロートでもあり、これらフロートの後部には垂直方向の長穴174aを有するリンク支持部材174が突設されており、該長穴に基部が摺動自在に嵌合する上下リンク175a,175bの後端部に支軸176回りに回動自在なセンサアーム177が連結され、そのセンサアーム177の上端部が、植付伝動ケース62−1(或は62−5)に固定して設けたポテンショメータ178の検出アームとロッド179を介して連結されている。これにより、フロートの前後回動がポテンショメータ178に検出され、左右のポテンショメータ178,178の検出値を比較することにより、圃場面の左右傾斜が検出される。それに応じてローリングモータ59を駆動し、苗植付部4が圃場面に対し常に平行になるよう維持する。苗の植付深さを調節すると、フロート170−1(或は170−6)に連動して上下リンク175a,175bの基部が長穴174aに沿って摺動し、常に正確なフロートの前後回動がポテンショメータ178に検出されるようになっている。このように左右傾斜の検出機構を最外側の植付伝動ケース62−1,62−5の後方に配置することにより、該検出機構を後述する伝動ケース端部の回動支点軸182よりも低い位置に設けることができ、伝動ケース端部を回動させた時に邪魔にならない。
【0024】
施肥装置5は、肥料を入れる各条共用の肥料ホッパ5aと、繰出ロール(図示せず)の回転により前記肥料ホッパ5a内の肥料を順次下方に繰り出す繰出器5b,…と、圃場の苗植付用溝に臨んで設けられた施肥ホッパ5c,…と、前記繰出器5b,…と前記施肥ホッパ5c,…とを結ぶフレキシブルな施肥ホース5d,…とを備え、ブロア5eによって各施肥ホース5d,…内に送り込まれる圧風の作用で繰出器5b,…から繰り出される肥料を施肥ホッパ5c,…へ搬送するようになっている。
【0025】
ところで、この苗移植機1は、運搬時や格納時に苗植付部4の左右幅を縮小させるために、苗載台80の外側2条部分80−1・2,80−9・10を内側に反転させて折りたたみ可能に構成されていると共に、伝動ケース60の左右端部を上側に折り曲げて、最外側の植付伝動ケース62−1,62−5とそれに取り付けられている外側2条分づつの苗植付装置160−1,160−2,160−9,160−10と最外側の整地フロート170−1,170−6を上側に回動させられるように構成されている。
【0026】
まず、苗載台80の折りたたみ部の構成について説明する。
外側から2番目の条と3番目の条を仕切る仕切壁81−3,81−9は、内側の部位81aと外側の部位81bに分割されており、内側の部位81aは中央部分80−3〜80−7に一体形成され、外側の部位81bは反転部分80−1・2または80−9・10に一体形成されている。また、この仕切壁81−3,81−9は他の仕切壁よりも苗載面80aに対して高く形成されている。そして、両部位81a,81bの上端部に形成した筒状部120a,120b,…に1本の回動軸121を挿通して設け、この回転軸121を中心として反転部分80−1・2,80−9・10を内側に反転させ、当該部分をその内側条部分80−3・4,80−7・8の上に重ね合せた状態に折りたたむようにしている。外側から4番目と5番目の仕切壁81−4,81−5,81−7,81−8に設けた支柱111,…の頂部には凹状の支柱受け122,…が固着されており、折りたたみ状態では折りたたみ部の仕切壁81−1,81−2,81−10,81−11に設けた支柱111,…の頂部がこの支柱受け122,…に係合するようになっている。
【0027】
なお、前記筒状部の配置に関し、筒状部120a,120bは上下3組に分けて配置され、上から120b,120a,120b,120a,120a,120bの順に並んでいる。また、上2組の筒状部120a,120b間には隙間がないが、最下部の筒状部120a,120bには隙間Sが設けられている。これは次の理由による。すなわち、支持レール83のL状部位83aは側面視で鋭角になっているので、苗載台の最外端条部分80−1,80−8をそのままの位置では反転させることができず、L状部位83aとの干渉を避けるために苗載台の傾斜に沿って隙間S分だけ押し上げた状態で反転部分80−1・2,80−9・10を反転させるためである。
【0028】
苗載台80の展開時には、反転部分80−1・2,80−9・10を上下2箇所で中央部分80−3〜80−8に固定する(図16、図17参照)。
【0029】
図16における82は前記横枠で、この横枠は苗載台80の中央部分80−3〜80−7と反転部分80−1・2,80−9・10の境界部近傍で中央部分側82aと反転部分側82b,82bに分離している。そして、中央部分側82aの左右両端部に前記取付部材88,88が固着されていると共に、反転部分側82b,82bの内端部に取付部材88,88に対向させて固定部材124,124が固着されている。固定部材124には左右に貫通する丸孔125が穿設され、また取付部材88には前記丸孔125の延長線上にねじ孔126が穿設されている。先端部にねじが切られた固定棒127を外側から固定部材124の丸孔125に挿入し、その先端ねじ部を取付部材88のねじ孔126に螺合させることにより、反転部分80−1・2(或は80−9・10)を中央部分80−3〜80−8に固定する。なお、固定棒127の適所に小径部127aが形成されており、苗載台80を折りたたむに際して固定棒127をねじ孔126から引き抜くと、この小径部127aにノックピン128の先端が係合するため、固定棒127がそれ以上抜けないようになっている。小径部127aの外側の壁面はテーパ状になっているので、固定棒127を押し込むことはできる。図中の129はノックピン128を固定棒側に付勢するスプリングである。
【0030】
図17における131は苗載台の裏面上部に設けた横パイプで、この横パイプも苗載台80の中央部分80−3〜80−8と反転部分80−1・2,80−9・10の境界部近傍で中央部分側131aと反転部分側131bに分離している。そして、中央部分側131aの中空部内端側に雄ねじ部材132が嵌装されている。先端部にねじ孔133が形成された固定棒134を外側から横パイプ131内に挿入し、そのねじ孔133を雄ねじ部材132に螺合させることにより、反転部分80−1・2(或は80−9・10)を中央部分80−3〜80−8に固定する。この固定棒134の抜落ち防止機構は、前記固定棒127のそれと同様で、スプリング136で付勢されたノックピン137を固定棒134の小径部134aに係合させるようになっている。
【0031】
苗載台の反転部分を展開した場合、反転部分の苗縦送り装置94−1,94−2と中央部分の苗縦送り装置94−3、及び反転部分の苗縦送り装置94−9,94−10と中央部分の苗縦送り装置94−8がそれぞれ連動するようになる(図13参照)。すなわち、中央部分の苗縦送り装置94−3(或は94−8)のローラ駆動軸96a−3(或は96a−8)は、その内端部に駆動アーム98がラチェット機構99を介して取り付けられ、外端部にクラッチ爪を備えた駆動クラッチ体140が一体に取り付けられている。この駆動クラッチ体140には、反転部分のローラ駆動軸96a−1・2(或は96a−9・10)に取り付けた従動クラッチ体141が咬み合うようになっている。従動クラッチ体141は、ローラ駆動軸96a−1・2(或は96a−9・10)に一体回転し、かつ軸心方向に摺動可能であり、更にスプリング142によって軸端側の付勢されている。したがって、両クラッチ体140,141を連結する際に、双方のクラッチ爪同士が突き合っても、従動クラッチ体141が逃げることができるので、両クラッチ体140,141の位相が合っていなくても無理なく連結することができ、且つ迅速に咬み合い状態になる。
【0032】
苗載台の反転部分80−1・2(或は80−9・10)を支持する苗載台支持フレーム85Bは上部が回動自在に設けられており、反転部分を折りたたんだ時には上部を内側に回動させて反転部分よりも大きく外側に突出しないようにする。
【0033】
また、支持レール83は、中央の6条分の苗分割口を有する固定部分83aと、外側2条分づつの苗分割口をそれぞれ有する取外し部分83b,83bとに分離されており、両部分83a,83bは固定部分側のピン穴150に取外し部分側の接続ピン151を挿入させて接続され、更に固定部分側のストッパピン152に取外し部分側のフック153を引っ掛け、該フックをレバー154で外向きに引っ張っておくことにより両部分83a,83bを密着させている。レバー154を内側に回動させると、ストッパピン152とフック153の係合が外れると共に、フック153の頭部が固定部分のプレート155を内向きに押すことにより、その反作用で取外し部分83bが外側に押し出される。このため、ピン穴150から接続ピン151が少し抜けた状態となり、以後の取外し作業が容易である。
【0034】
次に、伝動ケース60の折曲げ部の構成について説明する。
第二連結パイプ64は、植付伝動ケース62−2(或は62−4)側の内側パイプ64aと植付伝動ケース62−1(或は72−5)側の外側パイプ64bとからなり、内側パイプ64aの外端部に設けた内側メタル180と外側パイプ64bの内端部に設けた外側メタル181とがパイプの上方に設けた前後方向の回動支点軸182により回動自在に枢着されている。この回動支点軸182は、苗植付部4の駆動停止時における苗植付装置160の一対の植付具162,162の上端を結ぶ線L−Lと略平行である。
【0035】
第二連結パイプ64が伸ばされた状態では、内側パイプ64aに基部が回動自在に支持されている固定用ハンドル183と外側メタル181に固着の板ばねプレート184とが係合し、板ばねプレート184がハンドル183を外方に押すことにより、内外両パイプ64a,64bの合わせ面が互いに押し付け合い、振動等によって両パイプ間にガタつきが生じないように固定している。この時、ハンドル183の上端部にロックピン186の環状指掛け部186aが係合し、ハンドル183が回動しないように拘束している。ロックピン186は外側メタル181に軸心回りに回動自在かつ軸心方向に摺動自在に設けられているが、トルクスプリング187で下向きに付勢されているロックアーム188がロックピン186に固着の円板189の外周部に形成されている係合溝189aに係合することにより、ハンドル183の上端部と指掛け部186aとが係合する指掛け部186aが略水平となる位置でロックピン186が回り止めされている。
【0036】
上記状態から、ロックアーム188を円板187の係合溝187aから外し、更にロックピン186を約90度回動させて指掛け部186aとハンドル183の係合を解除させ、ハンドル183を下側に回動させると、第二連結パイプ64の固定が解除される。その状態で、内側パイプ64aに対し外側パイプ64bを上側に90度折り曲げると、ロックピン186の先端部が内側メタル180に固着のロックプレート190に形成されているロックピン穴190aに嵌り込み、その姿勢で第二連結パイプ64が固定される。
【0037】
なお、植付主軸70は、第二連結パイプ64の折曲げ部の位置で中央軸部70aと外側部70bに分かれており、第二連結パイプ64を伸ばした状態では爪クラッチ70cにて両軸部70a,70bが連結され、第二連結パイプ64を折り曲げると、爪クラッチ70cが外れて外側部70bは外側パイプ64bと共に回動するようになっている。
【0038】
第二連結パイプ64の外側パイプ64bを上側に約90度折り曲げると、図4において鎖線で示す如く、最外側の植付伝動ケース62−1(或は62−5)とそれに取り付けられている外側2条の苗植付装置160−1,160−2(或は160−9,160−10)及び最外側のフロート170−1(或は170−6)が位置へ上方に回動し、この部分の左右幅が縮小される。前述の如く、苗植付部4の駆動停止時においては一対の植付具162,162が水平となる位置で苗植付装置160が停止し、かつ回動支点軸182がその一対の植付具162,162の上端を結ぶ線L−Lと略平行であることにより、伝動ケース90の両端を折り曲げた場合、最外側の苗植付装置160−1(或は160−10)の一対の植付具162,162が左右ほぼ同位置に並ぶので、苗植付装置160−1(或は160−10)が左右方向のスペースを取らず、苗植付部4の幅を効果的に縮小させられる。
【0039】
前記植付深さ調節軸173は、回動支点軸182の近傍位置に設けた2つのユニバーサルジョイント192,192によって両端部を折り曲げられるようになっている。2つのユニバーサルジョイント192,192の間の部分がスプリング193にて前記ロックプレート190に吊られており、第二連結パイプ64を折り曲げる時に両ユニバーサルジョイント192,192が共に適正な屈曲角度となるようにしている。
【0040】
また、第二連結パイプ64の外側パイプ64aに固着のロッド取付部材195と、内側パイプ64bに回動自在に設けた揺動アーム196との間にクラッチ連動ロッド197が連結され、更に左右それぞれの揺動アーム196と植付クラッチカム198とがクラッチ連動ワイヤ199で結ばれている。植付クラッチカム198は苗植付部昇降用レバー200の操作に連動して植付クラッチ67を入・切切り替えるためのカムで、このカムの先端が植付クラッチアーム201に設けたカムローラ202に接当するようになっていて、苗植付部昇降用レバー200を「上げ」「固定」及び「下げ」に操作すると植付クラッチピン203を「植付クラッチ切り」に作動させ、苗植付部昇降用レバー200を「自動」に操作すると植付クラッチピン203を「植付クラッチ入り」に作動させるようになっている。左右いずれかの第二連結パイプ64を折り曲げると、苗植付部昇降用レバー200が「自動」に操作されていても、クラッチ連動ワイヤ199に引かれて植付クラッチカム198が図9の実線位置まで回動し、植付クラッチ67が切れるようになっている。
【0041】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明にかかる苗移植機は、最外側の植付伝動ケースを上向きに回動させて苗植付部の左右幅を縮小させる構成であって、その時に最外側条の苗植付装置の一対の苗植付具が左右ほぼ同位置に並ぶので、苗植付装置が左右方向のスペースを取らず、苗植付部の幅を効果的に縮小させられるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業状態にある苗移植機の側面図である。
【図2】作業状態にある苗移植機の平面図である。
【図3】苗植付部の一部を省略した平面図である。
【図4】苗植付部の一部を省略した背面図である。
【図5】伝動ケースの折曲げ部の背面図である。
【図6】一部を断面で表した伝動ケースの折曲げ部の側面図である。
【図7】伝動ケース折曲部の折曲げ状態の平面図である。
【図8】植付主軸の接続部の平面図である。
【図9】植付クラッチ操作部の図である。
【図10】苗植付部の要部の側面図である。
【図11】苗載台下部の側部断面図である。
【図12】図11におけるA矢視図である。
【図13】図11におけるB矢視図である。
【図14】苗載台の反転部分を折りたたんだ状態を示す図である。
【図15】苗載台下部の断面図である。
【図16】苗載台の中央部分と反転部分の上部連結部の断面図である。
【図17】苗載台の中央部分と反転部分の下部連結部の断面図である。
【図18】支持レールの右端部の着脱部を示す側面図である。
【図19】左右幅縮小状態にある苗移植機の側面図である。
【図20】左右幅縮小状態にある苗移植機の平面図である。
【符号の説明】
1 苗移植機
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 苗植付部
5 施肥装置
60 伝動ケース
62 植付伝動ケース
64 第二連結フレーム
65 植付駆動軸
80 苗載台
83 支持レール
160 苗植付装置
161 回転ケース
162 苗植付具
170 フロート
182 回動支点軸
Claims (1)
- 左右並列に配した複数の植付伝動ケースに各条の苗植付装置がそれぞれ支持され、該苗植付装置は、前記植付伝動ケースに設けた左右方向の回転軸回りに回転する回転体と、該回転体の前記回転軸を中心とする対称位置に設けられた一対の苗植付具とを備えてなる苗移植機において、少なくとも最外側条の苗植付装置を駆動停止時に一対の苗植付具がほぼ同一高さで停止するように構成すると共に、最外側条の苗植付装置を支持する植付伝動ケースを前記最外側条の苗植付装置の一対の苗植付具の上端を結ぶ直線と略平行な回動支点軸を中心として上側に回動可能に構成したことを特徴とする苗移植機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26125996A JP3769838B2 (ja) | 1996-09-09 | 1996-09-09 | 苗移植機 |
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Publications (2)
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JPH1080210A JPH1080210A (ja) | 1998-03-31 |
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Family
ID=17359352
Family Applications (1)
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JP26125996A Expired - Lifetime JP3769838B2 (ja) | 1996-09-09 | 1996-09-09 | 苗移植機 |
Country Status (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010119369A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-06-03 | Iseki & Co Ltd | 苗移植機 |
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CN116616007B (zh) * | 2023-07-20 | 2023-10-03 | 西南林业大学 | 一种景观园林绿化施工种植挖坑装置 |
-
1996
- 1996-09-09 JP JP26125996A patent/JP3769838B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2010119369A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-06-03 | Iseki & Co Ltd | 苗移植機 |
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JPH1080210A (ja) | 1998-03-31 |
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