JPH0155844B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、油圧シリンダへの圧油供給、排油な
らびに給排油遮断により、植付け装置を走行機体
に対して駆動昇降ならびに昇降停止するためのス
プール式３位置切換制御弁のスプールに、昇降中
立位置と上昇位置との中間位置の一定小範囲にお
いて作用するアンダーラツプ部を形成し、このア
ンダーラツプ部の作用範囲において、少量づつの
シリンダ排油により植付け装置を下降させる位置
とシリンダに対する給排油圧の平衡により昇降停
位させる中立安定位置とを現出させるように構成
するとともに、前記植付け装置に、上下揺動自在
な複数の接地フロートを左右方向に並設し、これ
ら接地フロートの揺動支点を接地圧変化に伴なつ
て上下方向に一体的に変位可能に剛体連結する機
構を設け、かつ、前記剛体連結機構と前記制御弁
のスプールとを連係し、もつて、前記接地フロー
トの一体上下変位に基づいて前記制御弁のスプー
ルを切換え作動させることにより、前記植付け装
置の駆動昇降制御によつて前記接地フロートの接
地圧を設定範囲内に維持すべく構成してある田植
機における植付け装置の昇降制御装置に関する。

この種の田植機における植付け装置の昇降制御
装置では、前記制御弁のスプールに前述のような
アンダーラツプ部を形成することにより、従来で
は昇降制御が行われていなかつた昇降中立位置と
上昇位置との間での微小なスプールの移動によつ
ても、シリンダ内の圧油を少量づつ排出して植付
け装置を緩速度で下降させたり、或いは、シリン
ダに対する給排油の圧力バランスにより植付け装
置を昇降停止させたりすることができるから、言
換えれば、植付け面の小さな凹凸変化に伴なう接
地フロートの微小な上下変位によつても前記のア
ンダーラツプ部で昇降制御することができるか
ら、全体として接地フロートの接地圧を接定範囲
内に維持するための昇降制御を精度良く滑らかに
行なうことができる。しかも、前記接地フロート
への揺動支点を上下方向に一体変位可能に剛体連
結したことにより、例え、左右方向に凹凸が多く
存在する圃場でも、この局部的な凹凸に起因する
一方のフロートの不当な上下変位を他方の接地フ
ロートの対地突張り作用及び引き戻し作用にて抑
制して、フロート全接地巾での全体的な接地面の
凹凸変動のみを捕捉することが可能で、例えば、
一つの接地フロートのみを接地圧検出用に構成し
てある場合のような全体的な深植えや浅植えを抑
制することができる利点を有する。しかし、その
反面、接地フロートの全てが接地圧検出用に構成
されているため、植付け装置を対地支持するフロ
ート機能が低く、植付け装置の下降制御が過剰気
味となり易く、その上、前記の中立安定位置が昇
降中立位置と上昇位置の中間位置の一定小範囲に
構成されていることも相俟つて、スプールが中立
安定位置にスムーズに復帰せず、昇降制御のハン
チングを招来する問題があつた。

本発明は、冒述のような勝れた利点を達成する
ことのできる昇降制御手段を採り乍らも、前述の
ような昇降制御のハンチングを極力、抑制するこ
とができるようにする点に目的を有する。

本発明による田植機における植付け装置の昇降
制御装置は、冒記した構成であつて、前記制御弁
のスプールの安定中立位置から上昇位置への切換
え作動に抵抗を付与する機構を設けてあることを
特徴とするものであるから、植付け装置の上昇制
御のオーバーシユートを抑制することができるば
かりでなく、これに伴なつて下降制御側でのオー
バーシユートをも減衰させることができ、これの
繰返しによつてスプールを中立安定位置にスムー
ズに復帰させることが可能となり、全体としてハ
ンチングの少ない安定した昇降制御を行ない得
る。しかも、前記スプールの安定中立位置から上
昇位置への切換え移動に抵抗を付与するだけで良
いから、構造図、コスト面で有利に実施し得るに
至つた。

以下、本発明を適用したリヤーマウント型式の
乗用田植機について説明すると、第１図で示すよ
うに、走行機体Ａのフレーム１後部に、一本のト
ツプリンク２Ａと左右一対のロアーリンク２Ｂと
からなるリンク機構２を介して４条植えの植付け
装置Ｂを昇降自在に連設し、この植付け装置Ｂに
その前後中間部を支点として上下揺動自在な２個
の接地フロート３Ａ，３Ｂを左右方向に並設する
とともに、前記フレーム１とリンク機構２との間
に油圧シリンダ４を架設し、もつて、前記油圧シ
リンダ４に対するスプール式３位置切換制御弁Ｖ
の切換えにより、前記植付け装置Ｂを駆動昇降さ
せるべく構成してある。

また、前記接地フロート３Ａ，３Ｂの揺動支点
を接地圧変化に基づいて上下方向に一体変位可能
に剛体連結する機構５を設けるとともに、前記剛
体連結機構５と前記制御弁Ｖのスプール６とを、
スプール６に連設したピン７に係合する操作アー
ム８を連設した回転軸９、この回転軸９の他端に
固着のアーム１０に連結されたセンサーワイヤー
１１及び前記スプール６を上昇側に付勢するスプ
リング１２からなる連係機構１３を介して運動連
結し、もつて、前記接地フロート３Ａ，３Ｂの一
体上下変位に基づいて、これら接地フロート３
Ａ，３Ｂの接地圧が設定範囲内に維持されるよう
に、前記制御バルブＶを自動的に切換えて植付け
装置Ｂを駆動昇降制御すべく構成している。

前記回転軸９に、前記ピン７に対する接当によ
つて植付け装置Ｂを駆動上昇させる側にのみ強制
操作自在なアーム１４を連設した筒状部材１５を
外嵌すると共に、その筒状部材１５に人為操作レ
バー１６を運動連結して、田圃での方向転換のた
めの旋回時とか、路上走行時に、前記の自動昇降
制御系の作動いかんにかかわらず、植付け装置５
を強制的に駆動上昇させられるように構成してあ
る。

前記操作レバー１６は、上昇位置Ｕから昇降中
立位置Ｎを通る状態で下降位置Ｄにわたり可逆的
に揺動操作自在に設けられ、植付け装置Ｂを対地
離間させた上昇状態から下降操作するに際し、レ
バー１６を中立位置Ｎから下降操作位置Ｄに操作
することにより、前記フロートの下降側付勢力に
よりスプール６を自動操作するように構成してあ
り、そして、前記接地フロート３Ａ，３Ｂが接地
した植付け走行状態では、前記レバー１６を下降
位置Ｄに操作しておくことにより前記自動昇降制
御系による昇降制御を許容するように構成してあ
る。

前記剛体連結機構５は、前記植付け装置Ｂの植
付け伝動ケース１７に回動自在に支持された共通
連結軸１８に、前記接地フロート３Ａ，３Ｂのブ
ラケツト１９Ａ，１９Ｂに夫々枢支連結されたア
ーム２０Ａ，２０Ｂを固着するとともに、前記共
通連結軸１８の中間部には、前記連係機構１３の
センサーワイヤー１１に連結された感知アーム２
１を連設して、前記接地フロート３Ａ，３Ｂの揺
動支点の上下変位に伴なう感知アーム２１の前後
揺動により、前記制御弁Ｖのスプール６を切換え
操作すべく構成している。

また、前記感知アーム２１を介してフロート３
Ａ，３Ｂを接地方向に付勢するスプリング２２を
設けるとともに、このスプリング２２と走行機体
Ａ側の操作レバー２３をワイヤ２４を介して連係
して、この操作レバー２３の操作により前記スプ
リング２２による設定感知荷重を変更可能に構成
している。

前記制御弁Ｖのスプール６は、第４図に示すよ
うに、中立位置では、中央の大径部６ａによつて
シリンダ側ポートａと第１タンクポートｂとの連
通を断つと共に、中央大径部６ａと右側大径部６
ｂとの間の小径部分６ｃによつてポンプポートＣ
と第２タンクポートｄを連通接続して、植付け装
置５を油圧ロツクし、また、左側に操作した上昇
位置Ｕでは、中央大径部６ａ及び左側大径部６ｂ
夫々により第１及び第２タンクポートｂ，ｄ夫々
を閉じると共に、前記ポンプポートｃとシリンダ
側ポートａを連通接続してシリンダ４に圧油を供
給し、植付け装置Ｂを駆動上昇させ、かつ、右側
に操作した下降位置Ｄでは、前記シリンダポート
ａと第１タンクポートｂ、並びに、ポンプポート
ｃと第２タンクポートｄ夫々を連通接続し、シリ
ンダ４から排油させて植付け装置Ｂを下降させる
べく構成してある。

また、前記スプール６の中央大径部６ａの右側
に、昇降中立位置Ｎと上昇位置Ｕとの中間位置の
一定小範囲において、それがシリンダ側ポートａ
の一端側に位置するとき、前記スプール６の小径
部分６ｃを介してシリンダ側ポートａと第２タン
クポートｄとを連通接続するためのアンダーラツ
プ部２５を形成している。そして、このアンダー
ラツプ部２５とシリンダ側ポートａとの重複量が
少ないときは、第２タンクポートｄとスプール６
との間〓ｅが比較的大きくなつてドレン抵抗が小
さくなり、油圧シリンダ４から少量づつ排油さ
れ、植付け装置Ｂが緩速度で下降される。また、
アンダーラツプ部２５とシリンダ側ポートａとの
重複量が多くなると、シリンダ側ポートａとスプ
ール６との間隙ｆの大きさが一定のままで前記の
間隙ｅが小さくなつてドレン抵抗が大きくなり、
このドレン抵抗による背圧が油圧シリンダ内圧と
平衡状態になつて油圧シリンダ４の伸縮が停止す
る。つまり、植付け装置Ｂの昇降が停止する中立
安定状態が現出される。従つて、スプール６の本
来の中立位置Ｎと上昇位置Ｕとの間に、アンダー
ラツプ部２５を介した排油による第２下降位置
D′が形成され、更に、この第２下降位置D′と本
来の上昇位置Ｕとの間に、給排油圧の平衡による
中立安定位置N′が形成されることとなり、これ
ら３位置Ｕ，N′，D′の間でのスプール６のシフ
トによつても、植付け装置Ｂを昇降制御すること
ができる。

それ故に、接地面の微小な凹凸に伴なう接地フ
ロート３Ａ，３Ｂの微小な一体上下変位に対して
も植付け装置Ｂを適確、円滑に昇降制御すること
ができる。

而して、前記バルブＶのバルブケース２６に連
設したケース２７に、前記スプール６が前記の安
定中立位置N′から上昇位置Ｕへ移動するとき、
前記内側回転軸９に固着したアーム１０と接当可
能なボルト利用の接当部材２８をナツト２９，２
９′を介して取付けるとともに、前記接当部材２
８を前記の接当方向に付勢するスプリング３０を
設け、もつて、前記制御弁Ｖのスプール６の安定
中立位置N′から上昇位置Ｕへの切換え移動に抵
抗を付与する機構３１構成している。

尚、図中３２は、レバー３３の揺動操作によつ
て前記ワイヤ１１，２４のアウターワイヤ係止位
置を変更することにより、前記スプリング２２に
よる設定感知荷重を一定又はほぼ一定に保持した
まま、接地フロート３Ａ，３Ｂの揺動支点位置を
上下に変更して植付け深さを調節する機構であ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る田植機における植付け装置
の昇降制御装置の実施の態様を例示し、第１図は
乗用田植機の全体側面図、第２図は昇降制御系統
図、第３図は要部の斜視図、第４図はバルブの拡
大断面図である。 ３Ａ，３Ｂ……接地フロート、４……油圧シリ
ンダ、５……剛体連結機構、６……スプール、２
５……アンダーラツプ部、３０……スプリング、
３１……抵抗付与機構、Ａ……走行機体、Ｂ……
植付け装置、Ｖ……バルブ、Ｎ……昇降中立位
置、Ｕ……上昇位置、D′……下降位置、N′……
中立安定位置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 油圧シリンダ４への圧油供給、排油ならびに
   給排油遮断により、植付け装置Ｂを走行機体Ａに
   対して駆動昇降ならびに昇降停止するためのスプ
   ール式３位置切換制御弁Ｖのスプール６に、昇降
   中立位置Ｎと上昇位置Ｕとの中間位置の一定小範
   囲において作用するアンダーラツプ部２５を形成
   し、このアンダーラツプ部２５の作用範囲におい
   て、少量づつのシリンダ排油により植付け装置Ｂ
   を下降させる位置D′とシリンダ４に対する給排
   油圧の平衡により昇降停止させる中立安定位置
   N′とを現出させるように構成するとともに、前
   記植付け装置Ｂに、上下揺動自在な複数の接地フ
   ロート３Ａ，３Ｂを左右方向に並設し、これら接
   地フロート３Ａ，３Ｂの揺動支点を接地圧変化に
   伴なつて上下方向に一体的に変位可能に剛体連結
   する機構５を設け、かつ、前記剛体連結機構５と
   前記制御弁Ｖのスプール６とを連係し、もつて、
   前記接地フロート３Ａ，３Ｂの一体上下変位に基
   づいて前記制御弁Ｖのスプール５を切換え作動さ
   せることにより、前記植付け装置Ｂの駆動昇降制
   御によつて前記接地フロート３Ａ，３Ｂの接地圧
   を設定範囲内に維持すべく構成してある田植機に
   おける植付け装置の昇降制御装置であつて、前記
   制御弁Ｖのスプール６の安定中立位置N′から上
   昇位置Ｕへの切換え移動に抵抗を付与する機構３
   １を設けてあることを特徴とする田植機における
   植付け装置の昇降制御装置。 ２ 前記抵抗付与機構３１がスプリング３０を利
   用するものである特許請求の範囲第１項に記載の
   田植機における植付け装置の昇降制御装置。