JPH0154204B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、いわゆる横置きエンジンの前輪駆動
式自動車に搭載される空気調和装置に係り、特
に、全長を短くし立体的に小型化した画期的な自
動車用空気調和装置に関する。

（従来の技術） 従来の自動車用空気調和装置は、フアンを内蔵
して空気を取入れるインテークユニツトと、この
インテークユニツトに接続し、かつ、エバポレー
タを内蔵して取入れ空気を冷却するクーラユニツ
トと、このクーラユニツトに接続し、かつヒータ
コアを内蔵して冷却空気を加熱し、調和空気を車
室内に配風するヒータユニツトとを備えている
が、空気抵抗、乱流の発生、空気の壁面への衝突
などを抑制するため、各ユニツトは空気を可及的
に直進させるようにそれぞれ接続されている。そ
して、このような従来の自動車用空気調和装置で
は、各ユニツトが直線的に連設されるため、全長
が長い構成となつている。

（発明が解決しようとする課題） ところで、フロントエンジン・リアドライブ仕
様車（以下、FR車という）では、第１図に示す
ように、ドライブシヤフトDSが車体中央の床下
を貫通しているため、ダツシユパネル中央付近の
高さ空間が狭い。一方、エンジンＥがエンジンル
ームERにおいて車体の進行方向に対して縦長
（以下、縦置きエンジンという）に配設されてい
る自動車にあつては、エンジンルームのダツシユ
パネルDPの前方空間が狭い。また、通常FR車に
おいては、エンジンの出力駆動軸とドライブシヤ
フトとを一致させるために前述した縦置きエンジ
ン型の構成となつている。

したがつて、このようなFR車に前述した従来
の自動車用空気調和装置を搭載する場合にあつて
は、車室Ｒにおける助手席の前部のダツシユパネ
ルに沿つて横長に配設されている。

これにより、助手席の前部空間が狭くなり、ま
た、インテークユニツト１のフアン５、モータ
４、および、クーラユニツト２のエバポレータ１
２が車室側に位置するため、騒音障害を伴うとい
う問題があつた。

また、自動車用空気調和装置を助手席側に設置
した場合には、ヒータユニツトからの調和空気を
車室内に配風するための配風ダクトが、左右非対
称となり、これによつて車室内の左右それぞれの
吹出口から供給される調和空気の量あるいは温度
が、不均一となるという問題があつた。さらに、
このような場合、配風ダクトの共通化が困難であ
るという製造上の問題点もあつた。

そこで本発明者らは、自動車用空気調和装置を
搭載する自動車車室内スペースの問題、配風性
能、および製造上の問題を解決すべく、空気調和
装置を構成する各部品の構成、および装置自体の
配置を検討するに際し、フロントエンジン・フロ
ントドライブの自動車（以下、FF車という）で
あつて、エンジンが進行方向に対して横長に設置
された（以下、横置きエンジンという）自動車
の、いわゆるデツドスペースに着目して検討した
結果、空気調和装置を、ある構成をもつてダツシ
ユパネルの中央部に配設すると、空気調和装置本
来の性能を損なうことなく車室の全域に均等な配
風が実現でき、また配風ダクトの組付を左右対称
になすことが可能となり、しかもその構造、製
造、組付を能率化することができることを見出
し、本発明に至つた。

したがつて本発明は、このような従来の問題点
に着眼してなされたもので、車室内スペースの拡
大と騒音防止、および配風性能、製造作業性の向
上を目的としている。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 上記目的を達成するための本発明は、エンジン
ルーム内にエンジンを進行方向に対して横長とな
るように設置し、前記エンジンルームと車室とを
仕切るダツシユパネルを有する前輪駆動式自動車
に取り付けられ、フアンを内蔵して空気を取入れ
るインテークユニツトと、インテークユニツトに
接続し、かつ、エバポレータを内蔵して取入れ空
気を冷却するクーラユニツトと、クーラユニツト
に接続し、かつ、ヒータコアを内蔵して冷却空気
を加熱すると共に調和空気を車室内に配風するヒ
ータユニツトとを備えた自動車用空気調和装置に
おいて、エンジンルーム側の前記ダツシユパネル
の中央部に前記インテークユニツトと前記クーラ
ユニツトとを上下に並べて配設するとともに、前
記ヒータユニツトを車室側の前記ダツシユパネル
の中央部に設けたことを特徴とする自動車用空気
調和装置である。

（作用） このように構成した本発明にあつては、横置き
エンジンによつて得られるエンジンルーム側のダ
ツシユパネルの中央部にインテークユニツトとク
ーラユニツトを上下に並べて設け、FF車によつ
て得られる車室側のダツシユパネルの中央部にヒ
ータユニツトを設けることにより、車室内空間が
拡大すると共に、フアンおよびエバポレータから
発生する騒音をダツシユパネルによつて遮音する
ことができる。また、各ユニツトをダツシユパネ
ルの中央部に配置することによつて、左右対称の
構造が実現し、配風性能および製造作業性が向上
する。

（実施例） 以下図面に即して本発明の実施例を説明する。

第２図は、本発明にかかる自動車用空気調和装
置をFF車のダツシユパネルの中央部に設置した
場合の一実施例を示す概念的な平面図であり、第
３図は、本発明の一実施例を示す構成図である。

第２図において、自動車用空気調和装置Ｃ／Ｃ
は、横置きエンジンＥを有するFF車のダツシユ
パネルDPの中央部に、このパネルのエンジンル
ームERと車室Ｒとを挟んで設置されており、ま
ず、この装置の構成を説明する。

自動車用空気調和装置は、第３図に示すよう
に、インテークユニツト１と、クーラユニツト２
と、ヒータユニツトを有している。インテークユ
ニツト１はエンジンルームERにおけるダツシユ
パネルDP前面の上部空間に配設されており、こ
のユニツト１は、モータ４により駆動されるフア
ン５を内蔵して調和対象となる空気を装置内に取
入れる風路を形成するケース１ａを備えている。
このケース１ａは、車室内循環空気（内気）を取
入れる内気取入口６と、外気を取入れる外気取入
口７と、内外気取入口６，７の何れか一方、また
は両方からの空気をフアン５によつて送り出すた
めの吹出口８と、内気取入口６を閉じるＡ位置、
外気取入口７を閉じるＣ位置および両位置の任意
の中間Ｂ位置に移動し、内外気の取入量を調整す
るインテークドア９とを備えている。

クーラユニツト２は、エンジンルームERにお
けるダツシユパネルDP前面の下部空間において
前記インテークユニツト１の垂直真下位置に設置
されており、このユニツト２は、冷媒導管１１か
らの冷媒が循環するエバポレータ１２を内蔵して
インテークユニツト１から流下して来る空気を冷
却する風路を形成するケース２ａを備えている。
このケース２ａは、前記インテークユニツト１の
吹出口８に接続された吸込口１０と、冷風を送り
出す吹出口１３と、凝縮水の底部排水口２ｂとを
備えており、吹出口１３は吸込口１０に対してほ
ぼ直角となる車室内方向に向いている。

なお、詳述しないが、前記エバポレータ１２と
ともに、冷凍サイクルを構成するコンプレツサ、
コンデンサ等は、その機能を効果的に発揮するた
めのエンジンルームERに設置されている。

ヒータユニツト３は、車室Ｒにおけるダツシユ
パネルDP後面において前記インテークユニツト
１およびクーラユニツト２とパネルDPを挟んで
ほぼ正対するように設置されており、このユニツ
ト３は、温水導管１５からのエンジン冷却水が循
環するヒータコア１６を内蔵してクーラユニツト
２から流下してくる冷風の一部または全部を加熱
し、冷風および温風の一方または両方を車室内に
適当に配風する風路を形成するケース３ａを備え
ている。このケース３ａは、クーラユニツト３の
吹出口１３に接続された吸込口１４と、この吸込
口１４に連続し流入空気の流れの向きを上向きに
円滑に変更させる変流傾斜面１７と、ヒータコア
１６を迂回し、上面がほぼ直角に穏やかに湾曲し
た迂回風路１８と、迂回風路１８とヒータコア１
６の吹出面とに接する配風室１９と、フロントガ
ラスの内面に沿つて空気を吹き出させるための一
対のデフダクト２０（左右対称に配設されるが、
一方のみを図示した。）と、自動車の前席および
後席の足元に向つて空気を吹き出させるためのフ
ロントおよびリアフロント２１ａ，２１ｂと、運
転席前方のインストルメントパネルに組み付けら
れたセンタベンチレータ（不図示）に空気を送る
ためのベントダクト２２とを、備えている。これ
らダクトの吸込口には、一対のデフドア２３（一
方のみ図示。）と、フロアドア２４と、ベントド
ア２５とがこれらダクトへの配風制御を行なうよ
うにそれぞれ取付られている。

ヒータユニツトケース３ａ内のヒータコア１６
の前面には、ミツクスドア２６が回動自在に軸支
されており、このドア２６は、ヒータコア１６へ
の風路を全開（迂回風路１８を全閉）する全開位
置Ｄと、ヒータコア１６への風路を全閉（迂回風
路１８を全開）する全閉位置Ｆと、両位置間の任
意の位置であつて両風路をいずれも開成する半開
位置Ｅとに移動することにより、クーラユニツト
２を通過した冷風を全てヒータコア１６を経て配
風室１９に送つたり、ヒータコア１６を迂回して
直接配風室１９に送つたり、または、クーラユニ
ツト２からの空気の一部をヒータコア１６を通
し、残部をヒータコア１６を迂回して配風室１９
にそれぞれ送つたりするようになつている。

前記迂回風路１８の配風室１９との接続部分に
はスレーブドア２７が壮回風路２８の上側湾曲面
の延長円弧状にほぼ沿つて進退するように取付け
られており、このドア２７はその進退量に応じて
迂回風路１８から配風室１９へ流入しようとする
冷風の流入方向を変更するようになつている。こ
のドア２７は前記ミツクスドア２６とリンク機構
２８を介して、ミツクスドア２６が全閉位置Ｆに
近づく程、スレーブドア２７が前進量を増加する
ように連動されている。なお、デフドア２３はス
レーブドア２７の両脇に位置するので、このドア
とは干渉しない。

次に作用を説明する。

まず、インテークユニツト１において、フアン
５の吸込力により、インテークドア９の状態に応
じて取入口６，７の一方または両方から内外気が
取入れられ、この空気はフアンの送風力により吹
出口８、吸込口１０を経てクーラユニツト２へ送
風される。クーラユニツト２において、この空気
は垂直に流下しつつ、エバポレータ１２によつて
冷却され、吹出口１３に至る。この冷却によつて
発生する空気中水分の凝縮水はエバポレータ１２
の真下に滴下し、クーラユニツトケース２ａの底
部に形成された排水口２ｂから排水される。吹出
口１３へ至つた冷風は、吸込口１４からヒータユ
ニツト３へ流入する。ヒータユニツト３におい
て、まず、冷風は変流傾斜面１７によつて、その
流れ方向を上向きに変更される。この冷風は、ミ
ツクスドア２６の状態に応じて、ヒータコア１６
および迂回風路１８の両方または一方の配風され
る。ヒータコア１６に配風された冷風は、ヒータ
コアを通過するときに加熱されて温風となり、配
風室１９に至る。他方、迂回風路１８に配風され
た冷風はそのまま温度状態を維持しつつ、迂回風
路１８の湾曲に従つて流れ方向をほぼ直角に変更
し配風室１９に至るが、このとき、ストーブドア
２７の迂回風路１８に対する状態に応じて配風室
１９に対する吹出し方向を調節されることにな
る。配風室１９に至つた冷風および温風の両方ま
たは一方は、各ドア２３，２４，２５の開度状態
による配布制御に応じて、冷風ないしは温風のま
ま、または、冷風と温風とがミツクスした状態
で、各ダクト２０，２１ａ，２１ｂ，２２への分
配されて供給されていく。

ちなみに、各種モード設定における前記各種ド
アの各種ダクトについての配風関係について説明
する。なお、各種ドアの切換え制御は運転席前方
のインストルメントパネルに設けられるレバー操
作によりワイヤや負圧アクチユエータなどを介し
て行なう。

まず、外気が高温のときや、室内を急速に冷房
したいときにはクーラモードに設定する。このと
き、フロアドア２４はフロアダクト２１ａ，２１
ｂを全閉する位置に、ベントドア２５はベントダ
クト２２を全開する位置にそれぞれ移動する。よ
つて、空気は全てベントダクト２２に至り、セン
タベンチレータから吹き出す。吹き出される空気
の温度はミツクスドア２６の開度を変えることに
より、ヒータコア１６を通過する空気の量と迂回
する冷風の量を調節し、両者を混合して行なわれ
る。このとき、ストーブドア２７は前進突出した
傾向にある。

バイレベルモードは秋から春にかけ、頭寒足熱
の暖房をするモードであり、ミツクスドア２６、
フロアドア２４、ベントドア２５はそれぞれ半開
位置となり、温風がデフダクト２０およびフロア
ダクト２１ａ，２１ｂに至り、冷風がベントダク
ト２２に至る。このとき、ストーブドア２７は後
退した傾向にある。

冬の室内暖房の時にはヒートモードに設定す
る。この場合、フロアドア２４は全開位置、ベン
トダクト２えは全閉位置となり、デフダクト２
０、フロアダクト２１ａ、リアフロアダクト２１
ｂにのみ空気が流れる。ミツクスドア２６の開度
調節により、吹出温度が規定されるが、ストーブ
ドア２７は後退傾向にある。

フロントガラスが曇つた時や、霜が付着した時
にはデフモードに設定する。この場合、デフドア
２３が全開し、フロアドア２４、ベントドア２５
が全開して、空気は全てデフダクト２０に至る。

［発明の効果］ 以上説明してきたように、本発明によれば、横
置きエンジンを有するFF車に、インテークユニ
ツトのクーラユニツトとを上下に並べてエンジン
ルーム側のダツシユパネルの中央部に設置すると
共にヒータユニツトを車室側のダツシユパネルの
中央部に設置する構成としたため、自動車用空気
調和装置が立体化し、その全長が短くなつて小型
になり、また、騒音源となるフアンおよびエバポ
レータがエンジンルームに隔離され、騒音障害が
抑制化されるという効果が得られる。

また、中央から車室に調和空気を配風すること
が可能となつて、配風性能が向上し、かつ、配風
ダクトの左右対称構造が採用できるという効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車用空気調和装置の配置を
示す平面図、第２図は本発明にかかる自動車用空
気調和装置の一実施例における配置を示す平面
図、第３図は本発明の一実施例を示す縦断面図で
ある。 Ｃ／Ｃ…自動車用空気調和装置、ER…エンジ
ンルーム、Ｒ…車室、DP…ダツシユパネル、１
…インテークユニツト、２…クーラユニツト、３
…ヒータユニツト、５…フアン、１２…エバポレ
ータ、１６…ヒータコア、１８…迂回風路、１９
…配風室、２０…デフダクト、２１ａ，２１ｂ…
フロアダクト、２２…ベントダクト、２３…デフ
ドア、２４…フロアドア、２５…ベントドア、２
６…ミツクスドア、２７…スレーブドア、２８…
リンク機構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エンジンルームER内にエンジンＥを進行方
   向に対して横長となるように設置し、前記エンジ
   ンルームERと車室Ｒとを仕切るダツシユパネル
   DPを有する前輪駆動式自動車に取り付けられ、
   フアン５を内蔵して空気を取入れるインテークユ
   ニツト１と、インテークユニツト１に接続し、か
   つ、エバポレータ１２を内蔵して取入れ空気を冷
   却するクーラユニツト２と、クーラユニツト２に
   接続し、かつ、ヒータコア１６を内蔵して冷却空
   気を加熱すると共に調和空気を車室内に配風する
   ヒータユニツト３とを備えた自動車用空気調和装
   置において、 エンジンルームER側の前記ダツシユパネルDP
   の中央部に前記インテークユニツト１と前記クー
   ラユニツト２とを上下に並べて配設するととも
   に、前記ヒータユニツト３を車室Ｒ側の前記ダツ
   シユパネルDPの中央部に設けたことを特徴とす
   る自動車用空気調和装置。