JPH0218676Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、歯車列を有する小型電動機に関する
ものである。

歯車列を有する小型電動機においては、歯車同
士の噛合ノイズをなるべく小さくすることが要求
され、この噛合ノイズを小さくするために、歯車
軸の両端を支持する軸受けを共に変位させて、歯
車同士の噛合を調整するようにしているが、相隣
接する歯車軸の軸間距離が全体的に増・減するた
めに微妙な噛合調整が行ないづらく調整が面倒で
あると共に、その構成も複雑であるという欠点を
有している。

本考案は上記従来技術の有する欠点に鑑みてな
されたもので、本考案の目的は、構造が簡単でし
かも微妙な噛合調整を行なうことができるように
して噛合ノイズの低減化を図つた小型電動機を提
供する。

本考案の構成は、ロータと、励磁コイルを有し
前記ロータに対向配置された磁極コアと、前記ロ
ータの回転を伝達する歯車列とを有する小型電動
機において、 前記歯車列中の一番歯車の軸を、該軸の一端を
支点とし、他端を前記ロータの回転中心軸線に対
して変位させる調整軸受けに軸支し、前記一番歯
車を前記ロータに形成された歯車に噛合させて設
けたことを特徴とする。

このように構成した小型電動機は、調整軸受け
の位置をずらすことによつて一番歯車の軸位置が
変わり前記ロータに形成された歯車と一番歯車と
の適度な噛み合せの位置を決定することができ
る。

以下に本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図において、１はコイル収容ケースで、そ
の底部には環状の励磁コイル２が載置固定され、
その内側には磁極としてのコアー３，４が設けら
れている。環状の励磁コイル２の上部には、歯車
列収容ケース５が載置固定され、歯車列収容ケー
ス５の上部には、第２図に示すように、平板形状
の蓋板としての地板６が装着され、電動機には、
収容ケース１，２を上下方向に貫通するロータ軸
７が設けられている。ロータ軸７の一端部は、コ
アー４に支承され、その他端部は地板６に装着さ
れている。ロータ軸７には、ロータ軸受け８が装
着され、このロータ軸受け８にロータ９が装着さ
れている。このロータ９は、ここでは、磁極とし
ての磁性体１０と歯車１１を有する合成樹脂製部
材１２とから概略構成されている。

歯車列１３は、一番歯車１４と二番歯車１５と
三番歯車１６とから大略構成されており、三番歯
車１６は、出力軸１７に装着されて、ロータ９の
回転は歯車列１３を介して出力軸１７に伝達され
るようになつている。一番歯車１４は、歯車１８
とピニオン１９とを有しており、二番歯車１５は
三番歯車１６と噛合する歯車１５ａを同軸に有し
ている。一番歯車１４の一端部は、固定軸受け２
０に支持されており、一方、一番歯車１４の他端
部は調整軸受け２１に支持されている。

この実施例では、一番歯車１４を調整して噛合
ノイズの低減化を図るようにされており、そのた
めの調整軸受け２１は、第３図、第４図に示す構
造とされている。この第３図、第４図において、
２２はロータ軸２７の挿通孔、２３はピニオン１
９の逃げ孔、２４はフランジ、２５はフランジに
設けられている切欠き、２６は指標であつて、調
整軸受け２１は、地板６の内側から地板６に対し
て回転しうるように地板６にカシメ支持されてい
る。ここで、一番歯車１４の軸２７の軸心Ｏと調
整軸受け２１の回転中心Ｐとは、第３図に示すよ
うに、距離Ｃだけ偏位しており、歯車同士の噛合
調整は、以下の如く行なうものである。

これを、第５図の模式図により説明すると、ロ
ータ軸７の軸心をＱ、二番歯車１５の軸心をＲと
して、調整軸受け２１を点Ｐを中心に回転させる
と、一番歯車１４の軸２７の軸心Ｏと調整軸受け
２１の回転中心Ｐとは、距離Ｃだけ偏位している
ので、調整軸受け２１に軸支された一番歯車１４
の軸心Ｏは距離Ｃを半径とする円Ｓを描く。した
がつて、調整軸受け２１を回転させることによ
り、一番歯車１４の軸心Ｏと二番歯車１５の軸心
Ｒとの軸心距離OR、及び、一番歯車１４の軸心
Ｏとロータ軸７の軸心Ｑとの軸心距離OQを調節
することができ、それゆえに一番歯車１４と歯車
１１との噛合調整、一番歯車１４と二番歯車１５
との噛合調整を共に行なうことができる。その
際、第５図に示すように、S′−S′領域では、一番
歯車１４と二番歯車１５との軸心距離ORをほと
んど変化させることなく、一番歯車１４とロータ
軸７の軸心距離OQを大きく変化させることがで
き、最も噛合ノイズの生じ易い歯車１１と一番歯
車１４との噛合調整を、他の歯車との噛合関係を
ほとんど変えることなく行なうことができる。ま
た、一番歯車１４の一端部は固定軸受け２０に固
定されているので、調整軸受け２１を地板６に対
して回転させると、地板６に対して支持された調
整軸受け２１の回転中心Ｐは動かず、調整軸受け
２１の回転中心Ｐに対して偏位した位置に設けら
れた一番歯車１４の軸２７の軸心Ｏが、回転中心
Ｐを中心として移動することとなる。即ち、歯車
軸２７は、固定軸受け２０を支点に、調整軸受け
２１の回転中心Ｐに対し軸心Ｏが偏位している分
揺動することとなるが、歯車軸２７は固定軸受け
２０を支点にして揺動することとなるが、歯車１
８、ピニオン１９の揺動量は、これらが、調整軸
受け２１よりも固定軸受け２０に近い側にあるか
ら、軸受け２１を大きく回転させてもその揺動量
は小さく、したがつて、微妙な噛合調整を行なう
ことができることとなる。

なお、歯車同士の噛合調整が終了した時点で、
調整軸受け２１は地板６に接着剤等によつて固定
するものである。

第６図は、本考案の第２の実施例を示すもの
で、調整軸受け２１を地拍６に一体形成したもの
であり、ここでは、地板６にＣ字形状の孔２８を
穿設することにより調整軸受け２１が地板６に形
成されている。この実施例の場合には、調整軸受
け２１をドライバ等の工具により変形させて噛合
調整を行なうものである。

以上説明したように、本考案は、ロータの歯車
と噛合する一番歯車の軸を、前記ロータの回転中
心軸線に対して変位させる調整軸受けに軸支した
ことにより、最も噛合ノイズの生じやすい歯車間
の噛合調整を、他の歯車との噛合関係をほとんど
変えることなく、簡単な構成で行なうことができ
るので噛合ノイズを簡単な操作で減少させること
ができ、また、ロータと磁極コアとの対向位置関
係も変わらないので、ロータと磁極コア間の磁気
作用にも悪影響を及ぼさないという効果を奏す
る。

この他、実施例においては、調整軸受け２１
を、地板６に設けて、外から調整できるようにし
たので、噛合調整を簡単に行なうことができると
いう効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る小型電動機の側断面図
であつて第２図の−線に沿う拡大断面図。第
２図は、本考案に係る小型電動機の平面図。第３
図は、本考案に係る軸受けの拡大平面図。第４図
は、第３図の−線に沿う断面図。第５図は、
本考案の作用を説明するための模式図。第６図
は、本考案の第２実施例を説明するための地板の
平面図。 ２……励磁コイル、３，４……磁極コア、９…
…ロータ、１３……歯車列、１４……一番歯車、
２１……調整軸受け。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ロータと、励磁コイルを有し前記ロータに対向
   配置された磁極コアと、前記ロータの回転を伝達
   する歯車列とを有する小型電動機において、 前記歯車列中の一番歯車を前記ロータに形成さ
   れた歯車に噛合させると共に前記歯車列中の二番
   歯車とも噛合させて、上記ロータの回転を前記一
   番歯車を介して前記二番歯車に伝達するようにな
   す一方、 前記一番歯車の軸を、該軸の一端を支点とし、
   他端を前記ロータの回転中心軸線と前記歯車列中
   の二番歯車の回転中心軸線とのそれぞれに対して
   変位させる調整軸受けに軸支したことを特徴とす
   る小型電動機。