JPH019744Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車の車体構造に関し、より詳しく
は、フロントピラーにパーテイング面を設け、該
パーテイング面でフロントピラーの上部とフロン
トフエンダとを突き合わすようにした車体構造に
関するものである。

（従来技術） サイドボデイにおいて、ドア開口部の一部を構
成するフロントピラーには、実開昭57−117217号
公報にも見られるように、ドアと当接する面に、
ドアとのシール面が形成されている。

このようなフロントピラーにおいて、その下部
はフロントフエンダで覆われ、該フロントフエン
ダによつてサイドボデイの外部側壁が形成される
が、フロントピラーの上部は外部に露出するた
め、該上部と下部との境にパーテイング面を設
け、このパーテイング面で、フロントピラーの上
部とフロントフエンダとを突き合わせるようにし
て、両者の連続性をもたせるようにした車体構造
が知られている。

ところで、近時、側方視界を広げるべく、ベル
トラインを下げてウインドガラスの面積を拡大す
るようにした自動車が多くなつているが、従来、
上述した車体構造にあつては、上記パーテイング
面の少くとも後方端をベルトラインと同一高さ位
置に設定する必要性が強いものであつた。

すなわち、パーテイング面の後方端をベルトラ
インより上方に位置させた場合には、パーテイン
グ面とベルトラインとの間の処理にいくつかの問
題が生じ、設計上、拘束の多いものであつた。

（考案の解決しようとする問題点） この問題点について列挙すれば、 (1) フロントピラーにはドアとのシール性を確保
するという重要な機能を有している。

ところで、フロントピラーの下部は、前述の
パーテイング面を境に、フロントピラーの上部
より車幅方向内側に引こんだ形状となつている
ため、パーテイング面をベルトラインより上方
に位置させると、パーテイング面とベルトライ
ンとの間で十分なる面積を備えたシール面を確
保しにくいという問題が生ずる。

(2) また、フロントフエンダは、一般に、ボルト
締めにより組付けがなされるため、フロントフ
エンダの後端部は、ほぼ180度折り返えされて
端縁が形成され、フロントピラーとは若干離し
た状態にして、フロントピラーの下部を覆うよ
うに設けられている。

このため、パーテイング面とベルトラインと
の間においては、フロントピラーの上部とドア
の窓枠とを面一としない限り、フロントピラー
とフロントフエンダとの合わせ部が後方から見
えてしまうこととなつて、外観上、好ましくな
いという問題が生ずる。

このようなことから、従来、ベルトラインを下
げたものにあつては、パーテイング面を、後方に
向うに従つてベルトラインの高さ位置に近づけ、
パーテイング面の後方端をベルトラインの高さと
一致させる処理がなされていた。

また、パーテイング面をベルトラインより上方
に位置させたものにあつては、ドアにプレスドア
を採用することによつて、ドアの窓枠とフロント
ピラーの上部とを面一にする、あるいは別途モー
ルを設けることによつて、上記問題を解消するこ
ととされていた。

本考案の技術的課題とするところは、ドアの窓
枠をフロントピラーの上部を面一とするか、ある
いは別途モールを設ける必要もなく、簡単な構成
でパーテイング面とベルトラインとの間における
処理を行い得るようにした自動車の車体構造を提
供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、従来においては、フロントピラーで
ドアとのシール面を構成し、またフロントフエン
ダの後端部はフロントピラーを覆うものであると
いう観点から離れ、フロントフエンダの後端でド
アとのシール面の一部を構成するようにすれば、
上述した問題点を解消しつつ、パーテイング面を
ベルトラインより上方に位置させることができる
ことに着目してなされたものである。

具体的には、サイドボデイにおけるドア開口部
の一部を構成すると共に、ドアと当接する面がシ
ール面とされたフロントピラーに、パーテイング
面を設け、該パーテイング面でフロントピラーの
上部とフロントフエンダとを突き合わすようにし
た自動車の車体構造を前提として、パーテイング
面をベルトラインより上方に位置させると共に、
フロントピラーのシール面には、パーテイング面
からベルトラインにわたつて凹部を形成し、その
一方で、フロントフエンダの後端には、パーテイ
ング面からベルトラインにわたつて車幅方向内側
に延びる折曲部を設け、この折曲部をフロントピ
ラーにおけるシール面と面一に形成して、該折曲
部で前記シール面の一部を構成するようにしたも
のである。

このような構成とすることにより、パーテイン
グ面をベルトラインより上方に位置させたにもか
かわらず、このパーテイング面とベルトラインと
の間は、フロントピラーを覆うフロントフエンダ
の折曲部でシール面が構成されるため、該部位に
おけるシール面の面積を、パーテイング面とベル
トラインとを同じ高さ位置としたものと、同じに
することができる。

また、パーテイング面とベルトラインとの間に
おいては、フロントフエンダの折曲部によつて、
フロントピラーの下部が車幅方向内側にわたつて
が覆われるため、フロントピラーの上部とフロン
トフエンダとの合わせ部が後方側から見えるとい
う問題が解消される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は、サイドボデイ１の前方部分を示すも
のである。同図において、２はフロントピラー
で、フロントピラー２の前側にはフロントサイド
メンバ４が接合され、フロントサイドメンバ４の
外側面にはフロントフエンダ５（第２図）がボル
ト締めされて該フロントフエンダ５によつてフロ
ントボデイの側壁面が形成される。またフロント
ピラー２は、上下方向に延び、その上端は、図示
を省略したルーフサイドレールに接合され、一方
フロントピラー２の下端は、サイドシル６に接合
されて、フロントピラー２の後方にドア開口部８
が形成され、このドア開口部８にドア９（第２
図）が装着される。ドア開口部８を形成する上記
各部材２，６等の内周面、つまりドア９と当接す
る面には、全周にわたつて、シール面１０が形成
され、このシール面１０に、ドア９に装着された
ウエザストリツプ１２（第３及至第５図に示す）
が弾接されて、車室内へ防水がなされる。このよ
うに、ドア開口部８の一部を構成するフロントピ
ラー２は、第３図及至第５図に示すように、フロ
ントインナピラー１４とフロントアウタピラー１
６とで閉断面構造とされ、フロントアウタピラー
１６には段差が設けられて、上記シール面１０が
形成されている。また、フロントピラー２の上部
１８にはフロントウインド２０が組付けられる一
方、下部２２にはドア用ヒンジ取付部２４が形成
され、このドア用ヒンジ取付部２４を利用してド
ア９がヒンジ止めされる。そして、下部２２は、
その外側に間隔をもつて配設されたフロントフエ
ンダ５の後端部で覆われ、フロントフエンダ５の
後端は、ドア９の外側と面一とされて、連続性あ
る外部側壁が形成されている。

フロントピラー２の上部１８と下部２２との境
には、段差が設けられてパーテイング面２６が形
成されており、このパーテイング面２６で、フロ
ントフエンダ５の後端部が、フロントピラー２の
上部１８に突き合わされて、フロントピラー２の
上部に連続する外面が形成されている。

ドア９は、その外側面を構成するアウタパネル
２８と、内側面を構成するインナパネル３０とで
本体が形成され、ベルトラインBLから上部は、
ロール成形した鋼板サツシ３２で構成されてお
り、ベルトラインBLは、前述したパーテイング
面２６より下方に位置するものとされて、側方視
界の拡大が図られている。換言すれば、上述のパ
ーテイング面２６の高さ位置はベルトラインBL
より上方に位置するものとされ、このパーテイン
グ面２６とベルトラインBLとの間の処理は以下
のようになつている。

すなわち、フロントピラー２のシール面１０に
は、第１図に示すように、パーテイング面２６か
らベルトラインBLにわたつて、凹部３４が形成
され（凹部３４の存在を図面上明確にするため若
干誇張して図示してある）、またフロントフエン
ダフロントフエンダ５の後端には、第２図に示す
ように、パーテイング面２６からベルトライン
BLにわたつて、車幅方向内側に向けて延びる折
曲部３６が設けられている。

この折曲部３６について説明すると、フロント
フエンダ５の後端において、その下端からベルト
ラインBLの近傍までは、第５図に示すように、
ほぼ180度折り曲げられた端縁処理がなされ、そ
の後ベルトラインBLに向うに従つて、徐々に、
折り曲げ角度が小とされて、ベルトラインBLか
らパーテイング面２６に至るまで、第４図に示す
ように、ほぼ90度に折り曲げられた折曲部３６が
形成され、この折曲部３６は、第２図に示すよう
に、フロントピラー２のシール面１０と面一とさ
れると共に、上記凹部３４を覆うに足りる長さと
されている（第４図）。

このような構成において、フロントフエンダ５
に設けられた折曲部３６は、フロントピラー２の
シール面１０において、その一部を構成すること
となり、この折曲部３６によつて、パーテイング
面２６とベルトラインBLとの間におけるシール
面の面積は、パーテイング面２６とベルトライン
BLとの高さ位置を一致させた従来のものと同一
の面積が確保され、従来同様の止水効果を奏する
ことができる。このことから、ドア９の窓枠とし
て、実施例のように、サツシ３２を採用し、フロ
ントピラー２の上部１８より車幅方向内側に引込
ませたとしても、止水効果を損なうことが防止さ
れる。

また、パーテイング面２６とベルトラインBL
との間は、車幅方向内側に延びる折曲部３６によ
つて、フロントピラーの下部２２が車幅方向内側
にわたつて覆われるため、フロントピラー２の上
部１８とドア９の窓枠とを面一とするまでもな
く、あるいはモールを別途設けるまでもなく、フ
ロントピラーの上部１８とフロントフエンダ５と
の合わせ部が後方側から見えるという問題を解消
することができる。また、このことによつて、走
行時における風の巻き込みが防止され、風騒音を
低減しうるという利点をも有するものである。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、フロントフエンダにシール面の一部を構成す
る折曲部を設けるという簡単な構成で、あえてド
アにプレスドアを採用するまでもなく、またモー
ルを設けるまでもなく、十分なるシール面を確保
することができると共に、外観上の問題を解消す
ることができる。更に、風騒音を低減しうるとい
う利点をも有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、サイドボデイの前方部分を、フロン
トフエンダを徐いて、部分的に示す側面図、第２
図は、フロントフエンダを取付けたサイドボデイ
を後方側から見た斜視図、第３図は、第２図の
−断面図、第４図は、第２図の−断面図、
第５図は、第２図の−断面図である。 １……サイドボデイ、２……フロントピラー、
５……フロントフエンダ、８……ドア開口部、１
０……シール面、１８……フロントピラーの上
部、２２……フロントピラーの下部、２６……パ
ーテイング面、３４……シール面に設けられた凹
部、３６……フロントフエンダに設けられた折曲
部、BL……ベルトライン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 サイドボデイにおけるドア開口部の一部を構成
   すると共に、ドアと当接する面がシール面とされ
   たフロントピラーにパーテイング面が設けられ
   て、該パーテイング面でフロントピラーの上部と
   フロントフエンダとが突き合わされた自動車の車
   体構造において、 前記パーテイング面がベルトラインより上方に
   位置され、 前記シール面には、前記パーテイング面から前
   記ベルトラインにわたつて、凹部が形成され、 前記フロントフエンダの後端には、前記パーテ
   イング面から前記ベルトラインにわたつて、車幅
   方向内側に延びる折曲部が設けられ、 該折曲部は、前記フロントピラーにおける前記
   シール面と面一に形成されて、該シール面の一部
   を構成している、 ことを特徴とする自動車の車体構造。