JPH0212922B2

JPH0212922B2 -

Info

Publication number: JPH0212922B2
Application number: JP14014286A
Authority: JP
Inventors: Nobuyuki Nakai
Original assignee: Mikimoto Pharmaceutical Co Ltd
Current assignee: Mikimoto Pharmaceutical Co Ltd
Priority date: 1986-06-18
Filing date: 1986-06-18
Publication date: 1990-03-30
Also published as: JPS62298507A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は化粧品に関するものであり、更に詳細
には、アコヤ貝等の貝殻又は真珠を原料とする化
粧品に関するものである。

したがつて本発明は、化粧品の技術分野のみな
らず、真珠養殖、各種貝類養殖といつた水産業の
技術、及び蛋白質化学の技術分野でも重要な役割
を果すものである。

（従来の技術）従来、貝殻類を用いる化粧料に関しては、屑真
珠や、アコヤ貝貝殻等を単に粉末化したものが、
スクラブ洗顔料といつたごく一部の用途に、しか
も家庭内で又は家伝としてごく小規模に行われて
きたにすぎない。

これに対して本発明は、このような因習にとら
われて家伝的な非科学的技術に科学的メスを加え
て、これら貝殻類の有効成分を効率よく抽出する
とともに、各種の剤形に製剤化することができて
各種の化粧品の用途に広く使用できる化粧品原料
を開発し、しかもこれを家内工業的ではなく大規
模に工業生産することに成功したものであるが、
このような技術は従来全く知られておらず新規で
ある。一方、アコヤ貝等の貝殻の面からみても、
それには有効利用の途がなく、廃棄物として大量
に放置されているのが技術の現状である。

また、微粉体化粧品原料という面からみても、
従来は、タルク、カオリン、沈降炭酸カルシウ
ム、酸化亜鉛、ベントナイト、酸性白土、酸化チ
タン、硫酸バリウム等の無機質微粉体が主として
使用されており（特公昭55―89315号）、有機質微
粉体、特に本発明のように特定の蛋白系有機質微
粉体は溶解することなく不溶性のままでは使用さ
れていないのが技術の現状である。

（発明が解決しようとする問題点）このように、不溶性の蛋白を不溶性のままで化
粧品原料として利用することは行われていない
し、また、従来知られている無機質微粉体は、主
として化粧品担体として用いられていて整肌作用
等は本来有していないし、その物性がアルカリ性
を示すために皮膚に対する刺激作用があり安全性
の面でも問題がある。

本発明は、このような技術の現状に鑑みてなさ
れたものであつて、無機質微粉体の有する長所を
生かし逆にその短所はカツトし、更に整肌作用や
皮膚栄養作用を付与するために、従来使用された
ことのない蛋白系の有機質微粉体を有効成分とす
る新しい化粧品原料を新規に開発し、そしてま
た、従来廃棄されていた貝殻や屑真珠等に有効利
用の途を新たに拓き、廃棄物による環境汚染も防
止する目的でなされたものである。

（問題点を解決するための手段）本発明は、上記した問題点ないし新規な技術課
題を解決するためになされたものであつて、アコ
ヤ貝貝殻又は真珠のコンキオリンは強い酸または
アルカリを作用させなければ不溶性を保つという
新知見を得、この新しく発見した利点を生かし、
これを微粉砕することによつて有機質微粉体とし
て各種化粧品たとえばおしろい類、洗顔クリー
ム、パツク等の原料として極めて広範囲に利用で
きる化粧品の開発に成功したものである。

本発明の出発原料は、真珠層を有する貝の貝殻
及び／又は真珠である。本発明においては、真珠
層を有する貝であればすべてのものが使用可能で
あるが、真珠層の厚い方が工業的には有利であつ
て、例えば、アコヤ貝（Pinctada martensii）、
イガイ（Mytilus coruscum）、ムラキサガイ
（Mytilus edulis）、イケチヨウガイ（Hyriopsis
schlegelii）、カラスガイ（Cristaria plicatata）
等ウグイスガイ科、イガイ科、イシガイ科等に属
する貝が有利に使用できる。しかしながら原料の
確保、薬効の面からして、アコヤ貝貝殻または真
珠が最適であることはいうまでもない。

これらの貝殻や真珠は粉砕しておくと後で行う
脱灰反応が促進されるので、ボールミル、ジエツ
トミル、ターボミル等既知の粉砕装置を用いて粉
砕しておくと好都合である。粉砕処理としては粗
粉砕でも微粉砕のいずれでもよいが、粗粉砕の場
合には後で微粉砕処理することが必要である。ま
た、微粉砕したものであつても、後で再度微粉砕
しても一向に構わない。

これを炭酸カルシウム等の無機成分を溶解除去
して脱灰するために、酸たとえば塩酸、硫酸等を
炭酸カルシウム等の無機成分を除去するのに必要
な量だけ必要により水とともに加えて撹拌する。
脱灰処理は室温で充分に進行するが、必要に応じ
て加温しても一向に構わないし、室温以下でも充
分に脱灰が行われる。この場合、（微）粉砕処理
を行いながら脱灰することも可能である。脱灰剤
としては、脱灰できるものであればすべてのもの
が使用でき、上記した塩酸、硫酸のみに限定され
るものではない。

これらの酸のほかに、例えば、リン酸、硝酸と
いつた無機酸、及びシユウ酸、炭酸、クエン酸、
リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、酢酸、ギ酸とい
つた有機酸も有利に使用できるし、混酸も使用可
能である。

酸の量は上記のように無機成分を除去するに必
要な量を加えるが、多少多いくらいに加えた方が
反応が早く進み、また、コンキオリンは強い条件
でないと分解する恐れはないので酸の量が多少過
剰になつても問題はない。

この反応させた液を遠心分離、濾過、デカンテ
ーシヨン等固液分離手段によつて不溶物を集め、
これを精製水を加えてよく撹拌し遠心分離、濾過
によつて不溶物を集める。そして必要に応じてこ
れをくりかえす。

この不溶物は、コンキオリンを主成分としてな
るものであり、これを公知の湿式粉砕機たとえば
コロイドミル等を用いて微粉砕して化粧品原料を
得る。

この粉砕はその用途によつて粒径を必要なとこ
ろまで粉砕する。

たとえば化粧クリームに用いるときには、0.1
〜10ミクロン、おいろいには１〜30ミクロン、ス
クラブ洗顔料には50〜300ミクロンという球径ま
で粉砕する。

これを乾燥させてコンキオリンのパウダーを得
るが乾燥時熱を加えると凝集を起こす場合がある
ので凍結乾燥等の方法を用いて乾燥する方がよ
い。

これを、特に匂い、色を問題にする化粧料に使
用するときには、公知の漂白剤例えば過酸化水素
水、さらし粉を用いて漂白、脱臭する。

本発明に係る化粧品は、このようにして製造し
た微粉砕コンキオリンを、乾燥し又は乾燥するこ
となくウエツトなままで、有効成分として使用す
ることからなるものである。したがつて本発明に
おいては、微粉砕コンキオリンをそのまま化粧品
として使用するほか、常用される化粧品原料を適
宜配合して使用することができる。また、他の化
粧品としての有効成分も適宜配合することができ
る。

微細コンキオリンに配合する化粧品材料として
は当業界において常用されるものが広く使用で
き、希望する化粧品材料を自由に且つ希望する量
だけ使用することができるので、配合に際して格
別の制限がないという特徴を本発明は併有してい
る。

また、微細コンキオリンは油系化粧品に製剤化
できるだけでなく、水系化粧品、例えば洗顔フオ
ーム、クリーム類、乳液等にも製剤化することが
でき、剤形にも格別の制約がない点でも本発明は
非常にすぐれている。このように本発明に係る化
粧品は水系化粧品とすることができるので、微細
コンキオリンが有する特にスクラブ剤としての性
質が顕著に生かされるという特徴も得られる。

以下、製造例及び実施例について記述する。

製造例１アコヤ貝貝殻を４Kgを粉砕したのち、塩酸8.1
Kgと水10加え撹拌しつつ１昼夜放置した。

これを遠心分離機（日立SCR20B）連続式ロー
ター13000rpm流量200ml／minで遠心分離した。

残渣に精製水１を加えて撹拌し遠心分離、
13000rpm5minした。

これを２回繰り返した。

この残渣に精製水１を加えて撹拌し、コロイ
ドミル（特殊機化社製マイコロイダーＬ型）砥石
間隔10ミクロンで４回粉砕した。

この液に過酸化水素水（10％）を750ml加え40
℃で22時間放置した。

この液を遠心分離13000rpm5minした。

残渣に精製水100mlを加えて、遠心分離、
13000rpm／5minした。

残渣を凍結乾燥した。

収量は32ｇであつた。

製造例２アコヤ貝殻にかえて屑真珠、４Kgを用いて、塩
酸の代りに硫酸によつて脱灰処理を行つたほかは
製造例１と同様の処理をくり返した。

コロイドミル処理によつて得られたコンキオリ
ンペーストは、ほとんど着色が認められなかつた
ので、漂白処理することなく遠沈し、残渣を凍結
乾燥して目的とする高品質のコンキオリンパウダ
ーを得た。

次に実施例を示すが、数値はすべて重量部を示
す。

実施例１パツクコンキオリンパウダー 5.0 ポリビニールアルコール 15.0 カルボキシメチルセルロース 5.0 プロピレングリコール 3.0 エタノール 5.0 香料 0.5 防腐剤、酸化防止剤適量精製水 66.5 精製水にプロピレングリコールを加え溶解す
る。それに一部のアルコールで湿潤させたポリビ
ニールアルコールとカルボキシメチルセルロース
を加え70℃に加熱撹拌しながら溶解する。これに
残りのエタノール、コンキオリンパウダー、香
料、防腐剤、酸化防止剤を撹拌しつつ加えて冷却
する。

２化粧クリームＡミロロウ 6.0 セタノール 7.0 還元ラノリン 3.5 スクワラン 25.0 脂肪酸グリセライド 3.0 親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0 ポリオキシエチレンソルビタン 2.0 モノラウリン酸エステル香料 0.5 防腐剤、酸化防止剤適量Ｂ１・３ブチレングリコール 6.0 精製水 43.0 コンキオリンパウダー 2.0 Ａ〕，Ｂ〕をそれぞれ加温溶解し、Ｂ〕にＡ〕
を徐々に撹拌しつつ加える。

３スクラブ洗顔フオームＡミリスチン酸 13.0 パルミチン酸 9.0 ステアリン酸 8.0 ラウリン酸 4.0 ヤシ油 4.0 ミツロウ 1.0 ラノリン 0.8 モノグリセライド 1.0 エチレングリコールジステアレート 0.8 Ｂ KOH 7.2 EDTA 2Na 0.1 グリセリン 12.0 プロピレングリコール 4.0 精製水 33.9 Ｃコンキオリンパウダー 2.0 Ａ〕，Ｂ〕をそれぞれ加温溶解し、Ｂ〕にＡ〕
を徐々に撹拌しつつ加える。

40℃でＣ〕を撹拌しつつ加える。

４おしろい下記の成分を均一に混合しておしろいを製造す
る。

コンキオリンパウダー 15.0 タルク 40.0 カオリン 15.0 沈降炭酸カルシウム 5.0 酸化亜鉛 10.0 ステアリン酸マグネシウム 5.0 着色顔料適量香料適量（発明の効果）本発明は、蛋白系の有機質微粉体を主成分とす
る新規な化粧品の開発にはじめて成功したもので
あつて、例えば無機質微粉体を含有する従来の化
粧品にはないすぐれた下記のような利点がある。

ａ硬度が小さく肌に対してその作用が温和であ
る。

ｂアミノ酸残基があるのでPHの作用をやわらげ
る。

ｃ薬剤、香料、色素等の保留の担体としても作
用する。

このように、整肌作用等コンキオリンペプチド
の利点に加えてさらに利用価値を高める特長を有
する化粧品を得ることに成功したものである。

本発明のおいて使用するコンキオリンパウダー
は、各種の化粧品に広く利用できる著効があるほ
か、個々の化粧品に使用した場合、特に、次のよ
うな著効が例示される。

例えば、スクラブ洗顔料の場合、従来既知のス
クラブ剤としては、シリカビーズ、セルロースビ
ーズ、ポリエチレン末、アンズの内果皮、アーモ
ンドの実、各種穀物粒子等が知られているが、こ
れらのスクラブ剤に比して、コンキオリンパウダ
ーは硬度が低くマイルドなために皮膚への刺激が
極めて低く、また、マツサージ効果も得られる。

また、コンキオリンパウダーを化粧クリーム及
び粉おしろいに配合した場合、PHの作用を大巾に
やわらげ、薬剤、香料、色素等の保留の担体とし
てきわめて好適であり、皮膚への刺激もなく、且
つマツサージ効果も有しており、非常にすぐれて
いる。

そのうえ、本発明は、従来廃棄されていたアコ
ヤ貝等の貝殻や屑真珠に対して有効利用の途を拓
くものであつて、水産業界における貢献度はきわ
めて高く、また、環境整備にも役立つものであつ
て、公害防止技術としても格段にすぐれている。

Claims

【特許請求の範囲】１真珠層を有する貝の貝殻及び／又は真珠を粉
砕した後脱灰処理し、得られたコンキオリンを微
粉砕し、必要あれば更に漂白処理して得た微粉砕
化粧品原料をそのまま用い、通常用いられる化粧
品材料と適宜混合してなる化粧品。２該貝がウグイスガイ科、イガイ科及びイシガ
イ科から選ばれるものであること、を特徴とする
特許請求の範囲第１項に記載の化粧品。３該貝の貝殻及び／又は真珠の粉砕が微粉砕で
あること、を特徴とする特許請求の範囲第１項又
は第２項に記載の化粧品。４該脱灰処理は、酸を用いてこれを行うこと、
を特徴とする特許請求の範囲第１項，第２項又は
第３項に記載の化粧品。