JPH0215265B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車ボデイーや家電製品のケーシ
ング等を吹付塗装するためのブースに関し、詳し
くは、その換気設備に関する。

従来、上記吹付塗装用ブースにおいて換気設備
を構成するに、第７図及び第８図に示すように、
除塵処理した換気空気を天井部のほぼ全面から下
方向きで、かつ、層流状に吹出供給する天井吹出
口S₁を設けると共に、室内空気をそれに含有する
余剰吹付塗料ミストと共に格子製床７のほぼ全面
を介して排出する排気口２３を床７の下方に分散
配置し、もつて、ブース内の全域において換気空
気を極力下方向き層流状に流動させることによ
り、渦流による余剰吹付塗料ミストの舞い上がり
を抑制して換気効果を高め、それによつて、ブー
スに内装した塗装装置等への塗料付着を軽減して
メンテナンス性を向上したり、又、浮遊塗料ミス
トを迅速に排出して塗色の異なる被塗物間の残留
塗料ミストによる色移りを防止した状態での被塗
物の移送交換を能率良く行なえるように配慮して
いた。

図中Ａは被塗物、 ８は、スプレーガン８Ａを装備した多関節ロボ
ツト型自動塗装装置、 ５は、被塗物Ａを搬入搬出するためのコンベア
である。

しかしながら、上述従来構成のものにおいて、
種々の実験を行なつた結果、ブース内の全域にわ
たつて換気空気を下方向きに層流流動させること
が、被塗物Ａの周辺に配置された塗装装置８等に
対して、余剰吹付塗料ミストを含んだ換気空気を
上方から吹付けることとなるために、その吹付に
よつて、かえつて多量の塗料ミストを周辺塗装装
置８等に付着堆積させてしまうこととなり、この
付着堆積した塗料が自然乾燥して剥れ易くなり塗
装装置８の振動や換気気流によつて離脱し、それ
が被塗物Ａの塗装面に付着して塗装欠陥の原因と
なるのみならず、複雑精巧化する自動塗装装置の
故障の原因ともなり、これらを防ぐためには、清
掃メンテナンスの頻度と時間を多大に要し、又、
そのことが生産物率の低下をも招いていた。

本発明は、換気気体流動に対する合理的な改良
で、ブース内余剰吹付塗料ミストの迅速な排除機
能を維持しながら、被塗物周辺塗装装置等への塗
料付着を効果的に防止できるようにし、しかも、
被塗物に対する吹付塗装の塗着効率をも向上でき
るようにする点にある。

本発明による吹付塗装用ブースの特徴構成は、
塗装室の横側壁と塗装室内の被塗物との間に塗装
装置を配置し、前記塗装室の天井に換気気体の下
向き吹出口を設け、前記塗装室の横側壁に、換気
気体の横向き吹出口を前記塗装装置の配置範囲を
越える横方向長さ範囲にわたつて設け、前記両吹
出口からの合流気体を前記被塗物に集中させる状
態で排気する排気口を前記被塗物の下方に形成す
るとともに、前記下向き吹出口からの換気気体と
前記横向き吹出口からの換気気体との吹出し速度
比を１：１／２〜２に設定した点にあり、その作
用、効果は次の通りである。

つまり、第１図に代表して示すように、下方向
きに吹出した換気気体と横向きに吹出した換気気
体との合流作用、及び、その合流気体の流動方向
に沿う方向への排気により、供給換気気体のほぼ
全量を被塗物Ａに集中させるように流動させるの
である。

したがつて、合流換気気体の排気口２３側への
スムースな流動により、ブース内に浮遊する余剰
吹付塗料ミストを迅速に排除でき、又、換気気体
の横向き吹出しによる下方向き換気気体の被塗物
Ａ側への偏流により、余剰吹付塗料ミストを含ん
だ上方からの換気気体が被塗物Ａ周辺の塗装装置
８等に吹付けられることを回避できて、周辺塗装
装置８等への塗料付着を効果的に防止できる。

その上、換気気体を被塗物Ａに集中させるよう
に流動させることにより、被塗物Ａに対して吹付
ける向きがいずれの方向であつてもその吹付塗料
を、換気気体流動でバツクアツプする状態で被塗
物Ａの塗装面に至らせることができ、かつ、その
吹付けに伴ない発生する余剰吹付塗料ミストが被
塗物Ａからブース内空間に飛散して広がることを
も被塗物Ａに集中する換気気体で抑制でき、それ
らのことが相俟つて吹付塗料の塗着効率の向上を
も図ることができる。

以上の結果、残留塗料ミストによる異色被塗物
間の色移りを防止した状態での被塗物の移送交換
を従前と同等に能率良く行なうことができて、高
い塗装作業能率を維持でき、かつ、被塗物周辺の
塗装装置等に対する清掃メンテナンスの頻度・時
間を大巾に節減できて、メンテナンス性を向上す
ると共に、メンテナンスによる生産時間の制約を
低減して生産効率を一層向上させながら、被塗物
の塗面へのゴミ付着による塗装不良率をも低減す
ることができ、しかも、塗着効率が高くて塗装作
業性に優れた吹付塗装用ブースにできた。

次に本発明の実施例を第１図ないし第３図に基
づいて説明する。

ほぼ直方体形状に形成された吹付塗装室１の前
壁２、及び、後壁３に、台車４に載置して被塗物
Ａをコンベア５により搬入搬出するための搬入・
搬出口６を形成し、格子部材で形成した床７に、
スプレーガン８Ａを備えた多関節ロボツト型の自
動塗装装置８を、前記コンベア５による被塗物搬
送方向に沿つてその左右両側に並置し、もつて、
吹付塗装室１内の所定位置に停止させた状態の被
塗物Ａを、予じめ設定されたタイムスケジユール
に基づく塗装装置８の自動作動で吹付塗装する塗
装ブースを構成してある。

塗装室１内に対して換気空気を供給する給気フ
アン９を設け、かつ、前記格子製床７を介して室
内空気を余剰吹付塗料ミストと共に排出する排気
フアン１０を設け、それら両フアン９，１０によ
り塗装室１内を余剰吹付塗料ミスト排除のために
強制換気するように構成してある。

排気フアン１０に対する排気系路Ｒにおいて、
洗浄水W₁を上面に沿つて流下させることにより
床７からの塗料塊を粘着させること無く受け止め
るパン１１を、床７の下方で、そのほぼ全面にわ
たらせる状態に配設すると共に、そのパン１１か
ら溢水した洗浄水W₁を内周面に沿つて流下させ
ることにより塗料ミストの付着を防止しながら排
気気体を下方向きに高速通過させる平面視開口形
状がスリツト状の排気管路１２を並設し、もつ
て、排気管路１２からの高速吐出気体を前記パン
１１の下方に配置した洗浄水槽１３の貯留水面に
衝突させることに伴ない、慣性質量の違いを利用
して排気気体中の塗料ミストを貯留洗浄水W₁捕
捉させ、それによつて、排気気体から塗料ミスト
を分離除去する第１ミスト除去装置１４を構成し
てある。

又、第１ミスト除去装置１４よりも下流側の排
気系路Ｒにおいて、第１ミスト除去塗料１４によ
り大径塗料ミスト及び塗料塊が荒取り的に除去さ
れた後の排気気体を溢水洗浄水W₂との合流状態
でＳ状字屈曲管路１５に高速流下させ、それに伴
なう遠心作用により、第１ミスト除去装置１４と
同様に慣性質量の違いを利用して小径塗料ミスト
を流下洗浄水W₂に捕捉させる第２ミスト除去装
置１６を装備してある。

前記塗装室１に対する換気構造を構成するに、
天井１７のほぼ全面を、前記給気フアン９から上
部チヤンバー１８に加圧供給された空気をフイル
ター１９を介して下方向き層流状に室内に吹出し
供給する下方向き吹出口S₁に形成し、かつ、塗装
室１の左右側壁２０Ａ，２０Ｂ、及び、前後壁
２，３夫々の下側1/3〜2/3の範囲で好ましくは下
側1/2部分を、同じく給気フアン９から両側部チ
ヤンバー２１Ａ，２１Ｂ、及び、前後チヤンバー
２１Ｃ，２１Ｄに加圧供給された空気をフイルタ
ー２２を介して水平横向きで層流状に室内に吹出
し供給するパンチング板製の横向き吹出口S₂〜S₅
に形成してある。

そして、室内空気排気口２３としての前記排気
管路１２のスリツト状開口を、被塗物Ａ停止位置
の下方に配置し、もつて、下方向き吹出口S₁から
の換気空気と横向き吹出口S₂〜S₅からの換気空気
とを合流させ、かつ、その合流空気をその流動方
向にほぼ沿う方向で被塗物下方の排気口２３から
排出させることにより、供給換気空気のほぼ全量
を被塗物Ａに集中させる状態で流動させるように
構成してある。

つまり、換気空気流動の被塗物側への集中流動
により余剰塗料ミストの迅速な排出、及び、塗着
効率の向上を達成しながらも、換気空気の横向き
吹出しによる下方向き換気空気の被塗物Ａ側への
偏流により、余剰吹付塗料ミストを含んだ上方か
らの換気空気が被塗物周辺の塗装装置８に吹付け
られることを回避して、その吹付けによる周辺塗
装装置８への塗料付着を防止するように構成して
ある。

次に別実施例を説明する。

換気気体の横向き吹出しを行なうに、第４図に
示すように、側壁２０Ａ，２０Ｂの全面を横向き
吹出口S₂，S₃に形成しても良く、側壁２０Ａ，２
０Ｂのうちいずれの部分を横向き吹出口S₂，S₃に
形成するかは適宜変更が可能である。

又、第５図に示すように、下方向き吹出口S₁と
しての天井１７と水平横向き吹出口S₂，S₃として
の側壁２０Ａ，２０Ｂとの間に、換気気体を斜め
下方に向けて吹出す傾斜横向き吹出口S₆，S₇を形
成しても良い。

前後壁２，３に形成する横向き吹出口S₄，S₅は
省略しても良い。

横向き、及び、下方向きの換気気体吹出しを行
なうに、第６図に示すように、塗装室１を形成す
るドーム状壁のほぼ全面を、換気気体をドーム形
状中心部に向けて吹出す吹出口Ｓに形成すると共
に、排気口２３をドーム形状中心部に配置形成
し、もつて、ドーム形状中心部で排気口２３上方
に配置した被塗物Ａに対して集中させる状態で合
流換気気体を流動させるように構成しても良く、
本発明においては、換気気体の吹出方向が水平方
向に対して45度の傾斜範囲内にあるものを横向き
吹出口S₂〜S₇と総称し、かつ、換気気体の吹出方
向が下方向き鉛直方向に対して45度の傾斜範囲内
にあるものを下方向き吹出口S₁と総称する。

上記下方向き吹出口S₁及び横向き吹出口S₂〜S₇
の具体的構造は種々の改良が可能であり、又、排
気口２３の構造も種々の改良が可能である。

下方向き吹出口S₁からの換気気体と横向き吹出
口S₂〜S₇夫々からの換気気体との吹出風量比、及
び、吹出し速度比は、夫々１：１や１：２、ある
いは２：１等適宜変更が可能である。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の実施例を示し、
第１図は、縦断面図、第２図は、概略平面図、第
３図は、一部切欠き斜視図である。第４図、第５
図、及び、第６図は、夫々本発明の別実施例を示
す概略縦断面図である。第７図、及び、第８図は
従来例を示し、第７図は、概略縦断面図、第８図
は、概略平面図である。 S₁……下方向き吹出口、S₂〜S₇……横向き吹出
口、１……塗装室、８……塗装装置、１７……天
井、２，３，２０Ａ，２０Ｂ……横側壁、２３…
…排気口、Ａ……被塗物。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 塗装室１の横側壁２０Ａ，２０Ｂと塗装室１
   内の被塗物Ａとの間に塗装装置８を配置し、前記
   塗装室１の天井１７に換気気体の下向き吹出口S₁
   を設け、前記塗装室１の横側壁２，３，２０Ａ，
   ２０Ｂに、換気気体の横向き吹出口S₂〜S₇を前記
   塗装装置８の配置範囲を越える横方向長さ範囲に
   わたつて設け、前記両吹出口S₁，S₂〜S₇からの合
   流気体を前記被塗物Ａに集中させる状態で排気す
   る排気口２３を前記被塗物Ａの下方に形成すると
   ともに、前記下向き吹出口S₁からの換気気体と前
   記横向き吹出口S₂〜S₇からの換気気体との吹出し
   速度比を１：１／２〜２に設定した吹付塗装用ブ
   ース。 ２ 前記両吹出口S₁，S₂〜S₇の夫々が、換気気体
   をほぼ層流状に吹出すものである特許請求の範囲
   第１項に記載の吹付塗装用ブース。 ３ 前記横向き吹出口S₂〜S₇の対を対向状に配置
   してある特許請求の範囲第１項又は第２項に記載
   の吹付塗装用ブース。 ４ 前記横向き吹出口S₂〜S₇を被塗物Ａ周りのほ
   ぼ全周にわたつて配置してある特許請求の範囲第
   １項又は第２項に記載の吹付塗装用ブース。