JPH017883Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は主として自動２輪車に用いられる外部
ギヤ変速機構に関する。一般にこの種の変速機構
は、チエンジドラムとシフト軸を平行に備え、チ
エンジドラムの端部に複数本のドラムピンを円周
方向に間隔を隔てて互いに平行に備え、シフト軸
に一体に形成されたシフトプレートにボールを支
持し、ポールを上記ピンに係合し、プレート及び
ポールの揺動によりチエンジドラムを回動するよ
うになつている。

（従来技術及び問題点） シフトアツプ時用のオーバーシフトストツパと
シフトダウン時用のオーバーシフトストツパを備
えており、構造が複雑である。

上記両ストツパはポールに設けられている。即
ちポールはリターン時にピンを乗り越えるため
に、シフトプレートに対して軸方向あるいは軸と
直角方向等へ動くようになつており、そのような
ポールに両ストツパを設けていると、確実なスト
ツパ機能を発揮させることは困難である。

（考案の目的） (1) １つのオーバーシフトストツパにより、シフ
トアツプ時及びシフトダウン時のいずれの場合
でもストツパ作用を行えるようにして、構造の
単純化を図る。

(2) シフト軸と一体的なシフトプレートにオーバ
ーシフトストツパを形成することにより、確実
なストツパ機能を発揮させるようにする。

（考案の構成） (イ) シフトアツプ時の揺動とシフトダウン時の揺
動とがドラム中心線方向に見てドラム中心線に
対して対称となるようにプレートを配置し、 (ロ) プレートにドラム側へ突出する１つのオーバ
ーシフトストツパを形成し、 (ハ) 該オーバーシフトストツパは中立位置時には
ドラム中心線近傍に位置し、シフトアツプ終了
時及びシフトダウン終了時のいずれの場合で
も、ストツパは各ピンを通る円周上に位置して
ピンを係止するようにしている。

（実施例） 第１図において、チエンジドラム１は軸受３を
介してクランクケース２に回動自在に支持されて
おり、チエンジドラム１の外周面には複数本のカ
ム溝５が形成され、各カム溝５にはシフトフオー
ク６のピン部６ａが係合している。シフトフオー
ク６はフオーク支軸８に軸方向移動自在に支持さ
れると共に、各変速ギヤ（図示せず）の環状溝に
係合している。即ちチエンジドラム１を回動する
ことにより、カム溝５を介してシフトフオーク６
を軸方向へ移動し、それにより変速ギヤを軸方向
へ移動し、変速するのである。

チエンジドラム１の端部にはクランクケース２
外へ延び出すカム（チエンジ）１２がボルト１３
により固着されており、カム１２には６本のドラ
ムピン１４（１４−Ａ，１４−Ｂ，…）が円周方
向に等間隔を隔てて形成されている。各ピン１４
はドラム１の中心線Ｏと平行である。

シフト軸１５はドラム１の近傍位置にドラム１
と平行に配置されると共に、クランクケース２及
び変速機構カバー１７により回動自在に支持され
ている。カバー１７外のシフト軸１５端部にはチ
エンジペダル１８が固着され、カバー１７内のシ
フト軸１５部分にはポール支持用シフトプレート
１９が一体的に固着されており、該プレート１９
にドラム駆動用のポール２０が、ガイドピン３
０，３１を介してシフト軸１５と直角方向に移動
自在に支持されている。ポール２０の先端部はド
ラム１側へと断面形状略Ｕ字形に折り返され、１
対の折返部２１，２２（第２図）が形成されてい
る。ポール２０は、シフト軸１５とポール２０の
突起２０ａ間に張設されたばね２３によりシフト
軸１５側に付勢されている。

ポール２０，プレート１９等の構造を詳しく説
明すると、第２図において、プレート１９には２
個のガイドピン固着用孔２４，２５が形成されて
おり、一方ポール２０にはシフト軸１５と直角方
向に長い２個のガイド溝２６，２７が形成されて
おり、２個のガイドピン３０，３１はそれぞれガ
イド溝２６，２７を通過してプレート１９の孔２
４，２５に固着されている。折返部２１，２２は
互いに間隔を隔てて形成されており、両折返部２
１，２２は互いに対向する端縁間に、シフト軸１
５から遠い側の２本のドラムピン１４−Ａ，１４
−Ｂを挾むようになつている。矢印Ｐ方向側の折
返部２２はシフトダウン用の折返部であり、その
シフト軸１５側の端面には矢印Ｐ方向へゆくに従
いシフト軸１５から遠ざかるカム３４が形成され
ている。矢印Ｑ方向側の折返部２１はシフトアツ
プ用の折返部であり、そのシフト軸１５側の端面
には矢印Ｑ方向側へゆくに従いシフト軸１５から
遠ざかるカム３３が形成されている。プレート１
９にはドラム１（カム（チエンジ）１２）のオー
バー回動を規制するたのオーバーシフトストツパ
３５が形成されると共に、プレート１９自体の回
動量を規制するための規制用窓孔３６が形成さ
れ、さらにリターンばね係止部３７が形成されて
いる。ストツパ３５及び係止部３７はドラム１側
（カム１２側）へと突出している。

第１図の−断面図である第３図において、
規制用窓孔３６の中央部にはクランクケース２に
固着された規制ピン３９が挿入されており、ピン
３９及びばね係止部３７は、シフト軸１５に嵌合
するリターンばね４０の両端延長部により挾まれ
ている。即ちプレート１９は規制用窓孔３６のシ
フト軸１５回りの円周方向端縁とピン３９の当接
により、矢印Ｐ及び矢印Ｑ方向の回動量が規制さ
れ、またリターンばね４０の作用により第３図の
中立位置（非作動位置）を保持するようになつて
いる。

カム（チエンジ）１２の外周面にはドラムロツ
ク用の凹部４３が、各ドラムピン１４（１４−Ａ
等）の間の部分にそれぞれ形成されており、凹部
４３にはロツク用ローラ４５が係合している。ロ
ーラ４５はアーム４６を介して回動支軸４７に回
動自在に支持されると共に、引張りばね４８によ
りホルダー１２の中心側へと付勢されている。上
記支軸４７はクランクケース２に固着されてお
り、また上記ばね４８は、クランクケース２に形
成された突起５０とアーム４６との間に張設され
ている。

前記窓孔３６により回動量が規制されるプレー
ト１９は、シフトアツプ時の矢印Ｐ方向への揺動
とシフトダウン時の矢印Ｑ方向への揺動とがドラ
ム中心線方向に見てドラム中心線Ｏに対して対称
となるように配置されている。即ち第３図に示す
中立位置時には、プレート１９は第３図上におい
てドラム中心線Ｏを通るように配置されている。
またオーバーシフトストツパ３５は、第３図の中
立位置時にはドラム中心線Ｏ近傍に位置し、第４
図に示すシフトアツプ終了時と第６図に示すシフ
トダウン終了時には、各ドラムピン１４を結ぶ円
周上に位置して、それぞれピン１４−Ｂ，１４−
Ａを係止するようになつている。

（作用） シフトアツプする場合： (イ) 第１図のペダル１８を踏み込むことにより、
シフト軸１５と共にプレート１９をばね４０に
抗して第３図の矢印Ｐ方向へ回動させる。プレ
ート１９は規制用窓孔３６の円周方向端縁が規
制ピン３９に当接するまで（第４図の状態ま
で）回動する。

(ロ) プレート１９と共にポール２０が回動するこ
とにより、ポール２０のシフトアツプ用折返部
２１がドラムピン１４−Ａを引掛け、ドラム１
を矢印P′方向へ回動させる。このときピンホル
ダー１２は、ロツク用ローラ４５をばね４８に
抗して押し上げながら回動し、第４図のように
矢印Q′側の次の凹部４３がローラ４５に係合
し、ホルダー１２をロツクする。

(ハ) ポール２０が第４図の状態まで回動したとき
には、オーバー回動防止用のオーバーシフトス
トツパ３５は、第４図の左端に位置するドラム
ピン１４−Ｂに当接し、ドラム１のオーバー回
動を防止する。

(ニ) 上述のようにドラム１を矢印P′方向へ60゜回
動させることにより、第１図のシフトフオーク
６を軸方向へ移動させ、シフトアツプする。

(ホ) シフトアツプ終了後、プレート１９はリター
ンばね４０の復元力により、第４図の位置から
矢印Ｑ方向へと戻る。プレート１９と共にポー
ル２０も第４図の位置から矢印Ｑ方向へと回動
するが、その途中、第５図に示すようにシフト
アツプ用折返部２１のカム３３がドラムピン１
４−Ｆを乗り越えるときには、ポール２０はば
ね２３に抗してシフト軸１５から遠ざかる方向
に移動し、折返部２１がピン１４−Ｆを乗り越
えると、ばね２３の復元力によりポール２０は
シフト軸１５側の位置へ戻る。

シフトダウンする場合： (イ) シフト軸１５を第３図の中立位置から矢印Ｑ
方向へと回動させることにより、シフトダウン
用の折返部２２がドラムピン１４−Ｂを引掛
け、ドラム１を60゜矢印Q′方向へ移動させる。

(ロ) ロツク用ローラ４５及び規制用窓孔３６等の
作用は、前記シフトアツプの場合と同様であ
る。またオーバー回動防止用オーバーシフトス
トツパ３５の作用も前記シフトアツプの場合と
同様である。ただし第６図に示すようにストツ
パ３５は、第６図右端に位置するドラムピン１
４−Ａを係止する。

(ハ) ポール２０が第６図の位置から矢印Ｐ方向へ
戻る場合には、ばね２３に抗して折返部２２の
カム３４がドラムピン１４−Ｃを乗り越える。

（別の実施例） ポールをシフト軸より近い側のドラムピンに係
合し、そのようなポールを支持するシフトプレー
トにオーバーシフトストツパを形成する。

（考案の効果） (1) １つのオーバーシフトストツパにより、シフ
トアツプ終了時及びシフトダウン終了時のいず
れの場合でもストツパ作用を行えるようにして
いるので、構造が単純になり、コストも安くな
る。

詳しく説明すると、オーバーシフトストツパ
３５は中立位置時にはドラム中心線近傍に位置
し、シフトアツプ終了時及びシフトダウン終了
時のいずれの場合でも各ドラムピン１４を通る
円周上に位置してそれを阻止するようになつて
いるので、１つのストツパ３５を備えるだけで
シフトアツプ及びシフトダウンのいずれの操作
時でもドラム１のオーバー回動を阻止でき、そ
れにより構造が単純になり、コストも安くな
る。

(2) シフト軸と一体的なシフトプレートにオーバ
ーシフトストツパを形成しているので、ポール
にストツパを形成する場合に比べ、正確に動作
して、確実なストツパ機能を発揮することがで
きる。

(3) 図示のようにポールをシフト軸から遠い側の
ドラムピンに係合するタイプの変速機構におい
ては、シフトプレートのプレス成形時に、プレ
ートの途中部分をプレス成形により切り起こす
ようにするだけで、オーバーシフトストツパを
形成することができる。即ちストツパの成形加
工が容易になる。

(4) オーバーシフトストツパ３５は、シフト軸１
５と一体のシフトプレート１９に一体成形され
るとともに、シフトアツプ終了時及びシフトダ
ウン終了時にドラムピン１４に直接係合してチ
エンジドラム１のオーバー回動を阻止するよう
に構成されているので、阻止位置の精度の良い
ストツパ機能を発揮できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したギヤ変速機構の縦断
面図、第２図は要部の分解斜視図、第３、第４、
第５、第６図は第１図の−断面図であり、そ
れぞれ中立位置時、シフトアツプ時、リターン途
中時、シフトダウン時を示している。 １……チエンジドラム、１４……ドラムピン、
１５……シフト軸、１９……シフトプレート、２
０……ポール、３５……オーバーシフトストツ
パ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チエンジドラムとシフト軸を平行に備え、チエ
   ンジドラムの端部に複数本のドラムピンを円周方
   向に間隔を隔てて互いに平行に備え、シフト軸に
   一体に形成されたシフトプレートにポールを支持
   し、ポールを上記ピンに係合し、プレート及びポ
   ールの揺動によりチエンジドラムを回動するギヤ
   変速機構において、シフトアツプ時の揺動とシフ
   トダウン時の揺動とがドラム中心線方向に見てド
   ラム中心線に対して対称となるようにプレートを
   配置し、プレートにドラム側に突出する１つのオ
   ーバーシフトストツパを形成し、該オーバーシフ
   トストツパは中立位置時にはドラム中心線近傍に
   位置し、シフトアツプ終了時及びシフトダウン終
   了時のいずれの場合でも、ストツパは各ピンを通
   る円周上に位置してピンを係止するようにしたこ
   とを特徴とするギヤ変速機構。