JPH018695Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、スタータの小型化改良に関するも
のである。

第１図は従来のスタータの一例を示すもので、
第１図において、１はスタータであり、２は前部
機枠３に装着される直流電動機、４は前部機枠３
に図示しないねじで螺着される電磁スイツチ、５
は直流電動機２の電機子、６はこの電機子の回転
軸であつて、前端部がスリーブベアリング７によ
つて回転自在に軸承される。なお、このスリーブ
ベアリング７は前部機枠３の突設部３ａに嵌着さ
れ受圧される。８は回転軸６に前後摺動可能にヘ
リカルスプライン係合されるオーバランニングク
ラツチ、９はこのオーバランニングクラツチ８の
出力軸１０に固着されて一方向回転付勢されるピ
ニオン、１１は回転軸６に係着されるストツパで
あつて、オーバランニングクラツチ８の前方突出
を位置決め係止している。１２は下端部１２ａが
オーバランニングクラツチ８の係合溝８ａにカム
係合され、他端部１２ｂが電磁スイツチ４のプラ
ンジヤ１３にカム係合されると共に中間の回動支
点部１２ｃが前部機枠３によつて支承されるシフ
トレバー、１４は内燃機関のリングギヤである。

次に上記構成の動作について説明する。電磁ス
イツチ４が通電付勢され、プランジヤ１３が筐体
内に吸引されて左動すると、シフトレバー１２が
回動支点部１２ｃを中心に図中反時計方向に回動
付勢され、オーバランニングクラツチ８が回転軸
６上を前方（図中右方）に移送付付勢され、ピニ
オン９がリングギヤ１４にかみ込まれる。上記の
一連の動作終了と同時に電磁スイツチ４に内蔵さ
れる図示しない常開の主接点が閉成され、この主
接点を介して直流電動機２が図示しない電源（バ
ツテリ）に接続され、電機子５が回転力を発生
し、この回転力が回転軸６及びオーバランニング
クラツチ８を介してピニオン９に伝達され、内燃
機関のリングギヤ１４が回転付勢（クランキン
グ）される。

この機関始動後、リングギヤ１４によつてピニ
オン９が過回転付勢されるが、オーバランニング
クラツチ８の一方向回転力係合機能によつて、ピ
ニオン９のみがリングギヤ１４によつて過回転付
勢され、電機子５の機関による過回転付勢が防止
される。

従来装置は以上の如くであつて、オーバランニ
ングクラツチが直流電動機軸上に並置され、この
オーバランニングクラツチを電磁スイツチにより
シフトレバーで移送付勢する構成としているため
装置が複雑で大型化する等の欠点があつた。

この考案は、上述の様な従来装置の欠点を解消
する為になされたものであつて、以下この考案の
一実施例を図について説明する。第２図におい
て、１５はスタータ、１６は前部機枠１７に装着
された直流電動機、１８はこの直流電動機の回転
軸心上に装着された電磁スイツチであつて、プラ
ンジヤ１９によつてボール２０を介してピニオン
軸（出力回転軸）２１を前方（図中右方）へ移送
付勢するようになされている。２２は電機子、２
３は電機子コアであつて、中空の電機子回転軸２
４に巻コア方式によつて装着される。２５は電機
子コア２３の図示しないスロツトに巻装される電
機子コイルであつて、電機子２６に電気的・機械
的接続がなされる。２７は整流子２６に摺接され
るブラシ、２８は内周面に永久磁力材で構成され
る界磁々極２９を固着する継鉄、３０はこの継鉄
２８の後部突設部２８ａの内周面に嵌着されるボ
ールベアリングであつて、電機子回転軸２４の後
端部を回転自在に軸承している。３１は前部機枠
１７に嵌着されたベアリングであつて、電機子回
転軸２４の前端部を回転自在に軸承している。３
２はボール（鋼球）であつて、ピニオン軸２１と
電機子回転軸２４の凹溝部２４ａとで構成される
楔形空間に嵌挿され、一方向回転力係合機能を構
成している。３３はピニオン軸２１に嵌着された
スリーブベアリングであつて、電機子回転軸２４
に遊嵌され揺動可能に軸承される。３４はピニオ
ン軸２１を復帰付勢する圧縮用コイルスプリング
であつて、電機子回転軸２４の突設部２４ａと上
記スリーブベアリング３３との間に介設される。
３５は電機子回転軸２４の内周面に嵌着され、ピ
ニオン軸２１を揺動自在に枢着軸承しているスリ
ーブベアリング、３６はピニオン軸２１に形成さ
れたスプライン３７に前後摺動可能にスプライン
係合されたピニオンであつて、ピニオン軸２１の
段付部２１ａと内周面段付加工部３６ａとの間に
介設されたコイルスプリング３８によつて前方に
押圧付勢され、リング３９によつてピニオン軸２
１に係着されているストツパ４０によつて係止さ
れる。

次に、上記構成の動作について説明する。電磁
スイツチ１８が通電付勢され、プランジヤ１９が
前方（図中右方）に突出すると、ボール２０を介
してピニオン軸２１が前方移送付勢され、ピニオ
ン３６が図示しない内燃機関のリングギヤ（図示
せず）に噛合係合される。上記動作後、電磁スイ
ツチ１８に内蔵される主接点（図示しない）が閉
成され、ブラシ２７を介して電機子２２が図示し
ない直流電源装置（バツテリ）によつて通電付勢
されて回転力を発生し、この回転力が電機子回転
軸２４及びボール３２を介してピニオン軸２１に
伝達され、スプライン係合されたピニオン３６に
よつてリングギヤ（図示せず）が回転付勢され
る。そしてこの機関始動後、ピニオン３６及びピ
ニオン軸２１が過回転付勢されるが、ボール３２
の一方向回転力係合機能が作用し、電機子２２へ
の動力伝達が遮断され過回転（オーバラン）が防
止される。次いで電磁スイツチ１８の通電付勢が
解除されると、圧縮用コイルスプリング３４の付
勢力によつてピニオン軸２１が図示左方へ後退
し、ピニオン３６と図示しない内燃機関のリング
ギヤとの噛合が解除される。なお、ボール３２は
上述のピニオン軸の揺動時外周面を転動する。

なお、上記装置では界磁々極を永久磁石材で構
成した場合について説明したが、巻線励磁方式の
界磁々極であつても同様の効果を奏する。

以上の様にこの考案によれば、電機子回転軸を
中空とし、これにボール式のオーバランニングク
ラツチ機構を介してピニオン軸を一方向回転付勢
する構成として挿通し、このピニオン軸を突出付
勢する電磁スイツチをこのピニオン軸の同一軸上
に装着したので、極めて小型軽量なものが簡単な
構成で安価に得られるという優れた効果を奏す
る。また、電機子回転軸からの回転力をボールを
介して直接ピニオン軸に動力伝達するようにした
ので、限られたスペースの中で、強度材である上
記ピニオン軸を太くすることができるという効果
も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の要部断面図、第２図はこの
考案の一実施例によるスタータの要部断面図であ
る。 図中、１５はスタータ、１６は直流電動機、１
８は電磁スイツチ、１９はプランジヤ、２０はボ
ール、２１はピニオン軸、２２は電機子、２４は
電機子回転軸、３２はボール、３６はピニオンで
ある。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 電機子回転軸を中空としてその内部にピニオ
   ン軸を挿通するとともに、上記電機子回転軸内
   周面とピニオン軸との間にボールを係合子とし
   たオーバランニングクラツチを構成し、かつ上
   記ピニオン軸と同一軸上に該ピニオン軸を押圧
   して突出させる電磁スイツチを備えてなるスタ
   ータ。 (2) 電磁スイツチのプランジヤによりボールを介
   してピニオン軸心部を押圧するようにした実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のスタータ。 (3) ピニオン軸と電機子回転軸の凹溝部とで構成
   される楔形空間にボールを嵌装している実用新
   案登録請求の範囲第１項または第２項記載のス
   タータ。