JP2010265937A - シールリング - Google Patents

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光 ▲但▼野
Hikari Tadano
Yosuke Kondo
洋介 近藤
Koji Watabe
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Abstract

【課題】
密封対象物の密封性が高く、被シール面との摩擦が少なく、安定性に優れたシールリングを提供すること。
【解決手段】
軸孔を有するハウジングと該軸孔に挿入される軸のうちの該軸側に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間をシールするシールリングにおいて、該ハウジングの内周面と接触する第1シール面と、該環状溝の溝底面と接触する第2シール面と、該環状溝の大気側の側壁面に接触し、前記第1シール面及び第2シール面と直交する方向に第3シール面とを備え、第1シール面及び第2シール面は、それぞれの被接触面に対して平行となるように形成され、肉抜きにより厚肉部を形成することなく、且つ、径方向の幅は、該シールリングを装着する部位の環状間隙の幅を越えるしめ代を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軸孔を有するハウジングと該軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間をシールするシールリングに関する。
シールリングは、油圧保持の機能を持つ部品であり、主に自動車の自動変速機の軸シールとして使用されている。
従来、図13に示されるようなシールリングが知られている(特許文献1)。図13(a)は従来技術に係るシールリングの断面斜視図、図13(b)はシールリングが装着された状態を示す断面図である。
図示のシールリング401は、軸孔402が設けられたハウジング403と、この軸孔402に挿入された軸404との間の環状隙間をシールするためのものであり、軸404に設けられた環状溝405に装着されて使用される。
シールリング401は樹脂材料から形成され、軸404に設けられた環状溝405の側壁面406をシールするための第1シール面407と、ハウジング403に設けられた軸孔402の内周面408をシールするための第2シール面409と、を備えている。
図14は従来技術に係るシールリング401のシール機構の説明図である。
図14(a)は、無圧および加圧直後のシールリング401を示している。図中4本の矢印は密封流体の流れを示している。無圧および加圧直後はシールリング401と環状溝405の間に、摩擦を低減するための常時隙間が存在しているため、多少の密封流体のリークが起こる。
図14(b)は、加圧後の様子を示している。密封流体側Oから非密封流体側Aに向けて、図中矢印P方向に圧力がかかると、シールリングは非密封流体側Aに押圧されるため、第1シール面407は環状溝405の側壁面406を押圧し、また、第2シール面408は環状溝405に対向するハウジング403に設けられた軸孔402の内周面407を押圧し、それぞれの位置でシールする。
一方、往復動する2部材間の環状隙間をシールする方法としては、リップパッキン、スクイーズパッキン(特許文献2)や、U、Vパッキン(特許文献3)の使用も知られている。これらは、ゴム等の弾性体から形成され、装着時に断面方向に大きく押圧された状態で取り付けられることによって、シール面を形成する。
従来は、このようにして、密封対象物の漏れを防止していた。
しかし、高燃費・高効率化の要求や地球環境問題への関心の高まりを受けて、シールリングに対しては、密封対象物の機械装置からの漏れを最小限に抑制する事が強く求められている。特に近年、機械の高機能化と省スペース化により、シールの使用条件はより厳しいものとなっている。
そこで、シールの要求機能は、主に下記の2項目に整理できる。
(1)密封対象物の密封性が高いこと。
(2)被シール面との摩擦が少ないこと。
従来のシールリングは、(2)低摩擦である点では問題が少ないものの、使用時に油圧を保持することが重要であり、断面方向に常時隙間を残す設計としているため、(1)で示す要求性能を満たすものがないという問題があった。特に、油圧負荷開始時においては、図14(a)に示すように、密封対象物の流出を生じる欠点がある。
一方、押圧装着されるシールとして、先述のU、Vパッキンが用いられているが、これらは、要求性能(1)密封性を満たすものの、シール面の形成のために大きく圧縮される必要があるため、被シール面との摩擦が大きく、(2)で示す要求性能を満たすものではない。
また、U、Vパッキンは、ゴム等の弾性体から形成されているため、カット部を有さなくてもシール部への装着が可能であるが、装着後において、柔らかいために安定性が悪い。例えば、図15に示すように、パッキン501を複数並設して安定化を図ることもできるが、並設したパッキンの分だけ摩擦が増加する問題を生じる。更に、パッキンは、ゴム等の弾性体であるために、摩擦係数が大きく、また、摩耗しやすいという欠点がある。
一方、シールリングは、樹脂から形成されるため、装着後の安定性は高いが、円周上の1箇所以上にカット部を有さないことには環状溝に装着することができない。
カット部を有するシールリングにおいて、U、Vパッキンのような形状を付与した場合、カット部に位置ずれが起きると、シール面が位置ずれを起こすこととなり、そのずれた位置から密封対象物の漏れを生じる恐れがあり、やはり安定したシール性を提供するものではない。
さらに、シールリングは硬いために、これをU、Vパッキンのように大きく圧縮変形して装着すると、摩擦が著しく増加したり、最悪の場合は破損に至る恐れもある。
特開2001−141065号公報 WO2005/121613 特開平8−145187号公報
そこで、本発明は、密封対象物の密封性が高く、被シール面との摩擦が少なく、安定性に優れたシールリングを提供することを課題とする。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
軸孔を有するハウジングと該軸孔に挿入される軸のうちの該軸側に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間をシールするシールリングにおいて、
該ハウジングの内周面と接触する第1シール面と、該環状溝の溝底面と接触する第2シール面と、該環状溝の大気側の側壁面に接触し、前記第1シール面及び第2シール面と直交する方向に第3シール面とを備え、
第1シール面及び第2シール面は、それぞれの被接触面に対して平行となるように形成され、
肉抜きにより厚肉部を形成することなく、且つ、径方向の幅は、該シールリングを装着する部位の環状間隙の幅を越えるしめ代を有することを特徴とするシールリング。
(請求項2)
軸孔を有するハウジングと該軸孔に挿入される軸のうちの該ハウジング側に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間をシールするシールリングにおいて、
該軸の外周面と接触する第1シール面と、該環状溝の溝底面と接触する第2シール面と、該環状溝の大気側の側壁面に接触し、前記第1シール面及び第2シール面と直交する方向に第3シール面とを備え、
第1シール面及び第2シール面は、それぞれの被接触面に対して平行となるように形成され、
肉抜きにより厚肉部を形成することなく、且つ、径方向の幅は、該シールリングを装着する部位の環状間隙の幅を越えるしめ代を有することを特徴とするシールリング。
(請求項3)
前記肉抜きは、密封流体側端面に形成された溝部と、第1シール面から第3シール面にかけて形成された第1切欠部と、第2シール面から第3シール面にかけて形成された第2切欠部とによって与えられ、
前記第1切欠部及び第2切欠部における切欠始点の少なくとも一方は、前記溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上、又は、該直線よりも密封流体側に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載のシールリング。
(請求項4)
前記第1切欠部及び第2切欠部における切欠始点は何れも、前記溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上、又は、該直線よりも密封流体側に配置されることを特徴とする請求項3記載のシールリング。
(請求項5)
前記シールリングの固定側接触面の長さは、摺動側接触面の長さ以上に設定されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のシールリング。
本発明によると、密封対象物の密封性が高く、被シール面との摩擦が少なく、安定性に優れたシールリングを提供することができる。
シールリングを環状溝に装着した状態を示す断面図 厚肉部を有するシールリングの一例を示す図 厚肉部を有さないシールリングの一例を示す図 厚肉部を有さないシールリングの一例を示す図 厚肉部を有するシールリングの一例を示す図 厚肉部を有さないシールリングの一例を示す図 厚肉部を有さないシールリングの一例を示す図 厚肉部を有さないシールリングの一例を示す図 シールリングのシール機構を示す説明図 第1シール面と第2シール面とが非対称であるシールリングの例を示す図 第1シール面と第2シール面とが非対称であるシールリングの例を示す図 シールリングの第1シール面及び/または第2シール面に潤滑用の溝を設けた例を示す図 従来技術に係るシールリングの断面図 従来技術に係るシールリングのシール機構の説明図 従来技術に係る複数のパッキンを環状溝に並設した状態を示す断面図
以下に図面を参照して、本発明の一実施態様を説明する。
図1はシールリングを環状溝に装着した状態を示す断面図である。
図1に示すように、樹脂製のシールリング1は、例えば、ハウジング2に設けられた軸孔20の内周面21と、軸3との環状隙間22をシールするために、軸3に設けられた環状溝30に装着される。
なお、以下の説明では、シールリング1は、軸3に設けられた環状溝30に装着されて用いられる態様を示すが、シールリング1は、ハウジング2側に設けられた環状溝に装着されて用いられてもよい。
環状溝30に装着されたシールリング1は、密封流体側(O)から、大気側(A)への、密封流体の漏れを防止するとともに、密封流体の流体圧を保持する機能を有する。
シールリング1は、軸孔20の内周面21と接触する第1シール面11と、環状溝30の溝底面32と接触する第2シール面12と、該環状溝の大気側(A)の側壁面33に接触し、前記第1シール面11及び第2シール面12と直交する方向に第3シール面13とを備えている。
また、シールリング1は、軸孔20の内周面21及び環状溝30の溝底面32を、それぞれ同時且つ確実にシールすることができるようにするため、シールリング1の径方向の幅は、シールリング1が装着される環状間隙22の幅よりも僅かに大となるように形成される。
具体的には、例えば、シールリング1の外径(第1シール面の径)を、前記軸孔20の内周面21の内径よりも僅かに大きく、シールリング1の内径(第2シール面の径)が、前記環状溝30の溝底面32の外径よりも僅かに小さくなるように形成することによって行う。
上記のような径方向の幅を有するシールリング1は、装着時において、環状間隙22の幅に対して余剰分に相当する幅だけ径方向に圧縮された状態で装着される。
本明細書では、環状間隙22の幅に対するシールリング1の径方向の幅の余剰分を「しめ代」と定義する。
本発明のシールリングは、上記「しめ代」を有するため、上述した常時隙間を有さない。そのため、従来のシールリング使用時のような、無圧および加圧直後における、密封流体の漏れを生じることがない。
ところで、従来のシールリングに「しめ代」を与えた場合、摩擦の著しい増加を招くことについては上述した。それに対して、本発明のシールリングに「しめ代」を与えても、摩擦の増加は極僅かである。この理由は主に2つあり、以下の記載により明らかとなる。
まず、第一の理由は、本発明のシールリングにおいて、前記第1シール面11及び前記第2シール面12は、未装着時において、あらかじめ、それぞれの被接触面に対して平行となるように形成され、それぞれの被シール面に対する平行を維持した状態で、環状間隙22に圧縮装着されていることである。
つまり、本発明に係るシールリングは、「しめ代」を与えることによってシール面を形成するリップパッキンやスクイーズパッキンの様な従来例と異なり、与える「しめ代」は僅かなもので十分である。
本発明において好ましい「しめ代」の幅は、0.01〜0.50mmの範囲である。
この範囲内のしめ代であれば、装着時において、シールリング1の第1シール面2及び第2シール面3が、それぞれの被シール面に対する平行を維持した状態で装着され、良好なシール性が得られると共に、しめ代による摩擦の発生も最小範囲に止めることができる。
本発明のシールリングは、以下に説明する第2の理由によって、さらに、摩擦の発生を低下できる。
つまり、本発明のシールリングは、「肉抜き」により、「厚肉部」を形成しない。
まず、上記「肉抜き」について説明する。
図1において、10は、シールリング1の密封流体側端面であり、該密封流体側端面10には、100に示す溝部が形成されている。
また、第1シール面11から第3シール面13にかけて、110に示される第1切欠部が形成され、さらに、第2シール面12から第3シール面13にかけて、120に示される第2切欠部が形成されている。
上記溝部、第1切欠部及び第2切欠部は、シールリング1の円周に沿って、環状に設けられる。
溝部や切欠部の形状は、何れでもよいが、角を有する形状の場合は、角に応力が集中しやすく、シールリングの劣化や破損が起こりやすいため、角を有しない、応力の分散する形状の方が好ましく、U字型、半U字型であることがより好ましい。
本明細書では、シールリングに対して、上記溝部、第1切欠部及び第2切欠部のような、溝部や切欠部を形成することを「肉抜き」と称する。
次に、本発明における「厚肉部」について、図面を参照しながら説明する。
図2〜図4に示されたシールリングは、前記「肉抜き」として、密封流体側端面10に溝部100が、第1シール面11から第3シール面にかけて第1切欠部110が、さらに、第2シール面から第3シール面にかけて第2切欠部が設けられている。
各図が示すシールリングにおいて、密封流体側端面10に設けられた溝部100の溝底部を点100Kとし、点100Kを通り、シールリングの第1シール面又は第2シール面に垂直な直線を直線Mとする。
さらに、各図において、シールリング1に設けられた第1切欠部110の、第1シール面11上における切欠始点を110Jとし、第2切欠部120の、第2シール面12上における切欠始点を120Jとする(切欠始点は、断面図においては点で表されるが、実際のシールリングにおいては環状の稜線を成す。)。
この時、図2に示すシールリングにおいて、両切欠始点110J及び120Jは、点100Kを通る直線Mよりも、大気(A)側に配置されている。
また、両切欠始点110J及び120Jのうち、直線Mにより近く配置されている切欠始点110Jを通り、シールリングの第1シール面又は第2シール面に垂直な直線を直線Lとした場合、直線L及び直線Mに挟まれた領域Pでは、肉抜きを有さない、つまり厚肉な部位が、第1シール面から、第2シール面まで横断するように、断面方形状に形成されている。
本明細書では、上記のように、第1シール面から、第2シール面まで横断するように、断面方形状に形成された厚肉な部位を「厚肉部」と定義する。
一方、図3に示すシールリングにおいて、両切欠始点110J及び120Jは、点100Kを通る直線M上に配置され、また、図4に示すシールリングにおいて、両切欠始点110J及び120Jは、点100Kを通る直線Mよりも、密封流体(O)側に配置されている。このような配置であれば、前記厚肉部は形成されない。
溝部を複数与えたシールリングの例を用いて、本発明における「厚肉部」を、さらに詳述する。
図5〜図7が示すシールリング1では、「肉抜き」として、密封流体側端面10に3つの溝部(第1シール面側から、溝部101、102及び103)が設けられ、さらに、シールリングの第1シール面から第3シール面にかけて切欠部110が、第2シール面から第3シール面にかけて切欠部120が設けられている。
各図において、110Jは、第1シール面側における切欠部110の切欠始点であり、120Jは、第2シール面側における切欠部120の切欠始点である。また、101K、102K及び103Kは、それぞれ、溝部101、102及び103の溝底部を示している。
まず、図5に示すシールリングにおいては、3つの溝部101、102及び103が浅く設けられている。切欠始点110J及び120Jは、溝部の溝底部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線M上、又は、直線Mよりも密封流体側に配置されていない。なお、各溝部の深さは互いに等しく、そのため直線Mは、各溝部に対して共通に与えられている。
図5のシールリングにおいて、切欠始点110J及び120Jのうち何れかを通り、第1シール面又は第2シール面に垂直な直線をLとした場合、直線L及び直線Mに挟まれた領域Pでは、厚肉部が形成されている。
一方、図6は、図5のシールリングと比べて、溝部102を深く設け、溝部102の溝底部102Kを通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線Mが、切欠始点110J及び120Jを含むように構成したシールリングの例を示している。図6のシールリングは、厚肉部を有していない。
さらに、図7は、図6のシールリングと比べて、溝部102を更に深く設けたシールリングの例を示している。図7のシールリングにおいて、切欠始点110J及び120Jは、溝部の溝底部102Kを通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線Mよりも密封流体側に配置されている。図7のシールリングもまた、厚肉部を有していない。
図6及び図7が示すシールリング(本発明)を、図5が示すシールリング(比較)と比較してみると、厚肉部は、溝部により分断され排除されており、この時、必ずしも全ての溝部が厚肉部を分断するように形成される必要はなく、少なくとも、最も深い位置に溝底部を有する溝部が厚肉部を分断していれば、厚肉部は除去されることがわかる。
本明細書においては、最も深い位置に溝底部を有する溝部の溝底部を「最深部」と称する。
以上のように、切欠始点が、溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上に配置されるか、又は、該直線よりも密封流体側に配置されることで、厚肉部の形成が回避できる。
なお、図2〜図4に示したような、密封流体側端面に溝部が1つのみ形成されているシールリングにおいては、該溝部の溝底部が最深部となる。
これまで、「厚肉部」について、溝部による影響を中心に説明してきたが、次に、切欠部による影響について説明する。
図8に示すシールリングは、「肉抜き」として、密封流体側端面10に溝部100が、第1シール面11から第3シール面にかけて第1切欠部110が、さらに、第2シール面から第3シール面にかけて第2切欠部が設けられ、切欠始点の配置が、第1シール面側と第2シール面側とで対称でない場合を示している。
密封流体側端面10に設けられた溝部100の最深部を点100Kとし、点100Kを通り、シールリングの第1シール面又は第2シール面に垂直な直線を直線Mとする。
図8に示すシールリングにおいて、両切欠始点110J及び120Jのうち、切欠始点120Jは、点100Kを通る直線Mよりも、大気(A)側に配置されているが、他方の切欠始点110Jは、密封流体(O)側に配置されている。
このように、第1切欠部及び第2切欠部における切欠始点の少なくとも一方が、溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上に配置されるか、又は、該直線よりも密封流体側に配置されていれば、上に定義したような、第1シール面から、第2シール面までに及ぶ厚肉部は形成されない。
しかし、大気(A)側に配置された切欠始点120Jを通り、シールリングの第1シール面又は第2シール面に垂直な直線を直線Lとした場合、直線L及び直線Mに挟まれた領域Qでは、部分的に厚肉な状態が形成される。
以上に示したように、密封流体側端面に形成された溝部と、第1シール面上から第3シール面にかけて形成された第1切欠部と、第2シール面上から第3シール面にかけて形成された第2切欠部とによって「肉抜き」されたシールリングにおいて、該シールリングが「厚肉部」を形成しないためには、第1切欠部及び第2切欠部における切欠始点の少なくとも一方が、溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上に配置されるか、又は、該直線よりも密封流体側に配置されることが条件となる。
さらに、より好ましくは、切欠始点の両方が、溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上に配置されるか、又は、該直線よりも密封流体側に配置されることである。
「厚肉部」を有するシールリングに「しめ代」を与えた場合、「厚肉部」は大黒柱のように働き、径方向の圧縮に対して反作用を示す。この反作用は、第1シール面及び第2シール面を、それぞれの被シール面に強く押圧し、摩擦の増加に繋がる。
特に、シールリングは樹脂から成形されるため、反作用は特に大きく、使用時において摩擦を著しく増加させたり、あるいは、環状間隙に圧縮装着すること自体を不可能にする場合がある。
これに対して、本発明のシールリングは、「肉抜き」により、「厚肉部」を形成しない構成としているため、径方向の圧縮に対して反作用が小さく、圧縮を柔軟に受け入れることができる。
また、「肉抜き」として溝部を形成する場合、該溝部の溝幅は、シールリングに与える「しめ代」の幅よりも大であることが好ましい。
次に、本発明のシールリングによるシール機構について説明する。
図9はシールリング1のシール機構を示す説明図である。
図9(a)に示すように環状溝30に装着されたシールリング1は、しめ代を有するために密封流体側Oと大気側Aを遮断する。このとき、密封流体は、シールリング1の第1シール面11及び第2シール面12が有する断面直線状の面全体で密封される為、高い密封性が得られる。
図13及び図14に示した従来技術に係るシールリング使用時と比較すると、常時隙間を有さない為、無圧及び加圧直後における密封流体の漏洩を起こすこともない。
密封流体側Oから大気側Aに向けて、図9(b)中矢印P方向に圧力がかかると、シールリング1は大気側A方向に押圧されるため、第3シール面13は環状溝30の大気側の側壁面33を押圧し、また、シールリング1の溝部100に取り込まれた密封流体の圧力により、第1シール面11はハウジング2に設けられた軸孔20の内周面21を、第2シール面12は環状溝30の溝底32を、押圧し、各シール面の位置においてシールが完了する。
本発明のシールリングによるシール性は、無圧時においては「しめ代」により与えられ、加圧時においては、主に、密封流体の圧力により与えられる。
さらに、加圧時において、密封流体側端面10に設けられた溝部100に取り込まれた高圧密封流体から受ける圧力のうち、径方向の圧力は、第1シール面及び第2シール面にそれぞれ作用し、被シール面を押圧する力となる。
したがって、本発明のシールリングは、密封流体側端面10に設ける溝部100を深く形成して、密封流体による径方向の圧力を受ける面積を拡張することで、第1シール面及び第2シール面のシール性を高めることができる。
図10及び図11は、第1シール面11と第2シール面12とが非対称であるシールリングの例を示す図である。シールリング1の断面構造については、内外周が非対称なものであっても良い。
第1シール面11、第2シール面12、それぞれの幅は、いずれか固定側の役割を果たす方の面幅を、摺動側の面幅以上に設定することが好ましい。
固定側への接触幅を大きく設定することにより、シールリングの装着安定性を向上させることが可能で、これによってリングのねじれなどの不具合を解消することが出来る。さらに、第1シール面11と第2シール面12とに接触面積の差を設定することにより、摩擦の差を生じさせて、これによって意図的に摺動面を限定することが可能である。
図10に、2つの切欠部110及び120を別々の深さで与えた場合の一例を示した。また図11に示すように、方形体の角にテーパ14等を与え、摺動側の接触幅を削っても良い。
本発明に係るシールリングは、円周上の1箇所以上に切断部を有することができ、これにより組付け性が良好になる。切断部の切断形状例としては、ステップカット、特殊ステップカット、ストレートカット、エンドレスカット、バイアスカットなどが例示できる。
本発明に係るシールリングにおいては、切断部において、多少のずれが生じても、シール面が断面直線状であるために、シール性を維持することが可能である。
シールリング1の第1シール面11と軸孔内周面21、または、シールリング1の第2シール面12と溝底32においては、シールリングが厚肉部を有さないとはいえ、多少の摩擦が生じ、特に、密封流体中に存在する異物がこれらの間にかみ込まれた場合には摩耗が激しくなる。
密封流体は、多くの場合が潤滑油である為、その様な場合はこれをシール面に導いて、潤滑膜を形成させることで、耐摩耗性を向上することが出来る。
これは例えば、シール面と被シール面との間に、潤滑油を供給させるための溝を設けることによって可能になる。
図12はシールリング1の第1シール面11及び/または第2シール面12に潤滑用の溝を設けた例を示す図である。図中15は潤滑用の溝である。
まず、図12(a1)及び(a2)に、潤滑用の溝15が密封流体側と非密封流体側とを連通しない、非連通型である場合の例を示す。
図12(a1)は、シールリングの第1シール面11及び/または第2シール面12に3本の潤滑用の溝15が円周に沿って設けられた例である。潤滑用の溝15が密封流体と直接接触していないので、異物が外部から溝を通してシール面に侵入し難く、耐摩耗性が向上する。
また、非連通型であるためリーク増大の配慮が不要なので、図12(a2)に示す様な幅の広い潤滑用の溝15も付与できる。
一方、潤滑用の溝15には、図12(b1)及び(b2)に示すような、密封流体側と非密封流体側とを連通する連通型を選ぶことも出来る。連通型の場合は、多少のリークが起こるという欠点を有するが、シール面全体に潤滑油が滲み亘るので、低フリクションであり、耐摩耗性にも優れる。
なお、第1シール面11または第2シール面12のいずれかの一方にのみ潤滑用の溝15を設けた場合には、内外周のシール面の潤滑状態の差を設定することができ、これにより意図的に摺動面を限定することも可能である。
また、潤滑用の溝15はシールリング1の第3シール面13に与えることもできる。
さらに、潤滑用の溝15は、シールリングの被接触面、例えば、ハウジング2の軸孔20の内周面21、環状溝30の溝底32及び側壁面33に与えても良い。
本発明に係るシールリングを成形する材料としては、耐熱性樹脂と充填材からなる樹脂組成物を適用することができる。
ここで、耐熱樹脂としては、例えば、ポリシアノアリールエーテル系樹脂(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、芳香族系熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド4−6系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリテトラフロロエチレン系樹脂などの耐熱性、耐燃性、耐薬品性に優れた材質の樹脂が好ましい。
なお、充填材は、材料の機械的強度の向上、耐摩耗性の向上、低摩擦特性の付与等を目的に配合されるものであり、特に限定するものではない。
1:シールリング
10:密封流体側接触面
11:第1シール面
12:第2シール面
13:第3シール面
14:テーパ
15:潤滑用の溝
100:溝部
110:第1切欠部
120:第2切欠部
2:ハウジング
20:ハウジングの軸孔
21:軸孔の内周面
22:環状間隙
3:軸
30:環状溝
32:溝底
33:大気側の側壁面

Claims (5)

  1. 軸孔を有するハウジングと該軸孔に挿入される軸のうちの該軸側に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間をシールするシールリングにおいて、
    該ハウジングの内周面と接触する第1シール面と、該環状溝の溝底面と接触する第2シール面と、該環状溝の大気側の側壁面に接触し、前記第1シール面及び第2シール面と直交する方向に第3シール面とを備え、
    第1シール面及び第2シール面は、それぞれの被接触面に対して平行となるように形成され、
    肉抜きにより厚肉部を形成することなく、且つ、径方向の幅は、該シールリングを装着する部位の環状間隙の幅を越えるしめ代を有することを特徴とするシールリング。
  2. 軸孔を有するハウジングと該軸孔に挿入される軸のうちの該ハウジング側に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間をシールするシールリングにおいて、
    該軸の外周面と接触する第1シール面と、該環状溝の溝底面と接触する第2シール面と、該環状溝の大気側の側壁面に接触し、前記第1シール面及び第2シール面と直交する方向に第3シール面とを備え、
    第1シール面及び第2シール面は、それぞれの被接触面に対して平行となるように形成され、
    肉抜きにより厚肉部を形成することなく、且つ、径方向の幅は、該シールリングを装着する部位の環状間隙の幅を越えるしめ代を有することを特徴とするシールリング。
  3. 前記肉抜きは、密封流体側端面に形成された溝部と、第1シール面から第3シール面にかけて形成された第1切欠部と、第2シール面から第3シール面にかけて形成された第2切欠部とによって与えられ、
    前記第1切欠部及び第2切欠部における切欠始点の少なくとも一方は、前記溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上、又は、該直線よりも密封流体側に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載のシールリング。
  4. 前記第1切欠部及び第2切欠部における切欠始点は何れも、前記溝部の最深部を通り第1シール面又は第2シール面に垂直な直線上、又は、該直線よりも密封流体側に配置されることを特徴とする請求項3記載のシールリング。
  5. 前記シールリングの固定側接触面の面幅は、摺動側接触面の面幅以上に設定されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のシールリング。
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