JPH019858Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は建物躯体に軽量コンクリート壁版、
特にALC版を取付ける装置に関するものである。

従来、鉄骨構造建築物としてALC版の様な軽
量コンクリート壁版をカーテンウオールとして上
下に隣接して建込む場合には、上層壁版である上
層パネルを、建物躯体周囲に定規アングルを設け
てこの定規アングルの縦フランジ面に取付けたプ
レートの上に載せて受け、長辺小口で形成される
柄孔に目地鉄筋を挿入して先のプレートに溶接し
た後に柄孔にモルタルを充填している。また、下
層壁版である下層パネルは、建物躯体の鉄骨梁下
部フランジに固着された定規アングルにスライド
用ハタ金物が設けられ、柄孔にモルタルが充填さ
れている。また、外壁を形成するこれら上層およ
び下層パネル間の直接接合しない接合部には横目
地が形成され、この横目地にシーリング材を打設
して外壁パネルを緊結し、これによつて外壁パネ
ルに作用する風圧力の負圧に耐えるように外壁パ
ネルを互に固着すると共に、建物の挙動、変位を
吸収する取付構造となつている。

しかし、この様な従来の取付工法は現場溶接が
増えて時間がかゝり、工期が長くなり、横目地幅
が大きくなつて美観上の問題があり、建物の挙
動、変位、変形によつて横目地のシーリング材が
損傷を受け易く漏水の原因となり、鉄骨梁に固着
される定規アングルが上部フランジ部と下部フラ
ンジ部の２ケ所となつて夫々突出して通り良く取
付けるのに手間がかゝり、またスライド用金物と
定規アングルを溶接固定した場合に変形、変位が
吸収できずにパネル損傷を招く等の種々の欠点が
みられる。

従つて、この考案の目的はこの様な従来の欠点
を除去するために、上層および下層パネルの定規
アングルを一対として定規アングル取付の手間を
節減し、上層および下層パネル間の横目地シール
を省いて代わりに雨水を断ち切る形状のボーダー
を設けて横目地シーリング材の損傷をなくすと共
に、建物躯体の変位、変形に対して外壁パネルを
追随させるべくスライドできるようにした軽量コ
ンクリート壁版の取付装置を提供することにあ
る。

この考案に依れば、軽量コンクリート壁版の取
付装置は、Ｌ字形のアングルから成り縦フランジ
部に間隔を置いて切欠きが設けられ且つ水平フラ
ンジ部下面に間隔を置いてＬ型金物が取付けられ
た定規アングル、上層パネルを受ける面と定規ア
ングルの縦フランジに接する面と水切傾斜面と突
出するアゴ状部分とを有し定規アングルの切欠き
に対応する位置にボルトが植設されたボーダーを
備え、上層および下層パネルを上下に隣接して取
付けることを特徴としている。

この考案の他の目的や特長および利点は以下の
添付図面に沿つての詳細な説明から明らかになろ
う。

第１，２図に示される様に、この考案の軽量コ
ンクリート壁版の取付装置は、建物躯体の鉄骨梁
２に取付けられるＬ字形のアングルから成る定規
アングル３と、外壁を形成する軽量コンクリート
パネルの様な上層パネル１Ａと下層パネル１Ｂを
上下に隣接して取付けるべく受けるボーダー８と
から主に構成されている。建物躯体の鉄骨梁２に
取付けられる定規アングル３は山形鋼の様なＬ字
形のアングルからつくられ、縦フランジ部４には
ボルト用の切欠き６が間隔を置いて設けられ、水
平フランジ部５の下面にはＬ型金物７が定規アン
グル３の縦フランジ部４の垂直面と同一垂直面を
なすように間隔を置いて図示の如く取付けられて
いる。

横架材をなすボーダー８は外壁パネルを支える
だけの強度を有する材料、例えば通常のコンクリ
ートや軽量コンクリートから図示の様な形状につ
くられ、上層パネル１Ａを受ける面１１と、定規
アングル３の縦フランジ部４に接する面１２と、
水切傾斜面１４と、突出するアゴ状部分１５とを
有しており、定規アングル３の縦フランジ部４に
取付けるためのボルト１８が面１２に間隔を置い
て埋設されている。

この様に構成されたこの考案の軽量コンクリー
ト壁版の取付装置によつて上層および下層パネル
１Ａ，１Ｂを上下に隣接して取付けるに際して
は、建物躯体の鉄骨梁２に溶接の様な固着手段に
よつて定規アングル３を突設し、この定規アング
ル３の水平フランジ部５の下面に取付けられたＬ
型金物７に沿つて下層パネル１Ｂを立脚して仮止
めを施し、この下層パネル１Ｂの隣接する長辺小
口で形成される柄孔にモルタルを充填する。他
方、ボーダー３のアゴ状部分１５を下向きにして
下層パネル１Ｂの上部短辺端面と接合しない間隔
を置いて小口端面を被うようボーダー３のボルト
１８を定規アングル３の切欠き６に嵌めてナツト
１９で緊結して周囲を溶接固定する。このとき
に、下層パネル１Ｂの小口端面とボーダー３の下
面１６との間の隙間にはロツクウール材の様な不
燃材２０を填めるのが好適である。次いで、上層
パネル１Ａをボーダー３の上面に立脚して据置し
仮止めして、長辺小口にて形成する柄孔の中心に
目地鉄筋を挿入してボーダー３の面１１上に取付
けてモルタルを充填し、上述したと同様にして上
層パネルの取付けが行われて外壁が形成される。

斯様に、この考案の軽量コンクリート壁版の取
付装置に依れば、上層パネルおよび下層パネルの
定規アングルを共用として定規アングルの厄介な
取付の手間を節減でき、上層パネルと下層パネル
が隣接する横目地シールを省いて代りに雨水を断
ち切る形状のボーダーを設けることによつて横目
地シーリング材の損傷がなくなつて建物の変位変
形にもとづく漏水の原因を防止でき、ボーダーの
形状にもとづいて建物の変位変形に対し外壁パネ
ルが追随できるので外壁パネルの損傷およびクラ
ツクを防止でき、また大幅な横目地が形成される
ことがなく美観上の問題がなく、外部および内部
の等圧工法により雨水の毛細現象や吸込みを防ぐ
ことができ、倒れ止めの効果や、外壁パネルの受
ける風圧力の負圧に抵抗できる等の効果が得られ
る。

また、第３，４図にはこの考案でのボーダーの
変形例が示されており、図示の様な適宜な形状に
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の軽量コンクリート外壁の取
付装置の一実施例を示す断面図、第２図は定規ア
ングルとボーダーの斜視図、第３図および第４図
はボーダーの変形例を示す断面図である。 図中、１Ａ……上層パネル、１Ｂ……下層パネ
ル、２……鉄骨梁、３……定規アングル、４……
縦フランジ部、５……水平フランジ部、６……切
欠き、７……Ｌ型金物、８……ボーダー、１１，
１２……面、１４……水切傾斜面、１５……アゴ
状部分、１８……ボルト、１９……ナツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ Ｌ字形のアングルから成り縦フランジ部に間
   隔を置いて切欠きが設けられ且つ水平フランジ
   部下面に間隔を置いてＬ型金物が取付けられた
   定規アングル、上層パネルを受ける面と定規ア
   ングルの縦フランジに接する面と水切傾斜面と
   突出するアゴ状部分とを有し定規アングルの切
   欠きに対応する位置にボルトが植設されたボー
   ダーを備え、上層および下層パネルを上下に隣
   接して取付けることを特徴とする軽量コンクリ
   ート壁版の取付装置。 ２ ボーダーが通常のコンクリートまたは軽量コ
   ンクリートでつくられたことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の軽量コンクリ
   ート壁版の取付装置。