JPH021570B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、複合材料のロツドを可鍛性金属のス
リーブに固定する方法に係る。スリーブは、例え
ばスチール又はアルミ合金又はアルミ青銅から成
り、ロツドは合成樹脂を含浸したガラスフアイバ
から構成され得る。

スリーブが、ロツドを絶縁素子とする電気絶縁
体の末端取付部材の一部である場合、ロツドにス
リーブを取付ける作業に極度の厳密さが要求され
る。即ち、スリーブが機械的クリンプによつて取
付けられる場合、強い引張力が加えられてもスリ
ーブがロツド上に保持されるよう十分に圧縮する
必要があるが、フアイバが損傷し、亀裂が発生す
ることを避けるために過度の圧縮を与えてはなら
ない。

米国特許第3152392号及び第3192622号の各明細
書、及び、フランス特許公開第2418960号及び第
2447082号の各明細書は、円筒状の外面又は円錘
状もしくは双円錘状の外面を有するスリーブの円
筒状収納部内にロツドの末端を挿入することを提
案している。クリンプを行なうために、複式の多
角形の圧縮母型を用いスリーブの外面上の全ての
点から内側に向つて半径方向の力を同時に作用さ
せる。これらの特許の目的は、半径方向の力がで
きるだけ均等になるように母型の割型の数を増加
させるためである。

これらの方法の欠点は、圧縮されたゾーンの中
心面に対称な２つの対向方向で圧縮力に垂直に金
属性のスリーブの塑性変形が生じるので、フアイ
バ製のロツドに対して２つの対向方向の引張力が
加えられることである。更に、圧縮力がスリーブ
の全部の母線に沿つて均等に作用しないと、ロツ
ドの断面が長円形になつてしまいこれに伴なつて
フアイバ層の剥離が生じる。

このように従来の絶縁体の性能はフアイバが損
傷されるのでかなり低下する。

本発明の目的は、ロツドをスリーブの内部に確
実に固定し得る、複合材料のロツドを可鍛性金属
のスリーブに固定する方法を提供することにあ
る。

本発明によれば、前記目的は、可鍛性金属のス
リーブの開口端から該スリーブの内部に複合材料
のロツドを挿入し、前記スリーブの前記開口端か
ら前記ロツドの挿入部位の先端に向かう一の方向
に前記ロツドの前記挿入部位及び前記スリーブが
延伸自在となるように、かつ前記一の方向の反対
方向に前記ロツド及びスリーブが移動自在となる
ように前記ロツド及びスリーブを支持し、前記ロ
ツドの前記挿入部位に対応する前記スリーブの部
位を前記スリーブの前記開口端側から前記一の方
向に漸進的に延伸させるように、前記スリーブ及
びロツドを前記反対方向に移動させると共に、弾
性歪限度を上回る複合材料の前記ロツドの延伸を
伴うことなく該ロツドに沿いかつ圧接して可鍛性
金属の前記スリーブを常温延伸させるべく径方向
の圧縮力を調節して前記スリーブの部位を前記ロ
ツドの軸に向つて圧縮し複合材料のロツドを可鍛
性金属のスリーブに固定する方法によつて達成さ
れる。

本発明は、複合材料のロツドを可鍛性金属のス
リーブに固定する方法を提供する。スリーブは内
部にロツドを収納するための円筒状収納部を有し
ており、該収納部の開口端からロツドの一端が収
納部に挿入される。

本発明の方法の具体例の特徴は、次の点にあ
る。即ち、スリーブに圧縮力を作用させるステツ
プに於いて、スリーブの開口端近傍のゾーンから
スリーブの内部に挿入されたロツドの端面が実質
的に収納部の末端と当接するゾーンまでのスリー
ブの円筒状ゾーンが漸進的に長手方向に延伸さ
れ、かつスリーブの延伸によつて可鍛性金属がロ
ツドの周囲で常温延伸され、これによりロツドの
複合材料の延伸も生起される。但し複合材料が弾
性歪限度を越えて延伸しないような圧縮力が用い
られる。

例えばガラスフアイバの弾性限度Ｅは約３％で
あるが、金属の変形によつてスリーブは約６％乃
至10％伸長し得る。

本発明の方法の具体例によれば、公知の方法と
は違つて、スリーブが漸進的にロツドに締付けら
れ、フアイバはスリーブの開口端から単一方向に
延伸する。

好ましくも、圧縮ゾーンの部分部分に応じて圧
縮力を変化させ得る。

本発明方法の具体例を使用して電気絶縁体を提
供し得る。本発明方法によつて得られる絶縁体
は、ロツドの一端が取付けられたスリーブを有す
る少くとも１つの末端取付部材を含む。

変形具体例に於いては、スリーブの開口端が、
ロツドに締付けられないリツプによつて包囲され
ている。リツプを設けた理由に関しては後述す
る。

添付図面に示す具体例に基いて本発明の方法を
非限定的に以下に説明する。

第１図は、スチール又はアルミ合金例えばアル
ミ青銅の如き可鍛性金属から成る末端取付部材２
を有する絶縁体１の端部を示す。部材２は円筒状
スリーブ３と取付端部４とを有しており、端部４
は絶縁体の用途に適した任意の形状を有し得る。
重要な特徴は、部材２が、合成樹脂含浸ガラスフ
アイバの如き複合材料から成るロツド１０の末端
１１を押込嵌めによつて受容するための円筒状収
納部６を軸線９上に内包するスリーブ３を有する
ことである。（図では、ロツド１０と収納部６の
内壁との間の間隙を故意に誇張している。）ロツ
ド１０の端面は符号８で示されており、収納部６
の末端７に当接している。

部材２の開口端は、ロツド１０に対して圧縮さ
れないリツプ５によつて包囲されている。ロツド
１０と部材２との共通軸９を通る部材２の開口端
は符号１２で示されている。このように構成する
と、部材２の圧縮ゾーン内に位置する機械的応力
最大のゾーンを平面１２の反対側の部材２の実質
的に外部に位置する電気的応力最大ゾーンから離
間させ得る。

クリンプの作用を受けるスリーブ３のゾーンを
符号Ｌで示す。このゾーンは、リツプ５の後方に
位置し軸９に垂直な平面１３と実質的にロツド１
０の端面８を通る軸９に垂直な平面とによつて規
定される。第２図は、第１図の横断面内でのクリ
ンプ作用を直交する２つの軸（Ot→とOl→）を用い
て示すグラフであり、Ot→は時間軸、Ol→は長さＬ
の母線上での圧縮力の作用点の横座標軸である。
矢印２０の長さが圧縮力の大きさを示す。

スリーブの表面上の全部の点で同時に圧縮が行
なわれる従来技術と違つて、本発明ではt₁とt₂と
の間に、実質的に平面１３から出発し面８の平面
の近傍まで伸びるスリーブの個々の環状ゾーンに
対し圧力が連続的に作用する。作用する力の大き
さは、平面１３のレベル０でであり、以後増加す
る。点Ａを通るロツド１０の断面は、クリンプ作
用が続く間、平面１２に対して不動であることに
注目されたい。

第３図で、実線は、クリンプ後の末端取付部材
２′を示しており、部材２′の初期輪郭は点線で示
されている。スリーブ及び取付端部は夫々、符号
３′及び４′で示されている。クリンプの結果とし
て金属製のスリーブはロツド１０の端部１１′の
近傍で常温延伸され、フアイバ製のロツドは、矢
印２０で示す単一方向にのみ延伸される。フアイ
バが弾性歪限度未満しか伸長せず同時にスリーブ
は６％乃至10％伸長するので、スリーブ３′内の
収納部の端部で７′と面８′との間に空洞が生じ
る。

第４図及び第５図は、前記方法を実施するため
の装置の極めて概略的な説明図である。第４図の
左側は装置の初期位置（第１図参照）を示してお
り、右側はクリンプ作用終了後（第３図参照）の
装置を示している。

装置は８個の曲線セクタ４１〜４８を含む。セ
クタの１つ、即ちセクタ４１が第４図に終位置と
初期位置との双方で示されており、全部のセクタ
が第５図に終位置で符号４１′〜４８′として示さ
れている。セクタはロツド１０の軸９の回りに放
射状に配置されており軸の回りに均等に分布して
いる。

セクタ４１の外面の一部分５１がクリンプ用の
圧縮ゾーンを構成する。この構成は他の全てのセ
クタに於いても同様である。全てのセクタは、セ
クタ４１の場合の矢印６１の如く各々の平面図で
回転する。全てのセクタの回転軸は、ロツド１０
の軸に垂直な平面内に存在する。

セクタの回転に伴なつて絶縁体全体が矢印６０
の如く移動し、セクタの圧縮ゾーンが、セクタと
同じ幅のスリーブのゾーンに沿つた全部の点に順
次作用する。

第５図によれば、セクタの圧縮ゾーンは横断面
内で曲線を実質的に含まない。この構成の場合は
セクタの製造が簡単であるが、この構成に限定は
されない。

勿論、セクタの個数も８に限定されない。セク
タの個数は例えば、クリンプすべきスリーブの直
径に従つて変更され得る。

圧縮ゾーンの長手方向プロフイルは、スリーブ
の個々の環状ゾーンに作用させるべき力に応じて
選択される。

既に指摘した如く、本発明の方法はスリーブ内
のロツドの所望の結合を確保しつつフアイバを保
護する。また、任意の長さのロツドとクリンプさ
れた２つの末端取付部材と任意にフインを備えた
絶越被膜とを有する有機絶縁体に関する以下の利
点にも注目されたい。即ち、本発明の方法によれ
ば２つの末端取付部材の開口端平面間の間隔（第
１図及び第３図の１２〜１３間）は変化しないこ
とが第１図〜第３図より明らかである。従つて、
一体被膜を成型するための金型内に末端取付部材
とロツドとを調整なしに直接的に配置することが
可能である。

勿論、本発明方法は上述の具体例に限定されな
い。

前述のごとく本発明方法によれば、ロツドの挿
入部位及びスリーブが一の方向に延伸自在かつ反
対方向に移動自在に支持され、更にロツド及びス
リーブを一の方向に漸進的に延伸させるようにス
リーブの部位をロツドの軸に向つて圧縮するが故
に、伸び率の異なるロツド及びスリーブを損傷す
ることなく容易に延伸し得、ロツドをスリーブの
内部に確実に固定し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、有機絶縁体の末端、特に複合材料の
ロツドの端部に取付けられた末端取付部材の軸方
向断面図、第２図は、スリーブ加えられる圧縮力
の大きさを極めて概略的に示すグラフ、第３図
は、第２図のクリンプ作用後の絶縁体を示す第１
図同様の軸方向断面図、第４図は本発明方法を実
施するための装置の概略断面図であり、図の左半
部及び右半部が第１図及び第３図の絶縁体の２つ
の状態に夫々対応しており、第５図は第４図の線
Ｖで切つた概略断面図であり、スリーブと協働す
る一組の圧縮セクタを示す。 １……絶縁体、２……末端取付部材、３……ス
リーブ、４……取付端部、５……リツプ、６……
収納部、１０……ロツド、４１〜４８……セク
タ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可鍛性金属のスリーブの開口端から該スリー
   ブの内部に複合材料のロツドを挿入し、 前記スリーブの前記開口端から前記ロツドの挿
   入部位の先端に向かう一の方向に前記ロツドの前
   記挿入部位及び前記スリーブが延伸自在となるよ
   うに、かつ前記一の方向の反対方向に前記ロツド
   及びスリーブが移動自在となるように前記ロツド
   及びスリーブを支持し、 前記ロツドの前記挿入部位に対応する前記スリ
   ーブの部位を前記スリーブの前記開口端側から前
   記一の方向に漸進的に延伸させるように、前記ス
   リーブ及びロツドを前記反対方向に移動させると
   共に、弾性歪限度を上回る複合材料の前記ロツド
   の延伸を伴うことなく該ロツドに沿いかつ圧接し
   て可鍛性金属の前記スリーブを常温延伸させるべ
   く径方向の圧縮力を調節して前記スリーブの部位
   を前記ロツドの軸に向つて圧縮し 複合材料のロツドを可鍛性金属のスリーブに固
   定する方法。 ２ 前記スリーブの部位を前記ロツドの軸に向つ
   て圧縮する力が可変であることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の方法。 ３ 前記スリーブの部位のうち前記開口端にリツ
   プが設けられた部位を圧縮しないことを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の方
   法。