JPH0219107Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、別個に製作した架台、洗い場およ
び浴槽を施工現場で簡単に組立てることができる
洗い場付き浴槽に関する。

周知のように、住宅用の浴室ユニツトは、浴
槽、洗い場、壁および天井が基本的構成部材であ
り、従来の合成樹脂製あるいはステンレス製の浴
室ユニツトにあつては、壁と天井とが別部材にな
つているものの、洗い場と浴槽とは一体成形であ
る。したがつて、洗い場と浴槽との一体成型物は
嵩張るので、搬送が面倒であり、特に、高層建築
物の浴室として設置する場合には、搬入するのに
多大の時間と費用とを要する。また、家屋の増改
築により浴室を設けるとき、搬入口が狭くて搬入
不可能であることがあり、そのような場合、搬入
口を破壊して搬入しなければならなくなる。

そこで、本出願人は、洗い場と浴槽とを分離す
ることによりどのような現場にでも簡単に搬入す
ることができ、かつ、容易に組立てることができ
る洗い場付き浴槽を考案し、実用新案登録出願
（昭和57年実用新案登録願124906号）をした。

しかしながら、前記出願に係る洗い場付き浴槽
は、狭い浴室内で洗い場と浴槽とを一体化する作
業に不便を生ずることが判明した。

前記不便を解消するために鋭意工夫を重ねた結
果、この考案に到達した。

すなわち、この考案の目的は、狭い浴室内であ
つても簡便に洗い場と浴室とを組立てて一体化す
ることができる洗い場付き浴槽を提供することに
ある。

次に、この考案の一実施例について図面を参照
しながら説明する。

第１図において、１は合成樹脂製あるいはステ
ンレス等の金属製の浴槽であり、深い浴槽部分２
と、前記浴槽部分２の上縁から外方向に水平に延
在する上縁部３とを有する。前記上縁部３の洗い
場側は浴槽部分２の短手方向の幅に平行な上縁部
３における一方の縁辺の端部付近から浴槽部分２
の長手方向の幅に向う第１縁辺部４と、浴槽部分
２の短手方向の幅に平行な上縁部３における他方
の縁辺の端部付近から浴槽部分２の長手方向の幅
に向う第２縁辺部５と、前記第１縁辺部４と第２
縁辺部５とを結んで浴槽部分２の長手方向の幅に
平行な第３縁辺部６とを有し、上方より見て第１
縁辺部４と第２縁辺部５とを左右対象に形成して
なる。そして、第２図に示すように、第１縁辺部
４、第２縁辺部５および第３縁辺部６の下端を浴
槽部分２に向つてＬ字状に折曲して、鍔部７を形
成し、鍔部７にはボルト、ビス、ピン等の固着部
材を取付ける挿通孔を適宜の間隔をもつて開設す
る。

前記浴槽部分２の底面部は底面板と下面板とか
らなり、底面部と底面板との間に発泡ウレタン等
の断熱材を充填して補強すると共に断熱保温性を
確保する。そして、底面部の下面板の四隅には、
中空で、内部にナツトを設けた脚８を取付ける。

洗い場９は、ステンレス等の金属製あるいは合
成樹脂製であつて、全体として、上方を開口する
箱状体であり、底面部分１０と、底面部分１０の
周辺に直立する側面部分１１とを有する。

側面部分１１は、浴槽１に対向する第１側面部
１１Ａの幅を前記第１側面部１１Ａに平行に対向
する側面部１１Ｂの幅よりも短かくし、前記側面
部１１Ｂに直交して立設する一対の第２側面部１
１Ｃ，１１Ｄと第１側面部１１Ａの両側との間に
傾斜行すると共に開口部１２を開設する一対の傾
斜側面部１１Ｅ，１１Ｅを有する。前記第１側面
部１１Ａの幅は第３縁辺部６の長さとほぼ同等で
あり、傾斜側面部１１Ｅ，１１Ｅの第１側面部１
１Ａに対する傾斜角は、第１縁辺部４あるいは第
２縁辺部５の第３縁辺部６に対する傾斜角とほぼ
同等である。そして、第１側面部１１Ａおよび一
対の傾斜側面部１１Ｅ，１１Ｅの上端には、水平
な取付片１３を外向きに延設する。取付片１３に
は、ボルト、ビス、ピン等の固着部材を取付ける
挿通孔１４を開設する。

前記開口部１２は、浴槽１と洗い場９とを結合
する作業を行うことができるように、作業者の腕
や手が挿入できる大きさを有しているものであ
る。そして、浴槽１と洗い場９との結合作業後、
開口部１２には、有底の箱体１５を、傾斜側面部
１１Ｅ，１１Ｅの裏側に突出するように固着す
る。この際、傾斜側面部１１Ｅは、傾斜している
ので、浴槽１との間に空間が形成され、有底の箱
体１５を埋設することができるのである。開口部
１２への箱体１５の埋設は、次のようにすると簡
単に行うことができる。

すなわち、傾斜側面部１１Ｅにおいて、第３図
に示すように、開口部１２の近傍に第１ビス挿通
孔１６を開設する。箱体１５の開口部に外に延在
する係止鍔１７を設け、箱体１５を開口部１２に
洗い場９の内側から外側に向けて挿入し、開口部
１２の縁と係止鍔１７とを重ね合わせたときに前
記第１ビス挿通孔１６に対応する位置に第２ビス
挿通孔１８を係止鍔１７に開設する。また、傾斜
側面部１１Ｅの裏側には、第４図に示すように、
一対の係止片１９，１９を所定間隔をもつて相対
向するように浮き上らせ、前記係止片１９，１９
の相対する縁辺に、ビス２０における螺止山を係
止する切欠部２１を形成してなる係止金具２２
を、第１ビス挿通孔１６部分に取付ける。そし
て、開口部１２の縁と係止鍔１７とを重合したま
ま、各第２ビス挿通孔１８から第１ビス挿通孔１
６へとビス２０を圧入すると、ビス２０における
螺子の谷に切欠部２１の縁辺が這入り込み、これ
によつて開口部１２に箱体１５を強固に結合する
ことができる。そしてビス２０は、その螺子を反
時計方向に回動すると、容易に第１ビス挿通孔１
６および第２ビス挿通孔１８から取外すことがで
きる、これによつて開口部１２から箱体１５を容
易に取外すことができる。

なお、洗い場９が金属製である場合、前記係止
片１９，１９を第１ビス挿通孔１６の裏側に直接
に形成してもよい。

前記浴槽１と洗い場９とのそれぞれを載置固定
する浴槽用架台２３と洗い場用架台２４とのそれ
ぞれは、たとえば鉄骨を台枠状に組立ててなり、
第１図に示す例では、浴槽用架台２３と洗い場用
架台２４とを別個に作成し、両架台２３，２４の
一側同志を衝接して数本のボルトで一体化するこ
とができる。なお、浴槽用架台と洗い場用架台と
を、鉄骨等であらかじめ一体に作成しておいても
よい。

前記構成の浴槽１、洗い場９および架台２３，
２４の組立てに際しては、前述のようにして一体
化した浴槽用架台２３に浴槽１を載置し、また、
洗い場用架台２４に洗い場９を載置し、各架台２
３，２４に下からボルト等を挿入して、これによ
り一体化した架台２３，２４に浴槽１と洗い場９
とを固着する。この段階では浴槽１における鍔部
７と洗い場９における取付片１３とが、第２図に
示すように重なり合つたままである。そこで、箱
体１５を取付けていない開口部１２から手を挿入
して、鍔部７における挿通孔および取付片１３に
おける挿通孔１４に下からボルトを挿入すること
により鍔部７と取付片１３とを一体に固着する。
鍔部７と取付片１３との固着作業は、傾斜側面部
１Ｅと浴槽１との間に手作業をするに十分な空間
が確保されているので、簡単かつ迅速に行なうこ
とができる。次いで、開口部１２に箱体１５を挿
入し、開口部１２の縁と係止鍔１７とを重ね合わ
せた後、各第２ビス挿通孔１８から第１ビス挿通
孔１６にビス２０を圧入する。ビス２０の圧入だ
けで開口部１２の縁と係止鍔１７とを密着結合す
ることができるので、箱体１５の取付作業を簡単
に済ませることができる。なお、鍔７と取付片１
３との間には防水性パツキング材を介装し、ま
た、開口部１２の縁と係止鍔１７との間にも防水
性パツキング材を介装しておくのが、防水上好ま
しい。また配管の保守点検などを行う場合には、
ビス２０を緩めて各孔１６，１８から外し、箱体
１５を開口部１２から外して手を差し込めばよ
い。

以上この考案の一実施例について詳述したが、
この考案は前記実施例に限定されるものではな
く、この考案の要旨を変更しない範囲で適宜に変
形して実施することができるのはいうまでもな
い。

この考案によると、別個に製作した浴槽と洗い
場、架台を施工現場に搬入し、施工現場で簡単に
組立てて洗い場付き浴槽を得ることができる。し
たがつて、輸送に便利なばかりでなく、家屋の増
改築に際しても搬入口が狭くてもこれを破壊する
ことなく容易に搬入することができる。特に、狭
い浴室内で組立てる場合であつても、傾斜側面部
と浴槽との間に大きな空間部を形成し、しかも、
傾斜側面部に開口部を設けているので、開口部か
ら手を挿入することによりボルト締め作業、ビス
止め作業等の結合作業を容易に、かつ、確実に行
なうことができ、したがつて、狭い浴室内であつ
ても、浴槽と洗い場とを迅速にかつ簡単に一体化
することができる。しかも、一体化後に、開口部
に箱体を嵌着するので、前記箱体を浴室の清掃用
具その他の備品の収納場所として有効利用するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す分解斜視
図、第２図は第１図における−線矢示断面
図、第３図は傾斜側面部における開口部への箱体
の取付けを示す分解斜視図、第４図は係止金具を
示す一部切欠斜視図、および第５図は要部の横断
面図である。 １……浴槽、７……鍔部、９……洗い場、１１
Ａ……第１側面部、１１Ｃ，１１Ｄ……第２側面
部、１１Ｅ……傾斜側面部、１２……開口部、１
３……取付片、１５……箱体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 別個に製作した浴槽と洗い場とを結合した洗い
   場付き浴槽において、浴槽に対面する洗い場の第
   １側面部と前記第１側面部に直交する第２側面部
   との間に、前記第１側面部より所定角度で第２側
   面部に傾斜する傾斜側面部を形成し、該傾斜側面
   部には手を洗い場側から挿入して浴槽と洗い場と
   を結合する作業を行うことのできる開口部を形成
   し、前記開口部に有底の箱体を着脱可能に取付け
   てなることを特徴とする洗い場付き浴槽。