JPH0341956Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のフロントピラー部構造、特に
フロントピラー近傍の排水構造に関する。

（従来技術） 一般に、自動車のフロントウインド両側方にお
いて上下方向に延びるフロントピラーには、例え
ば実開昭59−188720号公報に示されているよう
に、上記フロントウインドの側縁部を覆うための
ウインドモールが設けられる。

一方、フロントピラーには、上記ウインドモー
ルに加えてレインレールを配設し、ルーフパネル
等からの雨水を該レインレールとウインドモール
との間を通して流下させるようになつたものがあ
るが、その場合、上記雨水はフロントピラーの下
部まで流下した後、該ピラーに続くヒンジピラー
とドアの前縁との間を通つて車外に排出されるの
が通例である。

然して、上記ヒンジピラーの近傍はドアが閉じ
ている時には雨水の侵入が防止されるようになつ
ているが、ドアが開いている時には該ドアとヒン
ジピラーに設けられたウエザーストリツプとが離
れるために、上記雨水がヒンジピラー周辺から車
室内に侵入し或はドア内面に付着することがあ
る。

（考案の目的） 本考案はレインレールとウインドモールとが設
けられた自動車のフロントピラーの近傍における
上記のような実情に対処するもので、上記フロン
トピラーに設けられたレインレールとウインドモ
ールとの間をを流下する雨水をフロントピラーの
下部からエンジンルーム側に確実に排水し得る排
水構造を提供することにより、ドアを開いた時に
雨水がヒンジピラーの周辺部から車室内に侵入し
或はドア内面に付着するといつた不具合を防止す
ることを目的とする。

（考案の構成） 本考案に係る自動車のフロントピラー部構造は
上記目的達成のため次のように構成したことを特
徴とする。

即ち、フロントウインドの両側方に設けられて
上下方向に延びるフロントピラーに上記フロント
ウインドの側縁部を覆うウインドモールと、雨水
を流すレインレールとを固定して、該ウインドモ
ールとレインレールとの間を通して雨水を流すよ
うに構成したものにおいて、上記ウインドモール
の下端部に該下端部を車体に固定するための取付
部を設けると共に、該取付部に上記ウインドモー
ルとレインレールとの間を流れる雨水の案内部を
起立形成する。そして、この案内部をエンジンル
ーム側に向けることにより、、上記ウインドモー
ルとレインレールとの間を通過した雨水をヒンジ
ピラー側に流下させることなく、エンジンルーム
側へ導くようにする。

（考案の効果） 上記の構成によれば、ルーフパネル等から流れ
てきた雨水はフロントピラーに固定されたウイン
ドモールとレインレールとの間を通過してフロン
トピラーの下端部に達した後に、ウインドモール
の下端部に起立形成された案内部によりエンジン
ルーム側に導かれることになつて、フロントピラ
ーの下方に続くヒンジピラー側に流下することが
なくなるので、ドアが開いた時に上記ヒンジピラ
ーの近傍から雨水が車室内に侵入したりドア内面
に付着したりすることが防止される。これによ
り、乗員に不快感を与えたり、ドア内面が汚れた
りすることが防止され、車内環境が向上すること
になる。

また、本考案によれば、雨水をエンジンルーム
側に導く案内部として、ウインドモールの下端部
を車体に固定するための取付部を利用したので、
部品点数が増加しない等の利点がある。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、自動車前部１の前側面を
構成するフロントフエンダー２の上面間にはエン
ジンルームの上面を形成するボンネツト３が配設
されていると共に、該ボンネツト３の後端とルー
フパネル４の前端との間にはフロントウインド５
が設けられている。そして、該フロントウインド
５の両側方には、上記フロントフエンダー２の後
端部上端からルーフパネル４の側部前端にかけて
上下方向に延びるフロントピラー６が立設されて
いると共に、該ピラー６ないし上記フロントフエ
ンダー２の後端部（ヒンジピラー部）の後方には
開口部が形成され、且つ該開口部を開閉するドア
７が上記ヒンジピラー部に取付けられている。
尚、この実施例においては、上記ボンネツト３の
後端とフロントウインド５の下縁部との間には車
幅方向の略全域に渡つて延びる開口部Ａが形成さ
れ、該開口部Ａから下方に続く空間にワイパー
（図示せず）が収納されるようになつており、こ
れにより当該自動車におけるフラツシユサーフエ
ス化や外観の向上などが図られている。

次に、第２図に示すように、上記フロントピラ
ー６の周辺構造について説明すると、このフロン
トピラー６は、インナパネル６ａとアウタパネル
６ｂとが接合されて閉断面が形成された構成とさ
れていると共に、両パネル６ａ，６ｂの前方の接
合部６ｃによつて接着部材８を介して上記フロン
トウインド５の側縁部後面を支持するようになつ
ている。また、上記フロントピラー６の前面を形
成するアウタパネル６ｂには該ピラー６に沿つて
上下に延びるウインドモール９がピン部材１０に
より固設されている。このウインドモール９は前
方ないし車幅方向中央側へ屈曲され、その中央側
へ屈曲された部分９ａによつてシール部材１１を
介して上記フロントウインド５の側縁部前面を覆
い、これにより当該自動車の外観を向上させるよ
うになつている。また、同じくフロントピラー６
のアウタパネル６ｂには、車幅方向外側へ延びる
レインレール１２が該フロントピラー６に沿つて
配設されている。このレインレール１２はカラー
１３を介して上記ウインドモール９とアウタパネ
ル６ｂとの間に挟持され、上記ピン部材１０によ
り固定されている。そして、該レインレール１２
における外側方へ延設された側縁部１２ａにウエ
ザーストリツプ１４が装着されている。このウエ
ザーストリツプ１４は、断面略コ字状とされ且つ
内部に芯金１４ａが配設された基部１４ｂと、該
基部１４ｂの前面における車外側に設けられて略
前方に延びる第１リツプ１４ｃと、基部１４ｂの
前面における車内側に設けられて略車幅方向中央
寄りに延びる第２リツプ１４ｄとから構成され、
上記基部１４ｂにおいて上記レインレール１２の
側縁部１２ａに取付けられている。そして、上記
第１リツプ１４ｃが上記ドア７の閉時に該ドア７
のサツシユ７ａに当接するようになつていると共
に、上記第２リツプ１４ｄが上記ピン部材１０の
頭部を覆い、且つ該第２リツプ１４ｄの先端が上
記ウインドモール９における上記ピン部材１０に
よつて固定されている底面部９ｂに当接されてい
る。ここで、上記ウインドモール９の底面部９ｂ
と、該底面部９ｂから略前方に延びる側面部９ｃ
と、上記第２リツプ１４ｄの先端部とにより溝部
Ｂが形成され、該溝部Ｂ内を上記ルーフパネル４
側から流下した雨水が通過するようになつてい
る。

然して、第３図に示すように、上記ウインドモ
ール９の下端部９′には、ボルト挿入穴１５ａが
設けられて該下端部９′を車体に固定する取付部
材１５が接合されていると共に、この取付部材１
５には上方に起立形成された案内部１５ｂが設け
られている。この案内部１５ｂは、上部１５b′が
上記ウインドモール９の底面部９ｂ上に外側上方
から内側下方に向つて傾斜状に横切るように配置
されていると共に、途中で更に車幅方向中央側に
屈曲されて下部１５b″がエンジンルーム側に向く
ように形成されている。

上記の構成によれば、ルーフパネル４、即ちフ
ロントピラー６の上方から流下する雨水は、第３
図に矢印Ｘで示すように、ウインドモール９と、
レインレール１２に取付けられたウエザーストリ
ツプ１４の第２リツプ１４ｄとによつて形成され
た溝部Ｂ内に導入され、該溝部Ｂ内を流れること
になるが、該溝部Ｂの下部には、上記ウインドモ
ール９の底面部９ｂ上を斜めに横切るように取付
部材１５の案内部１５ｂの上部１５b′が配置され
ているので、上記雨水は該案内部内１５ｂの上部
１５b′によつて、下方のヒンジピラー側に流下す
ることなく、車幅方向中央側に案内されると共
に、更に該案内部１５ｂの下部１５b″によつてエ
ンジンルーム側へ導かれることになる。従つて、
ドア７を開いた時に、該ドア７と上記ヒンジピラ
ーの周縁に沿つて設けられたウエザーストリツプ
とが離反しても、該ヒンジピラー周辺から雨水が
車室内に侵入したり或はドア内面に雨水が付着す
るといつた不具合が確実に防止されることにな
り、これにより雨水が車内に侵入して乗員に不快
感を与えたり、ドア内面が汚れたりすることがな
くなり、車室内の環境が向上することになる。

尚、この実施例においては、ワイパーを第１図
に示す開口部Ａの下方部分に収納する所謂コンシ
ールドタイプを採用しているので、上記開口部Ａ
から側方に矢印Ｙで示すように見下すとフロント
フエンダー２の裏側が見えることになるが、上記
ウインドモール９の下端部に固着された取付部材
１５の案内部１５ｂにより上記フロントフエンダ
ー２の裏側が覆い隠されるので、外観の悪化が防
止されることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
前方より見た自動車前部の斜視図、第２図は第１
図−線で切断したフロントピラー及びその周
辺の要部横断拡大平面図、第３図はフロントピラ
ー下端部周辺の一部破断拡大斜視図である。 １……自動車（前部）、５……フロントウイン
ド、６……フロントピラー、９……ウインドモー
ル、１２……レインレール、１５……取付部
（材）、１５ｂ……案内部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロントウインドの両側方に上下方向に延びる
   フロントピラーが設けられた自動車のフロントピ
   ラー部構造であつて、上記フロントピラーにフロ
   ントウインドの側縁部を覆うウインドモールと、
   雨水を流すレインレールとが固定されていると共
   に、上記ウインドモールの下端部に該下端部を車
   体に固定する取付部が設けられ、且つ該取付部に
   上記ウインドモールとレインレールとの間を流れ
   る雨水をエンジンルーム側へ導く案内部が起立形
   成されていることを特徴とする自動車のフロント
   ピラー部構造。