JPH0218742Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シートを前後方向に移動調節するス
ライドレールにおいてその端部側に付設されるス
ライドレールカバーに関する。

（従来の技術） 一般に、車両等におけるシートは、スライドレ
ール上に載置され、シートを前後方向に移動調節
することにより、着座者の体型または好み等に対
処できるように構成されている。また、二ドアタ
イプの車両等においては、後席乗員の乗降り時に
前席シートを上述したスライドレールにより前方
に移動させ、後席乗員の乗降りが容易に行なえる
ようになつている。

ところで、上述したシートスライドレールは、
一般に、車室床面上に固定される固定レールと、
この固定レールに嵌合してシートの前後方向に摺
動可能な可動レールとで構成されており、たとえ
ば可動レールがシート前方に移動している状態で
は、固定レール後端部が露出した状態となり、こ
の固定レール後端部に後席乗員の足等が衝突し易
く、安全性の面で若干の問題を生じる。このた
め、従来から固定レールの後端部にゴム材や軟質
合成樹脂材等からなるプロテクタカバーを、レー
ル後端部に回動可能な状態で取付け、または実開
昭58−95332号公報に示される如くロアレール及
びアツパレールの後端部を取付ブラケツトごとカ
バー体にて被覆し、且つアツパレールの後方への
摺動を許す開閉被覆部を形成し、これにより安全
性を図り、しかも可動レール側の後方への移動を
阻止しないような構成とされていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上述したレール後端部は、後席
乗員の乗降り時において最も衝突し易い所ではあ
るが、他の露出した部分の隅角部にも衝突する虞
れがあり、さらにレールの露出部分に塵埃等が侵
入すると、スライドレールの機能を阻害するとい
つた問題を生じるものであり、また固定ブラケツ
トごとカバー体により被覆する場合には形状が大
型化し、車室内の居住空間を狭めると共に、固定
ブラケツトの取付方向が制約され、固定ブラケツ
トの取付位置の変更ができない欠点を有し、何ら
かの対策を講じることが望まれている。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、シートスライドレールにおいてシートの
移動により外部に露呈する部分を適切かつ確実に
保護し、小型で乗員の足等が衝突するといつた問
題を一掃するとともに、固定レールの露呈部分か
らのごみ等の侵入を防止し、その動作上の信頼性
を向上させることができ、且つ固定ブラケツトの
取付位置が制約されることのない安価なシートの
スライドレールカバーを提供することを目的とす
るものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係るシートのスライドレールカバー
は、シートスライドレールの固定レールの少なく
とも一端側でその底部に固定される底面部と、そ
の両側縁からヒンジ部を介して回動可能に立設さ
れるとともにその上端縁から内向きに折曲げ形成
されたそれぞれの折曲片先端が互いに接近するこ
とにより固定レールの上面部を覆う一対の側面部
と、前記折曲片の内方端側に形成され、前記可動
レールの端部を案内する案内部と、これら両側面
部を、常時は固定レールの周囲を把持し得る方向
に付勢する付勢手段とからなり、前記固定レール
の一端側に前記可動レールの端部が到来したとき
に前記折曲片の内方端側に形成された案内部に沿
つて前記可動レールが当接し、前記両側面部が前
記付勢手段に抗して前記底面部との間のヒンジ部
を介して両側外方に拡開されるように構成したも
のである。

（作用） 本考案によれば、固定レール端は、常時は、そ
の部分に付設されたスライドレールカバーの存在
により全体を覆うように把持される一方、可動レ
ールが到来したときには、前記折曲片の内方端側
に形成された案内部に沿つて前記可動レールが当
接し前記両側面部が前記付勢手段に抗してヒンジ
部にて両側外方に拡開されるものである。

（実施例） 以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係るシートのス
ライドレールカバーの一実施例を示すものであ
り、これらの図においては、シートにおける左、
右一対のスライドレールのうち一方のみを図示
し、他方のスライドレールは同一構成であるた
め、その説明は省略する。

すなわち、スライドレール１０は、周知の通
り、固定ブラケツト１１を介して車室床面１２上
に取付け固定される固定レール１３と、この固定
レール１３に嵌合してシート（図示せず）の前後
方向に摺動動作可能な可動レール１４とからな
り、この可動レール１４は図示しないロツク機構
により所望の調節位置にてロツクされるように構
成されている。

さて、本考案によれば、上述した構成によるシ
ートスライドレール１０において、前記固定レー
ル１３の少なくとも一端側（本実施例では後端部
側）に対し、その底部側に固定される底面部２０
と、その両側縁からヒンジ部２１，２１を介して
回動可能に立設されるとともにその上端縁から内
向きに折曲げ形成されたそれぞれの折曲片２２，
２２の先端が互いに接近することにより固定レー
ル１３の上面部側を覆う一対の側面部２３，２３
とからなるスライドレールカバー２４を設け、か
つ、このカバー２４の両側面部２３，２３に、常
時は固定レール１３の周囲を把持し得る方向に付
勢力を付与し、この固定レール１３の一端側に前
記可動レール１４の後端部が到来したときにのみ
前記底面部２０との間のヒンジ部２１，２１を介
して前記両側面部２３，２３を両側外方に拡開さ
せ得るように構成したところに特徴を有してい
る。

なお、図中２５，２５は上述した両側面部２
３，２３を付勢するスプリング、２６，２６は前
記折曲片２２，２２の先端から内側に折曲げら
れ、第３図に示すように可動レール１４の上部に
当接する当接部で、また２７は前記折曲片２２，
２２の内方端側を傾斜して切欠くことにより形成
される楔状をなす可動レール１４の案内部であ
る。

ここで、上述したスライドレールカバー２４
は、ゴム材、軟質合成樹脂材等の弾性を有する材
料や、金属材料にて断面が略矩形状を呈するよう
に形成され、前記固定レール１３の一端部側を可
動レール１４の移動量に応じて充分に覆つた状態
で把持し得る長さで形成されている。また、この
実施例では、その底面部２０を固定レール１３の
底部にねじ止めした場合を示しているが、これに
限定されず、たとえば接着材等で接合してもよい
ものである。

そして、上述した構成によれば、第１図および
第２図に示すように、可動レール１４が前方に移
動し、この可動レール１４がカバー２４に当接し
ていない状態においては、固定レール１３の後端
部全体を覆つた状態となり、これによりこの部分
を保護してプロテクタとしての機能を発揮すると
ともに、固定レール１３内へのごみ等の侵入をも
防止する役割を果たすことが可能である。また、
可動レール１４が後方に移動し、カバー２４の案
内部２７を介してその両側面部２３，２３に当接
すると、第３図に示すように、これら両側面部２
３，２３をスプリング２５，２５の付勢力に抗し
てそれぞれ外方に回動させ、拡開させるもので、
これにより可動レール１４は適切に移動されると
ともに、その外方をカバー２４にて適切に覆われ
た状態を保ち、所要の機能を発揮し得るものであ
る。

そして、このような構成によれば、固定レール
１３の後端部を、可動レール１４の前方への移動
時において、簡単かつ確実に覆うことができるこ
とから、見栄えのよいものであり、またレール１
３側に付着しているグリース等が乗員の衣類等に
付着するといつた問題もなく、さらに乗員が足な
どをぶつけたとしても何ら支障なく、安全性の面
で優れ、しかもこのようなカバー２４は前述した
ように、簡単な構成で、小型かつ安価に形成でき
る等の利点を奏することができるものである。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造などを、必要に応じて適宜
変形、変更することは自由である。たとえば上述
した実施例では、本考案に係るスライドレールカ
バー２４を、スライドレール１０の後端側に付設
した場合を説明したが、これに限定されず、レー
ル１０の前端部側に付設してもよいことは容易に
理解されよう。また、上述した実施例では、両側
面部２３，２３を内向きに付勢するために、一対
のスプリング２５，２５を用いた場合を説明した
が、本考案はこれに限定されず、種々の変形例が
考えられるものである。さらに、上述したカバー
２４として金属材料で形成した場合には、底面部
２０と側面部２３，２３間を別体に形成し、何ら
かのヒンジ部材２１，２１にて揺動自在に構成す
ればよいものである。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案に係るシートのス
ライドレールカバーによれば、シートスライドレ
ールの固定レールの少なくとも一端側でその底部
に固定される底面部と、その両側縁からヒンジ部
を介して回動可能に立設されるとともにその上端
縁から内向きに折曲げ形成されたそれぞれの折曲
片先端が互いに接近することにより固定レールの
上面部を覆う一対の側面部と、前記折曲片の内方
端側に形成され前記可動レールの端部を案内する
案内部と、これら両側面部を、常時は固定レール
の周囲を把持し得る方向に付勢する付勢手段とか
らなり、前記固定レールの一端側に前記可動レー
ルの端部が到来したときに前記折曲片の内方端側
に形成された案内部に沿つて前記可動レールが当
接し、前記両側面部が前記付勢手段に抗して前記
底面部との間のヒンジ部を介して両側外方に拡開
されるように構成したので、簡単かつ安価な構成
にもかかわらず、固定レール端部を適切かつ確実
に把持し、見栄えのよいものであり、これにより
後席乗員の乗降り時等に露呈した固定レール端部
や隅角部などに乗員の足が直接衝突するといつた
問題がなくなり、プロテクタとしての機能を発揮
させ得るとともに、レール内部へのごみ等の侵入
をも防止し得るため、その円滑で適切な動作を長
期にわたつて維持し得、また固定ブラケツトごと
カバー体により被覆していないので大型化せず、
また固定ブラケツトの取付方向が制約されること
もなく、固定ブラケツトを横方向に変更して取付
けることができる等といつた実用上種々優れた効
果がある。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係るシートのスライドレールカバ
ーの一実施例を示し、第１図は全体の概略構成を
示す概略斜視図、第２図はその要部断面図、第３
図はその使用状態を示す動作説明図である。 図中、１０……スライドレール、１３……固定
レール、１４……可動レール、２０……底面部、
２１……ヒンジ部、２２……折曲片、２３……側
面部、２４……スライドレールカバー、２５……
スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定レール上で可動レールを摺動動作させるこ
   とにより、シートを前後方向に移動調整するシー
   トスライドレールのスライドレールカバーにおい
   て、前記スライドレールカバーは前記シートスラ
   イドレールの固定レールの少なくとも一端側でそ
   の底部に固定される底面部と、その両側縁からヒ
   ンジ部を介して回動可能に立設されるとともにそ
   の上端縁から内向きに折曲げ形成されたそれぞれ
   の折曲片先端が互いに接近することにより固定レ
   ールの上面部を覆う一対の側面部と、前記折曲片
   の内方端側に形成され前記可動レールの端部を案
   内する案内部と、これら両側面部を、常時は固定
   レールの周囲を把持し得る方向に付勢する付勢手
   段とからなり、前記固定レールの一端側に前記可
   動レールの端部が到来したときに前記折曲片の内
   方端側に形成された案内部に沿つて前記可動レー
   ルが当接し、前記両側面部が前記付勢手段に抗し
   て前記底面部との間のヒンジ部を介して両側外方
   に拡開されることを特徴とするシートのスライド
   レールカバー。