JPH0430555Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、振子を備えたアナログ式時計に関す
る。

（従来の技術） 一般にアナログ式時計は、ムーブメント内に同
期モータ部と時計輪列部とを備えて構成され、同
期モータ部は水晶などの時間基準源から駆動信号
を得てモータを駆動させ、また、時計輪列部はそ
の歯車列によつて、前記駆動力を時計指示針に伝
達するものである。この種のアナログ式時計に振
子を設ける場合、振子はその適位箇所に永久磁石
が取付けられる一方、振子駆動用のコイルは前記
永久磁石に対峙して設けられる。そして、このよ
うな従来の振子時計において、ムーブメントは一
般に略四角形状を呈して、その中央部に指針軸が
配設され、一方振子は、別途に設けられた部材に
支持されている。

（考案が解決しようとする課題） 振子時計の振子は、その揺動支点（振子支点）
が指針軸と一致するのが本来的に要請されるもの
である。すなわち、振子の揺動支点が駆動モーメ
ントの中心となるので、これと、指針の回転中心
たる指針軸とが一致するのが好ましいからであ
る。ところが、今日の時計は、上述のようにムー
ブメントの中央部に指針軸が配設されている関係
上、振子は本来の姿を変えた位置に設けられ、専
ら装飾用の疑似振子として用いられているのが実
情である。もつとも、装飾用の疑似振子として
も、その振子支点が指針軸に可能な限り一致する
に越したことはない。この要求に適合させようと
すると、ムーブメントの指針軸の後方に取付部を
設けて振子を配設することとなるので、時計の厚
みを増してしまい、時計の小型化及び薄型化は困
難であつた。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、こ
の種の時計を改造することにより、振子支点を指
針軸に近づけることができ、しかも小型化、薄型
化が可能なアナログ式時計を提案せんとするもの
である。

すなわち本考案は、ムーブメントの上下ケース
間に、同期モータ部と時計輪列部とを装着してな
るアナログ時計において、前記同期モータ部は、
縦長状のステータと、該ステータに設けるコイル
と、前記ステータの端部に設けるロータとを備
え、前記、時計輪列部の歯車列を同期モータ部の
ロータから、複数の輪列を経由して、少なくとも
３番車から先端の分針車、該分針車から前記３番
車と同軸の日の裏車、該日の裏車から前記分針車
と同軸の時針車までロータ中心軸と直角方向へ順
次遠ざかる方向に設けて、指針軸の歯車を歯車列
の末端でかつ最上端に位置させ、前記ムーブメン
トの上端で指針軸から最短距離の箇所に振子支点
を形成し、この振子支点に振子の上端部が揺動可
能に取付けられているアナログ式時計にある。

（作用） このように構成すると、ムーブメントが可及的
に縦長状になり、振子を装着する態様に合致す
る。

一方、指針軸は、輪列先端の分針車及びこれと
同軸の時針車の箇所に設けられるので、当該指針
軸はムーブメントの先端側に位置することとな
る。

そして、振子支点は、ムーブメントの上端で指
針軸から最短距離の箇所に設けられることとなつ
て、本来の振子の配設態様に近い形態が実現され
る。

（実施例） 以下に本考案を図面に示す一実施例に基いて説
明する。

第１図は本考案を実施した時計の輪列構成縦断
面図、第２図は同上の位相を90°回転させた状態
における縦断面図で、同図において本考案は、ム
ーブメント２の上下ケース１０，１２間に同期モ
ータ部と時計輪列部とを装着し、ムーブメント２
の背後に振子４を備えて構成される。

同期モータ部は、水晶などの時間基準源から駆
動信号を得てモータを駆動する部位であり、時計
輪列部は、複数の歯車列から構成され、同期モー
タ部からの駆動力を時刻指示針に伝達する部位で
ある。これらの基本的構成は従来のアナログ式時
計と共通しているが、本考案の場合は、時計輪列
部の歯車列を同期モータ部のロータからロータ中
心軸と直角方向へ順次遠ざかる方向に設けてい
る。

実施例では、同期モータ部は、縦長コ字形状の
ステータ１４と、該ステータ１４の一方の脚に設
けるコイル１６、及びステータ１４の開口部近傍
に配設されるロータ１８とから構成される。

時計輪列部は、ロータ１８のロータカナ２０と
噛合する減速車２２、減速カナ２４と噛合する４
番車２６、４番カナ２８と噛合する３番車３０、
３番カナ３２と噛合する分針車３４、分針カナ３
６と噛合し前記３番車３０と同軸の日の裏車３
８、及び、日の裏カナ４０と噛合し前記分針車３
４と同軸の時針車４４とから構成され、これらの
歯車列は、実施例の場合、ロータ中心軸からの直
線上に配置されている（第２図参照）。そして、
このように歯車列を展開配置したので、前記減速
車２２以下の歯車列を、第１図に示すように、ロ
ータ１８の端面１８ａよりも前方に配設すること
が可能となる。さらに、これに伴い、時計輪列部
を覆う部分の上ケース１０が、同期モータ部を覆
う上ケース１０に対し段差を設けて前方に形成さ
れており、この上ケース１０の段部に、時刻修正
つまみ４６が配設される。

この時刻修正つまみ４６は、日の裏軸４２に固
定されており、該つまみ４６の回転によつて、日
の裏車３８と日の裏カナ４０が回転するととも
に、これらに噛合する分針カナ３６と時針車４４
が回転し、これにより指針を任意の修正位置にも
たらすことができる。尚、分針カナ３６と分針車
３４との間にはスリツプ機構が設けられており、
上述の針合わせによる回転駆動力が輪列を遡るこ
とはない。

また、本考案では、指針軸４８の歯車つまり分
針車３４と時針車４４を歯車列の末端、すなわち
最上端に設け、時刻修正つまみ４６、したがつて
日の裏車３８を指針軸４８よりも同期モータ部側
に設けている。尚指針軸４８の先端には時針４８
ａと分針４８ｂを固着している。

本考案は、前述のように、時計輪列部の歯車列
を同期モータ部のロータ１８から順次遠ざかる方
向に設けているので、同期モータ部を含むケース
全体を細長形状に形成することができる。そし
て、ムーブメント２の上端で指針軸４８から最短
距離の箇所に振子支点２ａを形成する一方、ムー
ブメント２の下端からプリント基板６をムーブメ
ント外へ延出して設け、このプリント基板６の延
出部６ａに振子駆動用のコイル８を取付けた。

実施例では、プリント基板６は、同期モータ部
のコイルボビンに一体に設けた係合爪１６ａに保
持されている。また、プリント基板６の側部には
少なくとも二つの端子部６ｂが設けられている。

上記プリント基板６の延出部６ａに取付けられ
る振子駆動用のコイル８は、この延出部６ａに下
方から差し込まれて固定されるものであり、その
ため時計輪列部の組込み後でも装着できる一方、
コイルを使用しない製品には該コイルを組込まな
いですむことになるなど、これにより組立の系列
化が図れて自動化になじむものとなる。

振子４は、その上端がムーブメント２の振子支
点２ａに載置され、振子本体４ａはムーブメント
２の背後を迂回して配設され、前記振子駆動用の
コイル８に対峙した位置に、永久磁石４ｂが取付
けられている。

（考案の効果） 本考案は、以上のように構成しているので、振
子支点を指針軸に近づけることができて、本来の
振子の配設態様に戻すことができるようになつ
た。さらに、本考案は、ムーブメントを細長く、
しかも薄く形成でき、これにより、従来のように
ムーブメントの指針軸の後方に取付部を設けて振
子を配設するものと異なり、小型化、薄型化が可
能な振子時計を得ることができるものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した時計の輪列構成縦断
面図、第２図は同上の位相を90°回転させた状態
における縦断面図である。 ２……ムーブメント、２ａ……振子支点、４…
…振子、１０……上ケース、１２……下ケース、
１８……ロータ、４８……指針軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ムーブメントの上下ケース間に、同期モータ部
   と時計輪列部とを装着してなるアナログ時計にお
   いて、前記同期モータ部は、縦長状のステータ
   と、該ステータに設けるコイルと、前記ステータ
   の端部に設けるロータとを備え、前記時計輪列部
   の歯車列を同期モータ部のロータから、複数の輪
   列を経由して、少なくとも３番車から先端の分針
   車、該分針車から前記３番車と同軸の日の裏車、
   該日の裏車から前記分針車と同軸の時針車までロ
   ータ中心軸と直角方向へ順次遠ざかる方向に設け
   て、指針軸の歯車を歯車列の末端でかつ最上端に
   位置させ、前記ムーブメントの上端で指針軸から
   最短距離の箇所に振子支点を形成し、この振子支
   点に振子の上端部が揺動可能に取付けられている
   ことを特徴とするアナログ式時計。