JPH021005B2

JPH021005B2 -

Info

Publication number: JPH021005B2
Application number: JP56160961A
Authority: JP
Inventors: Masaaki Ono; Masahiko Mogi; Kazuo Okabe
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1981-10-12
Filing date: 1981-10-12
Publication date: 1990-01-10
Also published as: JPS5862826A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、磁気記録媒体用のベースフイルムに
関するものである。従来、磁性物質をポリエステルフイルムの表面
に蒸着せしめた蒸着型ビデオテープが使用されて
いる。しかし、この蒸着型ビデオテープは、磁性層の
厚さが非常に薄いため、使用するベースフイルム
の表面形態が、そのまま磁性体蒸着後の蒸着薄膜
表面形態となる。そのため、ベースフイルムの表
面粗さが粗いと、蒸着ビデオテープの電磁変換特
性が著しく悪くなる。この電磁変換特性の面から
考えると、平滑な全くの鏡面からなるベースフイ
ルムが好ましいが、実際にはその場合次の問題が
起こる。すなわち、平滑な全くの鏡面を有するベ
ースフイルム上に形成された蒸着膜は、この蒸着
膜面のすべり性が非常に悪く、例えば、蒸着面に
保護膜層を設けるようなことをしない限り、蒸着
面が、そのまま鏡面を保つので、蒸着工程以降の
テープ化プロセスや、ビデオテープレコーダー内
での実際走行において各種ガイドピン、ヘツド等
の接触で、蒸着面にすりきずが大量に発生し、全
く実用性はなくなる。本発明の目的は、平滑性、すべり性、耐すり傷
性に優れた蒸着膜を形成することが可能なベース
フイルムを提供することにある。本発明は、上記目的を達成するため次の構成、
すなわち、ポリエステルフイルムと、該ポリエス
テルフイルムの少なくとも片面に密着された厚さ
500Å以下の水溶性高分子を主体とする不連続皮
膜とからなり、該不連続皮膜で覆われていない領
域の大きさは長さ方向の距離が0.1〜20μ、それと
直角方向の距離が0.05〜10μの範囲内にあること
を特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフイル
ムを特徴とするものである。本発明のポリエステルフイルムとは、通常の方
法で形成したポリエステルフイルム、すなわちポ
リエステルを溶融してシートまたは円筒状に押出
し、これを少なくとも一方向に延伸して形成した
フイルムで、そのフイルムの機械特性としては、
通常のバランスタイプ、一軸方向に強力化された
タイプ、二軸方向に強力化されたタイプのいずれ
かであることが望ましい。また、フイルムの表面
は平滑であることが望ましく、具体的にはフイル
ムの表面粗さRa値が0.015μ以下、より好ましく
は0.010〜0.002μ（ただし、粗さ計のカツトオフ値
0.08mm）の範囲にあることが望ましい。なお、
Ra値とは、触針式表面粗さ計から得られる断面
曲線から適当なカツトオフ値を用いてうねりを除
いた粗さ曲線において、中心線（中心線より上の
部分と下の部分の面積が等しくなるようにして求
められる。）からの粗さ曲線の高さ（低さ）の絶
対値の算術平均である（DIN4768による）。上記フイルムを形成するポリエステルは、線状
ポリエステルを主体とするものであればどのよう
なものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポ
リ−１，４−シクロヘキシレンジメチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−２，６−ナフタリンジ
カルボキシレート、ポリエチレン−ｐ−オキシベ
ンゾエートなどがその代表例である。また、上記のポリエステルは、ホモポリエステ
ルであつても、コポリエステルであつてもよい。
コポリエステルの場合、共重合する成分として
は、例えば、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチ
レングリコール、ｐ−キシリレングリコール、
１，４−シクロヘキサンジメタノールなどのジオ
ール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、
イソフタル酸、２，６−ナフタリンジカルボン
酸、５−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジ
カルボン酸成分、トリメリツト酸、ピロメリツト
酸などの多官能ジカルボン酸成分、ｐ−オキシエ
トキシ安息香酸などが挙げられる。なお、共重合
の場合、共重合する成分は20モル％以下とする。さらに、上記のポリエステルは、他にポリエス
テルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘
導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアル
キレングリコールなどの添加物を少なくとも一つ
を５重量％を超えない程度に含有したものであつ
てもよい。また、そのフイルム中に延伸した際
に、フイルム表面突起の原因となる重合残査から
なる内在粒子あるいは外部から加えられた不活性
粒子等が含有されていてもよく、その含有量は、
それらのポリマーを２軸延伸した場合、厚さ30μ
以下で、１枚当りのヘイズ５％以下であれば良
い。本発明の不連続皮膜とは、水溶性高分子を主体
とした組成物から形成され、その水溶性高分子
は、分子量が１万〜200万、好ましくは10万〜100
万のものが使用される。分子量が１万を下まわる
と、以下に述べる皮膜が柔かくなり、構造保持が
難しくなり、耐久性が悪くなる。分子量が200万
を上まわると皮膜がかたくなりすぎ、もろくな
り、やはり耐久性が悪くなる。かかる水溶性高分
子としては、ポリビニルアルコール、トラガント
ゴム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、メチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース等が適用される。本発明の不連続皮膜とは、レプリカ法透過型電
子顕微鏡写真（倍率10000倍）で示されるフイル
ム表面において、フイルム表面を部分的に覆つた
皮膜を指す。第１図は、本発明の電磁気記録媒体用ポリエス
テルフイルム表面の電子顕微鏡写真で、この第１
図を模擬的に示したのが第２図である。第２図に
おいて、１は不連続皮膜、２は不連続皮膜で覆わ
れていない領域でポリエステルフイルムの表面が
表われている領域を示す。本発明の不連続皮膜で
覆われていない領域の同きさは、長さ方向の距離
Ｘが0.1〜20μ、それと直角方向の距離Ｙが0.05〜
10μの範囲内にある。また、不連続皮膜１の厚さは、触針式表面粗さ
計により、カツトオフ値0.08mmを用い、縦倍率50
万倍の条件で皮膜形成面を測定した時の表面粗さ
曲線において、山と谷との平均的高さ間隔で示さ
れる。本発明の不連続皮膜の厚さは500Å以下、
好ましくは50Å〜300Åでなければならない。第３図は、触針式表面粗さ計で縦倍率50万倍と
して本発明の不連続皮膜の形成された面を測定し
た曲線である。図において、図の３が山と谷との
平均高さ間隔で示される曲線の高さで、その高さ
が不連続皮膜の厚さを示すものである。本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
に設けられる強磁性体薄膜は、上記不連続皮膜１
上に設けるものとする。つぎに、本発明の製法について説明する。通常
の方法で、一方向に延伸後の平滑なポリエステル
フイルムの少なくとも片面に、水溶性高分子水溶
液を塗布し、乾燥したのち直角方向延伸を行なう
か、あるいは、直角方向延伸後、さらに前記一方
向に再延伸し、熱処理する。さらに、具体的には、前記説明のポリエステル
原料を用い、通常の製膜機により溶融押出し、冷
却後、３〜５倍に一軸延伸した縦延伸フイルムに
その後、予熱延伸前の工程において、水溶性高分
子を主成分とする水溶液を各種コーテイング法に
よつて少なくとも片面に塗布する。この水溶性高
分子水溶液の塗布量は、１ケの面につき、固形分
濃度で３〜1000mg／m²が良い。つぎに、この水溶
性高分子水溶液塗布の縦延伸フイルムを横延伸す
るが、横延伸前に水溶性高分子皮膜を完全に形成
するためフイルム表面塗布液中水分を完全に蒸発
乾固する必要がある。これは、二軸延伸機のステ
ンター予熱部で５％／秒〜100％／秒の水分乾燥
速度となるよう熱風温度で100〜150℃で予熱する
ことによつてなされる。予熱後90〜120℃の延伸
温度で2.5〜4.5倍に横延伸する。乾燥完結、皮膜
完全形成後の横延伸によつてフイルム表面に不連
続皮膜構造が密着して形成され、これがすべりに
寄与する。さらに、この横延伸フイルムを180〜
220℃で熱処理あるいは、1.1〜1.8倍に再縦延伸
後180〜220℃で熱処理すると、平滑なポリエステ
ルフイルムの少なくとも片面に高さ500Å以下の
不連続皮膜が形成された二軸延伸ポリエステルフ
イルムが得られる。以上述べたように、本発明はフイルムの表面に
水溶性高分子を主体とする不連続皮膜を密着せし
めたことによりその皮膜上に形成する蒸着膜は、
表面のすべり性が向上し、耐すりきず性能が向上
する。しかも、その高さは、500Å以下であるの
で蒸着テープの電磁変換特性をそこなうことはな
い。本発明による不連続皮膜面に、金属蒸着膜を形
成した蒸着面のすべり性は、金属固定ガイド棒と
の動摩擦係数測定によつて評価する。また、耐す
りきず性は、金属固定ピンとの500回繰り返し接
触走行による蒸着面摩耗状態観察により評価す
る。つぎに、実施例について説明する。実施例重合触媒残査等にもとづく内部粒子をできる限
り含まない実質的に無配向、非結晶のポリエチレ
ンテレフタレート原料を、約20℃に維持された回
転ドラム上に溶融押出し、つぎに、3.4倍の機械
方向への延伸を施し、その後、メタリングバーコ
ーターを用いて水溶性高分子水溶液を固形分濃度
で20mg／m²片面塗布する。水溶性高分子水溶液としては、メチルセルロー
ス0.20％水溶液を使用した。その後、ステンター
を通し、乾燥、予熱、横延伸をする。乾燥、予
熱、横延伸温度は115℃で、水分乾燥速度は15
％／秒とした。横延伸倍率3.4倍、熱処理温度200℃で、片面に
高さ300Åの不連続皮膜が形成されている厚さ
12μの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイ
ルムを得た。比較例実施例において、ステンターでの乾燥、予熱、
横延伸温度を90℃とし、他は同様にして片面に連
続した皮膜が形成された厚さ12μのポリエチレン
テレフタレートフイルムを得た。つぎに、実施例、比較例で作られたフイルムの
評価を行つた。蒸着面のすべり性の評価として、金属固定ガイ
ド棒との動摩擦係数μ_Kの測定、すりきず性の評価
として金属固定ガイド棒との500回くり返し走行
による蒸着面上の発生スクラツチの観察を行つ
た。実施例においては両面、比較例においては連
続した皮膜形成面にアルミニウムを蒸着させ、蒸
着面特性評価を行つた。評価結果は表１の通りで
ある。皮膜非形成面、連続した皮膜形成面との比較か
ら明らかなように、本発明の不連続皮膜形成面は
蒸着膜がその上に形成された状態で、動摩擦係数
は低く、耐すりきず性も良い。しかも、面粗度は、皮膜高さがわずか300Åで
あるので、電磁変換特性にすぐれている。

【表】以上、述べたように、本発明は蒸着磁気記録媒
体として、好適な表面の平滑性、すべり性、耐す
りきず性に優れたポリエステルフイルムを与え
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の不連続皮膜が形成されたベ
ースフイルム面のレプリカ法透過型電子顕微鏡写
真（倍率10000倍）、第２図は、第１図を模擬的に
示した図、第３図は、本発明により形成された不
連続皮膜の縦倍率50万倍での触針式表面粗さ曲線
チヤートである。１：不連続皮膜、２：皮膜で覆われていない領
域、３：皮膜の厚さ。

Claims

【特許請求の範囲】

１ポリエステルフイルムと、該フイルムの少な
くとも片面に密着された厚さ500Å以下の水溶性
高分子を主体とする不連続皮膜とからなり、該不
連続皮膜で覆われていない領域の大きさは長さ方
向の距離が0.1〜20μ、それと直角方向の距離が
0.05〜10μの範囲内にあることを特徴とする磁気
記録媒体用ポリエステルフイルム。