JPH0217247Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、回転又は往復する運動軸とハウジン
グ間のシールに使用されるＶ形パツキンに関す
る。

（従来の技術及び解決しようとする問題点） 従来、運動軸とハウジング間に使用されるパツ
キンには、Ｖ形パツキンがあるが、このパツキン
のリツプ部がシールの使用中に摩耗するとリツプ
部の緊迫力が急激に低下する。その結果シールす
べき流体圧力が低いとき充分なシール緊迫力が得
られず漏れが生じることもある。また、第４図に
示すようにＵ形パツキンイの凹部にコイルスプリ
ングロ又は第５図に示すように、Ｕ形パツキンイ
にＵ形の板ばねハを装着し、パツキンのリツプ部
を、運動軸Ａに押圧する手段がとられている。し
かし、Ｕ形パツキンをケーシングＢのパツキン溝
Ｃに装置する際、パツキンを若干変形するためコ
イルスプリングのコイルが粗密状態になり使用時
に局部的な押圧力の増減によるリツプ部の摩耗が
生じる欠点がある。また、運動軸の偏心に対して
追従できない欠点もある。

本考案は上記欠点を解消すると共に長寿命の優
れたＶ形パツキンを提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、ふつ素樹脂などの耐熱性樹脂からな
る断面ほぼＶ形のパツキン主体の内外径リツプ部
に、それぞれリング状のコイルスプリングを装置
して、内径リツプ部を内径側に、また、外径リツ
プ部を外径側にそれぞれ押圧し、パツキン主体の
背部にパツキン主体を着座するＶ形凹部に形成し
たリテーナーリングを配置したＶ形パツキンに関
するものであり、またパツキン主体の基部に設け
た凸リングとリテーナーリングの凹リングとを嵌
合し、パツキン主体をリテーナーリングに安定的
に着座したことにも特徴を有する。

図面について本考案を具体的に説明する。

第１図について１は、断面ほぼＶ形をなしたパ
ツキン主体で、ふつ素樹脂などの耐熱性樹脂から
成形される。パツキン主体１は、Ｖ形の底部に位
置する基部２と、上記開口部に位置する内径リツ
プ部３および外径リツプ部４からなり、内外径リ
ツプ部３，４には運動軸ないしはケーシングに密
接する内径シール部５、及び外径シール部６を有
する。

７，８は内外径リツプ部３，４に、それぞれ装
着した２個のリング状のコイルスプリングであ
る。スプリング７，８は内外径リツプ部３，４に
あつて内径リツプ部３を内径側に、また外径リツ
プ部４を外径側に押圧し、内外径シール部５，６
を運動軸ないしはケーシング対してシールに適切
な密接をなすものである。

９は、パツキン主体１の背部に位置するリテー
ナーリングで、金属又は耐熱性樹脂から成形され
る。リテーナーリングは上部にＶ形凹部１０を有
し、この凹部に、パツキン主体の基部２を嵌合し
パツキン主体を正位置に着座する。

ここで、パツキン主体の内径シール部５の内径
寸法は、リテーナーリングの内径寸法より小さく
また、外径シール部６の外径寸法はリテーナーリ
ングの外径寸法より大きくして運動軸ないしは、
ケーシングに密接するようにしてある。

次に第２図は本考案の他の実施例を示すもので
第１図と比較して異なる事項を説明する。パツキ
ン主体１の基部２に一体に角形凸リング１１を設
け、またリテーナーリング９のＶ形凹部１０には
角形凹リング１２を形成し、この凹凸リングを嵌
め合せてパツキン主体を正位置に着座する。その
他の構造は第１図に示した構造と同じであり同一
付号で示す。

尚、第１図及び第２図の本考案において、パツ
キン主体をリテーナーリングに着座するために両
者を接着剤で接合してもよい。

（作用） 第３図は、運動軸Ａを貫通したケーシングＢに
形成したパツキン溝Ｃ内に第１図の本考案のＶ形
パツキンを装着したものである。

本考案のＶ形パツキンはパツキン溝Ｃ内にあつ
てパツキン主体に装着したコイルスプリング７，
８でもつて内外径リツプ部３，４を押圧し内径シ
ール部５を運動軸Ａにまた外径シール部６をパツ
キン溝Ｃの壁に密接する。図面上方から圧力流体
が負荷したとき、パツキン主体の内径シール部５
と運動軸Ａとの密接また外径シール６とパツキン
溝Ｃの壁との密接によつて、図面下方へ圧力流体
が漏洩するのをシールする。

上記においては、ケーシング側に本考案のＶ形
パツキンを装着してあるが、本考案はピストンパ
ツキンとしても使用できるものであり、その場合
は外部シール部側が摺動する。

（効果） シール流体が高圧高温である場合、第４図に示
す従来のＵ形パツキンイにあつてはその基部がフ
ラスコ状に変成し、その変形部分が運動軸Ａに密
接し使用に耐えなくなるが、本考案にあつては、
内外径リツプ部にそれぞれコイルスプリングを装
着して押圧しておりしかもリテーナーリングで保
護しているから高圧高温流体による変形が最少限
にとどまり良好なシール作用をすることができ
る。

また第４図、第５図に示す従来のスプリング入
り又はばね入りＵ形パツキンでは、運動軸Ａの偏
芯、軸ぶれに伴ないリツプ部に付与する押圧力に
増減が生じるが、本考案にあつては内径リツプ部
と外径リツプ部にそれぞれコイルスプリングを装
着しているので、運動軸及びケーシングの壁にそ
れぞれ安定した密接力を与えシール作用をするこ
とができる。

また、本考案は、内径リツプ部と外径リツプ部
のコイルスプリングのばね力をそれぞれ変えるこ
とができるので同一のパツキン寸法で軸側運動用
とハウジング側運動用のパツキンとして使用する
ことができる。

さらに、本考案において、パツキン主体の基部
に一体に設けた凸リングとリテーナーリングの凹
リングとを嵌合してパツキン主体をリテーナーリ
ングに安定的に着座し良好なシール作用ができる
と共に、リテーナーリングの材質をパツキン主体
より線膨張係数の小さい材質を選定することによ
つてパツキン主体の熱膨張、低温収縮を抑制し安
定したシール作用を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のＶ形パツキンの断面図、第
２図は本考案の他の例を示す断面図、第３図は第
１図の本考案のＶ形パツキンをケーシングのパツ
キン溝内に装着した断面図、第４図、第５図は、
従来のパツキンをケーシングのパツキン溝内に装
着した断面図。 付号、１……パツキン主体、２……基部、３…
…内径リツプ部、４……外径リツプ部、５……内
径シール部、６……外径シール部、７，８……コ
イルスプリング、９……リテーナーリング、１０
……Ｖ形凹部、１１…角形凸リング、１２……角
形凹リング、Ａ……運動軸、Ｂ……ケーシング、
Ｃ……パツキン溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ふつ素樹脂などの耐熱性樹脂からなる断面ほ
   ぼＶ形のパツキン主体１の先端部には、内径リ
   ツプ部３と外径リツプ４を形成し、該内外径リ
   ツプ部にそれぞれリング状のコイルスプリング
   ７，８を装着して内径リツプ部を内径側に、ま
   た外径リツプ部を外径側にそれぞれ押圧し、パ
   ツキン主体の背部にパツキン主体を着座するＶ
   形凹部１０を形成したリテーナーリング９を配
   置したＶ形パツキン。 ２ パツキン主体の基部２に凸リング１１を一体
   に設けリテーナーリング９のＶ形凹部に凹リン
   グ１２を形成して、該凹凸リングを嵌合してパ
   ツキン主体をリテーナーリングに着座すること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のＶ形パツキン。