JP3757490B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するものであって、特に空調装置内を2つの通路に仕切るように構成されたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置として、空調装置内を仕切板によって2つの通路に仕切って、一方の通路を運転席側用の空調通路とし、他方の通路を助手席側の空調通路として、運転席側と助手席側とをそれぞれ独立して空調風の吹出温度等を制御するものが知られている。
【0003】
また、上述したように空調装置内を2つの通路に仕切って、一方の通路に比較的高温の内気を導入し、この内気を乗員の足元に送風すると共に、他方の通路に比較的低湿な外気を導入し、この外気を車両窓ガラスに送風することで暖房能力向上と防曇性確保を両立するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用空調装置には、夏場のクールダウン時の風量アップや、フェイス吹出口とフット吹出口とから吹き出される空調風の温度に差を付けるために冷風バイパス通路を設けたものがある。
例えば、エアミックスドアにて冷風と温風とを混合割合することで空調風の温度を調整するエアミックスタイプのものについて、一例を挙げると、冷風バイパス通路は、エアミックスドアにて風量が調整されるエバポレータを通過した冷風がヒータコアをバイパスする冷風通路と、ヒータコアを通過した温風が流れる温風通路とは、独立して別個にエバポレータを通過した冷風がヒータコアをバイパスするように構成されている。
【0005】
そして、このような冷風バイパス通路は、空調装置の最も外側で、例えば空調ユニットケースに一体に成形されており、この結果、空調ユニットケースの形状が複雑化し、成形が困難になるという問題がある。
そこで、本発明は、空調装置内を仕切板にて2つの通路に仕切るように構成された車両用空調装置において、容易に冷風バイパス通路を形成することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、
仕切部材(5a、5b)は、2つの仕切板(5a、5b)にて構成されており、空調ユニットケース(4)内には、2つの仕切板(5a、5b)が空調ユニットケース(4)内に間隔をあけて並ぶように配置されることで、冷却用熱交換器(3a)を通過した冷風が2つの仕切板(5a、5b)の間を流れるようにして加熱用熱交換器(4a、4b、4c)をバイパスする冷風バイパス通路(18)が形成されていることを特徴としている。
【0007】
これにより、第1の通路と第2の通路を仕切るための仕切板を利用して、この仕切板を一つ追加するだけで容易に冷風バイパス通路を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
図1に車両用空調装置の全体構成図を示す。図2に図1中C─C断面図を示す。図3に図1中D─D断面図を示す。なお、本実施形態における車両用空調装置は、運転席側と助手席側とを独立して空調制御可能な左右独立制御タイプのものである。
【0009】
本実施形態における車両用空調装置1は、図1に示すように大別してホリプロピレン等の樹脂材にて形成された内外気ケース2と、クーラーケース3と、ヒータケース4とが車両前後方向に並ぶように接続されることで構成されている。なお、図1、2中これらケース2〜4の結合部位を点線A、Bにて示す。また、これらケース間の結合は、例えば爪嵌合やビス等の締結部材にて行う。
【0010】
内外気ケース2には、図1に示すように内気を導入する内気導入口2aおよび外気導入口2bが形成されており、これら導入口2a、2bは内外気切換ドア2cにて選択的に切り換えられる。内外気ケース内2には、車室内に向かう空気流を発生させる送風機2dが収納されている。
クーラーケース3は、図1に示すように内部流路を全て塞ぐようにしてエバポレータ3aを収納するものである。なお、エバポレータ3aは、車両に搭載された冷凍サイクル装置の冷媒蒸発器をなす周知のものである。
【0011】
ヒータケース4は、クーラユニット3内のエバポレータ3aにて冷却された冷風を適度加熱するためのものであって、内部にはエンジン冷却水を加熱源とするヒータコア4a、4bが配置されている。また、ヒータケース4内は、2つの仕切板5a、5bによって運転席側空調通路6と助手席側空調通路7とに仕切られている。この仕切板5a、5bは図1に示すように車両前後方向で、エバポレータ3aの空気下流側からヒータコア4a、4bの下流側に向かって伸びるように形成されていると共に、間隔を開けて並ぶように形成されている。
【0012】
つまり、仕切板5a、5bとの間は、エバポレータ3aを通過した冷風が、ヒータコア4a、4bをバイパスするようにして流れる直線状の冷風バイパス通路18となっている。なお、この冷風バイパス通路18の詳しい説明は、後でする。
ヒータコア4aは運転席側空調通路6に、ヒータコア4bは助手席側空調通路7に配置されている。これにより、ヒータコア4aは、運転席側空調通路6を流れる空気を加熱し、ヒータコア4bは、助手席側空調通路7を流れる空気を加熱する。
【0013】
本実施形態における車両用空調装置1は、エアミックスドア8、9にて冷風と温風の混合割合を調整することで、空調風の温度を調整するエアミックスタイプのものである。つまり、図2に示すように、助手席側空調通路7には、エバポレータ3を通過したのち、ヒータコア4bをバイパスする助手席用冷風通路7aと、ヒータコア4bを通過した温風が流れる助手席側温風通路7bが形成されている。そして、エバポレータ3aを通過した冷風のうち、助手席側空調通路7aと助手席側温風通路7bと送られる風量割合がエアミックスドア8にて調整することで、助手席側空調通路7の空調風温度が調整される。
【0014】
また、運転席側空調通路6にも、同様な冷風と温風が流れる通路が形成されており、図1中分かりにくいが図中紙面上方にはエバポレータ3を通過したのち、ヒータコア4aをバイパスする運転席側冷風通路6aと、ヒータコア4bを通過した温風が流れる運転席側温風通路6bが形成されている。そして、エバポレータ3aを通過した冷風のうち、運転席側空調通路6aと運転席側温風通路6bと送られる風量割合がエアミックスドア9にて調整することで、運転席側空調通路6の空調風温度が調整される。
【0015】
次に上述した仕切板5a、5bおよびヒータケース4の構造について説明する。
本実施形態において仕切板5a、5bは、ヒータケース4に一体形成されている。このヒータケース4の組付構造を説明すると、ヒータケース4は図2に示すように碗状の2つのケース4c、4dを組み合わせることで構成されている。
【0016】
また、これに合わせて仕切板5a、5bは、碗状のケース4c、4dの底部から開口側に向かって伸びるようにして形成されている。つまり、ケース4c、4dは、図2中上下方向に型抜きされて形成されているので、仕切板5a、5bを容易に一体形成することができる。
また、図2に示すように助手席側空気通路7のヒータコア4bの下流側には、車室内の助手席側に設けられた図示しないフェイス吹出口、フット吹出口、デフロスタ吹出口に連通する開口部10〜12が形成されている。具体的には図2に示すようにケース4cに形成され、フェイス吹出口と連通するフェイス開口部10、ケース4bに形成され、フット吹出口に連通するフット開口部11、ケース4dに形成され、デフロスタ吹出口に連通するデフロスタ開口部12が形成されている。なお、これら開口部10〜12は、それぞれ切換ドアとしてフェイスドア13、フットドア14、デフロスタドア15にて開閉される。
【0017】
これにより、吹出モードとしてフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモードが切換可能になっている。なお、フェイスモードは、フェイス開口部10だけから空調風を吹き出すモードであり、バイレベルモードはフェイス開口部10とフット開口部11の双方から空調風を吹き出すモードである。フットモードは、デフロスタ開口部12から若干の空調風を吹き出し、残りの大部分の空調風をフット開口部11から吹き出すモードである。
【0018】
フットデフモードは、デフロスタ開口部12とフット開口部11とから等量の空調風を吹き出すモードである。デフロスタモードは、デフロスタ開口部12だけから空調風を吹き出すモードである。
運転席側空気通路6のヒータコア4aの下流側には、車室内の運転席側に設けられた図示しないフェイス吹出口、フット吹出口、デフロスタ吹出口に連通する開口部(図示しない)が形成されている。なお、この運転席側空気通路6に形成された開口部は、図2に示した開口部10〜12と同様なため、ここでは説明を省略し、以下の説明では図示されていない運転席側の開口部および切換ドアも、助手席側と同一の機能のものは同じ符号とする。つまり、以下、開口部10〜12、ドア13〜15は2つずつある。また、本実施形態における車両用空調装置1は、運転席側空調通路6と助手席側空調通路7とにおける吹出モードは、常に同じようになるように構成されている。
【0019】
ここで、ケース4cには、図3に示すように上記冷風バイパス通路18の上方で、冷風バイパス通路18の空気流れ方向に沿うようにして開口した冷風開口部19が形成されている。冷風開口部19には、図1〜3に示すように冷風開口部19および2つのフェイス開口部10を覆うようにして十字状のフェイスダクト20が接続されている。
【0020】
フェイスダクト20は、図1に示すように冷風バイパス通路18に沿って被さるように図中左右方向に延びるバイパスダクト部20aと、このバイパスダクト部20aと交差して車両幅方向に延びる一対の延長ダクト部20bとからなる。延長ダクト部20bは、図2に示すようにフェイス開口部10に被さるように配置されている。また、図3に示すように丁度バイパスダクト部20aと、延長ダクト部20bとの交差部位には、冷風バイパス通路18を開閉する冷風バイパスドア21が設けられている。そして、この冷風バイパスドア21は、上記フェイスドア13と連動するように構成されている。つまり、フェイスドア13がフェイス開口部10を開口すると、冷風バイパスドア21は冷風バイパス通路18を開ける。
【0021】
次に冷風バイパス通路18の機能およびバイパスドア21の作動について説明する。
先ず、図3中aに示すように冷風バイパスドア21が冷風バイパス通路18を開ける作動位置(フェイスモード)では、冷風バイパス通路18を通過した冷風は、矢印で示すように冷風開口部19を介してバイパスダクト部20aに流れ込む。
【0022】
この冷風は、流れ方向を変えて延長ダクト部21にて車両左右方向に流れ、車室内のフェイス吹出口に送られる。また、延長ダクト部21には、運転席側空調通路6と助手席側空調通路7とを通過した空気が流れ込み、この空気はフェイス開口部10を通過して上記フェイス吹出口に送風される。この結果、冷風バイパス通路18により、特にフェイースモードで車室内を急激に冷却するクールダウン時の空調風の風量をアップさせることができる。
【0023】
また、本実施形態における冷風バイパス通路18は、図1に示すように車両前方から車両後方に向かって直線的に形成されているので、湾曲した通路に比して通風抵抗を最も小さくするとができ、さらに空調風の風量をアップし、冷風バイパス通路18による騒音を低減することができる。
図3中bに示すように冷風バイパスドア21が冷風バイパス通路18を閉じると共に、フェイスドア13がフェイス開口部10を閉じるので、冷風バイパス通路18には冷風は流れない。
【0024】
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明は以下の変形例にも適用できる。上記実施形態ではエアミックスタイプの空調装置に適用したが、本発明はヒータコア4a、4bへのエンジン冷却水の流量を調整することで、空調風の温度を調節するリヒートタイプの車両用空調装置に適用しても良い。
また、上記実施形態では冷風バイパス通路18とフェイス開口部10から送付された冷風を、同一のフェイスダクト20にて車室内に送風するように構成したが、別個の冷風バイパス通路18専用のダクトを設けても良い。
【0025】
また、上記実施形態では、2つのヒータコア4a、4bを使用したが、一つのヒータコアを運転席用空調通路6と助手席用空調通路7とを跨がるようにして配置しても良い。
これを図4に基づき説明すると、上記実施形態では冷風バイパス通路18が、2つのヒータコア4a、4bの間に設けられていたが、冷風バイパス通路18を流れた冷風がヒータコア4cを乗り上げるように流れるようにしても良い。なお、この場合、冷風バイパス通路18を流れた冷風が、ヒータコア4cを通過しないようにする必要がある。
【0026】
また、仕切板5a、5bをケース4c、4dに一体成形せずに、別体とし、ヒータケース4内に組み付けるようにしても良い。
また、本発明は、仕切板にて2つの通路を形成する空調装置に適用でき、例えば一方の通路に内気、他方の通路に外気を取り入れて、暖房能力を向上させると共に防曇性を確保する2層式の空調装置にも適用できる。また、一方の通路にて車室内の前方空間を、他方の通路にて車室内の後方空間を独立して空調可能な空調装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における車両用空調装置の全体構成図である。
【図2】図1中C─C断面図である。
【図3】図1中D─D断面図である。
【図4】本発明の実施形態における他の例を示す図である。
【符号の説明】
2…内外気ケース、3…クーラーケース、4…ヒータケース
4a〜4c…ヒータコア、5a、5b…仕切板、6…運転席側空調通路
7…助手席側空調通路、18…冷風バイパス通路
Claims (1)
- 空調ユニットケース(2〜4)内に冷却用熱交換器(3a)を配置し、この冷却用熱交換器(3a)の空気下流側における前記空調ユニットケース(4)内を仕切部材(5a、5b)によって第1の通路(6)と第2の通路(7)とに仕切り、これら第1、第2の通路(6、7)にこれら第1、第2の通路(6、7)を通過する空気を加熱する加熱用熱交換器(4a、4b、4c)が配置された車両用空調装置(1)であって、
前記仕切部材(5a、5b)は、2つの仕切板(5a、5b)にて構成されており、
前記空調ユニットケース(4)内には、前記2つの仕切板(5a、5b)が前記空調ユニットケース(4)内に間隔をあけて並ぶように配置されることで、前記冷却用熱交換器(3a)を通過した冷風が前記2つの仕切板(5a、5b)の間を流れようにして前記加熱用熱交換器(4a、4b、4c)をバイパスする冷風バイパス通路(18)が形成されていることを特徴とする車両用空調装置。
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- 1996-10-02 JP JP26210096A patent/JP3757490B2/ja not_active Expired - Fee Related
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