JPH0217093Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野： 本考案は、各種競技の運営に従つて、実技面積
を広狭自在とする可動観覧席に係るものである。

従来の技術： 多人数を収容できる観覧席を有する、アリーナ
方式の体育館又は競技場では、競技等の種類によ
りリング若しくは土俵等の近くまで観覧席を設け
たり、或いはフロア若しくはフイールドを広くと
れるように観覧席を後方上段域にのみ限るように
なされている。このような実技面積に対応できる
広さとなすには、観覧席を後方上段と前方下段の
２部域から形成し、後方上段域はつくり付けの固
定観覧席とし、前方下段域を必要に応じて撤去又
は展開可能とする構造が広く採用されている。

この移動可能な前方下段域の観覧席を撤去する
には、在来の施設では殆んどの場合、解体して他
所へ運びだすか、或いはたとえば実願昭58−
52797号実開昭59−157052号公報参照に開示され
るように後方上段域の下方に移動させ格納するも
のとなつている。しかし、前者の解体取片付けは
多くの工数を要する上に全解体部材の保管場所を
必要とし、後方の移動・格納法では後方上段域の
観覧席の下方がデツドスペースとなり、更衣室、
記録室等の運営・管理に利用できない点が問題と
なつていた。

考案の目的： 本考案は斯かる現状に鑑み、後方上段域の観覧
席下方はそのまま有効に利用でき、しかも前方下
段域の観覧席を撤収して実技面積を広大になし得
る手段を提供せんとしてなされたもので、前方下
段域観覧席の傾斜床を複数部分に分割し、各部を
直立させつつ順次折畳み、後方上段域の直前に移
動集結することにより、前方部分の観覧席を撤収
するようにした可動観覧席の提供を目的としてい
る。

考案の構成・実施例： 以下、本考案の１実施例を図面に基づき説明す
る。

第１図に示すように、フロア又はフイールド等
の競技床面３に対面する観覧席を、傾斜床をもつ
後方上段域１と前方下段域２とから形成する。こ
れらのうち、後方上段域１は従来の各種スタンド
と同様な構造によりつくり付けとなつており、こ
の前に展開する前方下段域２が可動折畳み可能と
なつている。

そして、前方下段域２は、観覧席の最前部線に
直角な線又は法線に沿う区切線により、幾つかの
セクシヨンに区切られ、さらに各セクシヨンは上
記区切線と交わる適当数の接合線４，４により、
前後方向に順列する複数のユニツト床５，５に区
分されており、全体的にみれば多数のユニツト床
５，５が前後左右に隣接して傾斜床をもつ観覧席
を形成している。

各ユニツト床５は、ほぼ中央部の裏面に設けた
ブラケツトと結合するヒンジ１３において可変角
度としたトラス部材１２により支保され、さらに
このトラス部材１２の前位基端と同一軸支される
確保部材１６により前端縁の接合線４が杠上され
ると共に後端縁の接合線4′部分に下向きの押圧力
が付加され、これらの協働によりユニツト床５は
所定の傾斜角度を保つことが可能となつている。
従つて、後方上段域１の直前のユニツト床５は、
その前端縁接合線４部分で確保部材１６の伸縮機
構１７により上向きの力を受け、トラス部材１２
のヒンジ１３部を支点とし、後方上段域１前端を
押圧することにより安定し、さらに、その前方の
ユニツト床５′はトラス部材１２のヒンジ１３部
を支点とし、前端縁接合部４で上向きの力を受け
ることにより後端縁接合部４′が上記ユニツト床
５の前端縁接合部４を押圧することになつて、こ
のユニツト床５′も安定な状態となる。そして、
ユニツト床５′の前方のユニツト床５″、さらにそ
の前方のユニツト床５_oも同様に順次安定な状態
となり、これらユニツト床５，５′，５″……５_o
がそれぞれの前後の接合線４と４′での押圧係合
により一連の傾斜面域となり前方下段域２を形成
するのである。

次にユニツト床５を支保するトラス部材１２及
び確保部材１６につき具体的な１例につき説明す
ると、トラス部材はユニツト床に取付くヒンジに
より開脚又は閉脚自在になつており、その両脚の
基端は、ユニツト床５を支保するものは後方上段
域の下端と台車１１に跨り、ユニツト床５′を支
保するものは台車１１と台車１１に跨り、ユニツ
ト床５″を支保するものは台車１１′と台車１１″
に跨り、以下同様に各台車上にて軸支されてい
る。確保部材１６は、先端部が伸縮機構１７とな
つていて伸張時にはユニツト床の前部接合部４を
杠上し、短縮時には該部から離れるようになつて
おり、又その基端は台車１１，１１′……１１_o上
において、トラス部材１２の１の脚と共通にそれ
ぞれ軸支されている。そして、台車１１，１１′
……１１_oにはそれぞれ台車移動モータ２０を付
設し、これに取付くギアが競技床面３のスリツト
中に設けたラツクレール１８と係合し、同じくそ
の両側のスリツト中に設けたレール１０上を各台
車が前後に移動し、確保部材１６と共通に軸支さ
れているトラス部材１２の１の脚基部には確保部
材転向モータ２１を設け、確保部材基部のウオー
ムセグメントと係合して確保部材をトラス部材と
同一面内に転向可能としてあり（トラス部材の補
強メンバー１９は上記面内を外して取付けてあ
る。）、確保部材１６先端部には確保部材伸縮モー
タ２２を設け、ウオームギアを介してパンタグラ
フ状の伸縮機構１７を伸縮させ、さらにユニツト
床裏面にはトラス部材ヒンジと同心のウオームホ
イール１４を設け、トラス部材の上部に取付けた
ユニツト床転回モータ２３により駆動されるウオ
ームギア１５と係合させてある。

考案の作用・効果： 以上の１実施例に示すごとく構成された本考案
の可動観覧席の実際使用時には、先づ前方下段域
２の通路、シート上の安全を確認した後、確保部
材伸縮モータ２２を駆動して伸縮機構１７を短縮
してユニツト床５に対する当接を解いて離反させ
てから、確保部材転向モータ２１を駆動して確保
部材１６をトラス部材１２の１の脚面内に転向さ
せ、ついでユニツト床転回モータ２３を駆動して
ウオームギア１５、ウオームホイール１４を介し
てユニツト床５を転回しほぼ直立状態とする。こ
の操作を各ユニツト床５，５′……５_oについて行
つた後、各台車１１，１１′……１１_oをそれぞれ
台車移動モータ２０により駆動し、後方上段域１
の直前方に移動させると第４図に示すように前方
下段域を形成する各ユニツト床は折畳み撤収さ
れ、前方下段域の最前方の少部分も車輪の転動に
より容易に移動できるから、競技床面は広大とな
り、各種の競技若しくは演技が自由に行え、一方
折畳んだユニツト床５が後方上段域の直前方に直
立するため、転落防止棚の機能も果すことができ
る。

また、競技の種類により前方下段域の観覧席を
必要とする場合には、上記の操作を逆に行えば各
ユニツト床は順次転回結合され安定した観覧席が
容易に得られるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例の構造を示す側面
図、第２図は確保部材の正面図、第３図はトラス
部材の正面図、第４図は第１図の実施例の析畳ん
だ状態を示す側面図である。 １……後方上段域、２……前方下段域、３……
競技床面、４，４′……接合線、５，５′，５_o…
…ユニツト床、１０……レール、１１……台車、
１２……トラス部材、１３……ヒンジ、１４……
ウオームホイール、１５……ウオームギヤ、１６
……確保部材、１７……伸縮機構、１８……ラツ
クレール、１９……補強メンバー、２０……台車
移動モータ、２１……確保部材転向モータ、２２
……確保部材伸縮モータ、２３……ユニツト床転
回モータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一定の傾斜角度を有する観覧席を競技床面に接
   する前方下段域とその背後に位置する後方上段域
   とより形成して後方上段域は固定のつくり付けと
   し、前方下段域については競技床面の中心よりの
   放射線にほぼ沿つた区切線及び後方上段域と前方
   下段域との境界線に平行な各接合線で細分してユ
   ニツト床をつくりだし、一方、競技床面に敷設し
   たレールに案内される台車には２台車に跨るトラ
   ス部材を立設し、そのトラス部材上端にて上記ユ
   ニツト床を平秤状に軸支すると共に、同じく台車
   に転向自在な確保部材を設けてその上端でユニツ
   ト床前縁部を支える構造であつて、各台車並びに
   各転向部又は伸縮部に配設したモータの駆動によ
   り、これらトラス部材及び確保部材による支保と
   各ユニツト床の後縁を後部上段域の前縁又は後位
   ユニツト床の前縁に重ね合せることとで前方下段
   席を展張し、また、確保部材をトラス部材に沿わ
   せると共にトラス部材上端を支点としてユニツト
   床を転回垂直にし、各ユニツト床を後方上段席直
   前方に折畳む構成としたことを特徴とする可動観
   覧席。