JPH0245379Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、伸縮式階段状観覧席の電動式折り
たたみ手すりに関するものである。

〔従来の技術〕

近年体育館等においては内部を多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮移動式の
階段状観覧席を設置することが多くなつた。この
観覧席は、高さを順に異ならせた複数段の観覧椅
子付観覧席の移動床台を相互に連結して、前後方
向に伸縮による移動が可能となるように形成され
ている。そしてこの観覧席の使用時には最も低い
最前段の観覧席の移動床台から順次に引き出して
全体を雛壇状に伸長し、これによつて各移動床台
の椅子に多数の観客が着座できる状態となる。ま
た不使用時には、前記とは逆に最前段の観覧席の
移動床台から順次に後段側の移動床台下に戻すよ
うに後退移動させることにより、前方に階段状に
引き出した複数の観覧席を最高段の観覧席の移動
床台下部内側に全て収納し、これによつて建物の
壁側に設けられた格納凹所内へ収納保管すること
ができるように構成されている。この場合各移動
床台の両側端部位置には安全柵を兼ねた折りたた
み手すりが設けられているが、従来はこの折りた
たみ手すりを、その段毎の手すり専用によるモー
タをもつて起倒するように構成されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記の構成により、従来におけるこの種の観覧
席には次のような問題点があつた。

(1) 各段における折りたたみ手すりの起倒操作を
その段毎に設置した専用のモータにより行つて
いたので、設備や保守に多くの費用を要した。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記従来技術の問題点を解決する
ものであり、各段における折りたたみ手すりの起
倒操作を、その段毎に設置されている椅子の専用
モータを動力源として行うことにより、設備や保
守等の費用を大幅に節減できる伸縮式階段状観覧
席の電動式折りたたみ手すりを提供することにあ
る。この考案の特徴とするところは、高さを順に
異ならせた複数段の移動床台付観覧席を最高段の
観覧席の移動床台下部に収納自在とした伸縮式階
段状観覧席において、前記各観覧席の移動床台に
設置された椅子の起立倒伏を行うモータと連結す
る主動軸に各観覧席毎に設けられた従動軸を連動
可能に接続し、該従動軸には先端にガイドリンク
を揺動自在に連結した基幹アームを一体的に軸嵌
するとともに、前記ガイドリンクの先端を各観覧
席の移動床台側方に折りたたみ自在に配置した手
すりの下端側中途部に牽引可能に枢着してなるこ
とにある。

〔作用〕

上記の構成により、観覧席の使用時に各移動床
台を最前段側から順次に引き出す場合、この移動
床台の引き出し操作に合わせて各段の椅子を、そ
の段毎に設置されている椅子専用モータの正転駆
動力をもつて自動的に起立させるが、その際上記
椅子専用モータ側の主動軸にはその段毎の従動軸
が連動可能に接続されているうえ、この従動軸に
一体的に軸嵌された基幹アームとこの基幹アーム
に揺動可能に連結されたガイドリンクとは、上記
従動軸の正転回動により、それまで二つ折り状に
縮減されていた状態から直線態様に伸長すること
になるため、このガイドリンクに牽引されて倒伏
状態に折りたたまれていた手すりは、この時点で
上記椅子と連動して自動的に起立することができ
る。また観覧席の使用後に、各段の移動床台を最
前段側から順次に後退させる場合、この移動床台
の後退動に合わせて各段の椅子を、その段毎にお
ける上記椅子専用モータの逆転駆動力をもつて自
動的に倒伏させるが、その際この専用モータの主
動軸に接続されている従動軸は、前記とは逆の方
向に連動回転することになる。従つてこの従動軸
側の基幹アームとガイドリンクとは、上記従動軸
の逆転回動でそれまでの直線態様から二つ折り状
に縮減することになり、これによつてその直前ま
で起立していた手すりを、上記椅子と連動的に水
平方向へ倒伏させて自動的に折りたたむことがで
きる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

まず構成を説明すると、第１図から第４図まで
に示すように、順に高さを増す複数段の観覧席の
夫々に設けられている各移動床台５を、相互に連
結して前後方向に伸縮により移動するために、底
部にはローラ２を備え、上部には支柱３を立設し
た各基台１が、その段毎における各移動床台５の
高さを増すのに比例して順次に外側方向に配置さ
れ、かつ各支柱３も順に高さを増すように形成さ
れて、使用時には上記基台１の一部に載置状に配
置したモータＢと該モータＢにより駆動される作
動部材（図示せず）の操作をもつて最前段の移動
床台５から順次にその前方の床面Ｃ上へ引き出す
ことにより、全段が雛壇状に伸長して各移動床台
５の椅子６に多数の観客が着座でき、また不使用
時には上記とは逆に最前段の移動床台５から最高
段の移動床台５下へ戻すようにして、全体を最高
段の観覧席の移動床台５の下部内側に収納して一
括状にまとめ、この状態の観覧席Ａをその後方の
図示しない格納凹所内へ収納保管が可能となる伸
縮式階段状観覧席において、各段の観覧椅子の移
動床台５に横１列状に設置されている個別の椅子
６は、各段の観覧椅子毎における図示しない椅子
基台の内部に収納配置されているモータ（図示せ
ず）の駆動力をもつて、一斉にかつ自動的に起立
および倒伏を行うように構成されている。そして
上記の図示しない椅子起倒用のモータから両側に
派出されている主動軸８の各先端は、各段の観覧
椅子毎の移動床台５の基板となる踏板４上の両側
端部に載置された手すりボツクス１２内に導入さ
れている。

上記によりその側毎の手すりボツクス１２内の
内側部署に導入された主動軸８には、この手すり
ボツクス１２内の長手方向に回動自在に軸嵌され
ている従動軸９が、ベベルギヤ１０，１１の介在
により連動可能に接続されている。この態様によ
る従動軸９の前後軸上位置には管体の一端から二
片一対の短尺片を突出した基幹アーム１４が、各
管体の内径部におけるキー等を介して一体的に軸
嵌されている。またこの各基幹アーム１４の先端
には二体一対の長尺帯状板によるガイドリンク１
５の基端が、双方端に対するピン１６の挿通をも
つて揺動可能に連結されている。

次に上記した手すりボツクス１２内の外側部署
には手すり７の各Ｌ形基端部が、このボツクス１
２内の底部に起立した二辺一対の支持片１２ａ間
にそれぞれ収嵌し、双方に対する手すり支軸１３
の挿通をもつて、この支軸１３を中心に起立状態
から内側方向の補助ステツプ１８上に倒伏できる
ように起立倒伏自在に配置されている。そしてこ
の態様による手すり７の各下端側中途部には前記
により基端側をその位置毎の基幹アーム１４に揺
動可能に連結したガイドリンク１５の先端が、ピ
ン１７の挿通をもつて内側方向への牽引可能に連
結されている。これによつて各移動床台５の両側
端部に配置されている手すり７は、次に示す動作
変更が可能なように構成されている。すなわち観
覧席Ａの使用毎における上記移動床台５の引き出
しおよび収納時に、図示しない専用モータの駆動
力をもつて各椅子６を起倒する際、椅子専用モー
タの主動軸８に接続した従動軸９の連動回転によ
り、この軸上に一体的に軸嵌した基幹アーム１４
が原状の外側方向から内側方向を超えたこの側の
下方位置までに至る広角度（約225度）の角度変
更をもつて、この基幹アーム１４とガイドリンク
１５との連結状態が、上記した原状の直線態様か
ら二つ折り状に縮減するため、このガイドリンク
１５に下端側中途部を内側方向へ牽引される手す
り７は、手すり支軸１３を中心にして原状の起立
態様から内側の移動床台５上に階段の一部として
設けられた補助ステツプ１８上へ水平状に倒伏す
ることになり、これによつて自動的な折りたたみ
が可能となるように構成されている。

上記の構成により、観覧席Ａの使用時に、基台
１の一部に載置状に配置されているモータＢと該
モータＢにより駆動される作動部材（図示せず）
の操作をもつて各移動床台５を最前段側から順次
にその前方の床面Ｃ上へ引き出す場合、この移動
床台５の引き出し操作に合わせて各段の椅子６
を、その段毎に設置されている図示しない椅子専
用モータの正転駆動力をもつて自動的に起立させ
るが、その際上記椅子専用モータ側の主動軸８に
はその段毎の側端に設置されている手すりボツク
ス１２内の従動軸９が連動可能に接続されている
うえ、この従動軸９に一体的に軸嵌された基幹ア
ーム１４と、この基幹アーム１４の先端に揺動可
能に連結されたガイドリンク１５とは、共に上記
従動軸９の正転回動により、それまでは双方が第
３図に仮想線をもつて示す二つ折り状に縮減され
ていた連結状態から、基幹アーム１４が従動軸９
と一体状に反時計の方向へ逆転回動することにな
る。従つて上記アーム１４とガイドリンク１５と
が直線態様に伸長することになり、これによつて
それまではこのガイドリンク１５に牽引されて倒
伏状態に折りたたまれていた手すり７が、この時
点で上記椅子６と連動して自動的に起立すること
ができるため、上記の観覧席Ａを安全柵となる手
すり７付のもとで使用することができる。

次に観覧席Ａの使用後に、各段の観覧席の移動
床台５を前記した駆動源Ｂの逆転操作により最前
段側の移動床台５から順次に後方へ戻すようにし
て後退させる場合、この移動床台５の後退動に合
わせて各段の観覧席の椅子６を、その段毎におけ
る上記椅子専用モータの逆転駆動力をもつて自動
的に倒伏させることになるが、その際上記した図
示しない椅子専用モータの主動軸８に接続されて
いる従動軸９は、前記とは逆の方向に連動回転す
ることになる。従つてこの従動軸９側の基幹アー
ム１４とガイドリンク１５とは、上記した従動軸
９の逆転回動により、双方の連結態様が第３図に
実線で示す直線態様から仮想線で示す二つ折り状
に縮減することになり、これによつてその直前ま
で起立していた手すり７を、上記椅子６と連動し
て隣接の補助ステツプ１８上へ水平状に倒伏させ
て自動的に折りたたむことができる。

〔考案の効果〕

この考案は、高さを順に異ならせた複数段の移
動床台付観覧席を最高段の観覧席の移動床台下部
に収納自在とした伸縮式階段状観覧席において、
前記各観覧席の移動床台に設置された椅子の起立
倒伏を行うモータと連結する主動軸に各観覧席毎
に設けられた従動軸を連動可能に接続し、該従動
軸には先端にガイドリンクを揺動自在に連結した
基幹アームを一体的に軸嵌するとともに、前記ガ
イドリンクの先端を各観覧席の移動床台側方に折
りたたみ自在に配置した手すりの下端側中途部に
牽引可能に枢着してなることを特徴とする。従つ
て各段の観覧席における折りたたみ手すりの起倒
操作を、各段の観覧席毎に設置されている椅子の
専用モータを動力源として行うため、上記手すり
の設置において、この手すりの起倒を行う専属の
動力源を要しないことから、設備や保守の費用が
大幅に節減できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による電動式折りたたみ手す
りの基部側構成を示す一部縦断側面図、第２図は
同一部横断平面図、第３図は同一部縦断正面図、
第４図は同電動式折りたたみ手すりを備えた観覧
席の部分側面図である。 ５……移動床台、６……椅子、７……手すり、
８……主動軸、９……従動軸、１４……基幹アー
ム、１５……ガイドリンク、Ａ……観覧席。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高さを順に異ならせた複数段の移動床台付観覧
   席を最高段の観覧席の移動床台下部に収納自在と
   した伸縮式階段状観覧席において、前記各観覧席
   の移動床台に設置された椅子の起立倒伏を行うモ
   ータと連結する主動軸に各観覧席毎に設けられた
   従動軸を連動可能に接続し、該従動軸には先端に
   ガイドリンクを揺動自在に連結した基幹アームを
   一体的に軸嵌するとともに、前記ガイドリンクの
   先端を各観覧席の移動床台側方に折りたたみ自在
   に配置した手すりの下端側中途部に牽引可能に枢
   着してなることを特徴とする伸縮式階段状観覧席
   の電動式折りたたみ手すり。