JPH0324526B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、全体或いは一部が地中に埋設される
地下室などの地下構造物に関する。

最近では、土地の有効利用を図るとともに防災
シエルターの必要性などの観点から地下構造物の
建造が要望されている。

斯る地下構造物の建造にあつては土圧或いは漏
水等を考慮しなければならず、このため従来にあ
つては型枠内に配筋した後、コンクリートを一体
的に打設し、更に外又は内から防水仕上を施すよ
うにしている。

しかしながら、上記の従来工法にあつては雨天
及び寒冷地における冬期の工事が困難であり、且
つコンクリートの養生、型枠の取外しなどに時間
と手間がかかるばかりでなく、工事完了後も、コ
ンクリートが乾燥するまでに長期間を要する等多
くの問題がある。

しかも、鋼製パネルを接合してなる地下構造物
を採用しようとしても、所定の土圧に耐え得るよ
うにするには、単位パネルを大きくすることがで
きず、接合部も多くなり、組立てが複雑になると
ともに、接合部が多いためそれだけ漏水等の問題
を生じていた。

本発明は上述の如き従来の地下構造物の問題点
を改善すべく成したものであつて、その目的とす
るところは、パネル相互の接合組立てが容易で工
期を短縮でき、更に防水処理も確実に行える地下
構造物を提供するにある。

この目的を達成するため本考案に係る地下構造
物は複数のパネルを接合してなることを前提と
し、該パネルを鋼製枠体内に鋼製波板を設け且つ
外周部にアングル材を取付けたものとし、更に各
パネルを接合するには、パネル外周部のアングル
材を防水パツキンを介して突き合せ、しかもアン
グル材のボルト取付孔を波板によつて形成された
内側空間に臨んだ状態で穿設しておき、このボル
ト取付孔にボルトを螺着してパネル相互を接合す
るようにしたことをその要旨としている。

以下に本発明の実施例を添付図面に基いて詳述
する。

第１図は本考案に係る地下構造物全体斜視図で
あり、地下構造物１は複数のパネル２…を接合す
ることで、屋根、壁及び床が形成され、屋根の一
部には地上或いは１階の床と連通する開口３を設
けている。

上記パネル２は第２図に示す如く、矩形状を成
す鋼製枠体４内に鋼製の波板５を溶接等の手段に
よつて隙間なく一体的に取付けている。そして鋼
製枠体４に沿つて断面Ｌ型状をなすアングル材６
が溶接等の手段にて取付けられ、このアングル材
６の所定箇所にボルト取付孔７，７…が穿孔され
ている。また第３図及び第４図はそれぞれ組立後
の縦断面図及び平面図であり、屋根パネル２ａの
外周部下面と壁パネル２ｂとの接合は、屋根パネ
ル２ａの外周部下面が壁パネル２ｂの上面に載置
され、そしてその接合箇所では、各パネル２ａ，
２ｂの外周に取付けられているアングル材６，６
が防水パツキン８を介して対向し、かつ各アング
ル材６，６に穿孔したボルト取付孔７，７に高張
力ボルト９を挿通してナツト１０により螺着接合
する。

一方ボルト取付孔７は、波板５によつて区画さ
れたパネルの内側空間Ｏに臨んだ状態に穿孔され
ており、よつて室内側からこの空間Ｏに向けてレ
ンチやスパナなどの治具の挿入が可能となり、回
動操作に十分な広さを要するボルト締めなどの接
合作業が室内側から容易に行なうことが出来る。
また上記防水パツキン８は第５図に示すようにブ
チルゴム等からなり、その長手方向に２本の突条
８ａ，８ａを形成するとともにボルト取付孔１１
の周囲には突条８ａと面一となるシール部１２を
設け、防水効果を高めるようにしている。

また壁パネル２ｂと床パネル２ｃとの接合は壁
パネル２ｂの下端内側面に床パネル２ｃの外側面
が対向するようにして、それぞれのアングル材
６，６を防水パツキン８を介して突き合せ、高張
力ボルト９及びナツト１０によりそれぞれのアン
グル材６，６を螺着することで接合し、また地下
構造物の周囲を形成する壁パネル２ｂ…の接合
は、第４図に示す如く左右の壁パネルのない側面
に前後の壁パネルの外側面が対向するようにし
て、それぞれのアングル材６…を防水パツキン８
を介して高張力ボルト９及びナツト１０により螺
着接合する。そして、以上の如くして形成された
地下構造物１の内側には土圧に応じて補強ラーメ
ンなどの枠体１３を架設する。

第６図乃至第８図はアングル材６の別実施例を
示すものであり、第６図に示すアングル材６はボ
ルト取付孔７を穿設した中間部６ａの一端から幅
広部６ｂを延出し、中間部６ａの他端から幅広部
６ｂとは反対方向に折曲部６ｃを形成し、アング
ル材６，６を高張力ボルト９で螺着した際に、一
方のアングル材６の折曲部６ｃが他方のアングル
材６の幅広部６ｂにかかるようにし、アングル材
６，６間に介設せしめた防水パツキン８が脱落し
ないようにしている。

また第７図に示すアングル材６は幅広部６ｂを
反対側まで突設し、前記同様アングル材６，６同
士を螺着した際に、防水パツキン８が脱落しない
ようにしている。

また、第８図に示すアングル材６は一部にガイ
ド部６ｄを形成し、このガイド部６ｄによつて囲
まれる部分に補強ラーメン１３が収納されるよう
にしている。

更に第９図はパネル２の別実施例を示すもので
あり、この実施例にあつては枠体４内に溶接する
波板５を二重としている。このようにすることで
強度が増すため、下段パネルなどのように土圧の
大きな箇所に使用するのに適することとなる。

次に本考案に係る地下構造物の構築法の一例を
述べると、先ず第１０図に示す如く地上１４にお
いて壁パネル２ｂ…を接合して地下構造物１を形
成し、この状態で第１１図に示す如く地下構造物
１を三又状に組んだ支柱１６にチエーンブロツク
１７を介して吊り上げておき、地盤を開削しつつ
徐々に地下構造物１を地中に降ろし、所定深さま
で達したならば屋根パネルを接合して完全な地下
構造物を構成し、その上に盛土、埋土を行う。

又一方、地下構造物の壁部を形成して上記方法
で地中に降ろし、床パネル２ｃを壁パネル２ｂの
下部内側面或いは下面に押し込んで接合し最後に
屋根パネルを接合するものでもよい。この場合、
壁パネル２ｂの下端部は床パネル２ｃと接合する
まで、シートによつてカバーし、土、泥で接合部
の防水性能が損なわれないようにする必要があ
る。

尚、以上は本発明の実施の一例を示したに過ぎ
ず、本発明は上記に限るものではない。

例えば、各パネルをどのように接合するかは任
意であり、要はパネル外周部に設けたアングル材
をパツキンを介して接合するものであればよく、
また構築方法も潜函工法に限らず、根切り等をし
た後、地中において各パネルを接合するようにし
てもよい。

以上に説明したように本発明によれば、地下構
造物を複数のパネルを接合することで構成するも
のにおいて、該パネルを鋼製枠体内に鋼製波板を
設け、且つその外周部にアングル材を取付けたも
のとし、各パネルの接合は上記アングル材同士を
間に防水パツキンを介して突き合せ、これらをボ
ルトによつて螺合するようにして接合せしめたの
で、従来の如くコンクリート打設が不要となり、
しかも十分に土圧に耐えることができ、漏水のお
それもなく、また、アングル材に形成したボルト
取付孔が波板によつて形成されるパネル内側部に
臨むようにすれば、組立作業を全て内側から行な
うことができ、且つ作業時間も大幅に短縮せしめ
ることが可能となり従来工法に比して大幅なコス
トダウンが図れる等多くの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る地下構造物の全体斜視
図、第２図はパネルの斜視図、第３図は地下構造
物の縦断面図、第４図は地下構造物の平断面図、
第５図は防水パツキンの斜視図、第６図乃至第８
図はアングル材の別実施例を示す断面図、第９図
はパネルの別実施例を示す断面図、第１０図及び
第１１図は構築方法を説明した正面図である。 １……地下構造物、２，２ａ，２ｂ，２ｃ……
パネル、４……鋼製枠体、５……波板、６……ア
ングル材、７……ボルト取付孔、８……防水パツ
キン、９……高張力ボルト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 矩形状の鋼製枠材間に鋼製波板を配設した複
   数のパネルを接合して構築される地下構造物であ
   つて、 前記各パネルの接合箇所の鋼製枠体外周にはア
   ングル材が夫々取付けられるとともに、前記接合
   箇所の両アングル材は防水パツキンを介して突き
   合せ状態でボルトにより接合されることを特徴と
   する地下構造物。 ２ 前記アングル材には、前記鋼製波板によつて
   区画されたパネルの内側空間に臨んだ状態でボル
   ト取付孔が穿孔されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の地下構造物。