JPH0219326B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は例えばトラクターの出力端に使用し、
作業機械の軸を駆動するのに特に好適な駆動軸に
関するものである。

（この発明の基礎となつた発明） 回転動力を伝達する軸は種々の機械に使用され
ているが、連結部は一般に狭いところが多く、ま
た汚れないようカバーを設けることが多いため、
連結操作は困難であり危険を伴なうことが多い。
このような問題を解決するため連結を安全確実に
行なうための種々のものが提案されている。

本願人は先に軸を挿入する時及び抜く時に、ス
ライドカラーを摺動させるだけで、簡単に操作で
きるコンパクトで軽量で安価な駆動軸を提案した
（特願昭59−161582号及び特願昭59−173108号）。

（発明の目的） 本発明の目的は軸を挿入する時、スライドカラ
ーを摺動させるだけで、スライドカラーを離して
も軸を自由に挿入でき、軸は自動的に保持され、
軸を抜く時、スライドカラーを摺動させるだけ
で、スライドカラーを離しても軸を自由に抜くこ
とができる操作が簡単な駆動軸を得るにある。

（発明の構成） 本発明駆動軸は互に軸線方向に摺動し得るが相
対的に回転しないよう嵌合する軸と、相手部材と
を具え、この相手部材に収容され前記軸のボール
セツト溝に一部を突出して前記軸が前記相手部材
から抜け出るのを防止するセツトボールと、前記
ボールセツト溝内に一部を突出する前記セツトボ
ールを保持するボール保持位置と保持しないボー
ル非保持位置とに前記相手部材上で摺動できるス
ライドカラーと、前記スライドカラーを一方向に
押圧するばねと、前記スライドカラーの内面に形
成したスプリングリング収容溝内に収容され前記
スライドカラーの移動と共に移動し内方に収縮す
るばね力を有する環状のスプリングリングと、前
記セツトボールの外方への運動によつて前記スプ
リングリングを外方に釈放するように前記スプリ
ングリングを収容するため前記相手部材の外周に
形成されたスプリングリングセツト溝と、前記ば
ねの力と協働して前記スライドカラーを前記ボー
ル保持位置に保持するスライドカラー保持位置保
持装置とを具えることを特徴とする。

（作用） 軸を相手部材に挿入する時は、ばねの作用に抗
して、スライドカラーをボール非保持位置に動か
せばスライドカラー非保持位置保持装置にスライ
ドカラーは自動的に保持されるから軸を自由に挿
入することができる。また軸の挿入によつてスラ
イドカラー非保持位置保持装置が自動的に解除さ
れ、スライドカラーは自動的にボール保持位置に
移動し、スライドカラー保持位置保持装置により
自動的にこの位置に保持されるから軸は抜け出す
ことがない。

また、軸を抜く時は、ばねの作用に抗してスラ
イドカラーをボール非保持位置に動かせばスライ
ドカラー非保持位置保持装置によつてスライドカ
ラーはこの位置に保持されるので軸を自由に抜く
ことができる。軸を抜く際、セツトボールがスラ
イドカラー非保持位置保持装置を釈放するから、
スライドカラーは自動的に原位置に復帰する。

（実施例） 本発明駆動軸を自在継手のヨークとスプライン
軸とに適用した場合を図面につき説明する。

第１〜５図に本発明の第１実施例を示し、駆動
軸の相手部材、即ちヨーク２のスプライン孔４に
スプライン軸６を挿入する順次の段階を第１，
３，４及び５図に示している。その段階の概略は
次の通りである。第１図はスプライン軸をヨーク
２に挿入するため、スライドカラー８を、ばね１
０の力に抗して第１図で見て左側に押圧した状態
を示しており、スライドカラー８のスプリングリ
ング１２はヨーク２のスプリングリングセツト溝
１４に入つており、手を離してもスライドカラー
は原位置に復帰しないから、第１図の状態はスプ
ライン軸をいつでも挿入できる状態にある。

次に第３図に示すようにスプライン軸６を挿入
するが、スプライン軸６の先端には面とり部１６
があるから、スプライン軸６の挿入によつてセツ
トボール１８を外方に押し上げ、第４図に示すよ
うにスプライン軸６を挿入することができる。セ
ツトボール１８は外方に動いて、スプリングリン
グ１２を拡開して、スプリングリング１２をスプ
リングリングセツト溝１４から外すから、スライ
ドカラー８はばね１０の作用によつて第４図で見
て右に動く。第４図の状態ではスライドカラーの
内側テーパ面２０がセツトボール１８に当つてス
ライドカラーはこれ以上右に動けないが、ばね１
０はスライドカラーを尚右の方に押圧しており、
内側テーパ面２０はセツトボール１８を内方にも
押圧している。しかもスプライン軸６が一層深く
ヨークのスプライン孔４に挿入できる位置にセツ
トボール１８が位置している。

スプライン軸６が第５図に示す位置に達すると
内側テーパ面２０の作用でセツトボール１８はス
プライン軸６のボールセツト溝２２内に入るか
ら、スライドカラー８はばね１０の作用で一層右
に動き、ストツプリング２４に当つて停止する。
セツトボール１８はスライドカラーで押えられて
いるので、スプライン軸６がヨーク２から抜け出
すことはない。この位置ではスライドカラーがセ
ツトボールを保持しており、スライドカラーはボ
ール保持位置にある。またこのボール保持位置に
あるスライドカラーは、ばね１０によつてストツ
プリング２４に押圧されてボール保持位置に保持
されているので、ストツプリング２４はスライド
カラー保持位置保持装置を構成する。

尚、第１図のスライドカラーの位置はセツトボ
ール１８を保持しない位置でありボール非保持位
置である。またこの位置にあるスライドカラー
は、ばね１０によつて押圧され、スプリングリン
グ１２がスプリングセツト溝１４に入ることによ
つて保持されているので、スプリングリング１２
とスプリングセツト溝１４とによつてスライドカ
ラー非保持位置保持装置を構成する。

ヨーク２からスプライン軸６を抜く時は、第５
図の位置からスライドカラー８をばね１０の力に
抗して左に動かし、スライドカラー８のみを第１
図の位置に達せしめる。この位置ではスライドカ
ラー８のスプリングリング１２がヨーク２のスプ
リングリングセツト溝１４に入つてスライドカラ
ー８をボール非保持位置に保持している。従つて
スライドカラー８から手を離しても、スプライン
軸６を自由に抜くことができる。スプライン軸を
抜き始めると、セツトボール１８は外方に押され
てスプリングリング１２を拡開するから、ばね１
０の作用により、スライドカラーは右に動き、第
４図の状態になり、しかる後スプライン軸を完全
に抜くことができる。スライドカラーはばね１０
の作用で更に右に動きストツプリング２４に当つ
て停止する。

尚ヨーク２にはスライドカラー８が回転しない
よう、回り止めボールセツト溝２６を形成し、回
り止めボール２８を収容する。スライドカラー８
には案内溝３６を形成する。しかし、スライドカ
ラー８の回転を防止するその他の手段例えばキ
ー、キー溝を採用してもよい。またヨークにはセ
ツトボール１８を収容する図示のような孔を形成
し、セツトボールが内方に落ちないよう防止する
手段を設けること勿論である。セツトボールは鋼
球でもよいが、摩耗しにくいプラスチツク製にす
ることができる。セツトボール１８の数は２個で
もよいがこの実施例のように３個設けるのが安定
がよい。ストツプリングは市販のスナツプリング
を利用するのがよい。

スプリングリング１２は第６図に示すように環
状で、常に半径方向内方に収縮するばね力を有す
る。スプリングリング１２の断面は任意でよい
が、セツトボール１８に接触する関係上、円形断
面が一般に好適である。

次にスライドカラー８の詳細を第７図に示す。
スライドカラー８はヨーク２上を摺動する内面３
０と、ばね１０の一端を収容する環状溝３２と、
セツトボールを収容できる溝３４と、回り止めボ
ールが摺動する案内溝３６とを有する。尚スプリ
ングリング１２を収容する環状のスプリングリン
グ収容溝３８を形成する。

スライドカラー８は鋼で造るが、耐摩耗性のプ
ラスチツク製にしてもよい。

次に本発明の第２実施例を第８〜１１図に示
す。この実施例が最初の実施例と異なるのは、ば
ね１０の代りにばね１１０をスライドカラー１０
８の内部に配置したことである。これによりばね
が露出せず、塵埃や泥土などで汚れ易い場所で使
用するのに好適である。

この構造ではヨーク１０２にばね１１０を収容
する比較的深い溝５０を形成する必要があり、ス
ライドカラー１０８はばね１１０を収容する部分
を具え、やや長い形状になつている。

第８，９，１０及び１１図の位置はそれぞれ第
１実施例の第１，３，４及び５図の位置に相当
し、その作用は全く同一なのでこれ以上の説明は
省略する。

次に本発明の第３実施例を第１２及び１３図に
示す。この実施例は第１実施例のストツプリング
２４を廃止し、代りにヨークにスプリングリング
ストツプ溝６２を設けたもので、ヨーク２０２と
スプライン軸６とが完全に連結された時、スプリ
ングリング１２がこのスプリングリングストツプ
溝６２に入り、スライドカラー８が更に右側に移
動するのを防止する。従つて第１及び第２実施例
のストツプリング２４を省略することができる。
スプリングリングストツプ溝６２はストツプリン
グ１２が進入する側をゆるやかなテーパにする。

この実施例はストツプリング２４を廃止するか
ら一層部品数を少なくすることができる。

第１４及び１５図に本発明の第４実施例を示
す。この実施例は第２実施例と第３実施例とを組
合せた構造でばね１１０を収容するスライドカラ
ー１０８を採用する一方、ストツプリング２４を
廃止し、ばね１１０を収容する深い溝５０と、ス
プリングリングストツプ溝６２とをヨーク３０２
に形成したものであり、第２及び第３実施例の利
点を有する。

上述の実施例ではいずれもスライドカラーをヨ
ーク側からスプライン軸側に押圧した位置でセツ
トボールを保持しているが、反対にスライドカラ
ーをスプライン軸側からヨーク側に押すように構
成することもできる。

（発明の効果） １ 軸を挿入する時、スライドカラーを摺動させ
るだけで、スライドカラーを離しても軸を自由
に挿入でき、軸は自動的に保持される。

２ 軸を抜く時も、スライドカラーを摺動させる
だけで、スライドカラーを離しても軸を自由に
抜くことができる。

３ 従来のものに比べ、構造簡単でコンパクトで
あり、軽量で安価である。

４ 構造が簡単なことに伴なつて耐久性がよく品
質の均一性に優れている。

５ 実施例として、スライドカラーを押圧するば
ねをスライドカラーの内部に収納した構造にで
き、汚れ易い場所での使用に有利である。

６ スライドカラーをボール保持位置とボール非
保持位置とにそれぞれ保持する手段の構成を共
通にすることができ、部品数を一層少なくし得
る実施例もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明駆動軸の第１実施例の断面図、
第２図は第１図の−線上の断面図、第３図は
第１図の駆動軸において軸をヨークに挿入し始め
た状態を示す断面図、第４図は第１図の駆動軸に
おいて軸をヨークに挿入した途中の状態を示す断
面図、第５図は軸をヨークに挿入し終つた状態の
第１図の駆動軸の断面図、第６図は第１図の駆動
軸に使用するスプリングリングの正面図、第７図
ａ及びｂはそれぞれ第１図の駆動軸のスライドカ
ラーの断面図及び第７図ａの矢印７ｂの方向に見
た側面図、第８図は本発明駆動軸の第２実施例の
断面図、第９図は第８図の駆動軸において軸をヨ
ークに挿入し始めた状態を示す断面図、第１０図
は第８図の駆動軸において軸をヨークに挿入した
途中の状態を示す断面図、第１１図は軸をヨーク
に挿入し終つた状態の第８図の駆動軸の断面図、
第１２図は本発明駆動軸の第３実施例の断面図、
第１３図は軸をヨークに挿入し終つた状態の第１
２図の駆動軸の断面図、第１４図は本発明駆動軸
の第４実施例の断面図、第１５図は軸をヨークに
挿入し終つた状態の第１４図の駆動軸の断面図で
ある。 ２……ヨーク即ち相手部材、４……スプライン
孔、６……スプライン軸、８……スライドカラ
ー、１０……ばね、１２……スプリングリング、
１４……スプリングリングセツト溝、１６……面
とり部、１８……セツトボール、２０……内側テ
ーパ面、２２……ボールセツト溝、２４……スト
ツプリング、２６……回り止めボールセツト溝、
２８……回り止めボール、３０……内面、３２…
…環状溝、３４……溝、３６……案内溝、３８…
…スプリングリング収容溝、５０……深い溝、６
２……スプリングリングストツプ溝、１０２，２
０２，３０２……ヨーク、１０８……スライドカ
ラー、１１０……ばね。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 互に軸線方向に摺動し得るが相対的に回転し
   ないよう嵌合する軸６と、相手部材２とを具え、
   この相手部材２に収容され前記軸６のボールセツ
   ト溝２２に一部を突出して前記軸６が前記相手部
   材から抜け出るのを防止するセツトボール１８
   と、前記ボールセツト溝２２内に一部を突出する
   前記セツトボールを保持するボール保持位置と保
   持しないボール非保持位置とに前記相手部材２上
   で摺動できるスライドカラー８と、前記スライド
   カラー８を一方向に押圧するばね１０と、前記ス
   ライドカラー８の内面に形成したスプリングリン
   グ収容溝３８内に収容され前記スライドカラー８
   の移動と共に移動し内方に収縮するばね力を有す
   る環状のスプリングリング１２と、前記セツトボ
   ール１８の外方への運動によつて前記スプリング
   リング１２を外方に釈放するように前記スプリン
   グリング１２を収容するため前記相手部材２の外
   周に形成されたスプリングリングセツト溝１４
   と、前記ばね１０の力と協働して前記スライドカ
   ラー８を前記ボール保持位置に保持するスライド
   カラー保持位置保持装置２４，６２とを具えるこ
   とを特徴とする駆動軸。 ２ 前記スライドカラー８の一端に衝合するスト
   リツプリング２４を前記相手部材の外周に設けて
   前記スライドカラー保持位置保持装置を構成した
   特許請求の範囲第１項に記載の駆動軸。 ３ 前記スプリングリング１２と、前記相手部材
   の外周に形成されゆるやかなテーパを有するスプ
   リングリングストツプ６２とで前記スライドカラ
   ー保持位置保持装置を構成した特許請求の範囲第
   １項に記載の駆動軸。 ４ 前記ばね１１０を前記スライドカラー８の内
   部に配置した特許請求の範囲第１項に記載の駆動
   軸。