JPH0159504B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、調理すべきの食品の種類に応じて高
周波加熱を自動的に制御する電子レンジに関する
ものである。

＜従来の技術＞ センサにより食品の調理仕上がりを制御する電
子レンジとしては、調理メニユーに対応させて複
数個のキーを設け、各キー毎に調理仕上がりの検
知レベルを予め設定して、センサの出力信号が検
知レベルに達したとき高周波加熱調理を停止する
ことにより食品の調理仕上がりを制御するように
したものがあつた。

＜発明が解決しようとする課題＞ しかし、このような電子レンジにおいては、調
理メニユーに応じて操作すべきキーが異なり、そ
れに調理仕上がりの検知レベルをその都度判断し
て予め設定しなければならないために、連続調理
する場合、先行調理の影響を適確に考慮するのが
困難であつた。それに操作が繁雑であるのみなら
ず、操作ミスが生ずる虞れがあつた。

本発明は、高周波加熱調理開始時における加熱
調理室内の雰囲気の状態を検出してセンサによる
食品の種類判定基準値を異ならしめ、調理仕上が
りを制御するようにすると共に前記複数個のキー
を省略して１個のキーとした、いわゆる「おまか
せ加熱」方式の電子レンジを提供しようとするも
のである。

＜課題を解決するための手段＞ 本発明は、高周波加熱調理手段と、ガスセンサ
と、スイツチング手段とを有する電子レンジにお
いて、調理を開始するための加熱スイツチと、調
理開始時における前記ガスセンサからの出力レベ
ルV₀及び調理開始後の異なる２つの時間におけ
るガスセンサからの出力VT₁₉VT₂からそれぞれ
のレベル比（VT₁／VT₀），（VT₂／VT₁）を算
出する演算手段と、該レベル比（VT₁／VT₀）
と予め定めた特定値とを比較することにより加熱
室内のガス・湿気等の雰囲気状態を判定する加熱
室雰囲気判定手段と、雰囲気状態に応じて食品の
種類判別基準値を設定変更する基準値設定手段
と、基準値設定手段の出力と前記（VT₂／VT₁）
との比較によつて食品の種類を判別する食品判別
手段と、該食品判別手段の出力によつて高周波加
熱終了時のガスセンサ出力レベルを定める最終検
知レベル設定手段と、該レベル設定手段からの出
力を受けて前記スイツチング手段を操作する停止
信号発生手段とからなる。

＜作用＞ 本発明はガスセンサの端子電圧VGが調理する
食品の種類により、加熱調理時間とともに変化す
る（第１図）ことを利用するものであり、加熱調
理開始から時間T₁経過時におけるガスセンサの
端子電圧をVT₁、時間T₂経過時におけるガスセ
ンサの端子電圧をVT₂とし、両電圧の比VT₂／
VT₁を演算手段により演算すれば、比VT₂／
VT₁は食品の種類特有の値を示す。

例えば、T₁＝30秒、T₂＝40秒に設定すれば、
酒燗の場合には比VT₂／VT₁は0.9未満であり、
おかず、丼物の場合には比VT₂／VT₁は0.9以上
0.95未満であり、ラツプフイルムで包装した下ご
しらえの場合には比VT₂／VT₁は0.95以上1.0未
満である。

従つて、比VT₂／VT₁の値の大小により食品
判別手段で食品の種類を判別すると共に最終検知
レベル設定手段により食品の種類に対応させて高
周波加熱を停止させるべきVGの検知レベル
VHS，VDS，VSSを設定し、それぞれの検知レ
ベルに達した時、停止信号発生手段によりスイツ
チング手段を操作して、高周波加熱調理手段を停
止し、これによつて食品の種類毎に最適の調理仕
上がり状態を得る。

以上は、１の食品の加熱調理後、充分に時間を
おいて他の食品の加熱調理を行う場合の説明であ
り、何ら不都合なく食品の種類に対応させて正確
な加熱調理を行うことができる。

しかし、１の食品の加熱調理後、直ちに他の食
品の加熱調理を行う場合には、先の食品の加熱調
理によつて発生し、加熱調理室内に残留した湿
気、ガス等の影響を受けて、ガスセンサの端子電
圧VGの時間的変化率がずれて正確な食品の種類
を判別できなくなる。例えば丼物の加熱調理を行
うと、加熱調理開始と同時にフアンにより清浄な
空気と入れ替える間、ガスセンサの端子電圧VG
はもとの高電圧状態に復帰しようとする。

また、高周波加熱を継続することにより丼物か
ら出る湿気、ガス等の量が増加する。

そして、両者の変化が相殺されて比VT₂／
VT₁は1.0となり、下ごしらえであると誤判断し、
本来VDSとすべき検知レベルをVHSとすること
となる（第２図参照）。

しかし「おまかせ加熱」キーを押すことによ
り、先づ、加熱調理開始時におけるガスセンサの
端子電圧V₀とVT₁の時間的変化率を演算手段に
より算出してその値を加熱室雰囲気判定手段で予
め定めた特定値と比較することにより加熱調理室
内の雰囲気中に調理品から出た湿気やガス等が有
るか否か、つまりクリーンであるか否かを判定
し、先の調理の影響が残存してクリーンでない場
合には食品の種類を判別する基準値を基準値設定
手段によつて変更させることにより、食品判別手
段にて正確な食品の種類の判別を可能にし、前記
最終検知レベル設定手段により検知レベルを設定
し、前記同様にして調理終了へ向かつて動作が進
行する。

＜実施例＞ 以下、実施例を示す添付図面によつて詳細に説
明する。

第４図は本発明レンジの一実施例を示す正面
図、第５図は同縦断面図であり、外箱体２９の前
面に「おまかせ加熱」キー２及び加熱キー（クツ
クキー）３を配設した操作パネル１を設け、更に
外箱体２９と加熱調理室４との間に、該加熱調理
室内へ空気を送給するフアン５を設けるととも
に、加熱調理室４の排気口６から吐出する空気中
のガス濃度を検出するガスセンサ７を設けてい
る。

尚、２８は加熱調理器４に食品３０を出し入れ
する扉であり、９はマグネトロンでであり、１０
は食品３０を載支するターンテーブルである。

また、前記キー２，３については、１つにまと
めることも可能である。

第６図は本発明電子レンジの一実施例を示す電
気結線図であり、ガスセンサ７を抵抗（RL₁）を
介して直流電源１１に接続するとともに、ガスセ
ンサ７の端子電圧VGをＡ／Ｄ変換器１２及びイ
ンターフエース１４を介して、ROM，RAM，
CPU、クロツク発生器等を有するマイクロコン
ピユータ１５に印加している。

また、操作パネル１のキー信号を、インターフ
エース１４を介してマイクロコンピユータ１５に
印加している。

また、マグネトロン９は、商用交流電圧を昇圧
トランス２０にて昇圧させ、該昇圧した高電圧を
印加することにより駆動されるものである。そし
て、昇圧トランス２０は、扉２８の開閉と連動す
るドアスイツチ１９及びマイクロコンピユータ１
５の出力信号によりON―OFF切換作動するリレ
ー接点１８を介して商用交流電源１６と接続され
ている。またリレー接点１８を駆動するリレーコ
イル１７を、マイクロコンピユータ１５の出力信
号によりON―OFF状態に切り換えられるスイツ
チングトランジスタ２１を介して直流電源１１に
接続している［スイツチング手段］。

以上の構造になる電子レンジの作用は次のとお
りである。

扉２８を開いて加熱調理室４のターンテーブル
１０に食品３０を載置し、扉２８を閉じてドアス
イツチ１９をONとした後、「おまかせ加熱」キ
ー２を押し、次いで加熱キー３を押すことによ
り、CPUに高周波加熱調理を開始すべきことを
示す信号を印加する。従つて、CPUは、スイツ
チングトランジスタ２１を介してリレーコイル１
７を励磁し、リレー接点１８をON状態としてマ
グネトロン９を発振させ、以て高周波加熱調理を
開始する。

そして、高周波加熱調理時のガスセンサ７の端
子電圧V₀と、高周波加熱調理を所定時間T₁継続
した時点のガスセンサ７の端子電圧VT₁とをそ
れぞれRAMに記憶し、両端子電圧の比VT₁／V₀
を演算する［演算手段］。

ここで比VT₁／V₀が1.0より小さいか否かを判
別することにより、高周波加熱調理時に加熱調理
室４の雰囲気中に湿気やガスがなくクリーンな状
態と、湿気やガスがあつてクリーンでない状態と
の判断をする（第３図参照）［加熱室雰囲気判定
手段］。

そして、比VT₁／V₀が1.0より小さければ、そ
のまま高周波加熱調理を継続し、高周波加熱調理
を所定時間T₂継続した時点のガスセンサ７の端
子電圧VT₂をRAMに記憶し、比VT₂／VT₁を演
算する。この場合には加熱調理室４の雰囲気がク
リーンであるから、比VT₂／VT₁の判別基準と
して、基準値設定手段により予め設定したクリー
ン時の数値0.9，0.95，1.0を用い、比VT₂／VT₁
が0.9未満か0.9以上0.95未満か、0.95以上1.0以下
かを判別して、食品の種類を食品判別手段によつ
て決定しガスセンサ検知レベルをそれぞれVSS，
VDS，VHSに設定する［最終検知レベル設定手
段］。

そして、高周波加熱調理を更に継続し、ガスセ
ンサ７の端子電圧VGが前記ガスセンサ検知レベ
ルの何れかに達したとき、停止信号発生手段によ
つてスイツチング手段を操作してリレー接点１８
をOFFとしてマグネトロン９への通電を遮断し、
以て高周波加熱調理を終了する。

一方、比VT₁／V₀が1.0より大きければ、先づ
前記と同様にしてガスセンサ７の端子電圧VT₂
をRAMに記憶し、比VT₂／VT₁を演算する。こ
の場合には、加熱調理室４の雰囲気がクリーンで
ないから、比VT₂／VT₁の判別基準として、基
準値設定手段により前記クリーン時の値0.9，
0.95に代えて0.91，0.98を用い、比VT₂／VT₁が
0.91未満か、0.91以上0.98未満か、0.98以上かを
判別して、食品の種類を食品判別手段によつて決
定し、ガスセンサ検知レベルをそれぞれVSS，
VDS，VHSに設定する［最終検知レベル設定手
段］。

そして、高周波加熱調理を更に継続し、ガスセ
ンサ７の端子電圧VGが前記ガスセンサ検知レベ
ルの何れかに達したとき、停止信号発生手段によ
つてスイツチング手段を操作してリレー接点１８
をOFFとしてマグネトロン９への通電を遮断し、
以て高周波加熱調理を終了する。

従つて、加熱調理室内の雰囲気の状態の影響を
受けることなく正確に食品の種類を判別し、食品
の種類に応じた正確な調理仕上がりの制御を行う
ことができる。

尚、本発明は前記実施例に限定されるものでは
なく、例えばガスセンサ７に代えて湿度センサを
使用してもよく、その他適宜設計変更を施こすこ
とができる。

＜発明の効果＞ 以上のように本発明は高周波加熱調理手段の調
理開始初期におけるガスセンサの出力V₀と、調
理開始から所定時間経過後におけるガスセンサの
出力VT₁との比（VT₁／VT₀）を求め、これを
ある特定値と比較することにより加熱室雰囲気の
状態がクリーンな状態であるか否かを判定すると
共に、その結果に従つて食品の種類を判別する判
別基準値を変更（補正）するようにしているの
で、連続して種類の異なる調理を行つても先行の
調理の影響を受けることなく食品の種類に応じた
最適状態の調理ができる。

また、調理開始後異なる２つの時間におけるガ
スセンサからの出力レベルの比（VT₂／VT₁）
を求め、これを前記食品の判別基準と比較するこ
とにより食品の種類を直ちに判別し、これに基づ
いて自動的にそれぞれ食品毎の最終検知レベルを
設定するようにしているので、調理メニユー毎に
操作キーが不要となり、１個の「おまかせ」キー
を押動するのみで調理可能である。

また、操作するキーを１個としたので、操作パ
ネルを簡素化することができるのみならず、操作
者にとつては何ら余分な判断を行うことなくキー
の操作をすることが可能となるので、操作ミスを
皆無とし、使い勝手を向上させることができると
いう効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、加熱調理室の雰囲気がクリーンな場
合におけるガスセンサの端子電圧の時間的変化を
示す図、第２図は、加熱調理室の雰囲気がクリー
ンでない場合におけるガスセンサの端子電圧の時
間的変化を示す図、第３図は、加熱調理室内の雰
囲気がクリーンな場合とクリーンでないにおける
ガスセンサの端子電圧の時間的変化を対比させて
示す図、第４図は、本発明電子レンジの一実施例
を示す正面図、第５図は、同縦断面図、第６図
は、同電気結線図、第７図は、第４図乃至第６図
に示す電子レンジの動作を示すフローチヤート
図、第８図は、本発明電子レンジの機能ブロツク
図である。 ４……加熱調理室、６……排気口、７……ガス
センサ、９……マグネトロン、１５……マイクロ
コンピユータ、１８……リレー接点。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 高周波加熱調理手段と、調理の進行状態に応
   じて調理品から発生する湿気やガスを検出するガ
   スセンサと、高周波加熱調理手段への通電を制御
   するスイツチング手段とを有するものにおいて、
   調理開始を指示する加熱指示スイツチと、調理開
   始初期と開始から所定時間経過した時間T₁及び
   時間T₂の時の前記ガスセンサの出力レベルの比
   （VT₁／VT₀）と（VT₂／VT₁）を演算する演算
   手段と、当該演算した出力レベルの比（VT₁／
   VT₀）が加熱室雰囲気中に調理品から出た湿気
   やガス等の有無の何れを示す値であるかを判定す
   る加熱室雰囲気判定手段と、上記加熱室雰囲気判
   定手段の出力に応じて食品の種類判定の基準値を
   設定する基準値設定手段と、当該食品の種類に応
   じて決まる基準値と上記演算した出力レベルの比
   （VT₂／VT₁）とを比較して、食品の種類を判別
   する食品判別手段と、判別された食品の種類に応
   じてあらかじめ定められた加熱終了時のガスセン
   サレベルを設定する最終検知レベル設定手段と、
   上記設定された最終検知レベルとガスセンサの出
   力とを比較して両者が一致した時上記スイツチン
   グ手段に停止信号を出力する停止信号発生手段と
   を具備した電子レンジ。