JP6836808B2 - 止水性を高めたコンクリート構造物の構築方法および当該方法に用いる打込み型枠 - Google Patents

止水性を高めたコンクリート構造物の構築方法および当該方法に用いる打込み型枠 Download PDF

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Description

本発明は、地下室などのコンクリート構造物において屋外側と屋内側との間の通水を確実に防止可能とする、コンクリート構造物の構築方法および当該方法に用いる打込み型枠に関する。
従来、鉄筋コンクリート造の地下構造物では、一般に地下室の外壁面からの透水を防止するため、さまざまな施工法が発明されている。
例えば、地下躯体工事に先駆けて防水を行う「先やり工法」は、親杭横矢板の土留壁に防水層を先行して設けたのち、壁の鉄筋を組み立ててコンクリートを打設する工法である。
また「後やり工法」は、地下室躯体の完成後に、屋内側又は屋外側を、シート防水、非加硫ゴム防水、塗膜防水などの処置を行う工法である。
しかし、地下防水は、地上側の構造物に対する防水処置と異なり、防水の妨げになる諸々の要因を切り抜けながら行う必要があるため、100%安心な地下防水は無いと従来考えられていた。
大型の建物で多く行われている工法は、ある程度の漏水は避けきれないということを前提として、ブロック等により地下外壁を二重壁構造とし、コンクリート躯体の内側に排水用の空間を設け、入ってくる水を排水する工法である。
しかし、この二重壁構造は地下空間にデッドスペースが生じて、小規模な建物では無駄が多い。また二重壁構造では外部からの透水自体を防止することはできないので、たとえば築地市場の場合のように、汚染された土地に造る地下室では、二重壁構造では、一旦湧水として建物の地下ピットなどに汚染水が貯留される。この場合汚染水は水処理プラントで処理したのち、下水道に放流しなければならない場合もある。また原子力施設のように建物内部に汚染水が有る場合に建物が水密となっていなければ地下水を汚染するなどの問題が生じる。
その他、以下の特許文献1には、コンクリート打込型枠と内部の鉄筋配筋をあらかじめ工場で運搬可能な大きさのユニットで造り、現場で連接する地下室構造が示されている。
特許文献1に記載の発明によれば、地下室屋内が鋼板製の型枠で囲われる上に、床・壁・天井のコンクリートを同時打ちすることが可能であり、工期の短縮も可能であり、地下室の外壁面からの透水も防止することができる。
特開平8−177065号公報
しかし、上記した特許文献1に記載の発明(以下、単に「ユニット工法」ともいう。)では、以下に記載する問題点のうち、少なくとも何れか1つの問題を奏する。
(1)ユニットを工場製作するため、ユニットが完成するまでの間、当該ユニットが工場内の多くの製作スペースを占めることとなり、小規模な工場にとっては、スペースを占有されることの負担が大きくコスト増に繋がっている。
(2)鉄筋の結束作業では、床及び壁面の型枠面に設けられた切欠き部から腕を差し入れて、鉄筋を継ぐ位置付近にあらかじめ置かれた所定の長さの重ね継ぎ手筋を鉄筋の継ぎ手位置に移動させた上で、該重ね継ぎ手筋が動かないように隣り合う鉄筋同士を番線で結束する。
しかし、人の手で番線などを使って重ね継ぎ手部分の鉄筋を結束するとなると、手の届く距離は限られている。大規模建築物の地下の床のコンクリート厚さは、例えば1m近くになることも珍しくない。このような場合は、鉄筋の継ぎ手位置まで手が届かないので床の切り欠き部から手を差し入れて鉄筋を結束することが困難である。
(3)鉄筋の混み具合はまばらであり、重ね継ぎ手の結束も難しくないように一見みえるが、実際の建物の鉄筋の配置は、壁際に地中梁が設けられることもしばしばで、さらに壁の鉄筋の末端が床コンクリートの内部で屋内側に折り曲げられているなどしていて、工場で造ったユニットの連結面では鉄筋が非常に混みあっている場合がある。そのため、床又は壁の切り欠き部から腕を差し入れて、重ね継ぎ手鉄筋を所定位置に移動させた上で動かないように結束するのであるが、鉄筋が混み入った部分では、困難な作業となる。
この問題の主な要因として、さらに以下の点がある。
(3−1)鉄筋は異型鉄筋が採用されており、異型鉄筋は棒鋼の軸に瘤状の太い部分と細い部分が造られているため、混みいった場所におかれた異型鉄筋は瘤同士が干渉し、人手で異型鉄筋を横にずらす作業が難しい。
(3−2)異形鉄筋を所定の位置にずらせたとしても、狭い場所で番線などを使って鉄筋を結束することも難しい場合も多い。
(3−3)さらに、屋内側が内型枠で完全に囲われているので、切り欠き部から目視で重ね継ぎ手が規定通り処置されていることを確認することも難しい面がある。
(4)建物の規模が大きくなると、使用する鉄筋も太くなる。一般にd21以上の異形鉄筋は重ね継ぎ手ではなく、ガス圧接に依ることとなる。ユニット工法ではあらかじめ工場で配筋を行っていることから、現場では屋内側に設けられた切り欠き部から腕を差し入れて鉄筋を継ぐことしかできず、ガス圧接は想定されていない。
そのため、特許文献1に記載の発明では、重ね継ぎ手がみとめられるd19以下の異型鉄筋を使用する小規模な建物に限られている。
(5)特許文献1に記載の発明では、ユニットの屋内面が金属板となった場合、内装工事を行うとなると内装下地材を取り付ける場合、溶接作業が必要になると想定される。
以上説明した点などから、本発明は、以下に記載する課題のうち、少なくとも何れか一つの課題の解決を目的とするものである。
(1)止水壁を工場製作に依らずに水密性を確保すること。
(2)少なくとも壁部・天井部のコンクリート打設を一度に実施可能とすること。
(3)型枠の一体化作業の効率性を向上すること。
(4)型枠に内装材や架設材を取り付け可能とすること。
(5)規模の大きな建物であっても、現場配筋を可能とし、適正な重ね継ぎ手も可能とすること。
(6)鉄筋が混みいっていても確実に重ね継ぎ手の結束が行え、配筋の施工状態も目視で確認可能とすること。
(7)特許文献1に記載の発明では実施できなかった、d21以上の異型鉄筋を使用する大規模なコンクリート構造物の構築において、鉄筋の継ぎ手にガス圧接を使用可能とすること。
(8)溶接による一体化に限定することなく、必要に応じてその他の一体化も実施可能とすること。
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、コンクリート構造物の構築方法であって、(a)前記コンクリート構造物の床部を構築する工程と、(b)前記コンクリート構造物の壁部または天井部となる、コンクリートの打設予定箇所の屋内側の面に対し、現地で複数の打込み型枠を並べて配置し、直接または間接的に一体化した止水壁を配置する工程と、(c)前記打設予定箇所にコンクリートを打設して、壁部および天井部を構築する工程と、を少なくとも含み、前記打込み型枠は、当該打込み型枠の両縁部のうち、一方の縁部を配置済みの打込み型枠との接合部とし、かつ、他方の縁部を今後配置予定の打込み型枠との接合部としたときに、前記他方の縁部から前記打込み型枠の幅方向に向けて350mm以内の位置にのみ、セパレーター連結具を設けており、前記セパレーター連結具は、前記打込み型枠のコンクリート打設側に位置して、セパレーターの先端を取り付け可能な、受け部を少なくとも有し、前記(b)において、配置済みの前記打込み型枠に設けた前記受け部に対し、今後配置予定の打込み型枠側の空間から前記セパレーターを取り付けることを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記発明において、前記打込み型枠の縁部に、当該縁部を折曲するか、または別途部材を取り付けてなる、屋内側に突出した突出部を設けており、隣り合う打込み型枠で互いに対向する突出部において、一方の突出部の突出長を、他方の打込み型枠の突出部の突出長よりも大きく構成してあることを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記発明において、前記(b)における現地での一体化作業が、互いの打込み型枠に設けた張出部による係合を含み、前記打込み型枠の設置予定箇所には、前記打込み型枠の背面側で幅方向に伸びる横架材を予め設置しており、前記横架材に前記張出部を固定することで、前記打込み型枠を位置決めすることを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記発明において、前記コンクリート構造物が地下室であって、前記セパレーターの一端を、前記コンクリート構造物の構築予定箇所を区画する土留壁を構成する矢板または親杭に直接または間接的に取り付けておき、前記セパレーターの他端を、前記セパレーター連結具に取り付けることを特徴とする。
また、本願の第5発明は、コンクリート構造物の構築に用いる打込み型枠であって、前記打込み型枠は、前記コンクリート構造物の壁部または天井部となる、コンクリートの打設予定箇所の屋内側の面に対し、現地で複数並べて配置して直接または間接的に一体化した止水壁を構成し、前記打込み型枠は、前記打込み型枠に設けた、セパレーター連結具を少なくとも具備し、前記セパレーター連結具は、前記打込み型枠の背面側に配置して、セパレーターの先端を取り付け可能な、受け部を少なくとも有し、前記打込み型枠の両縁部のうち、一方の縁部を配置済みの打込み型枠との接合部とし、かつ、他方の縁部を今後配置予定の打込み型枠との接合部としたときに、前記他方の縁部から前記打込み型枠の幅方向に向けて350mm以内の位置にのみ、前記セパレーター連結具を設けてあることを特徴とする。
また、本願の第6発明は、前記第5発明において、前記打込み型枠の両側に、当該打込み型枠を折曲するか、または別途部材を取り付けて屋内側に突出させた、突出部を更に具備し、前記打込み型枠の一方の側に設けた前記突出部の突出長が、当該打込み型枠の他方の側に設けた前記突出部の突出長よりも大きく構成してあることを特徴とする。
また、本願の第7発明は、前記第5発明または第5発明において、前記打込み型枠の背面側で、当該打込み型枠の縁部から露出させた、張出部を更に具備し、前記打込み型枠の一方の縁部に設けた前記張出部と、他方の縁部に設けた前記張出部とで、取り付け高さを変えてあることを特徴とする。

本発明によれば、以下に記載する効果のうち少なくとも何れか1つの効果を奏する。
(1)コンクリート構造物の構築現場で一体化作業を行った打込み型枠からなる止水壁を、コンクリート構造物の屋内側に設けることで、屋内空間の水密性を確保することができる。
(2)コンクリート構造物の構築現場で打込み型枠の一体化作業を行うことができるため、工場内で大きな製作スペースが占有されることなく、現場への運搬性も向上する。
(3)壁側と天井側の止水壁を構築した後、壁部・天井部のコンクリート打設を一度に実施できるため、作業効率が高い。
(4)隣り合う打込み型枠同士の連結箇所において対向する突出部の突出長を相違させることで生じる段差を利用した隅肉溶接が可能となり、溶接作業がしやすくなる。型枠の溶接作業の効率性が向上する。
(4)打込み型枠側の連結部や、補強リブに、内装材または架設材の取付部を設けておくことで、内装工事の作業効率性が向上する。
(5)鉄筋の配筋をすべて現場で行うことにより、規模が大きい建物でも確実に配筋し、重ね継ぎ手も適正に実施することができる。
(6)打込み型枠を現場で組み立てるため、組立前に現場配筋を行えば鉄筋が混みいっていても確実に重ね継ぎ手の結束が行え、配筋の施工状態も目視で確認できる。
(7)d21以上の異型鉄筋を使用する大規模なコンクリート構造物の構築においても、鉄筋の継ぎ手としてガス圧接の使用が可能となる。
(8)現場条件で求められる水密性に応じて、種々の一対化手段から望ましいものを選択することができる。
本発明を適用したコンクリート構造物の概略図。 本発明に係る打込み型枠の正面側斜視図。 突出部の形状例を示す概略平面図。 隣り合う打込み型枠の突出部近傍を示す概略図。 突出部を介して内装材を取り付けたイメージを示す概略斜視図。 張出部による打込み型枠の係合状態を示す背面図。 張出部でもって横架材に打込み型枠を固定した状態を示す概略図。 本発明に係る打込み型枠の背面図。 打込み型枠とセパレーター連結具との取付状態を示す概略側断面図。 打込み型枠を螺着で一体化した場合の概略図 横矢板に形鋼を挟み込んだ状態を示す概略側断面図。 セパレーター連結具にセパレーターを取り付ける際の作業イメージ図。 目地溶接式で突出部に収容空間を設けた場合の概略図。 目地シール式で突出部に収容空間を設けた場合の概略図。 大幅突出部に切欠きを設けた場合の概略斜視図。
本発明の着想に至る経過は、次の通りである。
まず、確実な防水性が備わっている金属製の構造体として水に浮く船を想定した。
例えば、地下室をコンクリートの船に例えた場合、現在行われている地下室の防水工法は、浸水対策として船体の内外にアスファルトやウレタンなどで防水を行っているイメージとなる。このイメージでは、浸水に対し100%安心できないので船には使えそうも無い。
そこで、本願の発明者は、コンクリート構造物への浸水に対し、100%安心な防水構造として、船舶で採用されている構成を適用できないかを検討した。
なお、適用対象のコンクリート構造物は、鉄骨造とはせず、構造計算で建物の安全を確かめることができる、鉄筋コンクリートラーメン構造または鉄筋コンクリート壁構造とすることを前提としている。
そのため、内装材に金属板を貼るか、若しくはコンクリートの打設時に用いる打込型枠を金属製として、これらの打込み型枠同士を、止水性を担保する形で一体化することにより、コンクリート構造物の屋内側を金属で囲繞する構成を仮定した。
しかし、前者に示した内装材に金属板を用いる場合、躯体完成後に内装工事で屋内の床、壁、天井に金属板を貼ることなるため、種々の困難が伴うことが予想された。
例えば、躯体完成後に金属板を屋内に搬入するとなると搬入経路の制約がある上に、重機を自由に使えないため多くは人力に頼るとなり、小さく分割しなければならない。さらに、天井に金属板を溶接するとなると、むずかしい上向きの溶接作業となり熟練工の手が必要となるだけでなく、重い金属板を支えなくてはならない煩わしさが生じうる。
一方、後者に示した金属製の打込み型枠を用いる場合であれば、開放空間での作業になり、クレーンなどの大型重機を使った作業が可能となるだけでなく、天井面の打込み型枠の溶接作業は打込み型枠の上に乗って、下向きで溶接ができるので、熟練工に頼る必要も無くなるメリットも期待できる。
上記検討の結果、本願の発明者は、コンクリート構造物の屋内側の、壁部および天井部のうち少なくとも何れか一つについて、金属製の打込み型枠を複数並べて一体化してなる止水壁を配置し、当該止水壁でもって、コンクリート構造物の屋内外での通水を抑制する発明を着想した。
以下、打込み型枠の実施例ならびに当該打込み型枠の使用例について説明する。
<1>全体構成(図1)
図1に、本発明を適用したコンクリート構造物の概要を示す。
図1では、コンクリート構造物として地下室を想定しており、コンクリート構造物の周囲は地山である。
コンクリート構造物の屋内側の壁部Yおよび天井部Zの屋内側には、本発明に係る打込み型枠Aを使用した壁側止水壁Y1および天井側止水壁Z1を構築しており、床部Xの屋内側については床部Xの構築後に複数の金属板を敷き詰めてなる床側止水壁X1を構築している。
このコンクリート構造物の構築にあっては、大別して、
(a)コンクリート構造物の床部Xを構築する工程、
(b)コンクリート構造物の壁部Yまたは天井部Zとなる、コンクリートの打設予定箇所の屋内側の面に対し、現地で複数の打込み型枠Aを並べて直接または間接的に一体化した止水壁を配置する工程、
(c)打設予定箇所にコンクリートを打設して壁部Yおよび天井部Zを構築する工程、
を少なくとも含んでいる。
以下、各工程の概要について説明する。
<2>床部の構築工程(図1)
床部Xの構築には、一般的に行われている建築工法の何れかを採用することができる。
本実施例では、コンクリートを打設して床部Xを構築したのち、当該床部Xの内装下地材または仕上材に相当する金属板を、床部Xの全面に敷き詰めて互いに溶接によって一体化している。
なお、前記金属板の敷設作業は、後述する壁部Yの構築前でも構築後であってもよく、作業に矛盾のない範囲で適宜決定することができる。
<3>壁側および天井側の鉄筋の配筋および止水壁の構築(図1)
次に、壁部Yの構築予定箇所への鉄筋の配筋を行う。
打込み型枠Aの配置前に鉄筋の配筋を行うため、隣り合う鉄筋を規定の距離をずらす作業も容易であり、仕様書どおりの重ね継ぎ手が行うことが可能となる。その結果、梁部分などで鉄筋が混みあっていても、重ね継ぎ手を確実に行うことができ、その重ね継ぎ手が適正に行われているかの目視による確認も可能である。さらに、鉄筋径が太い場合で、ガス圧接により鉄筋を継ぐことも問題ない。
その後、壁部Yの打込み型枠Aを現地で並べながら一体化し、止水壁を構築する。
打込み型枠Aの形状や、一体化方法の詳細については後述する実施例の欄で説明する。
<4>天井側の止水壁の構築および鉄筋の配置(図1)
次に、天井部Zの止水壁の構築および構築予定箇所への鉄筋の配筋を行う。
天井側では、壁側と異なり、地下室の床枠から立ち上げられた支保工などを介して天井スラブの下枠となる打込み型枠Aを、鉄筋の配筋に先立って設置する。
天井用の打込み型枠Aは、所定の位置に複数並設し、上方から溶接するなどして相互を一体化すると共に、設置済みの壁側止水壁Y1とも一体化させる。
天井側止水壁Z1の据付が完了すれば、天井側の鉄筋の配筋作業を行う。
<5>壁部および天井部の構築(図1)
壁部Yおよび天井部Zの構築予定箇所にコンクリートを打設して、壁部Yおよび天井部Zを構築する。
本発明において、壁部Yおよび天井部Zへのコンクリートの打設作業は同時であっても別であっても良いが、同時に打設作業を行えば工期の短縮につながる点で好ましい。
<6>その他の作業
なお、地下室の場合、前記した床側止水壁X1、壁側止水壁Y1、および天井側止水壁Z1の表面が結露する恐れがある。そこで、結露防止として各部に適宜断熱材の吹き付けまたは設置を行っても良い。
また、打込み型枠Aに内装材または架設材の取付部を設けている場合には、当該取付部を介して内装材または架設材の設置を行ってもよい。
<7>作用効果
本発明に係るコンクリート構造物によれば、以下の作用効果のうち少なくとも何れか1つの効果が期待できる。
(1)コンクリート構造物の屋内側が、金属で囲繞された水密空間となっているため、従来行われてきた親杭横矢板の土留壁に防水層を先に貼付けたり塗布したりした後に、壁の鉄筋を組み立て、コンクリートを打設する「先やり工法」や地下室躯体完成後に屋内側又は屋外側をシート防水、非加硫ゴム防水、塗膜防水などを行う「後やり工法」と比較して水密の信頼度を高めることができる。
また、万一、溶接不良で漏水箇所が見つかれば、屋内側から再度溶接を行って修繕できるため、メンテナンス性も良好である。
(2)大型建物の地下室で多く行われている二重壁構造は、それ自体水密性は確保されていない上に、地下室の外周を二重壁とすることによる。一方、本発明によれば、二重壁の必要がないので、地下室スペースの有効利用が可能となる上に、水密性も確保される。
(3)屋内の天井や壁に金属板を後から建物内に持ち込んで貼ろうとすると、重機に頼れないので、主に人力による運搬作業となるばかりでなく、天井に金属板を貼ろうとすると上向きの難しい溶接を行う必要がある。一方、本発明によれば、重機を適宜使うことが可能で、しかも適宜分割された天井の打込型枠を所定の位置に並設して一体化させる際にも、上に乗って下向きの溶接を行うことが可能となり、作業も容易で、熟練工の必要も無くなる。
(4)本発明はユニット工法の問題点を解決すべく行われたものであるから「継手位置を交互に位置をずらすことが可能」、「大規模建築でコンクリートの厚さが大きくても、鉄筋が混み入っていても作業が可能」、「ガス圧接が可能」となる。
次に、本発明に係るコンクリート構造物の構築方法で使用可能な、打込み型枠の詳細について説明する。
<1>打込み型枠(図2)
打込み型枠Aは、コンクリートの打設予定箇所の屋内側の面に複数並べて直接または間接的に一体化することで、止水壁を構成するための部材である。
本実施例に係る打込み型枠Aは、金属製のパネル本体10に、突出部20、張出部30、セパレーター連結具40を適宜設けて形成している。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
<2>パネル本体(図2〜図4)
パネル本体10は、コンクリート構造物の屋内側と屋外側との間の通水を遮断するための金属製の部材である。
パネル本体10の形状は特段限定しないが、打込み型枠Aとして使用可能な長尺状の板材を適宜加工等して構成することができる。
<2.1>リブの形成
また、パネル本体10には、必要に応じて、パネル本体10の剛性を向上させるためのリブを設けておいても良い(図示せず)。
このリブは、別部材を溶接する方法など公知の方法によって形成することができ、後述する突出部20と同様に、内装材や架設材の取付部を設けておくことができる。
<3>突出部(図2)
突出部20は、少なくとも、打込み型枠Aの連結方向の縁部に設けて、当該連結方向で隣り合う別部材の打込み型枠Aに設けてある突出部20との間の一体化のために使用される部材である。
図2に示す例では、打込み型枠Aの四辺に突出部20を設けている。
<3.1>突出長の形成方法(図3(a)(b))
その他、突出部は、図3(a)に示すように、打込み型枠Aの縁部を屋内側に折曲するか、または図3(b)に示すように、打込み型枠Aの縁部に、アングル材などの別部材を取り付ける態様で、打込み型枠Aの側部に設けておくことができる。
<3.2>突出長の相違(図3,4)
また、打込み型枠Aの一方の側に設ける突出部20の突出長は、当該打込み型枠Aの他方の側に設けた突出部20の突出長よりも突出長を大きくしておくことができる。
当該構成とすることにより、図4に示すように隣りあう突出部20の先端に段差が生じ、この段差を利用した隅肉溶接が可能となり、溶接作業がしやすくなる。
<3.3>内装材または架設材の取付部(図5)
突出部20には、内装材や架設材を取り付ける為の機構(取付部21)を設けても良い。
本実施例では、隣り合って一体化される突出部20のうち、突出長の大きい突出部20に形成した穴を取付部21とし、当該取付部21を介して内装材や仮設材を取り付けている。よって、内装材や仮設材を取り付けるための溶接作業が不要となり、効率良く内装工事を進めることができる。
<4>張出部(図2,図6)
張出部30は、打込み型枠Aの背面から、当該打込み型枠Aの縁部から露出するように設ける部材である。
図2に示すように、本実施例では、打込み型枠Aの一方の縁部に、張出部30を一箇所設けてなる雄側張出部30aを設け、他方の縁部に、対向する他方の打込み型枠Aの雄側張出部30aを挟み込むように位置する二箇所の張出部30からなる雌側張出部30bを形成している。
そして、図6に示すように打込み型枠Aを並べて設置すると、張出部30の露出部分は、隣り合う打込み型枠Aの背面に位置することとなり、隣り合う打込み型枠A同士がこれらの張出部30によって係合した状態とすることができる。
<4.1>張出部による位置決め(図7,図8)
本発明において、各張出部30の位置は特段限定しない。
なお、本実施例では、雌側張出部30bを構成する下側の張出部30を、予め床に設置している横架材Cと重なる位置としている。
当該位置としておくことにより、下側の張出部30と横架材Cとをボルト等で別途連結することで、配置した打込み型枠Aの位置決めを行っている。
また、図8では、パネル本体10の一方の側縁には、上下にそれぞれ張出部30を設け、パネル本体10の他方の側縁には、パネル本体10の略中間に張出部30を設けている。
<4.2>張出部のその他の形成例(図示せず)
本発明に係る打込み型枠Aは、パネル本体10の上下縁にも張出部30を設けて、左右方向だけでなく、上下方向に隣り合う別部材の打込み型枠Aとの一体化が可能なように構成してもよい。
<4.3>張出部の省略(図示せず)
本発明に係る打込み型枠Aは、隣り合う別部材の打込み型枠Aとの一体化が十分に確保されている状況であれば、張出部30を省略してもよい。
<5>セパレーター連結具(図8)
セパレーター連結具40は、コンクリート構造物の厚さの規定や打設したコンクリートの側圧や自重による打込み型枠Aの変形を防止するために、コンクリートの打設予定箇所に配置するセパレーターDを、打込み型枠Aに連結すするための治具である。
セパレーター連結具40には種々の構造・形状のものが知られているが、例えば、実開平6−87565に開示される「梁型枠用セパレーター連結具40」などを使用することができる。
<5.1>セパレーター連結具の位置(図8)
セパレーター連結具40の装着位置は、前記打込み型枠Aの両縁部のうち近い側の縁部から、前記打込み型枠Aの幅方向に向けて350mm以内の位置、すなわち、先だって取り付け済みの打込み型枠Aの裏側へと、作業員が腕を差し入れたときに、該作業員の指先が届く程度の位置としておくことが好ましい。
この理由は、後述する<7.2>で説明する。
<5.2>セパレーター連結具の屋内側端部の加工(図9)
セパレーター連結具40は、打込み型枠Aのパネル本体10に設けた貫通孔11に、セパレーター連結具40を挿通して装着する。貫通孔11の周囲は開削部からの浸水を防止すべく最終的に溶接することが好ましい。
なお、セパレーター連結具40の屋内側端部にネジを切っておき、このネジ部を、パネル本体10の貫通孔11に挿通させて屋内側に露出した状態としておけば、コンクリート打設時に当該ネジ部にホンタイEを取り付けることができたり、内装の下地材を螺着したりすることもできる。
<6>打込み型枠同士の一体化方法
打込み型枠A同士の一体化は、前記した張出部30の係合の他に、打込み型枠A同士の溶接や螺着、その他の公知の方法のうち少なくとも何れか1つを含めて実施することができる。
打込み型枠の設置・位置決め作業と、打込み型枠Aの一体化作業は同時並行で行っても良いし、打込み型枠Aの設置が完了してから打込み型枠Aの一体化作業を行っても良い。
なお、型枠の設置業者と溶接業者は必ずしも同じでない場合があることから打込み型枠Aの配置を溶接方式ばかりでなく、螺着方式も取り入れれば、一通り完了してから、打込み型枠A同士の一体化作業を別の業者が行うことが可能となる。
以下、溶接による一体化と、螺着による一体化の方法について説明する。
<6.1>溶接による一体化(図4)
図4に示すように打込み型枠A同士の連結箇所を溶接によって一体化する場合、当該溶接部分は水密な目地となるため、止水性がより確保される。
なお、前述の通り、打込み型枠Aの一方の側に設ける突出部20の突出長を、当該打込み型枠Aの他方の側に設けた突出部20の突出長よりも大きくしておけば、隣りあう突出部20の先端に生じた段差を利用した隅肉溶接が可能となり、より確実な溶接作業による品質の高い止水性の確保が可能となる。
<6.2>螺着による一体化(図10)
打込み型枠A同士をボルト締結によって一体化(螺着)することもできる。
本発明を適用する現場によっては、常水面が深く地下水が屋内に透水する恐れが無い場合も考えられる。そのような現場では、溶接による高い止水性を求めず、螺着による一体化と、隣り合う打込み型枠Aの間に介設する止水手段との組合せを用いても良い。
止水手段として例えば、パッキン材とシール材70の二種類の防水材料の何れか或いは両方を選択することができ、図10ではシール材70を用いている。
<6.2.1>止水手段の追加構造
止水手段を配置するには、隣り合う打込み型枠Aの間に好ましい間隔の目地幅を確保する必要がある。
この目地幅を確保するための方法としては、一方の打込み型枠Aの突出部20にナット50を取り付けてスペーサー代わりとし、かつ隣り合う他方の打込み型枠Aの突出部20に前記したボルトのネジ軸61を挿通可能な孔を設けておき、当該孔に挿通したボルトのネジ軸61を、前記ナット50に締結する方法が考えられる。
当該方法によれば、打込み型枠Aを並べて一体化する作業を行っていくだけで、ナット50の頭部高さ分だけの目地幅を強制的に確保することができる。
確保した目地の屋内側には、水膨張性のシール材70を設け、パッキンとシールの二重の止水手段とすることができる。また、屋内側からシールを行うこととすれば、将来のシール更新も可能であり、万一漏水箇所があれば、シールの打ち替えによる修繕も容易である。また、ボルトとしてシールボルト60を使用すれば止水性が増す。
上記の構造例として、例えば図10(a)では、パネル本体10の縁部を折曲してなる突出部20にナット50を取り付けており、隣り合う他方の打込み型枠Aの突出部20に設けた孔にシールボルト60のネジ軸61を挿通して前記ナット50に締結している。
また、突出部20間の目地にはシール材70を配置している。
打込み型枠Aの背面側には、当該目地を塞ぐように板状のストッパー71を設けており、シール材70の抜け出しを防止している。なお、このストッパー71は、前述した張出部30で兼用させてもよい。
また、図10(b)では、パネル本体10の縁部に別途アングルを取り付けて突出部20を形成し、当該突出部20にナット50を取り付けて、シールボルト60を締結しており、突出部20間の目地にシール材70を配置している。
一方のパネル本体10の縁部に対し、アングルを偏位させた位置に取り付けており、このアングルから突出した前記縁部が、シール材70の抜け出しを防止する部材としても機能させている。
<6.2.2>新たなスペーサーを設けない理由
なお、隣り合う打込み型枠Aの間に目地幅を確保するための方法として、別途スペーサーを挿入する方法も考えられる。
しかし、別途スペーサーを設けると、当該スペーサーと締結用のボルトとの位置が離れるため、打込み型枠Aの一体化の際に強くボルトを締め付けると、回転モーメント力が働くなどして突出部20が変形する恐れがある。
しかし、上記するようにナット50自体にスペーサーの役割を持たせておけば、回転モーメント力が働くことも無く、突出部20が変形する恐れも少なくなる点で有益である。
<6.2.3>その他の変形例
また、本発明では、図10に示した構成から、ナット50とシールボルト60を入れ換えて、シールボルト60の頭部をスペーサー代わりとしてもよい。
<7>打込み型枠とセパレーターとの取付態様
次に、並べて配置した打込み型枠Aと、予め打込み型枠Aの配置前に予め設けてあるセパレーターDとの取付作業の詳細について説明する。
<7.1>土留側の取付態様(図11)
人が地下外壁の外側に入れない場合は、土留壁を外枠代わりとして、屋内側だけに型枠を設置するいわゆる片押しの型枠構成となる。
この場合、セパレーターDの土留側の端部は、セパレーターDを土留付近に縦方向ないし横方向に架け渡した適宜のセパレーターD受型鋼Gに溶接する態様や、土留の親杭F1やシートパイルに対し横方向に取り付けたセパレーター受け金物Hへと取り付ける態様が考えられる。
なお、土留形式が「親杭F1横矢板F2工法」の場合に、縦方向にセパレーター受け金物Hを架け渡す場合、親杭F1から外れた部分は矢板F2であるため、セパレーター受け金物Hを溶接することができない。
このような場合には、図11に示すように、横矢板F2に適宜の型鋼Gを挟み込み、該型鋼Gに縦方向を長手方向としてセパレーター受け金物Hを溶接しておけば、当該受け金物にセパレーターDを溶接することができる。
また、場所によっては、該形鋼に直接セパレーターDを溶接しても良い。
<7.2>打込み型枠側の取付態様(図12)
片押しの型枠構成の場合、コンクリート構造物の屋内側からの作業のみによって型枠の設置作業やセパレーターDの固定作業を行うことになるため、セパレーターDの固定手法に制約がある。
しかし、本発明では、打込み型枠Aの両縁部のうち近い側の縁部から、前記打込み型枠Aの幅方向に向けて350mm以内の位置に設けておく。
例えば、図12では、横方向を長手方向としたセパレーター受け金物Hを親杭F1に溶接し、そのセパレーター受け金物HにセパレーターDの端部を溶接した状態を呈している。そして、既に配置済みの打込み型枠Aの裏側に、今後配置する打込み型枠A側から腕を差し入れても、作業員の指先が届く位置の中にセパレーター連結具40が用意されていることとなる。したがって当該セパレーター連結具40に、先端にナット50が螺着されているセパレーターDを作業員の手で押し込むことにより、セパレーターDを打込み型枠Aに取り付けることができる。
なお、少なくとも最後に取りつける壁型枠にはセパレーターDを設置することはできない。これは全ての打込み型枠Aを取り付けた際には、作業員の手を差し入れるスペースが無くなるからである。
打込み型枠Aの突出部20には、一方の前記打込み型枠Aの一方の側の前記突出部20に、他方の前記打込み型枠Aの他方の側の前記突出部20を差し入れ可能な、収容空間Iを形成するように構成してもよい。
この収容空間Iの形成例について以下説明する。
<1>収容空間の形成例1(タッピングねじ+目地溶接)(図13)
図13に示す例では、設置済みの打込み型枠Aにおいて、突出長の大きい側の突出部20の先端側に、タッピングねじ80を所定長だけ螺合しており、このタッピングねじ80の頭部と突出部20との間に生じる隙間を収容空間Iとして、次の打込み型枠Aの突出部20の先端を前記収容空間Iに差し込んだ状態とし、当該差込部分を支点として打込み型枠Aを回転移動させる(図13(a))ことで、打込み型枠Aを所望の位置に配置している(図13(b))。この場合、突出部20同士は接している状態であるため、溶接による一体化作業を行う(図13(c))。
本構成によれば、タッピングねじ80によって確保した収容空間Iを利用して、打込み型枠Aを回転移動によって所定の位置に配置することができる。
また、打込み型枠Aの配置後は、タッピングねじ80を取り外しておけば、打込み型枠Aの連結箇所を溶接する際にタッピングねじ80が邪魔になることもない。
<2>収容空間の形成例2(折曲板+目地シール)(図14)
図14に示す例では、設置済みの打込み型枠Aにおいて、突出長の大きい側の突出部20の先端側に、折曲板90を取り付けており、この折曲板90と突出部20との間に生じる隙間を収容空間Iとして、次の打込み型枠Aの突出部20の先端を前記収容空間Iに差し込んだ状態とし、当該差込部分を支点として打込み型枠Aを回転移動させることで、打込み型枠Aを所望の位置に配置している。
なお、後行の打込み型枠Aは、設置後に図示しない解放側の張出部30を、別途設置済みの横架材Cに連結する形で、横架材Cを介した間接的な一体化作業を行うことができる。
このとき折曲板90の解放端に後続の打込み型枠Aの突出部20を接した状態とすることで両突出部20の間に目地幅が確保されている場合には、当該目地幅に、防水シールなどの止水手段を介設させることで止水性を確保すればよい。
本構成によれば、折曲板90について、形状にバリエーションを持たせたり、突出部20との取付位置を可変としたりする構成とすることによって、両突出部20の間の目地幅を任意の長さに設定することができる。
図15を参照しながら、本発明に係る打込み型枠の変形例について説明する。
本実施例では、四辺全周に突出部20を設けた打ち込み型枠Aにおいて、打込み型枠A同士の連結箇所で左右方向に隣り合う、突出長の異なる突出部20(大幅突出部20a、小幅突出部20b)のうち、大幅突出部20aの下端側を、小幅突出部20bの突出長に合わせて切り欠いた構成としつつ、下辺側に設けた突出部20を小幅突出部20bと同等の突出長としている。
本実施例によれば、打ち込み型枠Aの下辺側の溶接部Bと、左右方向に隣り合う大幅突出部20aと小幅突出部20bとの間の溶接部Bとを連続させることができる。
本発明によれば、地下室などのコンクリート構造物において屋外側と屋内側との間の通水を確実に防止することが期待できるが、より万全を期すには、万が一溶接や止水シールに欠陥が生じた場合も考慮する必要がある。
この時、欠陥が生じている場所を特定するのは困難な場合が多いことが予想される。例えば、打ち込み型枠の表面が屋内側の結露や降雨のために濡れていることがあるとこの濡れが欠陥による水か否かの見極めは難しい。
そこで、本実施例では、打ち込み型枠の屋外側の面や、突出部の屋内側には露出しない箇所などに、着色手段(図示せず)を設けておく。
この着色手段は、水溶性のある公知の材料を用いることができるが、コンクリートに悪影響を及ぼさぬよう、中性またはアルカリ性を呈する材料が好ましい。
着色手段の例について以下に説明する。
[1]ベントナイトと染料等との混合物。
ベントナイトに食紅などの水溶性の染料や顔料を混合してなる混合物を着色手段とすることができる。この混合物を、ローラーや刷毛などを用いて打込み型枠の屋外側の面などに塗布しておけば、打込み型枠の屋外側で生じた水によって染料等が溶け出し、当該水を着色することができる。
[2]着色させたコンクリート。
打設するコンクリート自体に水溶性の染料や顔料を混合させて着色手段とすることができる。
混合する染料等は、コンクリートの強度に悪影響が生じない材料を選択することは言うまでも無い。
本実施例によれば、打ち込み型枠の屋外側にコンクリートを打設する際や、打設後に打込み型枠の屋外側で生じた水が着色され、打込み型枠からなる止水壁の何れかに溶接不良やシール部の欠陥などに伴う止水漏れがあった場合に、当該着色された水が屋内側に漏出した痕跡が残るので、欠陥の有無の判断や欠陥部位の特定が容易となり、欠陥の修繕を確実に行うことができる。
A 打込み型枠
10 パネル本体
11 貫通孔
20 突出部
20a 大幅突出部
20b 小幅突出部
21 取付部
22 切欠き
30 張出部
30a 雄側張出部
30b 雌側張出部
40 セパレーター連結具
50 ナット
60 シールボルト
61 ネジ軸
70 シール材
71 ストッパー
80 タッピングねじ
90 折曲板
B 溶接部
C 横架材
D セパレーター
E ホンタイ
F1 親杭
F2 矢板
G 型鋼
H セパレーター受け金物
I 収容空間
X 床部
X1 床側止水壁
Y 壁部
Y1 壁側止水壁
Z 天井部
Z1 天井側止水壁

Claims (7)

  1. コンクリート構造物の構築方法であって、
    (a)前記コンクリート構造物の床部を構築する工程と、
    (b)前記コンクリート構造物の壁部または天井部となる、コンクリートの打設予定箇所の屋内側の面に対し、現地で複数の打込み型枠を並べて配置し、直接または間接的に一体化した止水壁を配置する工程と、
    (c)前記打設予定箇所にコンクリートを打設して、壁部および天井部を構築する工程と、
    を少なくとも含み、
    前記打込み型枠は、
    当該打込み型枠の両縁部のうち、一方の縁部を配置済みの打込み型枠との接合部とし、かつ、他方の縁部を今後配置予定の打込み型枠との接合部としたときに、前記他方の縁部から前記打込み型枠の幅方向に向けて350mm以内の位置にのみ、セパレーター連結具を設けており、
    前記セパレーター連結具は、
    前記打込み型枠のコンクリート打設側に位置して、セパレーターの先端を取り付け可能な、受け部を少なくとも有し、
    前記(b)において、
    配置済みの前記打込み型枠に設けた前記受け部に対し、今後配置予定の打込み型枠側の空間から前記セパレーターを取り付けることを特徴とする、
    コンクリート構造物の構築方法。
  2. 前記打込み型枠の縁部に、当該縁部を折曲するか、または別途部材を取り付けてなる、屋内側に突出した突出部を設けており、
    隣り合う打込み型枠で互いに対向する突出部において、一方の突出部の突出長を、他方の打込み型枠の突出部の突出長よりも大きく構成してあることを特徴とする、
    請求項1に記載のコンクリート構造物の構築方法。
  3. 前記(b)における現地での一体化作業が、互いの打込み型枠に設けた張出部による係合を含み、
    前記打込み型枠の設置予定箇所には、前記打込み型枠の背面側で幅方向に伸びる横架材を予め設置しており、
    前記横架材に前記張出部を固定することで、前記打込み型枠を位置決めすることを特徴とする、
    請求項1または2に記載のコンクリート構造物の構築方法。
  4. 前記コンクリート構造物が地下室であって、
    前記セパレーターの一端を、
    前記コンクリート構造物の構築予定箇所を区画する土留壁を構成する矢板または親杭に直接または間接的に取り付けておき、
    前記セパレーターの他端を、
    前記セパレーター連結具に取り付けることを特徴とする、
    請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のコンクリート構造物の構築方法。
  5. コンクリート構造物の構築に用いる打込み型枠であって、
    前記打込み型枠は、前記コンクリート構造物の壁部または天井部となる、コンクリートの打設予定箇所の屋内側の面に対し、現地で複数並べて配置して直接または間接的に一体化した止水壁を構成し、
    前記打込み型枠は、
    前記打込み型枠に設けた、セパレーター連結具を少なくとも具備し、
    前記セパレーター連結具は、
    前記打込み型枠の背面側に配置して、セパレーターの先端を取り付け可能な、受け部を少なくとも有し、
    前記打込み型枠の両縁部のうち、一方の縁部を配置済みの打込み型枠との接合部とし、かつ、他方の縁部を今後配置予定の打込み型枠との接合部としたときに、前記他方の縁部から前記打込み型枠の幅方向に向けて350mm以内の位置にのみ、前記セパレーター連結具を設けてあることを特徴とする、打込み型枠。
  6. 前記打込み型枠の両側に、当該打込み型枠を折曲するか、または別途部材を取り付けて屋内側に突出させた、突出部を更に具備し、
    前記打込み型枠の一方の側に設けた前記突出部の突出長が、当該打込み型枠の他方の側に設けた前記突出部の突出長よりも大きく構成してあることを特徴とする、
    請求項5に記載の打込み型枠。
  7. 前記打込み型枠の背面側で、当該打込み型枠の縁部から露出させた、張出部を更に具備し、
    前記打込み型枠の一方の縁部に設けた前記張出部と、他方の縁部に設けた前記張出部とで、取り付け高さを変えてあることを特徴とする、
    請求項5または6に記載の打込み型枠。
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