JP3070166B2 - 農作業機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、走行車両後方の左右方
向複数箇所から肥料を施肥するよう構成した農作業機に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、肥料を搬送する複数の肥料搬送管
を走行車両の後輪付近を通して後輪の後方側に延設し、
走行車両後方の左右方向複数箇所から肥料を圃場に施肥
するよう構成した農作業機がある。また、この種の農作
業機には、走行性能を向上させるため、後輪ローリング
機構を設けたものも多い。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のものは、走
行車両後方の左右方向複数の施肥箇所が走行車両に対し
て左右に傾動したり、走行車両に対して後輪が左右にロ
ーリングしたりすると、肥料搬送管が後輪に接触して、
肥料搬送管がねじれたり損傷を受けたりして、施肥作業
に支障をきたすことがあった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明
にかかる農作業機は、肥料を搬送する複数の肥料搬送管
を走行車両の後輪付近を通して後輪の後方側に延設し、
走行車両後方の左右方向複数箇所から肥料を施肥するよ
う構成した農作業機において、後輪をローリングさせる
後輪ローリング機構を設けるとともに、当該ローリング
機構によって後輪とともにローリングする部材によって
前記肥料搬送管の位置を規制する位置規制手段を設けた
ことを特徴としている。

【０００５】

【作用】本発明の農作業機では、肥料が走行車両の後輪
付近を通って後輪の後方側に延びる複数の肥料搬送管に
導かれ、走行車両後方の左右方向複数箇所に搬送され施
肥される。肥料搬送管は、ローリング機構によって後輪
とともにローリングさせられる部材によって位置が規制
されるので、走行車両の後輪に対して一定以上接近せ
ず、傾動、後輪のローリング等によるねじれや損傷を受
けにくい。

【０００６】

【実施例】以下、図面にあらわされた実施例について説
明する。図は、本発明の農作業機の１例である施肥田植
機を表すもので、この施肥田植機１は、走行車両である
本機２の後部に設けた昇降用リンク装置（以下「リンク
装置」と呼ぶ）３に６条植の植付部４が装着されている
とともに、これとは別に施肥装置５が設けられている。

【０００７】本機２は、前後に長い平面視方形の本機フ
レーム６を備え、該フレームの中間部後方よりの位置に
エンジン８が、その前方にミッションケース９がそれぞ
れ配設され、ミッションケース９の後部上面に油圧ポン
プ１０が一体に組み付けられている。ミッションケース
９の側方に前輪支持ケース１４，１４が変向可能に設け
られ、その下端部に前輪１５，１５が軸止されている。
また、フレーム６の後端部に突設したローリング軸１６
にローリング杆１７がローリング自在に支持され、その
左右両端部に一体に取り付けた後輪支持ケース１８，１
８に後輪１９，１９が軸止されている。これらは後輪ロ
ーリング機構を構成するもので、その上に操縦用のフロ
アステップ２０が取り付けられ、エンジン８の上方部に
操縦席２１が設置されている。

【０００８】エンジン出力軸８ａの回転動力は、ベルト
２３を介して油圧ポンプ駆動軸であるカウンタ軸１０ａ
に伝えられ、さらに該カウンタ軸からベルト２４を介し
てミッション入力軸９ａに伝えられる。カウンタ軸１０
ａからミッション入力軸９ａへの伝動部はベルト式無段
変速装置として構成されている。ミッションケース９に
入力された動力は、ケース内の変速装置で適宜変速され
前輪駆動出力、後輪駆動出力および植付部駆動出力に分
離して取り出される。植付部駆動出力は機体の後端部に
突出するＰＴＯ軸２６と施肥駆動軸２７に伝えられる。

【０００９】リンク装置３は、本機フレーム６の後端部
に立設したリンクベース３０に左右一対の上リンク３
１，３１および下リンク３２，３２が回動自在に支持さ
れ、これら上下リンクの後端部に連結枠３４が取り付け
られている。連結枠３４から後方に突設したローリング
軸３５に植付部４がローリング自在に装着される。リン
ク装置３の駆動手段である油圧シリンダ３７は、基部が
本機フレーム６に枢着され、そのピストンロッドの先端
部が上リンク３１，３１の基部から垂設したスイングア
ーム３８の下端部に連結されている。該油圧シリンダ３
７を伸縮させると、連結枠３４がほぼ一定姿勢に保持さ
れたままで上下動させられ、これに装着した植付部４が
昇降させられる。

【００１０】植付部４は、前記ＰＴＯ軸２６からユニバ
ーサルジョイントを介して伝動される中央ケース４０
と、該中央ケースの両側面部に突設した伝動フレームパ
イプ４１，４１と中央ケース４０の中央部および伝動フ
レームパイプ４１，４１の先端部から後方に延設した計
３個の分岐ケース４２，…とで植付部フレームが構成さ
れ、該植付部フレームの上方に前側が上位となるよう傾
斜させて苗載台４４が設けられているとともに、各分岐
ケース４２，…の後部両側に１組づつ計６組の植付装置
４５，…が設けられている。

【００１１】苗載台４４は、各分岐ケース４２，…の上
に固定して設けた苗載台支持枠４７と中央ケース４０の
上部から前部上方に向けて設けた苗載台フレーム４８の
上端部に取り付けたレール４９によって左右に滑動自在
に支持されている。苗載台４４の上面は植付条数分の苗
載部４４ａ，…に仕切られており、各苗載部ごとに台上
の苗を下方に送るベルト式の苗送り装置５１，…が設け
られている。また、苗載台４４の下端部に隣接して、植
付装置４５，…に対応する苗取出口５２，…が形成され
た苗受枠５３が苗載台支持枠４７と一体に設けられてい
る。

【００１２】植付装置４５は、所定方向に回転するロー
タリケース６０に一対の植付杆６１，６１が取り付けけ
られ、該植付杆が所定の軌跡を描きながら上下動しつ
つ、前記苗取出口５２に供給された苗を挟持してそれを
圃場面に植え付けてゆくように構成されている。

【００１３】植付部４の下側には、中央にセンターフロ
ート７０とその左右両側に一対のサイドフロート７１，
７１が設けられ、これらフロートの両側部の適所に苗移
植用の溝を形成する作溝器７２，…が取り付けられてい
る。各フロート７０，７１，７１は、分岐ケース４２，
…に取り付けたフロート支持杆７３，…の下端部に上下
動自在に枢支されている。センターフロート７０の前部
には上下動検出用の検出ロッド７４が取り付けられてお
り、該検出ロッドの上下動に基づいて前記油圧シリンダ
３７を制御する油圧バルブ７５が駆動される。例えば、
圃場面が高くなってセンターフロート７０の前部が上昇
すると、油圧シリンダ３７が伸びる方向に油圧バルブ７
４が駆動され、その結果植付部４が上昇する。圃場面が
低くなった場合は、上記と逆に動作する。

【００１４】施肥装置５は、肥料タンク８０と該肥料タ
ンク内の肥料を所定量づつ繰り出す繰出器８１とからな
る肥料繰出ユニット８２を走行車両２の後端上部に設
け、圃場面に臨む肥料吐出部８３を作溝器７２内に設
け、これら肥料繰出ユニット８２と肥料吐出部８３を可
撓性を有する肥料搬送管８４で接続してなる。なお、肥
料タンク８０は隣接する２条ごとに共用されており、１
個の肥料タンク８０と２個の繰出器８１で１組の肥料繰
出ユニット８２が構成されている。繰出器８１は前記施
肥駆動軸２７より伝動される。

【００１５】肥料搬送管８４は苗載台４４とほぼ平行で
側面視において後輪１９の後部外周部に沿わせてあり、
肥料搬送管支持装置８６でこの状態に保持されている。
肥料搬送管支持装置８６は、図４に示すように、後輪１
９，１９の支持体である後輪支持ケース１８，１８に基
部を固着させてホルダ取付体８７を設け、該ホルダ取付
体の上部横棒部８７ａの適所に肥料搬送管８４を遊嵌す
るホルダ８８，…を取り付けてなる。このホルダ取付体
８７、ホルダ８８等は、後輪とともにローリングする支
持部側に固定した部材にて肥料搬送管８４の位置を規制
する位置規制手段を構成する。後輪１９，１９がローリ
ングすると、それに対応してホルダ８８，…が移動し、
後輪１９，１９と肥料搬送管８４，…の位置関係が常に
一定に保たれる。このため、肥料搬送管８４が後輪に対
し一定以上近づかないので、両者が互いに干渉すること
がない。

【００１６】図５および図６は異なる実施例を表すもの
で、農作業機であるこの施肥田植機１´は、植付部のロ
ーリングを円滑にするスプリング９０，９０が設けられ
ている。このスプリング９０，９０をリンク装置３の下
リンク４２，４２と苗載台フレーム４８間に張設し、該
スプリングの内側に中央２条の肥料搬送管８４，８４が
配設されている。なお、これらの図では位置規制手段が
図示を省略されているが、その構成は図１及び図４に示
すものと同様である。

【００１７】

【発明の効果】本発明の農作業機は、後輪ローリング機
構が設けられているので、走行性能が良好なものであ
る。また、当該後輪ローリング機構が設けられていて
も、走行車両の後輪付近を通って後輪の後方側に延びる
複数の肥料搬送管が、後輪とともにローリングする支持
部側に固定した部材にて位置規制されるので、走行車両
の後輪に対して一定以上接近しない。このため、走行車
両後方の左右方向複数の施肥箇所が走行車両に対して左
右に傾動したり、走行車両に対して後輪が左右にローリ
ングしても、肥料搬送管が後輪と接触することがなく、
肥料搬送管がねじれたり損傷を受けたりして施肥作業に
支障をきたすことがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例である施肥田植機の側面図で
ある。

【図２】図１に示した施肥田植機の平面図である。

【図３】植付部の側面図である。

【図４】肥料搬送管支持装置の斜視図である。

【図５】異なる施肥機の要部の側面図である。

【図６】図５におけるＡ矢視図である。

【符号の説明】

１ 施肥田植機 ２ 走行車両 ３ リンク装置 ４ 植付部 ５ 施肥装置 １８ 後輪支持ケース（後輪支持体） １９ 後輪 ８０ 肥料タンク ８３ 肥料吐出部 ８４ 肥料搬送管 ８６ 肥料搬送管支持装置 ８７ ホルダ取付体 ８８ ホルダ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01C 15/00 A01C 11/00 302 A01C 11/02 311

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 肥料を搬送する複数の肥料搬送管を走行
   車両の後輪付近を通して後輪の後方側に延設し、走行車
   両後方の左右方向複数箇所から肥料を施肥するよう構成
   した農作業機において、後輪をローリングさせる後輪ロ
   ーリング機構を設けるとともに、当該ローリング機構に
   よって後輪とともにローリングする部材によって前記肥
   料搬送管の位置を規制する位置規制手段を設けたことを
   特徴とする農作業機。