JPH0418425Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本願は、劇場或いは体育館などにおいて、観覧
席を仮設したい場合に観覧席を伸張すると共に、
椅子を起立して観覧席を段階状に構成し、不使用
時には、椅子を倒伏すると共に、観覧席を伸縮し
て室内の一隅に格納することができるように構成
した伸縮移動観覧席における椅子の起伏装置に関
する。

従来の技術 従来、劇場或いは体育館などにおいて、観覧席
を仮設したい場合に、観覧席を伸張すると共に、
椅子を起立して観覧席を段階状に構成し、不使用
時には、椅子を倒伏すると共に、観覧席を伸縮し
て室内の一隅に格納することができるように構成
した伸縮移動観覧席における椅子の起伏装置は、
例えば実開昭59−67452合公報等により公知であ
り、その構成は、各段を構成する観覧席単位体の
デツキ上に設置され、当該段の観覧席単位体の前
後に連動或いは独立して正逆回転する椅子起伏用
駆動シヤフトに、基端部が一体に装着された回動
アームと、この回動アームの遊端部に、一端が枢
着されて前方に延び、その他端が、前記支脚の回
動視点よりも上方位置に枢着されたヘの字状の屈
曲アームとで構成されている。

考案が解決しようとする問題点 ところで、上記した従来公知の伸縮移動観覧席
における椅子の起伏装置にあつては、支脚が駆動
シヤフトを支点として回動する過程で、回動アー
ムが垂直状態に起立する位置があり、この起立位
置において、屈曲アームの屈曲部が前記回動アー
ムの遊端部より上方に突出するため、起伏装置全
体の高さがそれ丈高いものとなり、従つて観覧席
の各段を構成する座席列間の間隔が広巾となり、
観覧席総体の高さが大きくなり、また設置個所の
高さに制限がある場合には、座席列の段数を減ら
さねばならない等の不都合があり、また支脚を起
伏動作する屈曲アームが長く、かつ、それが回動
アームの回動に伴つて大きく移動するので、動作
の安定性を損なうという欠陥があつた。

問題点を解決するための手段 そこで本願は、椅子の起伏装置を、基端部が、
前記駆動シヤフトに軸着されて一体に回転する回
動リンク杆と、この回動リンク杆の遊端部に設け
た係合軸と摺動自在に嵌合する摺動孔を長手方向
に有すると共に、先端部が前記駆動シヤフトより
も前方位置に設けられ、かつ、椅子の支脚を軸止
した回動自在の枢軸に軸着された摺動リンク杆と
からなり、前記支脚が起立したとき、回動リンク
杆と摺動リンク杆とがほぼ直角状態を保持するよ
うに構成したことにより、従来のものの欠陥を改
善したものである。

実施例及びその作用 以下本願の実施例を図面にもとづいて詳述する
と、第１図、第２図において、１Ａ，１Ｂ，１
Ｃ，１Ｄは順次段違い状に高さを異にして、段階
状に伸張したり、垂直棚状に収縮したりするよう
に、相互に連動連結した構成の観覧席単位体を示
している。

即ち、これら各観覧席単位体１Ａ乃至１Ｄは
各々台車台枠２と、これらの上部に取り付けられ
た水平なデツキ３とから構成され、その各台車台
枠２は、各々小径な走行ローラ４を下部に有した
左右一対の脚台５と、これら左右脚台５の後方位
置から上方へ立設された左右一対の支柱６と、こ
の左右支柱６の上方端部寄りの途中位置から前方
へ向け水平に突設された左右支持梁７から構成さ
れ、この左右支持梁７上にデツキ３が水平に取り
付けられている。

また上記各段の観覧席単位体１Ａ乃至１Ｄも台
車台枠２はその上下高さが後段のものから前段の
ものに行くに従い順次段階的に低くなるように構
成されていると共に、左右巾（左右一対の）脚台
５の相互間隔）が後段のものから前段のものに行
くに従い順次段階的に狭くなるように構成され最
前段の単位体１Ａを電動式また作業員による手動
式等により前進・後退させることにより各単位体
が相互に関連して階段状に伸張したり垂直棚状に
収縮したりできるように構成されている。なお、
各単位体１Ａ乃至１Ｄの台車台枠２の左右支柱６
上端にはガイドローラ８がそれぞれ取り付けられ
て、各々の後段の単位体の台車台枠２の左右支持
梁７を下側から案内支持するようになつている。

このように構成された伸縮的階段状観覧席の各
段の観覧席単位体１Ａ乃至１Ｄのデツキ３上……
にはそれぞれ座跳ね上げ式の椅子９が設けられて
いる。その椅子９は第２図に示す如く横一列に多
数隣接する状態で座席部を有し、各段の観覧席単
位体１……の上面後方寄りにその左右方向に間隔
をおいて配設した後述する起伏機構部１０に枢軸
１１を介してそれぞれ立設された複数の支脚１２
……と、これら各支脚１２……上端に支持金物１
３を介して横架された連結用貫杆１４と、この貫
杆１４にこの長手方向に対して間隔を存して各々
の下端部を固定することで立設された多数の支柱
１５……と、これら各支柱１５……の各相互間に
それぞれ回動可能に軸支された座１６と、各支柱
１５上端に回動可能に取り付けられた肘掛１７
と、この肘掛１７の後部と前記座１６の後部とに
両側部を連結することで取り付けられた背凭れ１
８……とから構成されている。

そしてこの連結椅子９は常態では座１６と肘掛
１７とが垂直状となつて背凭れ１８が折りたたま
れて、偏平状態を呈し、その状態から着座者が座
１６を押し下げると、該座１６がほぼ水平に伏倒
すると同時に肘掛１７が水平状に支持されて着席
できるようになる。

上記した連結椅子９の各支脚１２は、それぞれ
起伏機構部１０の枢着１１を中心に回動自在であ
り、かつ、起伏機構部１０は、化粧ボツクス１９
内に納められている。前記起伏機構部１０，１０
の相互間には、ギヤモータと減速ギヤ機構を備え
た動力ユニツト２０が配置され、その出力軸２１
は、カツプリング等の連結具２２を介して起伏機
構部１０……内に回転可能に導通された駆動シヤ
フト２３に連結されている。

前記起伏機構部１０は、第３図乃至第５図に示
すように、化粧ボツクス１９によつて覆われる筐
体２４内の後部位置に、上記駆動シヤフト２３が
回転可能に、かつ、左右方向で貫通していると共
に、その前方に離間した上部位置に、前記椅子９
の支脚１２の下端部を支承する枢軸１１が、前記
駆動シヤフト２３と平行して回転可能に横架され
ており、さらに基端が、前記駆動シヤフト２３に
一体に軸着され、前方に延びる部厚い回動リンク
杆２５と、この回動リンク杆２５の遊端部に軸止
された係合軸２６の左右端部を摺動自在に嵌合す
る長手方向に延びた摺動孔２７を有すると共に、
他端部を前記筐体２４の側板２４ａ，２４ｂに回
動自在に枢着した前記枢軸１１の左右位置に固着
することにより、支脚１２と回動リンク２７の左
右側面に位置する左右一対の摺動リンク杆２８，
２８とが装備されている。２９は支脚１２用スト
ツパーである。

しかして、上述した構成の伸縮移動観覧席にお
いて、第１図に示す如く全体的に段階状に伸張し
た状態で、各段の動力ユニツト２０のモータを正
回転すると、駆動シヤフト２３が椅子９の伏倒状
態を示している第４図において、時計方向に回転
し、この回転に伴い、回動リンク杆２５も同方向
に回動し、係合軸２６は駆動シヤフト２３を向心
点とする円弧軌跡ｒに沿つて移動するので、係合
軸２６と摺動孔２７との嵌合摺動を介して、摺動
リンク杆２８は、枢軸１１を支点として反時計方
向に回動し、従つて摺動リンク杆２８と一体の支
脚１２は、枢軸１１を支点として反時計方向に回
動しながら第５図で示すように、垂直状に起立す
ると共に、回動リンク杆２５と摺動リンク２８と
が直角状態を保持する。なお本例では、支脚１２
が垂直位置よりやや後方にα角傾斜した状態で起
立するように、回動リンク杆２５と一体の係合軸
２６を摺動リンク杆２８の摺動孔２７の一端部に
衝合させている。

次に椅子９を伏倒する場合には、第５図で示す
支脚１２が起立している状態から、モータを逆回
転すると、回動リンク杆２５が駆動シヤフト２３
を支点として反時計方向に回動すると共に、係合
軸２６と摺動孔２７の嵌合摺動を介して摺動リン
ク杆２８は、枢軸１１を支点として時計方向に回
動して、第４図で示す状態に復元し、連結椅子９
はデツキ３上に伏倒する。従つてこの状態で、各
段の単位体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ……の各々を後段の
単位体３の下側にそれぞれ退入させることによ
り、垂直棚状に収縮する。なお上記において、補
助的に支脚１２を起立方向に常時弾圧付勢するス
プリングが備えられていることは勿論である。

考案の効果 本願は叙上のように構成されるものであるか
ら、装置の高さを低く構成することができると共
に、特に、支脚の起立状態で、回動リンク杆と摺
動リンク杆とがほぼ直角をなすように構成せしめ
たので、支脚に加わる前後方向の外力は、係合軸
を介して回動リンク杆の長さ方向に伸張力乃至圧
縮力として作用し、その結果椅子に加わる外力が
大きい場合でも、その外力を有効に吸収して機械
的強度に優れると共に、ガタ付きも少なく、使用
状態における椅子の安定性が得られ、かつ、構造
も簡単であるなどの利点を有す。

【図面の簡単な説明】

図面は本願の実施例を示し、第１図は後部を省
略した側面図、第２図は最下段の観覧席単位体の
正面図、第３図は起伏機構部の平面図、第４図，
第５図は起伏機構の拡大縦断面図である。 図中、１は観覧席単位体、１２は支脚、２３は
駆動シヤフト、２５は回動リンク杆、２６は係合
軸、２７は摺動孔、２８は摺動リンク杆である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 各段の観覧席単位体に設けられると共に、駆
   動シヤフトの正逆回転により前記観覧席単位体
   に配設した椅子の支脚を起伏動作する伸縮移動
   観覧席における椅子の起伏装置において、前記
   起伏装置を、基端部が、前記駆動シヤフトに軸
   着されて一体に回転する回動リンク杆と、この
   回動リンク杆の遊端部に設けた係合軸と摺動自
   在に嵌合する摺動孔を長手方向に有すると共
   に、先端部が前記駆動シヤフトよりも前方位置
   に設けられ、かつ、椅子の支脚を軸止した回動
   自在の枢軸に軸着された摺動リンク杆とからな
   り、前記支脚が起立したとき、回動リンク杆と
   摺動リンク杆とがほぼ直角状態をなすように構
   成したことを特徴とする伸縮移動観覧席におけ
   る椅子の起伏装置。 (2) 回動リンク杆が、部厚い材料から成り、か
   つ、一対の摺動リンク杆を回動リンク杆と支脚
   の左右側面に位置するように配設して成る実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の伸縮移動観覧
   席における椅子の起伏装置。 (3) 支脚が垂直状態からやや後方に傾斜した状態
   で、係合軸が摺動孔の下端部に衝合するように
   構成した実用新案登録請求の範囲第１項、第２
   項記載の伸縮移動観覧席における椅子の起伏装
   置。